リトバス妄想スレPart11at LEAF
リトバス妄想スレPart11 - 暇つぶし2ch237:名無しさんだよもん
09/09/16 20:01:02 Y0H1SReH0

で、俺たちは並んで座って容器を開いたわけだ。そうしてから
輪ゴムを取ってしまうと、ふわっふわの蒸気のやつは立ちのぼらざる
をえないわけだ。ああ。それはもうふわっふわだから俺たちの顔を
つつみこむわけだ。いや、もうそれはふぁさっふぁさだ。
すると西園のやつなんて言ったかな……、何も言わなかったな……。

 なんつーか別に俺たちは恋仲じゃなくて明石焼きやその他間食で結ばれた仲で、
お互いにワッフルのトッピングにゆずれないものがあったりと趣向の違いもある
わけだ。だからこそその場で違和感をおぼえてしまったことがある。
「なぁ西園」俺は声をかけたよ。そしたらあいつも手を止めて言った。
「……許してはもらえないのですね」と。
 分かるよな、理樹。明石焼きってのは普通はだし汁で食うもんだ。カリカリの
表皮にじゅわっと染みて、口の中でまた渾然一体とよみがえる……至高の一味だ。
紅ショウガまではいい。しかしマヨネーズ? 一体どういうことだ? 
どういうことになる? 俺はどうすべきだった?
 ふぁさっふぁさの湯気の立ちのぼりによって俺の前髪はもうくるくるだった。

238:名無しさんだよもん
09/09/16 20:01:08 7qXhI6GW0
>>236
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239:名無しさんだよもん
09/09/16 20:01:30 7qXhI6GW0
>>237
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240:味覚感覚不健全 3/3
09/09/16 20:01:47 Y0H1SReH0

「どうしてだよ」
 思案したあげくの果て、西園の手にあった(まだかけてはいなかった)マヨを
奪い地面へとたたきつけた俺は、さらに西園の右頬をはたこうとした。
そのときのあいつの顔は忘れられないものがある。
「なにするんですかっ。わたしに、私にするのであればまだしも……
マヨネーズにそんなことしなくてもっっ」と泣き出してしまっていた。

 そうされるともう終わりだ。そこで俺ができることなんてない。
 すっかりうろたえてしまった俺はごめんなと謝っていた。
 涼やかな風が通り過ぎていったのをよく覚えている。



241:名無しさんだよもん
09/09/16 20:02:21 7qXhI6GW0
崖から転落し,鈴と理樹は潰れたバスの間の少しの隙間に入っており,なんとか脱出出来た
理樹は奇跡的にも打ち身だけで済んだが,鈴は右足に大きなけがをしていた.
「鈴,危ないからここで休んでて.僕は恭介達を助けてくる」
しかし命に別状はないと考え,次に鈴を座らせておいてバスの中から他のメンバーを救出しようと中を覗き込んだとき,理樹はさっきまで楽しく騒いでいた仲間達の無惨な姿を眼にした
能美クドリャフカの頭は潰れ,なんとかクドと判断出来た材料の亜麻色の髪をただ紅く染めていた
西園美魚の胴体は,皮肉にも彼女の好きな本達を入れるための大型の旅行ケースと床の間に挟まれ,下半身と上半身が違う方向を向いたまま,その眼は虚ろに虚空を眺めていた
バスの中はそれがバスなのか既に廃棄されたスクラップなのかもわからない状態で,また,声を上げる者は居なかった
理樹達が助かった空間と反対側にあったもう一ヶ所の空間に三枝葉留佳が無傷で横たわっているように見えたが,彼女の腹には折れた鉄パイプが貫通していた
空間の傾斜の先には,血貯まりができていた
真人と謙吾は,落ちてゆくバスの中で何かを守ろうとしたのか,潰れ行く車体を筋肉で押し戻そうとしたのか,二人とも手が血まみれで,頭を打って気を失ったまままた挟まれたようだった
真人の右手右足と,謙吾の左足は,座席の詰めたい骨格の向こう側に曲がってはいけない方向に曲がり,一部の骨が皮膚から突きだしていた
謙吾の脇腹を抉った棚の残骸の下には,謙吾の腹の中にあるはずのものがこぼれていた
「…………!!!!!!!」
理樹はその人間の中に入っているものだということが信じられないような臭気と光景の中,これは鈴に悟らせるわけにはいけないと考え,まだ見つけていない恭介を探すため,一度車体から出た
その際に近くの樹に座り込んでいた鈴に聞かれた
「理樹…みんなは、だいじょうぶなのか…?」
理樹は本当のことを答えられなかった
本当のことを答えたら鈴は壊れてしまうかも知れない
そう思ったから.
「みんな気を失ってるけど,大丈夫だとおもう.」
こう答えた.
すぐにばれてしまう嘘を今は鈴のショックを和らげるために吐いた

242:名無しさんだよもん
09/09/16 20:03:55 7qXhI6GW0
>>240
            . . :-───-: . . ._
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   ′: : :{: : : :/ : : : |: : :| : : : : | : ヽ/ ,ィ示r ∨∧:. : : /:|
  : : : : :,': : :/: : : :/ : |: : :|: : : : : ',: :/ 〃 んハ  } rイ|: : /: : j      
  i: : : /: : /: : : :/: : ∧: :l : : : : : ∨ {  {トx}   {リj/|:.: :/
  |: : /: : /: : : :/: : : { ∨: : : : : : ∧   ー'     ヽ:.:. |:.:/   
  |: /: : /:. : : /: : : :八 ∨: : : : : : ∧ ////     }:.: |/
  |/: : /:.:. : /: : : : ':.:.:.\.}: : : : : : : : l      __   ′ |
  {: : :,':.:.:. /: : : : /:.:.:.:.:.ハ : : : : : : : :!     { ⌒/ /:.:. :|  なんていうか・・すごくつまらないですね!!!
  l: : :|:.:.:.,': : : : :/:.:.:.:.:/  | : : : : : : : |    ー' /:.:.: :| 
  V: :|:.:.:|: : : : /:.:.:.∠_ ハ: :iヽ: : : :|__     /:.:.:.:. : |
   \{\{: : : /:./-─- V ',: : : |:.:.:.:丁 二:.:.:.:.: : /
      ∨/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:\V: /_ノ人   }:.:.:ノ/
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243:名無しさんだよもん
09/09/17 01:14:36 Qf+MAlhA0
寝る

244:名無しさんだよもん
09/09/17 15:58:01 +HI8Vp8R0

秋のよい日和りの中、アスファルトから突き出た雄日芝
をひと房ずつ刈り込んでいる謙吾のもとに、
「まめだな。普段から」と恭介がやってきた。
恭介が尋ねると謙吾は手を休めて口を開いた。
「見落としやすい場所なんだ。
でこぼことして走りづらくてな、俺はよくここで滑る」
と、謙吾は高木の影の下で微笑を浮かべた。そして、
自身の日課と言わんばかりに黙々とした作業に取り掛かろうとしていた。
恭介は隣に並んで(……なんて退屈な作業を続けるやつなんだ)
と思いながらも手に鎌をたずさえて、手伝う気満々だった。
「なぁ、終わったら後で缶コーヒー奢ってくれ」
「勝手に手伝いに来てなんだそれは」
こうして一日が、何事もなく過ぎ去った。

245:寸暇 1/2
09/09/22 16:46:28 8wRL9d1c0

 小毬と近くの公園まで散歩に出かけてしまった理樹に取り残されて
しまった井ノ原真人は、これ以上ないくらいにヒマをもてあましていた。
「くっっやべぇ、理樹のやつがいねぇとこんなにも時間が長く感じるとは
 思いもしなかったぜ」
 一人身もだえするこの物体を、特別に加工された教室から眺めている来ヶ谷
唯湖嬢は、「もうすぐ十月だというのに」と暑苦しさを感じていた。
彼女と真人との距離は10mほどあり、その中間点にはバードフィーダー(鳥
のエサ台)や生け垣が置かれている。なので唯湖は真人のことをなかば鳥たち
を鑑賞するのと同じ態度で鑑賞していた。
 だが、真人の野性的な視力によって一瞬で発見された彼女は、見られる側へ
と転換してしまう。

「んぁ?あそこにいるのは……」
「――」

246:寸暇 2/2
09/09/22 16:46:53 8wRL9d1c0

 遊び相手にされてしまうのが不服な彼女は、真人に背を向けて、カップに室内の備品である
粉コーヒーを入れ、お湯で溶かしてから氷を入れて、アイスコーヒーにして飲むことにしよう
とした。
 だが、そうしている間にも金木犀の間をかきわけて彼は近づいてきた。

「来ヶ谷じゃねぇか。おーい、オレにもそいつを飲ませてくれねぇか」
 トイレの芳香剤に似た甘めで強い香りを漂わせながら、彼は言っていた。彼の頭上にはナガ
コガネグモの巣がからみついている。
「あがるならあがっていけばいいが。……何かいろいろなものにまみれている事を自覚した方
 がいいぞ、キミは」
 丁度ふたつあるスコーンの片一方を差し出してコーヒーでおもてなし。
「ありがとよ」
 真人はなだめられるたかのようだった。




247:名無しさんだよもん
09/09/23 00:27:38 ab+Y3EL00
目が滑る文章だ

248:名無しさんだよもん
09/09/23 21:37:25 dTVprPxI0
暇だから久しぶりに頭慣らしにSS書きます。
落ちも山もないただのtestテキストだから期待しないで下さい。
あと、俺がここに書いたSS全部、保管庫にきちんと入れてSS情報サイトに登録します。


249:1
09/09/23 21:43:12 dTVprPxI0

 時が迫っていた。
 
 私は必死に彼女のいるこの機内のファーストクラス目がけて走る。
 彼女はすぐそこにいる。午前9時51分。彼女はここからエコノミークラスのある人物に例のモノを渡すことになっている。
 そしてそれを奪還するのが私の役目。

 コード名「秘宝」。
 私に課せられたその任務とは、日本から海外サーバーに少しずつ流れ出ている、日本の官民の戦略と技術情報の元を突き止めて食い止めること。

 午前10時2分。あと、3分で彼女は出てくる。愛用のベレッタに手をかける。

ーーーカチャリ

 ドアの空いた瞬間、彼女の前に立ち塞がり銃を彼女の胸を照準にして構えた。

「そこまでよ、香織」

 香織…CIA諜報員カオリ・アリーナスは驚いた顔で私を見た後、すべてを悟ったのか遠い目で私を見つめる。

「沙耶…いえ…さすがはトレジャーハントウィッチィといった方がいいのかしら…すべて気付いていたのね……」
「ええ、そうよ。そのバッグをこちらに渡しなさい。妙な真似をすれば即座に胸を打ち抜くわよ」
「でも、ここは治外法権よ? 撃った瞬間、あなたは国際犯罪者になりステイツの軍法会議にかけられ、
 あなた自身の身分も国際的な日本の地位も地に落ちることになるわ」

 カオリは堂々と「それ」が入ったバッグをぶらぶらとさせ余裕の表情をみせる。 

「バカなことを言わないで。日本の領空のどこに治外法権が…」

 そう言った時だった。

250:2
09/09/23 21:44:36 dTVprPxI0

ーーーゴォォォーーーーン

 戦闘機の音? あれはF22!
 そんなことって…!!

