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医療機関整備で県外派遣産科医の撤収へ 奈良・妊婦死亡 2006年10月25日
奈良県大淀町の町立大淀病院で19病院に搬送を断られた末、妊婦が死亡した問題を受け、同県
立医大から大阪や和歌山など県外の病院に派遣されている産科医を引き揚げる方向で、県が検討を
始めたことがわかった。高度な治療が必要な妊婦と新生児を受け入れる「総合周産期母子医療セン
ター」を早急に整備するためだが、深刻な産科医不足の中、引き揚げによって「お産の空白地帯」
に陥る恐れがある地域に、動揺が広がっている。
同センターは、厚生労働省が各都道府県に07年度中の整備を呼びかけているが、奈良を含む8
県が未整備となっている。関係者によると、同センターは、県立医大付属病院(橿原市)の産婦人
科が入る施設内に設置。母体・胎児集中治療室(MFICU)を現在の3床からセンター化の基準
である6床に増床する。施設整備費は数千万円にのぼる見込み。
同病院には産科医が15人程度配属されているが、増床などでさらに数人が必要になる見通し。
全国的な産科医不足で新たな補充が望めず、同医大の医師派遣先となっている大阪府の東大阪市立
総合病院や松原市立松原病院など、県外の関連病院約10カ所のうち、いずれかから引き揚げる案
が県庁内では有力だ。
大学の医局に所属する医師の人事権は通常、医局の教授が実質的に握り、人的つながりのある関
連病院に派遣されてきた。県幹部の一人は「派遣先の医師が現状を理解して医大に戻ってきてくれ
るはず」とみる。
一方で、関連病院の一つ、大阪府八尾市の八尾市立病院は4月、同医大から産科医4人の派遣を
受けて昨年から中止していた分娩(ぶんべん)を再開。医大側も奈良からの急患を受け入れる県外
の拠点として期待していたが、今回のケースで病院側は、新生児集中治療室(NICU)が満床と
の理由で受け入れ要請を断った。
周辺の公立や私立の病院が医師不足で次々と分娩の取り扱いを中止し、患者が同病院に集中。分
娩数は月約60件と昨年までの2倍に達した。病院幹部は「ここは地域の拠点病院。医師が引き揚
げられたら地元の救急搬送も受けられない」。(続く)