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声明
政府や自治体は公的責任により地域の産科医療体制を直ちに整備することを要求する
大阪府保険医協会 理事会
闘争本部委員会
産婦人科部会
■まずはじめに、亡くなられた患者さまに深い哀悼の意を表し、ご遺族の方々には謹んで心からお悔
やみ申し上げます。
■奈良県の町立大淀病院で今年8月、出産中に意識を失い痙攣を起こした妊婦が、受け入れを要請さ
れた19の病院に断られ、約6時間後に運び込まれた大阪の病院で脳内出血のため死亡されました。
これについて奈良県警は業務上過失致死の疑いで捜査を行なっています。しかし、産婦人科医師個
人の「医療ミス」として処理するような現状を漫然と放置すれば、今日明日にも再び不幸な「産科
医療事故」が起きることを私たち現場の医師は実感しています。
■奈良県は近畿・西日本では唯一「総合周産期母子医療センター」の設置を怠っており、地域におけ
る産科救急体制の不備からこの不幸な事件は起こりました。現場での過酷な産科医療を担ってきた
医師の自己犠牲的な職業倫理に裏打ちされた精神に依存し、周産期医療体制の整備を軽視し続けた
奈良県、また行政改革の名で推し進められている政府の財政優先の国民医療切捨て政策が招いた不
幸な結果であると考えられます。
■医師として、リスクを最小限に留めることは当然のことですが、現場医療の不確実性を何ら考慮す
ることなしに、医療判断として行った行為を、事故の発生後、結果のみを前提に刑事犯罪として糾
弾や立件することは、問われるべき医療における公的責任を背後に追いやり医師個人の責任に転嫁
するものであり、結果として医療水準の低下を招くものであることは明らかです。なお医療事故に
ついては、公正な判断と事故の発生予防・再発防止を図る中立的な第3者機関の設置を急ぐべきです。
■我々はあらためて、荒廃しつつある産科救急医療の改善に向けて、社会保障を充実させるべき責任
を負っている政府や自治体が一刻も早く対策をとることを強く要求します。
2006年10月27日