「まさか……!」
「その通り。ここは在日米軍基地の上よ」

 なんでなのよ…! あれほど米軍内のテリトリーには入るなと上に直訴したのに…!

「残念だったな。沙耶」

 後ろから聞き覚えのある深みのある低い声がした。

「あなたは…!?」
「そうだ。俺だよ」

 振り返ると、私がよく知っているあの人だった。

「もしかしてあなたが…!!」
「明察どおり、お前の推測は当たっている」
「信じられない…あなたが裏切るなんて…」
「その前にカオリを放してやってくれないかな」

 どうする? 考えるのよ!
 でも、これをどう考えればいい?
 この人が裏切り者だとするとこの機内にも仲間が乗っていると考えていい。
 いったい、どうすれば?
 考えるのよ! まだ詰んではいない!
 諦める訳にはいかない! 最後の最後まで…!!

251:3
09/09/23 21:46:51 dTVprPxI0

「おねーちゃんっ!!」

 何か聞こえる…

「おねーちゃんっ!! 起きてってっば!!」

 うるさいわね……私はもっと夢の続きを見たいの。

「新学期早々、遅刻する気!? ねぇ! 起きてってば!」

 この後、沙耶はどんな行動を取るのだろうか?
 私なら絶対に任務を完遂する為に最後の情報は渡さない。
 しかし、あの状況でどうすればいいのだろうか?
 私なら……

「この…!!! 起っきろーーーーーーーーーーーー!!!」


ーーーどおぉん!!!

252:4
09/09/23 21:50:00 dTVprPxI0

 眠い。特に日曜明けは。
 目をこすりながら目の前の目玉焼きをつつく。
 葉留佳は一体どんな起こし方をしたんだろう?
 なんだか、やけにお腹が痛む。

「おねーちゃん、はい、塩コショウでしょ?」
「ん、ありがとう」

 葉留佳に取ってもらった塩コショウを目玉焼きにかける。あ、かけすぎた。

「リボンほどけてるよ」
「ん、ありがとう」

 葉留佳に指摘されたリボンを結びなおす。うっ、締めすぎた。

「あ! UFOだ!」
「ん、ありがとう」

 そう言って目玉焼きを口に入れる。葉留佳がが作ってくれる料理はなんでもおいしい。ちょっと辛いけど。

「だめだこりゃ…」

 葉留佳の呆れた声が聞こえた。

253:5
09/09/23 21:51:31 dTVprPxI0

 いつもは寮生活のため葉留佳が起こしてくれることは滅多にないが、
 月曜日の朝は毎回、葉留佳が私を起こすと決まっている。
 なぜなら日曜日には一緒に葉留佳の家に帰るため、気が抜けて一週間の疲れを癒すことができるからだ。
 気を抜いて葉留佳との時間を持つとリラックスしすぎて夜中まで自由にできるため、夜更かしして朝が起きにくくなるのだ。
 窮屈な二木の家と学校の寮も行き来している身としては葉留佳の家は格段に落ち着く。
 今日の夢も葉留佳の勧めでスクールレボリューションという漫画を読破してしまったからだろう。

「いってらっしゃい。二人とも」

 母さんの優しい笑顔に私たち二人もいつものように答える。

「「いってきます!」」

 私たちの最後の学園生活が始まる。

254:名無しさんだよもん
09/09/23 21:53:59 fDqoGuxf0
支援

255:6
09/09/23 21:55:16 dTVprPxI0

 学校につき、葉留佳とも別れ、いつもの寮の部屋に授業の用意を取りに行く。

「あ、佳奈多さん、おはようございます」
「ええ、おはよう、クドリャフカ」
「今日から、いよいよ最上級生ですね」
「ふふ。クドリャフカは新入生と間違われそうだけどね」
「絶対にそんなことはないですっ!!」
「じゃあ、リボン着けないで今日一日いてみなさいよ」
「ええ、いいですよ。今までの私とは違うことを見せてあげるのです!」

 軽くクドリャフカをからかうつもりがムキになって本気になっていた。
 ちょっと、やりすぎたかも知れない…
 このまま行くと絶対、今日の入学式後のクラブ活動の勧誘で一年の子に新入生と間違われるに違いない。
 確かにクドリャフカは成長してると思う。身長も7cmも伸びて出るところも出てきた。
 でも、それは中学二年生が三年生になったようなもので、元の幼さは変わってないため結果は用意に想像できる。
 新学期早々凹ませるわけにもいかない。
 これでもクドリャフカのことはよく考えているのだ。

「冗談よ、冗談。本気にしないで」
「いいえ、私も女です。もう、子供じゃない事を証明してみせます」
「大丈夫よ。もう証明してるじゃない。あなたの成長は…」
「いいえ。論より証拠です。最上級生としての威厳というものを見せてみせます!」

 ああ…誰かクドリャフカを止めてあげて…

256:7
09/09/23 22:32:15 dTVprPxI0

 私は風紀委員を引退しどこにも属さなくなった。あーちゃん先輩の「寮長になりなさいよ」の誘いも断った。
 少しでも自由が欲しかったからだ。二木と三枝のしきたりは相変わらず続いている。
 それでも母さんと父さんたちが本家に圧力をかけてくれるおかげで、私の生活も随分楽になった。
 週に一度、葉留佳の家に泊まることを許された時は涙が出そうだった。二木の叔父たちも私に手を上げることがなくなった。
 本当なら完全に解放されたいけど現実はシビアだ。日常はそう簡単には変わってくれないし変えられない。

 でも、これから先の未来を考えたら、私自身が学生生活を本当に楽しめるチャンスはこの三年生の時期にあると思う。

 そう思っていた。そして期待していた。私が大きく変われるチャンスでもあると。

 しかし、この予感のさらに斜め上に行く学園生活が待ち受けているなど私がわかるはずもなかった。


「おねーちゃん!」

 その声の方向を振り向くと、クラス替えの発表が書かれた紙が張り出されている場所から、私の方に走ってくる葉留佳だった。

「やったよ! おねーちゃん! なんと、また一緒のクラス!」

 葉留佳のその言葉に、私は期待通りの楽しい学園生活が送れる気がした。

「そう。よかったわね」
「あとね。姉御と理樹君と鈴ちゃんと真人くんとクド公も一緒だよ」
「へえ。来ヶ谷さんとクドリャフカもなの」
「残念ながら謙吾くんとみおちんとこまりんは別のクラスだけど…」
「そう」

 微妙な人選だと思ったが。まるで私の為に選んでくれたように見えた。
 正直、棗さんたちは苦手だったが、風紀委員でない以上どうってことない。

257:8
09/09/23 22:59:07 dTVprPxI0

 教室に入る。前のクラスの人たちがチラホラ見える。うん。どうってことない。
 へえ。笹瀬川さんもいるのね。なんだか個性的なクラスね。
 棗さんと騒ぎが起こっても注意しなくていいわけだから楽だわ。

 そんな心の思いもホームルームで空しくみんなに裏切られるのだった。

「ではクラス委員は誰にしますか? 立候補でも推薦でも構いません」

 その先生の一言が原因で。

「二木さんがいいと思います」
「俺も」
「私もそう思います」
「僕も同じ意見です」
「横に同じく」
「っていうか、二木以外いないだろ?」
「ま、おねーちゃんが妥当ですネ」
「以下同文」

 うう…誰か私の自由を返して…私は少しでも自由が欲しいのよ…
 こういうのには慣れっこだけど、正直言って、なるべく生徒会関係の仕事はしたくない… 


258:名無しさんだよもん
09/09/23 23:15:59 3RIQB9AJ0
にょめれっちょ支援

259:9
09/09/23 23:26:02 dTVprPxI0
>支援サンクス

 さらに美化委員や図書委員など複数委員を兼業させられるのだった。
 いえ、兼業するしかなかったというべきか…

 最初に個性的なクラスと言ったが取消させてもらうわ。
 自分勝手なわがままクラスなだけ。
 みんな、委員や係の押し付け合いで、終いには喧嘩にまで発展しそうになる始末。

「図書委員は頭の悪い井ノ原真人がやるべきだと思います」
「あ、鈴、てめーずりーぞ。お前がやればいいだろが」
「いやだ」
「俺もおんなしなんだよ! フッ…筋肉委員ならやってもいいけどな」
「死ね、ばーか」
「んだと! てめー!」

 棗さんと井ノ原真人のやりとりに思わずこめかみを指で押さえる。

「いい加減になさって! 迷惑ですわよ!」
「じゃあ、ささ子。お前がやれ」
「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・みですわ! わたくしはソフトのキャプテンで忙しいんですのよ」

