05/12/26 09:28:56 P7li8xyQ
香里園の守護神さんへ、
『金日成 権力の謎と死 ―元・秘書室長』高鳳基の遺書―』を読みました。
私には手に負えない一冊であったため、いつもの書評ごっこの形態を取らず感想を述べます。
香里園の守護神さんのリクエストの主旨であった、評価の定まらない本書をどう読み解くか
ですが、やはり私は判断基準を持ちません。解説者・金燦 (Kim Chang) も、本書を「粛正された
側の理論」であるとして客観性に疑問を呈しています。誇張・歪曲はあるものとして読む他ない
ようです。
私の印象としては、著者が、金日成への憎悪を隠さないことは、むしろ率直と感じます。
その憎悪を共有して読むなら、権力を独占するために手段を問わない金日成の姿を、側近の
視点から克明に描写しており、金の醜悪な姿は、彼が作り出したあの国の現状に相応しい真実の
「物語」だろうと感じました。抗日パルチザンの英雄・金日成将軍への成りすまし暴露は本書が
初出ではありませんし、金王朝が、ソ連軍政部の傀儡政権として発足し、フルシチョフによる
個人崇拝批判を境にソ連と距離を置き、民族主義へ傾斜する経緯も既知のものです。奇書では
ない、と見てよいと思います。