16/04/08 15:22:45.65 CAP_USER*.net
公的年金の積立金を運用する独立行政法人(GPIF)の二〇一五年度の実績は大幅な赤字となる見通しだ。安倍政権が株式比率を倍増させた分、損失も膨らんだようだ。速やかに公表してほしい。
GPIFは国民から拠出された厚生年金、国民年金の保険料積立金百三十兆円超を運用している。
年金運用に詳しい民間の専門家の試算によると、一五年度は約五兆円の損失が出たという。リーマン・ショックがあった〇八年度以来の大規模な水準で、GPIFが自主運用を始めた〇一年度以降、三番目の赤字額となる見通し。世界的な景気減速の影響だ。
試算では、損失内訳で最大は外国株式で三兆六千億円、その次が国内株式の三兆五千億円。逆に、国内債券は二兆六千億円の黒字となり、損失を一部穴埋めした。
安倍政権は一四年十月、国内債券が六割を占めていた資産構成割合を変え、国内外の株式比率を24%から50%に倍増させた。株式運用は市場が好調な時は収益も大きいが、その分、もちろんリスクも高い。積立金は国民の“虎の子”の財産であり、長期的に安全かつ確実に運用するべきお金だ。
民進党の試算によると、従前の資産構成割合であれば、一五年度に損失は発生しなかった。
そもそも、資産割合の変更については十分な議論も、国民への説明もなかった。安倍晋三首相は一四年初め「日本の資産運用は大きく変わる。成長への投資に貢献するだろう」と国際会議でアピール。アベノミクスの成長戦略を後押しする狙いがあったのだ。
国内株式の比率を1%上げるだけで、一兆円超の資金が市場に流れる。株価を底支えする思惑があった、とみられてもしかたない。
厚生労働省は「運用状況は長期的に判断してほしい」と繰り返す。損失発生により、すぐさま今の受給者の年金額に影響があるわけではないが、損失が膨らむ一方なら、将来の年金給付が減る恐れは否定できない。株式運用比率を再度、見直すべきではないか。
加えて、不可思議なのは、GPIFによる一五年度運用成績の公表日がいきなり「七月二十九日」に設定されたことだ。
例年、七月上旬には発表されていた。今年は同月に選挙がある。野党は「参院選後に公表を先送りする『損失隠し』」と批判する。そうみられてもしかたあるまい。国民には投票の判断材料の一つとして、選挙の前に一五年度運用実績をぜひ、公表してもらいたい。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)