 頭が痛くなってきた。昨日、あまり寝ていないせいだろうか。

「あの…先生…」

 私は思わず先生に決まるまで代りにやると言ってしまった。どこまで良い子ちゃんぶってるんだろう私は…
 おかげで気付けば数多くの「暫定」委員になってしまっていた。
 ああ、もう…今日は早く寮に帰って寝たい…



260:名無しさんだよもん
09/09/23 23:49:01 T7u8SO070
おk

261:10
09/09/23 23:59:46 dTVprPxI0

 あれから二週間。私は3‐Aの委員長兼、図書委員兼、美化(以下略)委員の業務をしながら日直も毎日こなしていた。
 なんだかクラスのみんなに嵌められた感があるが不思議と気にならない。それも日々が充実しているからだろう。
 なんだかんだ言って、みんな時々手伝ってくれたり気軽に話しかけてくれたりする。前のクラスではこんなことはなかった。

「やっぱり私が怖かったんだろうな…」

 誰もいない放課後の教室で花の水を換えながらポツリとつぶやく。
 3年になってから私は一度も他の生徒に高圧的な態度を取ったことがないし注意をしたこともない。
 むしろなるべく笑顔でいることを心がけている。少し演技がかってても。

「私自身も余裕がなかったのかしら…」

 きっとそうね。窓際の夕暮れの差す机に座り、頬杖をつき外の景色を見つめる。

「綺麗…」

 そう言えば、こんなにゆったりする時間はなかったな。
 景色が美しく見えることなんてなかった。何か、もやがかかっていた感じがする。
 改めて周りの景色を見渡す。

「帰ろ…」


262:名無しさんだよもん
09/09/24 00:49:43 MO2XWcBP0
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  │    /  ⌒  ⌒ ヽ:::::   トェェェイ   |  ⌒ \
  │    |::::.. ,,ノ(、_, )ヽ l:::::::::::._ ヽニソ,  ノノ(、_, )ヽ  l
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263:名無しさんだよもん
09/09/24 09:18:02 MO2XWcBP0
ここ数年一緒に仕事をしてるアメリカのコンサル屋から3人来日。
皆日本は慣れてるけど、これまではいつも移動は車だった。
※ 適当な日本語訳で書きます

( ゚Д゚) これから電車に乗ります。ラッシュアワーだけど8分だから我慢して
エッ!?かの有名なトーキョーのラッシュアワー!? 喜んで!!.+゜(・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )゜+.゜

やたらwktkする3人。ちなみに白人1、アフリカ系1、アジア系1、全員40から50代のオッサンだ。
しかし彼らを連れて電車に乗り込むと、3人ともきょろきょろしながら不満そうな顔に

そんな混んでないネー(・ω・` ) たいしたことないネー(・ω・` ) 噂で聞いてたのと違うヨー(・ω・` )
( ゚Д゚) ……実は私たちが乗ったのは東京のシティーから離れていく電車なんだよ。この意味がわかるかい?
? (・ω・` ) ? (・ω・` ) ?(・ω・` )
( ゚Д゚) ほら、逆向きの電車を見てごらん
フオオォォォォオオウ!!!!ΣΣ(゚Д゚;) ΣΣ(゚Д゚;) ΣΣ(゚Д゚;)

彼らの視界に入ったのは、まさにラッシュアワーの東京駅行き快速電車。

( ゚Д゚) ニホンではああいう状態を“スシ詰め”と言う。毎朝のことだよ。
あ、あれがスシ!?じゃなくてあれが毎朝!?((((゚д゚lll) (゚д゚lll) (゚д゚lll)))ガクガクブルブル
( ゚∀゚) やっぱり乗ってみたい? 仕方ないな、少しなら時間があるから1駅くらいなら……
Nooooooooooooooooooo!!!!!! ((((゚Д゚;) (゚Д゚;) (゚Д゚;))))

電車からおりた後、ワーオワーオ言いながらその満員電車をバックに記念撮影
こっちは迷惑じゃないかとはらはらぺこぺこしていたが、
普通の日本人客や駅員さんたちは半笑いで見守っててくれたよ。


264:名無しさんだよもん
09/09/24 09:18:25 MO2XWcBP0
さてその夜
何ヶ所か移動して(車で)、ホテルへの帰りはまたちょっとだけ電車に乗ることに

( ゚Д゚) ガイズ、これから電車の乗り換えをします。
はーい (・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )

( ゚Д゚) 新宿駅は大きくて人でいっぱいです。はぐれたら永久に駅の中でさまようことになるよ
ちゃんとついてくよ!OK! (・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )

いつもどおり京王線とJRの乗り換えは人が多い
といってもいちばん混む時間は過ぎてたし、普通に降りて人ごみをぬって歩いていくと後ろから悲痛な叫びが…

オオオオゥ!ウェエエエエエイト!!!。゚(゚´Д`゚)゜プリーーーズ!!ウェエエエエエエイト!。゚(゚´Д`゚)゜。

もうまさにこんな感じ。振り向くと後ろに続いていたはずのうちの2人が人ごみにもまれ
あちらこちらにバラバラに流されている。慌てて救出し、全員で手をつないで歩いてく羽目に……

(♯゚Д゚) だから言っておいたでしょうが! まったく軟弱だな、このアメリカンどもは
カナがチビなせいで見失ったんだヨー(;´Д⊂)もう帰れないかと思ったヨー怖かったヨー(;´Д⊂)゜。

彼らはすっかりトーキョーの電車に恐れを為して、シリコンバレーに帰っていった
でも、次は車用意して待ってるからまた来てね、とメールしたら
またトーキョーの電車にチャレンジするよ!という返事が返ってきた
その言葉、忘れないぞ

265:名無しさんだよもん
09/09/24 16:06:36 JTXwjJgX0
261GJ。

262.263.264は理解不能だった。

266:Part1
09/09/24 16:45:36 3CR4P5Ew0
…いいよな…これで?

…鈴の気持ちは変わらない

…現実でも今の通り同じになるはずだ

…おまえたちは幸せになれる


  いい
ニア よくない


…何が不服だ


鈴と戻る世界、みんなのいない世界、失われた中で、遺された幸せに浸る世界

理樹「違う…」

僕はそんな現実の為に何度も"繰り返して"きたのではないはずだ

………

……



267:Part2
09/09/24 16:47:28 3CR4P5Ew0
理樹「……?」

何かが聞こえたような気がした

誰かの声だったような気がした

何か大切な事を忘れている…

きっとそれは僕が"繰り返す"世界の中で体験したこと

理樹「今のは…」

その瞬間、僕は何か懐かしい物を感じていた…

…決して忘れてはいけないもの、"無かった"ことになる世界で、僕が見つけたことが"あった"もの

それは…


ニア ドーナツの匂い
犬の鳴き声
オレンジの香り
ピアノの旋律
眩しい日差し
ミントの香り
黒猫の鳴き声
硝煙の匂い


268:Part3
09/09/24 16:48:29 3CR4P5Ew0
理樹「そうだ…あの子がいない」

どうして忘れていたのだろう

繰り返す世界の中で、何度となく出会い、別れ、そしてまた出会い

何度となく僕は彼女に恋をした

そう…このまま戻れば、彼女のこともまた、僕は失うことになる

理樹「助けなくちゃ…」


…無理だ

…救えない

…俺たちは見たことがある

…俺たちを救おうとすれば、お前はナルコレプシーの発作を起こす

…それでは誰も助からない

…おまえと鈴まで死んでしまう

…救われるのは、お前と鈴、二人だけだ


269:Part4(終)
09/09/24 16:50:11 3CR4P5Ew0
嫌だ…

そんなのは嫌だ…!

冷静になれ、こういう時こそよく考えるんだ

理樹「…可能性はある」

理樹「僕が、ナルコレプシーを克服すればいい」


…無理だ

…そうしたとしても、鈴が足手まといになる

…おまえひとりではどうにもならない


理樹「恭介…」

理樹「鈴は、もうそんな弱虫なんかじゃない」

理樹「僕は知ってる…鈴が手に入れた"強さ"を」

理樹「鈴…」

僕は呼びかける

理樹「鈴…皆を助けるんだ、力を貸してほしい」

理樹「鈴…僕らの"友達"を、リトルバスターズのメンバーを、助けるんだ!」

270:Part4で終われてねぇw
09/09/24 16:53:27 3CR4P5Ew0
ちりん…

鈴の音ひとつ

僕は波紋が広がるのを感じていた…






なんつーか今更のようにリトバスを一週間ほど前にクリアしたんだが、
俺は「物語の中ぐらい、ハッピーエンドが見たい」タイプなんで
鈴以外の色恋沙汰が全部無かった事になる現実にしか帰って来れないのが
全くどうにも納得できんかった
気づけば電波を受信していた。反省はしていない
カーソルは自分の嫁に合わせてやってほしい。スペース入れ忘れてズレたがw
はぁ自分語りとかマジきめぇ俺きめぇー

271:11
09/09/24 17:01:20 7sCZ0Spt0
プロット再考
1、何も起こらずEND(testテキストということで終わる>読者的に最悪だな)
2、何かを起こす(シナリオの練習である以上何か書ききること)
 3、空間に迷い込む(佐々美ルート的、何かを伝える)
 4、3、と同じく(沙耶を巻き込んだSFミステリー)
 5、ラブ(誰かを好きになる…べたか?相手も魅力的なのがいない。消去法で恭介とくっつけたかったが3年として書いてるので無茶か?空間に入ればあり)
 6、ダーク(このまま佳奈多が来ヶ谷ルート的空間にさ迷い続け悲しい罪にとらわれ永遠のせかいにいく)読者的にも自分的にも最悪か?
 7、百合(おねーさんがみてるの続き)一度書いてるからどうか。ストライクも取りにくい。
8、全部書いてスクリプト書いてPGして同人に出す。絵は色なしの漫画風。音楽はSONARで半分オリジナルとコードパクリ作曲で10曲。
っていうか、需要があるのか? それ、持ち込んでエロゲ業界就職でもめざすか?
工程も未知。どれだけ時間がかかるかわからない。佳奈多ルート(仮)分だけでもインスパイアしたストーリーをつくるか?
プロットはオリジナルだが描写を真似てる部分があるのでどうするか。つーか、これまでのSSって持ち込んでも評価受けられるのか?

