03/09/05 21:45
サワガニに異変 2割に雌雄の生殖器
雄と雌の両方の生殖器を持ったサワガニが佐世保市内の複数の川に多数生息することが、県立大の綾木歳一助教授(生物学)の調査で分かった。
原因は不明だが、化学物質など環境ホルモンの影響も考えられ、綾木助教授は「人体への影響は未知数だが、きれいな水にすむサワガニに異常がみられる状況は見過ごせない。
従来の水質安全基準の見直しも検討すべきではないか」としている。
二〇〇〇年八月から一年間、市内の主要河川と支流の計十二カ所でサワガニを捕獲。
雄千五百二十七匹のうち三百匹(全体の20%)が、雄の生殖器だけでなく雌の生殖器も併せ持っていた。
異常は全調査地点で確認され、三割を超す川もあった。雌には見つからなかった。
捕獲地点はいずれも上流域で周辺に人家は少なく、主に田畑、一部にゴルフ場や産業廃棄物の最終処分場があった。
綾木助教授は、予想される要因として、ディーゼル車の排ガスに含まれる粒子状物質や農薬の影響を指摘。
市が各下流域で実施している水質検査では、人体に有害な物質は検出されていないが、環境ホルモンは検査項目に含まれていないという。
また、二〇〇〇年に別の大学研究グループが福岡県内で実施した調査でも、同様の異常を持ったサワガニが平均三割強の割合で確認され、水質検査の結果、高濃度のヒ素が検出されている。
綾木助教授は、北松と西彼両地区でも同様の現象を多数確認。「予想を上回る結果で驚いた。
化学物質による汚染が知らないうちに市民生活の中にも広まっているのかもしれない」とし、異常発生の仕組みを解明したいとしている。