10/04/17 00:16:58 UkYhvZaW
では張っていきます。
ある山奥の小さな家屋。その中に一人の少年がいた。
少年はなぜか忍者のような格好に身をつつみ、手足を縛られ口には猿轡をされていた。
「ン・・・ムゥ」
少年はその整った顔を少々苦痛に歪めつつ、猿轡を噛み締めながら体を揺すらせる。
そうしているとやがて少年は右手を縄から外し、次の瞬間には左手をも自由にしていた。
両手が解放された後は足の縄をほどき、後頭部に手を回して猿轡を取り外し声を上げた。
「師匠、終わりました」
その言葉を聞いたのか、奥の扉が開き少年と同じような格好の初老の男が現れた。
「見事だ、涼」
師匠と呼ばれた男、田隠一心斎が口を開く。
「10分とかからぬとはな。田隠流忍術縄抜け・・・完全にモノにしたな」
「もったいないお言葉ありがとうございます」
田隠流忍術――縄抜けや捕縛術を得意とする忍術であるが現在では廃れており、その詳細を知るものは少ない。
「いや謙遜するものではない。そなたは実力はワシが一番わかっておる」
「ありがとうございます師匠」
「ウム・・・それで話は変わるがな、実は仕事の依頼が来とるのだ」
「仕事ですか。それでその内容は?」
「それはワシの部屋で話そう」
そう言うと一心斎は扉の奥へ戻り涼もその後を追った。