テーマ、モチーフについて
何も考えずに書き始めただけに決めてないが、いいのかそれで?
テーマが決めかねてるがいいのだろうか?創作板で質問してみること

二次創作について
佳奈多ルートと佐々美ルートはかろうじて覚えているが沙耶ルートは少ししか覚えていないため
一時創作になる可能性あり。リトバスのSS的に受けるのか?

とりあえず、2と3の方向で行く。5も残す。8は終わってから考える。
DMNL?他、吉里吉里を一度自分のSSで使ってみる。絵は今持ってる漫画をモデリングする。
オリジナルのストーリーに手を加える。しんどくなるので、一つづつ順番にすること。

 6月21日。

 雨が降っていた。丁度、今の生活にも慣れてきた頃だった。
 最終学年のほとんどが真剣に自分の進路を考えている時期。
 この学校は進学校だが就職を希望する人もいる。
 当然、そんな雰囲気でセンチメンタルになる人もいる。
 かくいう私もそうだ。いつまでも三枝と二木の事は死ぬまで付いて回る。

272:名無しさんだよもん
09/09/24 17:04:28 7sCZ0Spt0
ぎゃああああああああああああああああああ!!!

>>271の前半なし!!!です!!!
見ないで!!見ちゃ駄目!!!

うわーーー、恥さらしじゃん、これ。orz

273:11
09/09/24 17:06:22 7sCZ0Spt0

6月21日。

 雨が降っていた。丁度、今の生活にも慣れてきた頃だった。
 最終学年のほとんどが真剣に自分の進路を考えている時期。
 この学校は進学校だが就職を希望する人もいる。
 当然、そんな雰囲気でセンチメンタルになる人もいる。
 かくいう私もそうだ。いつまでも三枝と二木の事は死ぬまで付いて回る。
 これらから自由になる選択肢はいくつかあるが、
 現実に実行してできる事は一つもない。

「はぁ…」

 思わずため息をついて、いつもの教室に踏み込んだ瞬間だった。


ーーーキィィィィーーーーンーーーー


「きゃあっ!!」

 大きな耳鳴りがして思わず声をあげ廊下に飛び退いた。

「……何、今の…?」

 頭を少し振って意識を正常に戻そうとする。
 辺りを見回すと廊下や教室はいつもの雰囲気に戻っていた。


274:名無しさんだよもん
09/09/24 17:07:48 3CR4P5Ew0
>>272
過疎スレでリアルタイムに出会ってしまうとはな・・・w
見なかったことにしよう、おっけー。
見られなかったことにしよう、おっけー?

275:名無しさんだよもん
09/09/24 17:11:29 JTXwjJgX0
支援早々

276:12
09/09/24 17:15:29 7sCZ0Spt0

 改めて教室に入る。右足からそっと…

 …よかった。今度は奇妙な耳鳴りはなかった。

 しかし、自分の席につこうとした瞬間、周囲にざわっとした空気が流れる。
 みんなの視線が私に集中する。

 よく見ると周りの生徒が違う…!!
 なぜなら、よく知る生徒が前の上級生たちだったからだ。
 クラスを間違えた? でも、なんで卒業生が?

 …なんとか思考を正常に戻そうとする。

 落ち着いて…! なぜここに卒業生がいるの?
 いつもどおり、いつものクラスに入ったはず。
 自分の制服を見ても上級生のリボンをしている。
 手荷物の勉強道具も最上級生のもの。現国、数3、物理、世界史…
 一つづつ確かめる。

 今日、同窓会でもあるの?
 でも、授業をする為のクラスでするはずがない。
 目をつむって考える。

 じゃあ…

 夢?

 お約束にほっぺたをつねってみる。

「痛っ…」

277:名無しさんだよもん
09/09/24 17:29:15 7sCZ0Spt0
>>270
>>274
そうだね。過疎スレだしオッケーってことにしよう。
Keyスレが過疎ってて本当によかった。
よく考えれば、創作系の板では日常茶飯事の文章だから、気にすることないな。
と自分に言い聞かせてみるtest
SS界自体、マイナーだし。だから、もう一歩先の事をしてみたいわけなんだけど…

私もどちらかと言えばハッピーエンドです。
Key自体、智代アフターでだーまえが批判承知でtestして試してるわけですし。
そんな…自分語りキモいとか言ったら、自意識過剰な俺の方がキモいです。
気になるけど気にせず逝こうよorz

278:13
09/09/24 18:35:03 7sCZ0Spt0

 …夢じゃない?
 待って。痛みだけなんて、そんなのわからないじゃない。

「かなちゃん。どうしたのこんなところで」

 懐かしい声に振り向くと、あーちゃん先輩だった。
 先輩は地元の音大に行ったはずじゃ…
 その先輩が制服を着てるということは…

 夢だ。夢しかない。そうよ、現実感のある夢だわ。

「あーちゃん先輩」
「なぁに?」

 あーちゃん先輩を見つめる。何かおかしいはずなのだ。でも、違和感が何もない。
 おかしいのにおかしくない。どうして?
 去年のあーちゃん先輩のままに見える。しかしありえるはずがないのだ。

「あの…卒業の時、ショパンの幻想即興曲を弾いてくれたじゃないですか。
 ショパンコンクールも記念参加するって言ってたのはどうなったんですか?」
「あはは、何言ってんのよ、もう。幻想即興曲はまだ弾けないわよ。
 この間、スローテンポで弾いてあげたじゃない。まだあれが限界。ショパコンなんてとてもても。
 中学校の卒業時なんて小犬のワルツを完璧に仕上げるので精いっぱいよ」

 とても冗談で言っているとは思えない。そんな…タイムスリップでもしたというの?
 馬鹿らしい。でも、周りの雰囲気は今のクラスと明らかに違う…夢と思っていても、あまりにも冗談が過ぎてる。

「ほら、あなたも自分のクラスに戻りなさい」
「え?」

 あーちゃん先輩の声にはっとする。

279:14
09/09/24 19:11:38 7sCZ0Spt0

「でも、私のクラスは…」

 ここなんです…とは続かなかった。

「ほら、行った。行った」

 先輩の手振りで教室を後にする。
 なんなの? これって。どういうこと?
 そんなバカなことがあるはずがない!

 もう少し整理したかった。

(だって、これは現実だもの)

 認めたくないけど、周りの空気や質感を、私の体のすべての感覚が疑問に答えていた。

(じゃあ、今の私はどうなるの? 私がもう一人いるはず!)

「くっ…」

 その重大な問題に混乱する感情を押さえる。
 頭がおかしくなりそう。いえ、もう、なってしまったの?

 足元がふらつく…頭が熱い…クラクラする…
 自分の部屋に戻って考えたかった。
 寮の部屋は代ってないので大丈夫なはず…
 でも、もう一人の自分にあったら…

 だめ…もう、何もかんがえたくない… 

 教室のドアに手をかけ、ゆっくりと開けた。

280:15
09/09/24 20:26:12 7sCZ0Spt0

ーーードン!

「きゃあっ!!」

 教室に凄いスピードで入ってきた目の前の男子生徒と衝突する!
 後ろに倒れそうになると同時に、
 体を掴まれ倒れこまずに済む。

 でも、もう精神的に限界だった。
 意識を失う前に見た男子生徒はよく知っている人だったから。

 ……棗先輩……


281:名無しさんだよもん
09/09/24 21:08:07 MO2XWcBP0
ここ数年一緒に仕事をしてるアメリカのコンサル屋から3人来日。
皆日本は慣れてるけど、これまではいつも移動は車だった。
※ 適当な日本語訳で書きます

( ゚Д゚) これから電車に乗ります。ラッシュアワーだけど8分だから我慢して
エッ!?かの有名なトーキョーのラッシュアワー!? 喜んで!!.+゜(・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )゜+.゜

やたらwktkする3人。ちなみに白人1、アフリカ系1、アジア系1、全員40から50代のオッサンだ。
しかし彼らを連れて電車に乗り込むと、3人ともきょろきょろしながら不満そうな顔に

そんな混んでないネー(・ω・` ) たいしたことないネー(・ω・` ) 噂で聞いてたのと違うヨー(・ω・` )
( ゚Д゚) ……実は私たちが乗ったのは東京のシティーから離れていく電車なんだよ。この意味がわかるかい?
? (・ω・` ) ? (・ω・` ) ?(・ω・` )
( ゚Д゚) ほら、逆向きの電車を見てごらん
フオオォォォォオオウ!!!!ΣΣ(゚Д゚;) ΣΣ(゚Д゚;) ΣΣ(゚Д゚;)

彼らの視界に入ったのは、まさにラッシュアワーの東京駅行き快速電車。

( ゚Д゚) ニホンではああいう状態を“スシ詰め”と言う。毎朝のことだよ。
あ、あれがスシ!?じゃなくてあれが毎朝!?((((゚д゚lll) (゚д゚lll) (゚д゚lll)))ガクガクブルブル
( ゚∀゚) やっぱり乗ってみたい? 仕方ないな、少しなら時間があるから1駅くらいなら……
Nooooooooooooooooooo!!!!!! ((((゚Д゚;) (゚Д゚;) (゚Д゚;))))

電車からおりた後、ワーオワーオ言いながらその満員電車をバックに記念撮影
こっちは迷惑じゃないかとはらはらぺこぺこしていたが、
普通の日本人客や駅員さんたちは半笑いで見守っててくれたよ。


282:名無しさんだよもん
09/09/24 21:08:28 MO2XWcBP0
さてその夜
何ヶ所か移動して(車で)、ホテルへの帰りはまたちょっとだけ電車に乗ることに

( ゚Д゚) ガイズ、これから電車の乗り換えをします。
はーい (・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )

