05/01/21 15:36:35 6lX+YUWJ
アメリカの宇宙侵略に歯止めを!
中厨行良 (小平市 32歳 自由業)
「なんで、僕たちをそっとしておいてくれなかったでタイタン?」
不意に声をかけられ、私は眠りから覚めた。
いつの間にか、枕元には、細長い触手のような足の上に巨大な頭を乗せた、
愛くるしい少年が立っているではないか。
「僕はタイタン人、平和を愛するスペース市民でタイタン。」
タイタン人。そう、彼は、先日アメリカが探査機を着陸させた、あのタイタンから
やって来たのだ。私は彼に事情を説明した。
「あれはアメリカの仕業だ。アメリカは地球でも侵略戦争ばかりやっている。」
「日本も同罪でタイタン。今、日本はアメリカの属国でタイタン。」
私は反論できなかった。今の日本はアメリカの属国だ。
侵略戦争に軍隊を送り、戦争犯罪者の神社を潰すどころか参拝し、
今また平和憲法を踏みにじろうとしている。
「武器を持たない僕たちは、平和憲法を持つ日本の人なら、スペース市民になれると
思うでタイタン。」
「どうすればスペース市民になれるんだい?」
「日本の近くに、タイタンにとっての土星のような大国があるでタイタン。
僕たちの『土星をリーダーとした共栄圏』を見習うでタイタン。」
はっとした。私たちは忘れていたのだ。4千年の文化を持ちながら、一度も侵略戦争を
した事が無く、人類最大の革命を成し遂げた、敬愛すべき大国の存在を。
大切なことを思い出させてくれた彼に、私は何かお礼を言いたくなった。
「地球人、タイタン人という呼び方はもう古いな。僕たちはスペース市民だ。」
彼はにっこり微笑んだ。私も嬉しくなった。
「さようなら、地球にもあなたみたいな人が居て、良かったでタイタン。」
彼は光に包まれるように消えていった。
追いかけようとして、私は目が覚めた。なんだ、夢だったのか。
いや、これはただの夢では無い。きっとあの少年が、宇宙の何処かから私に
電波を送っていたに違いない。地球人がスペース市民になれるように。
そして、アメリカの宇宙侵略を止めさせるために。