( ゚Д゚) 新宿駅は大きくて人でいっぱいです。はぐれたら永久に駅の中でさまようことになるよ
ちゃんとついてくよ!OK! (・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )

いつもどおり京王線とJRの乗り換えは人が多い
といってもいちばん混む時間は過ぎてたし、普通に降りて人ごみをぬって歩いていくと後ろから悲痛な叫びが…

オオオオゥ!ウェエエエエエイト!!!。゚(゚´Д`゚)゜プリーーーズ!!ウェエエエエエエイト!。゚(゚´Д`゚)゜。

もうまさにこんな感じ。振り向くと後ろに続いていたはずのうちの2人が人ごみにもまれ
あちらこちらにバラバラに流されている。慌てて救出し、全員で手をつないで歩いてく羽目に……

(♯゚Д゚) だから言っておいたでしょうが! まったく軟弱だな、このアメリカンどもは
カナがチビなせいで見失ったんだヨー(;´Д⊂)もう帰れないかと思ったヨー怖かったヨー(;´Д⊂)゜。

彼らはすっかりトーキョーの電車に恐れを為して、シリコンバレーに帰っていった
でも、次は車用意して待ってるからまた来てね、とメールしたら
またトーキョーの電車にチャレンジするよ!という返事が返ってきた
その言葉、忘れないぞ


283:名無しさんだよもん
09/09/24 21:11:43 MO2XWcBP0
崖から転落し,鈴と理樹は潰れたバスの間の少しの隙間に入っており,なんとか脱出出来た
理樹は奇跡的にも打ち身だけで済んだが,鈴は右足に大きなけがをしていた.
「鈴,危ないからここで休んでて.僕は恭介達を助けてくる」
しかし命に別状はないと考え,次に鈴を座らせておいてバスの中から他のメンバーを救出しようと中を覗き込んだとき,理樹はさっきまで楽しく騒いでいた仲間達の無惨な姿を眼にした
能美クドリャフカの頭は潰れ,なんとかクドと判断出来た材料の亜麻色の髪をただ紅く染めていた
西園美魚の胴体は,皮肉にも彼女の好きな本達を入れるための大型の旅行ケースと床の間に挟まれ,下半身と上半身が違う方向を向いたまま,その眼は虚ろに虚空を眺めていた
バスの中はそれがバスなのか既に廃棄されたスクラップなのかもわからない状態で,また,声を上げる者は居なかった
理樹達が助かった空間と反対側にあったもう一ヶ所の空間に三枝葉留佳が無傷で横たわっているように見えたが,彼女の腹には折れた鉄パイプが貫通していた
空間の傾斜の先には,血貯まりができていた
真人と謙吾は,落ちてゆくバスの中で何かを守ろうとしたのか,潰れ行く車体を筋肉で押し戻そうとしたのか,二人とも手が血まみれで,頭を打って気を失ったまままた挟まれたようだった
真人の右手右足と,謙吾の左足は,座席の詰めたい骨格の向こう側に曲がってはいけない方向に曲がり,一部の骨が皮膚から突きだしていた
謙吾の脇腹を抉った棚の残骸の下には,謙吾の腹の中にあるはずのものがこぼれていた
「…………!!!!!!!」
理樹はその人間の中に入っているものだということが信じられないような臭気と光景の中,これは鈴に悟らせるわけにはいけないと考え,まだ見つけていない恭介を探すため,一度車体から出た
その際に近くの樹に座り込んでいた鈴に聞かれた
「理樹…みんなは、だいじょうぶなのか…?」
理樹は本当のことを答えられなかった
本当のことを答えたら鈴は壊れてしまうかも知れない
そう思ったから.
「みんな気を失ってるけど,大丈夫だとおもう.」
こう答えた.
すぐにばれてしまう嘘を今は鈴のショックを和らげるために吐いた

284:0/0
09/09/24 21:24:36 JTXwjJgX0
花壇の脇に咲いているノアザミの色は褪せ、季節は移り変わろうとしていた。
「あ、挨拶は時の氏神。い、石の上にも三年。う、有為転変は世の習い」
「―『え、得がたきは時、会いがたきは友』でいい?」

廊下を散策していた杉並に声をかけてきたのは理樹

「あっと、急に割り込まないでください。私としては……そうですね、
『枝を矯めて花を散らす』がいいと思っていたんですよ」
「そう、それじゃあ悪かったかな」
変わった子だと思いながら、理樹は廊下を過ぎ去っていった。

285:名無しさんだよもん
09/09/24 21:54:02 7sCZ0Spt0
>>284 GJ! ある意味、マニアックすぎてちょっと面白かった。
そういうの書かれると、その先を書きたくなっちゃう。


286:名無しさんだよもん
09/09/24 22:01:37 JTXwjJgX0
逆に邪魔しちゃったんじゃないかと思ってひやひやでした。
そう言ってくれてありがとう。>>285

287:0/z to 285
09/09/24 23:02:23 7sCZ0Spt0
「る・類は友を呼ぶ。れ・例も過ぎれば無礼。ろ・論より証拠」

 夕風の中透き通る声で詠い続ける杉並

「―『老少不定』のほうがいいんじゃない?」

 丁度草野球の練習から戻ってきた理樹の声

「いいんです。わ・災い転じて福となす」
「違うよ」
「え? 立派な『ことわざ』じゃない?」
「いや、そうじゃないんだ。『笑う門には福来る』の方がいいよ」

 初めて理樹の意見に考え込む杉並
 
「…その方が…いいかも…」
「でしょ? 杉並さん的にもその方がいいよ」

 反射した夕陽のガラスの中に笑いあう二人

「うふふ、こんなことで笑ってるのって私たちくらいじゃないかな」
「はは。だよね」
「私も直枝君みたいな…あ…! なんでもない」

 そこで西日の方を向いて何かを見つけ止まる杉並

「じゃあね、直枝君。私、用があるから」
「うん。また、一緒にしようよ杉並さん」

 そのあと理樹に駆け寄る彼の仲間たち
 それを遠くから優しい目で見つめる杉並
 新月の暗がりがお互いを照らしていた

288:名無しさんだよもん
09/09/24 23:17:36 7sCZ0Spt0
>>286
to 286だったorz

面白かったので、続き書かせてもらいました。失礼しました

289:名無しさんだよもん
09/09/25 13:32:04 tc3MRaZk0
自分はこんなものを考えてた。でしゃばり過ぎかもしれないけど
一応さらしておく。288へ

290:0/0
09/09/25 13:32:26 tc3MRaZk0

「う、うまうー。え、えりも岬」
ところ替わってこちらは間借りしている野球部の隣部屋。
「お、オクトパス星人」
「おいおい、慣用句にもなってないじゃないか」
「カンヨウク? 缶詰のヨウカンのことか」
恭介は真人の一言に呆れ顔をしながら述べた。
「二語以上の単語を用いた特定の意味ある言葉のことだ」
「ああ……あれな」
わかったといいながら、鈴は部屋から過ぎ去っていった。

291:名無しさんだよもん
09/09/25 19:16:46 +yy7ouLt0
崖から転落し,鈴と理樹は潰れたバスの間の少しの隙間に入っており,なんとか脱出出来た
理樹は奇跡的にも打ち身だけで済んだが,鈴は右足に大きなけがをしていた.
「鈴,危ないからここで休んでて.僕は恭介達を助けてくる」
しかし命に別状はないと考え,次に鈴を座らせておいてバスの中から他のメンバーを救出しようと中を覗き込んだとき,理樹はさっきまで楽しく騒いでいた仲間達の無惨な姿を眼にした
能美クドリャフカの頭は潰れ,なんとかクドと判断出来た材料の亜麻色の髪をただ紅く染めていた
西園美魚の胴体は,皮肉にも彼女の好きな本達を入れるための大型の旅行ケースと床の間に挟まれ,下半身と上半身が違う方向を向いたまま,その眼は虚ろに虚空を眺めていた
バスの中はそれがバスなのか既に廃棄されたスクラップなのかもわからない状態で,また,声を上げる者は居なかった
理樹達が助かった空間と反対側にあったもう一ヶ所の空間に三枝葉留佳が無傷で横たわっているように見えたが,彼女の腹には折れた鉄パイプが貫通していた
空間の傾斜の先には,血貯まりができていた
真人と謙吾は,落ちてゆくバスの中で何かを守ろうとしたのか,潰れ行く車体を筋肉で押し戻そうとしたのか,二人とも手が血まみれで,頭を打って気を失ったまままた挟まれたようだった
真人の右手右足と,謙吾の左足は,座席の詰めたい骨格の向こう側に曲がってはいけない方向に曲がり,一部の骨が皮膚から突きだしていた
謙吾の脇腹を抉った棚の残骸の下には,謙吾の腹の中にあるはずのものがこぼれていた
「…………!!!!!!!」
理樹はその人間の中に入っているものだということが信じられないような臭気と光景の中,これは鈴に悟らせるわけにはいけないと考え,まだ見つけていない恭介を探すため,一度車体から出た
その際に近くの樹に座り込んでいた鈴に聞かれた
「理樹…みんなは、だいじょうぶなのか…?」
理樹は本当のことを答えられなかった
本当のことを答えたら鈴は壊れてしまうかも知れない
そう思ったから.
「みんな気を失ってるけど,大丈夫だとおもう.」
こう答えた.
すぐにばれてしまう嘘を今は鈴のショックを和らげるために吐いた

292:ある昼 1/5
09/09/29 22:07:02 l32u7krm0


カタカタカタ……パチ

ディスプレイをじっとにらみつけながら指を動かしている理樹。

カタカタ……カタ。

入力を終えたのか、指をぐっと握り、ぱきっと鳴らした。
校内のどこにでもある背もたれの浅い硬い椅子に背をあずけ、
うんと背伸びをすると、鬱屈として縮こまっていた気持ちを解放した。

293:ある昼 2/5
09/09/29 22:07:40 l32u7krm0

「ちょっと……間に合わなかったのよ。でも理樹くんに頼んでよかったわ」

表計算ソフトで作った、今年度のとある部活のバランスシート
らしきものを寮長へと渡したとき、その一言を受けて、仕事を
終えた気になっていた理樹は少し動揺した。

「大丈夫ですか、ってそういえば納期を聞いていませんでしたね」

「ええ、でも何とかなりそうだから気にしないで。修正が必要なところが
 なさそうだから助かる。うん、大丈夫よ」

寮長は用紙に視線を移したまま返事をした。
最後に「やっぱり直枝くんに頼んでみてよかったわ」と付け加えてさっそう
と去っていった。


294:ある昼 3/5
09/09/29 22:08:15 l32u7krm0

と、そんな理樹のもとに現れたのは恭介。

「どうしたんだ理樹。……もしかして言われてしまったか?」

「なにをさ」

「いつものことだ。ほら、夜中に出回ったりしていることだとか」

「いや、それはお咎めなしだったよ。ただ少し経理の手伝いをしただけ」

たまたまお昼の時間だったということもあり、二人はそのままの足で
食堂へと向かった。


295:ある昼 4/5
09/09/29 22:08:41 l32u7krm0




食堂へと行くとうねるような人の波。出足が遅かったせいか、いつもの席
も埋まってしまっていたので彼らは仕方なく隅のほうへと腰をかけた。
遠くから神北小毬とクドリャフカが手を振るっている。
その近くに大きな体をした真人と謙吾の姿を目にすることができる。
理樹は相手に見えるように軽く手を振るってみせ、券売機に並び、
カレーと牛丼を購入しておばちゃんからトレーを受け取った。



296:ある昼 5/5
09/09/29 22:09:06 l32u7krm0
「恭介に聞きたいことがあるんだけど」
着席して早々切り出したのは理樹だった。
「なんだ?」
「せん妄ってどういう意味?」
「意識障害の一種だろ。俺に聞いたところで詳しくは答えられない。
 可逆的なものだとは思うが……要はぼーっとしてしまったりするんじゃないか」
「その程度?」
「さあな」
恭介はそれだけ言うと、スプーンでひと掬いしてカレーに口をつけた。
「酷い場合は幻覚見ちゃったりする?」
福神漬けを掬おうとした手を止めて改めて答えた。
「……そういう症状だったか、せん妄って。何でまた興味を持っているんだ?
 …まさかお前……何か見えるとかないよな」
「まさか。あっ、渋谷には間坂っていう坂があるらしいけど」
「渋谷通りと公園通りの間にあるらしいな、行ったことはないが」
食器洗浄器の音が食堂の奥で流れている。
珍しく、二人だけで会話をしながらの昼だった。

297:名無しさんだよもん
09/10/01 03:49:12 tzC2eDAk0
このリトバスでなくてもいいような文章はいつまで続くんだろう…

298:リトバス外の妄想
09/10/31 21:05:24 z4Pdh4wc0
僕たちは仮相で、神々は実相だ。
手を握る彼女の温もりは影。自嘲を繰り返す僕も影。
僕らのいる場所は此岸。彼岸までには距離がある。
海はうすぼんやりと発光している。光源はここにしかない。
近づけば淀みにはまり、遠く彼方まで流されていく。
遠ざかれば光は無く、無限の闇の中をさまようことになる。

海岸線には雪がちらついていた。
ふたりは波につかまらないように海辺を歩く。
目的地は向こうにある。
向こうといっても海の向こうではなく、屋根のある場所。
夕べからずっと歩き続けているけど、家はなかった。
僕らは結構疲れていると思う。
彼女はただ微笑むだけで、答えてくれない。
「――あと少しだよ、きっと」 と、声をかけた僕に彼女は微笑みかけてくれた。


299:やきそば1/2
09/10/31 21:06:00 z4Pdh4wc0
家庭科室というか調理室というか、葉留佳さんがなにやら一生懸命に
料理をつくっている現場に立ち会っていた。
ここはガスレンジやオーブンがあるので当然のことながら、
普段は勝手に使ってはいけない部屋のひとつに指定されている。
「ねぇ葉留佳さん、今作ってるのって……やきそば?」
やきそばにはやきそば用の麺が必要だと思う。
葉留佳さんが使っているのは『そば』だ。
そばを茹でて、野菜と炒め合わせている。
「そうですヨ! どうぞ楽しみにお待ち下さいナ!」
僕は一抹の…どころか、ごわごわとした不安を受けている。
いやきっとまずくはない。
まずくはないと思うけど……それはやきそばの亜種だと思う。
ずばりいえばやきそばではない。
僕は手遅れになる前にと、ナルコレプシー用の錠剤を一錠手に取って
飲み干した。食前も食後も関係なく。

300:やきそば2/2
09/10/31 21:06:25 z4Pdh4wc0
葉留佳さんは左利きだからだろう。右手でフライパンをなんとか混ぜ返そう
としている。その姿がなんとなく可愛らしくてつい可笑しく思ってしまう。
「なんだかぎっちょだよ」
言われて傷ついただろうか、そんなことありませんヨと言い返したあと、
彼女は黙ってしまった。
僕はその沈黙を破りたくて葉留佳さんの隣から箸を差し出して、食べてみようよ
と提案をしていた。
僕と葉留佳さんは、取り皿もなしに、一緒に食べ始めた。
「うわぁ、これ水分よく切らなかったでしょ。べちゃべちゃだよ」
開口一番僕の口から出たのはやや辛らつな批評だった。
葉留佳さんはそれを聞くと少し身をちぢこませて、怒られてでもいるような仕草を
取った。それはまるで小さな女の子が怯えてでもいるような仕草だった。
「やっぱり……失敗しちゃったのかな」彼女が小声で言う。
僕はもともとの食材の選択に無理があることを伝えたい気持ちで一杯だったが、
思いのほか沈み込んでいる葉留佳さんを目の前にすると、なんとも一言がいいづらい
気持ちになっていた。でも、ここで何も声を掛けないなんて男じゃないと思ったから、
「あれっ、でも食べてみるとそんなに違和感ないかも。にんじんやキャベツだって
 いい感じでカットしてあるし」
どこか口先だけで答えているようで、自分ながら引っかかりを覚えていながらの返答
だったけど、葉留佳さんは微笑んでくれた。

301:名無しさんだよもん
09/11/03 00:12:11 mZGOHciY0
「和そば」って書いとかないと解りにくかんべ

302:名無しさんだよもん
09/11/14 23:51:07 sD3js5WH0
いろんな人がごっちゃに書いてるせいかすごくわかりにくい



303:名無しさんだよもん
09/12/07 15:22:19 3hmiPPv80
age

304:名無しさんだよもん
09/12/07 15:31:06 L+f7clumO
いい加減落とせよ
このクソスレ

305:名無しさんだよもん
09/12/07 16:00:47 ePHoot9r0
アゲチュウ

306:名無しさんだよもん
09/12/08 21:51:55 +fJuqrqo0
もうこの板が注目されることはないのかもな…リライトもエンジェルビートもでないし…
あ、でもコンシューマーでリトバスが出たんだっけな。でもこの板に来るかは疑問。

307:名無しさんだよもん
09/12/13 17:22:14 /U+8+oFp0
日常というものは壊れやすいものだということを鈴は知らなかった。
雨はいつか晴れて、ぬかるみだっていずれ乾くものだと思っていた。
「………」
渡り廊下からはずれた小さな空間で鈴は立ち尽くしてしまっていた。
予報では二日程度だった雨は、三日目の今も随分と強く地面を打っている。
吐く息は白い。鈴は寒さのためか悲しみのためか、肩を震わせている。
近寄ることも出来ず、少し離れた距離で俺はつぶやいていた。
「―どうしようも出来ない命だってある…さ」
この辺りにはないけれど電車を乗り継いだ先には保健所だってある。
この場で消えた子猫のぬくもりは母猫の育児放棄が原因だが、
どうにか出来たとは、俺は思わなかった。
あるいはもう少しだけ気付くのが早ければとは思うけれども、
この子猫は自然の摂理に従ったんだと自分を納得させるしかなかった。
処分されてしまった数多の犬猫に比べて、不幸せだったとは俺は思わない。
だから俺は頭の中で、分かりきったことのように命を処理してしまっていた。
「あたしは子猫が生まれたときのことを知っていたし4匹ともが健やかに
 育っていくものだと思ってた。恭介だったら想像出来る事態だったのか?
 1匹だけ置いてどこかへ行ってしまうなんて残酷だ。あたしは悔しい……」
いつもであればいるはずの猫たちが今は姿を見せない。
猫たちにお通夜があるとすれば、冥福を祈ってくれるだろうか。
鈴は降り続く雨の中で身じろぎもせずじっとしていた。

308:名無しさんだよもん
09/12/15 20:26:43 YyLSByYYO
>>306
ある程度の盛り上がりはあるだろうけど
エクスタシー発売時ほどでは無いだろうな

309:名無しさんだよもん
10/01/01 19:05:32 wCa/dw2R0
もう外暗いけどあけましておめでとう

310:名無しさんだよもん
10/01/02 09:12:49 P84t1ZKJ0
お?

311:お正月1/4
10/01/02 18:39:56 qfhHkWSz0

「お正月といえばサッカー駅伝ラグビーとスポーツ色満載なシーズンだ。
 そこでだ。オレたちも新年初キャッチボールときめこもうぜ。」
既に左手にはめこんだグローブをばしばしと叩き慣らしている真人は
「それ理樹!」と一声上げて、ふわっとボールを投げ渡した。
不意をつかれた理樹は「うゎっ」と小声を上げた。
狭い部屋の中でいきなりの硬球。理樹は取るというよりもかわしぎみにさばいた。
「いきなり投げてこないでよ」
「へへ、わりぃな」
理樹の背後へと転がったボールを握り締めてから真人は言った。
「まだ元旦の疲れが残ってるんじゃねぇか?」
「そりゃそうだよ、昨日は恭介に女装させられるわ、小毬さんはおとそをニ合近く飲んじゃうわ
 葉留佳さんは何か落ち込みだすわで、なんかもう大変だったじゃないか。来ヶ谷さんくらいだった
 よね、落ち着いてたっていうか、周りを見てくれてたのは。」
「そうだな、クド公もわたわたしてた感じだったしな。んで…西園だったっけか、小毬にお酌したのは」
「そうそう、隣に座っていながら途中まで気付かなかったのは僕の失敗だ。でもさ、鍋のなかに
 なんで弾丸が入ってたんだろうね…誰かが飲み込んじゃわないでほんと良かったよ」
「ああ、一瞬『これは闇鍋なのか』と思ったぜ。途中でパチャンって音がしたのは覚えてるんだけどよ。
 だれかがいたずらで入れたんじゃねぇの」
ルームメイトの真人と理樹はふたり一緒にわいわいと昨日の話を続けていたが、尽きない話を真人が
一区切りして言った。
「なぁ理樹。暖房もあまりきかねぇしさ、外で体動かそうぜ」

 いや、二人で校内を回ってみない?こんな日だし。
→うん、そうだね、行くだけでもいいし行ってみようか。
 
「それからさ、近くの神社にでも寄ってそれから帰ってこようよ」
「そりゃいいかもな」
こうしてふたりはグラウンドへと向かったのでした。


312:お正月2/4
10/01/02 18:40:30 qfhHkWSz0

「それっ」パシィ
「おっしっ」パシ
男ふたりのキャッチボール、無言で投げあっているがふたりとも肩の調子は悪くないらしい。
理樹のオーバースローから真人のグローブへ、真人のサイドスローから理樹のグローブへと
球が収まっていく。
「しっかし天気がいいな。少し寒いけどよ」
投げては返し投げては返ししているうち、少しだけ理樹の返球が反れた。
「いっっ」
真人がそれをとり損ね、後ろへとそらしてしまった。
すると……
「あら、あなたたち。誰の許可を得てこのグラウンドを使用していらっしゃいますの?」
ころころと転がったボールのその先にはソフトボール部のホープ、笹瀬川佐々美がおりました。
「あなた方ときたら―本当はこういう言い方は失礼に値しますけれど、年中練習を
 している訳でもない。たまに野球をしているのをお見受けしますけれどもとても本気
 とは思えない。まさにお遊戯ですわね。」
現れてさっそく憎まれ口を叩く佐々美。彼女は年明け早々に情熱を燃やしているようだった。
理樹は聞いているのかいないのかのテイで、新年の祝辞を述べた。
「笹瀬川さん、新年あけましておめでとう。今年もよろしくね」
真人は少し怒りをあらわにして言った。
「オレたちは今日は遊びにきてるんだよ。だから少しくらい勘弁してくれ。」
「じょーっだんじゃありませんわ!うちの部員にボールが当たりでもしたらどうしてくれますの!」
「キャッチボール中心でやるからよ。バット使ったとしてもそこまでかっ飛ばしたりしないから安心してくれねぇか。」
「信じられませんわ」
理樹と真人には、いつもの調子でいる運動場の高飛車ガールに打ち勝つ気力は無かった。なので、真人は
逡巡した末につぶやいた。
「しょうがねぇか、じゃあ少し早いけど行こうぜ」
「そうだね」

313:お正月3/4
10/01/02 18:40:57 qfhHkWSz0

はやばやグラウンドから駆り出されたふたりは一路神社へと向かうことへとした。
その途中、中庭で風紀委員長こと二木佳奈多と出くわした。
「あれ、二木さん。どうしたの正月なのに」
「別に何もしてないわ。ただあなたたちのような不審な人がいないかどうか校内を見て回っていただけよ」
「不審者?…オレたちがか?そうしたらお前だって不審者のうちに入ると思うぜ」
と、こういい返す真人に対して佳奈多は言った。
「なんとも言えないわね。あなたたちは私たちのことが分からない。
 私たちはあなたたちのことがわからない。でも私は缶けりやドロ警のことを忘れてないわ。
 あなたたちはもうブラックリストに登録されているのよ」
理樹は聞いているのかいないのかのテイで、新年の祝辞を述べた。
「二木さん、あけおめことよろ」
「え、ええ」
「あんまりそんな風に張り詰めてばかりだと眉間にしわが寄っちゃうよ。」
佳奈多のオデコにぱちりと触れた。と、同時に腕をからめ取られて理樹は投げられた。
「うわっ」びたりと背中を打つ理樹。
怒ったためか顔を赤くして佳奈多は「当たり前よっっ」と言い放つ。
「理樹、大丈夫かよ」
「ああ、うん、ちょっと背中痛い。投げられるとは思わなかった。」
「なんか運悪いな。きっと守護天使の運がついてないんじゃねぇか。」
「DQのやりすぎだよ真人」
佳奈多はふたりの掛け合いにあきれた様子で「はぁ」とため息をついて、そのまますたすたと
革靴を鳴らして立ち去ってしまった。
「僕たちため息つかれる程度の存在なんだよ、今」
「……まぁいいじゃねぇか。こっからだぜ。」
「何もないけどね。神社行くだけでしょ。」

314:お正月4/4
10/01/02 18:41:32 qfhHkWSz0

空は雲ひとつない晴天。学園から徒歩で7、8分。
商店街沿いの道を通って少し外れた道に分け入ると、ひっそりとした場所に
目的の稲荷神社はあった。
「………」
石段を一歩ずつのぼり、境内へと入る。
「……あれっ、あそこにいるのって」
理樹が見つけたのは恭介と鈴。
「おーい、おはよー」
鈴がいち早く気付く。
「なんだ理樹たちもきたのか、近いからか?」
「そうそう、それもあって来てみようって話になったんだ。」
恭介が続く。「神社っていうとここら辺りにはあまりないみたいだからな。
 それよりも理樹、昨日はお疲れだったな。」
「恭介よぉじゃないよ。ほんと昨日のはないよ。」
「はは、済まないな。でもみんな喜んでくれたみたいだぞ。」
恭介はいたずらをした少年のように笑った。
「おい理樹。謙吾のやつもいるみたいだぞ。それに西園もいるな」
「おお、理樹か。昨日も言ったが今年もよろしくな。」
「よろしく謙吾。」
「直枝さん、改めて新年あけましておめでとうございます。」
「あれっ着てきたんだ。すごい似合ってる。」
振袖姿の美魚に向かい飾り立てた言葉を述べる理樹。
「なんだかみんな 結構まめだね。この分だと後からまた誰かに会えるかもしれないね。」
活動範囲が狭いとはいえこうしてまたバスターズのメンバーに出会えたのはついていること
だろう。今年一年の先行きは誰にもわからない。だがみんなは寒空の下、それぞれに願い事をした。
「よい一年になりますように」


--------------------------------------------
駄文お付き合い下さいましてありがとうございます!


315:vsマッド鈴木 1/8
10/01/14 06:27:57 6wEITh2x0
ヤマのない凡作ですが連投
こんな時間ですし……


直枝理樹は廊下をすたすたと歩いていた。すると、科学部の鈴木がすれ違い
ざまに声をかけてきた。
「きみはエモーショナルに生きているか?」
「……間に合ってます」
理樹は実にあっさりと、新聞の勧誘を断るがごとく拒絶した。だが鈴木は食い下がる。
「ううーん今日はなんていい天気なんだ。きみもそう思わないか」
(「……どうしよう、ヘンなのに絡まれちゃった」)
「さぁ、今から2階の実験室へと急ごう。きみからもNYPが得られるかもしれないからな」
困惑している理樹をよそ目に鈴木は一人で盛り上がる。
そんな鈴木の様子を見て理樹は引き気味に答えた。
「もう一度言っておきますが、遠慮しておきます。そして僕の半径30m以内に近寄らないでください」
思えば、理樹はこのときに逃げてしまえばよかったのだ。なぜなら、鈴木の耳には何一つ届い
ていやしなかったからだ。
「よい検体が手に入った。よし、じゃあこれを」
かちり
金属音がひときわ高くなりひびいた。

316:vsマッド鈴木 2/8
10/01/14 06:29:14 6wEITh2x0

「ぇええっ!」
いつの間に捉えたのか、理樹の両腕はかぎ穴が設けられた黒い金具によって拘束されてしまっていた。
むちゃくちゃだった。
それも衆人環視のもとでの出来事だった。
当然理樹は周囲に誰か頼りになる人がいないか見渡してみる、が、運悪く誰一人として相手にはしてくれなかった。
もがこうともどうにもならない。
「うがぁああ、これ本当の手錠だ。外れないぃぃ!」
「そう、本物だ。そしてその鍵は僕が握っている。協力してくれるというのならすぐにでも外してあげよう」
「じょ、じょうだんでしょ!?」
「これが冗談にみえるのかい??」
鈴木の左手には対戦車ロケット発射器のようなニ尺三寸はあろうかという獲物がにぎられていた。
「っささ、すぐにでも行こう。TRYだ」
「わけわかんないーーっ!!だれかーー!!」
取り乱した理樹の声だけが一階の廊下に撃ち響いた。

317:vsマッド鈴木 3/8
10/01/14 06:32:22 6wEITh2x0

怪しげな実験室へと補導されて歩く理樹。逃げようと思えばいつでも逃げられるのだが、いかんせん両手の手錠は
どうにもならない。なのでここは大人しく従ってしまっていた。
ライトアップされる室内。フラスコやビーカーが陳列された棚や何も置かれていない無機質なテーブルが目を引く。
「やぁ、直枝…理樹くん。ようこそお出でなさった我らがサイエンスルームへ。紹介しよう。助手の木村君と山崎君だ」
科学部の二人は口々に自己紹介を終えると、なんだか得体の知れない昔のスーパー演算機のようなどでかい装置を
いじり始めた。理樹の不安はいっそう煽られていく。
「僕いやですよ。コンゴトモヨロシクとかなるのは」
「コンゴトモ……?いや、大丈夫。何の心配もいらないよ。君はそのままでいてくれればいい」
「鈴木さん、この数値はどうしておきましょうか」
鈴木は迷いなく答える。「highだ。最大限まで上昇させておいてくれ」
もはやこの部屋には暗雲がたちこめていた。
(「しまったなー、なんで自分の足でここまできてしまったのやら。もし無理やりに連れてこられたのならまだ助かりようが
 あっただろうにな……。ぐぁ、しくじったーー。ワンダーランドからやってきた青年とかが助けにきてくれないかなー…」)
理樹は既に、見るからに怪しげな装置の前で磔にされてぐったりとしている。
「じゃあ行くぞ。こっちの準備は充分だ。心の用意はいいかい?」
(「よかないよ」)
レバーが奥へと押し出されると何かとんでもないことが起こるのだろう。室長鈴木はありがちなレバーの上で両手を休めている。
「木村君と山崎君もよく見ておくんだ。おっと、放電には気をつけてくれたまえ」
(「電気流れるのっ」)
理樹のことはおかまいなしといった調子で作業は進められていく。
「それじゃあ、アディオス!!」
レバーが手前から奥へと強く押し出された。すると同時に部屋中に静電気が充満していたかのように一瞬バババババッと
光が走った。一同は目も開けられない。すぐに収まるかにみえた光は鈴木たちが思ったよりも長く、十秒ほどは照りつづけていた。

318:vsマッド鈴木 4/8
10/01/14 06:34:52 6wEITh2x0
「これは……NYP?? いや、違う新しい力だ。しかしなんだかよく分からない。ふーむ、同じくなんだかよく分からないパワーだ!!
 っと、直枝君?おい、しっかりしろ!これはまずいな。よし、保健室へと連れて行こう。木村、山崎急ぐんだ」



西日が差してでもいるのだろうか。とても、眩しい、しろみがかったオレンジの光のなかにいる。
シーツが真っ白いせいもあるのだろう。シーツに反射した光がとても美しく映えている。
ここはどこなんだろう。夢のなかの世界?自分に問い掛けてみる。
「ん……」
目覚めは……悪くない。ただいまいち状況が把握できない。
さまざまな薬品が入った棚やヘルスメーターが目にとまる。折りたたまれた車椅子なんかもある。
ここは、保健室だろうか。消毒用アルコールのようなにおいがする。
「今…何時だろう……。大分ねむっちゃってたのかな」
カーテンが閉められていて時計が見えない。何時だか確かめようとしようと思い立ったそのとき、
カーテンの向こう側にひと気があることに気が付いた。
「誰かいるの?」
「ああ、いるとも。具合はどうだ?」
「どこか痛いところはありませんか」
聞きなれた声だった。謙吾と西園さんの声だ。
「どうしたの。っていうかどうしちゃったんだろう僕。なにかしちゃった??」
「びっくりしたんですよ。直枝さんが科学部のみなさんに運ばれているところを目撃して」
「えっ科学部?」
「記憶にないのですか」
「え、うん」
「理樹。お前なにかされたんじゃないのか」
カーテン越しに話すのもなんなんでカーテンを大きく開くと、肩をテーピングをしている謙吾と、
それに付き添うような西園さんの姿があった。
「肩の調子悪いの?」
「ん、ああこれか、今これはどうでもいい。いつものことだ。それより」と切って僕に向き直る。

319:vsマッド鈴木 5/8
10/01/14 06:36:52 6wEITh2x0
「なにかおかしなことに付き合わされていたんじゃないのか?俺は現場に遭遇しなかったんだが…
 西園が通りかからなかったらお前、実験室にでも運ばれるところだったんじゃないか?」
「ああ、よくない噂はよく聞いてるよ。そんなのに引っかからないから大丈夫だって」
西園さんが思ってもみない大きな声を上げる。
「大丈夫じゃありません!もしものことがあったらどうするんですか!?」
「もしもって…たとえばどんな…っ……」
突然、右の側頭部がずきずきと痛み出した。
「直枝さん!?」
「おい、大丈夫か!?」
黒い靄のような景色が目の前にあらわとなっていく。シーツを墨汁で黒く染め上げていく過程を見
させられているように、意識の覚醒とともに少しずつ気分が悪くなっていく。
二人が僕に呼びかける声が頭のなかでがんがんと木霊する。
するとどうだろう。だんだん声の輪郭がはっきりとし始めて、頭のうずきも治まっていった。
「「理樹」」「「直江さん」」
二人の声が脳にリンクして聞こえる。
僕は具合の悪さに目が回りそうだったが、それも次第に治まっていった。
「だ、大丈夫大丈夫。気にしすぎだって」
「「全然そうは見えないぞ」」
「「やはりあの部隊……許してはおけんぜよ!!」」
頭の中に土佐弁のようなボイスが直接聞こえてきた。
「に、西園さん?」
「科学部にはわたしのほうからきつくお灸を据えておきます」
「え、ああ、いいよそんなの」
「俺も加勢しようではないか。男手もあったほうがよいだろう」
二人とも思いのほか心配してくれている。

320:vsマッド鈴木 6/8
10/01/15 14:28:42 1K9s4ms70
「「かわいそうな直枝さん」」
「そんなことないって西園さん。たまたま僕が不注意だっただけで…」
「えっ、今なんて言いましたか?」
「ん?僕はかわいそうなんかじゃないよ?って」
西園さんはいぶかしげに僕を見つめた。
「「わたしの心のなかが読めるのでしょうか……それとも……偶然でしょうか」」
「偶然って……?」
「!」
「「二人とも何を話しているんだ。それにしても理樹が少しヘンだな……」」
ここまで来てようやく分かった。二人は言葉を口に出していないということに。
試みに謙吾の心の内をそのままリピートして返してみた。
「二人とも何を話してるんだ。それにしても理樹が少しヘンだな……って、ヘンなのかな」
「!!」
僕の特異な能力の状態が二人にも伝わったみたいだった。
「おい理樹、いったいどういうことだ!!?」
「いや、分からないよ。ていうか当たってる?今の?」
「当たるも何もだな……そのままだ!」
「直枝さんはエスパーにでもなったのでしょうか……とても不思議です」
「僕がエスパー?サイキック??」
「まさにそうじゃないのか?お前は今さっき俺の思っていたことを読んだ」
(「そうかーーこれがエモーショナルな生き方なのかなーっ???」)
と、胸がさわいだ拍子に頭がぐらりと重くなった。
「あれっ、そうだ……思い出した。僕はマッド鈴木の実験台になったんだ」
「「いったいどうしたんだ……理樹よ……」」
「今謙吾が腹話術士みたいに見えてるよ」
このままでいくと僕の未来は奇人さんとして名声を博するところになる。
何か面倒に巻き込まれたようでやたらと気が重い。人のプライバシーをまっ
たく無視してしまうようなこんな能力は僕自身は願い下げだった。そこで僕に
残った思いは鈴木にどうにかしてもらうしかないなという一念のみだった。

321:vsマッド鈴木 7/8
10/01/15 14:30:32 1K9s4ms70


僕は謙吾と西園さんに付き添いにきてもらい、科学部へと向かった。
鈴木は言った。
「何?人の心が読めるようになった?……それはエキサイティングじゃないか!」
「いや、困るんだ。僕はそんなの望んでなかった」
「本当に読めるのかい?統合失調症のうちの思想伝播かなんかなんじゃないのかね?」
「いや、そうじゃないよ。この二人が証人だ」
僕は謙吾と西園さんを紹介した。
「直枝さんは確かに……少しだけですけど、わたしの心を読んだんです」
「俺も読まれたんだ」
「でもさ、僕こんな能力いらないんだ」
僕の言葉を聞いて眉間に皺をよせた鈴木は、分からないといった風に言った。
「きみはそんな有用性のある能力を捨ててしまうというのかい?いやはやまったく無欲というのか
なんというのか……まぁいいだろう。同じ具合に装置をセットしてみるから一度それを受けてみてくれ。
その先どうなるのかは……分からないが……「マァ運次第だな」」
「なんて無責任な……」
読まずとも言いたくなる。
「木村、山崎、スタンバイだ!」
かちゃり
そしてなぜかもう一度手錠をはめられる僕。
「この装置はたった1日で開発したものだ。よもやNYPとはまったく関連のない別の装置になっている
とは思いもしなかった。実に残念だよ」
「人さらいみたいなことまでやっといてなんだよ」
「まぁいいじゃないか。それじゃあトライツーだ。スイッチオン!」

322:vsマッド鈴木 8/8
10/01/15 14:35:20 1K9s4ms70
最初に起動したときとは逆に、奥から手前へとレバーが引かれた。すると、静電気のかたまりのような
ものがその場に存在していたのか、光が部屋中を走り抜け、窓枠をびりびりと震わせた。と、そこまでは
前とまったく同じだが、その後だ、装置から黒煙が上がり始めた。
「いけない、バースト状態だ。しかし途中で止めるわけにもいかない」
いちだんと眩しい閃光を放ったそのとき、僕の体を支えているその装置がボコッと嫌な音をたてた。
そして(一応痛いので)僕は思わず声を出してしまっていた。
「……くあっ」
西園さんが急いでテーブルに置かれた鍵を手にとり、近寄って、手錠を開けてくれる。
「怪我はありませんか。大丈夫ですか」
懸命に僕の容体を心配してくれる。
それとは対照的に、鈴木は僕に対して何の配慮もないといった風に声をかけてきた。
「ふーむ、どうだい。機械は壊れてしまったようだが……何か変わりはあるかい?」
「変化……」
僕は思わず西園さんの顔をながめた。
「今心配してくれてる」
そこを謙吾に突っ込まれてしまう。
「当たり前だろう、馬鹿」
さっきまでの頭のなかに響くような声は何も聞こえてこない。
「どこもおかしなところはないんですね」
「背中が少し痛いだけ。ありがとう案じてくれて」
鈴木は装置の電源を切り、不満そうに言った。
「それじゃあ結局元通りってことか。しかし惜しいな。設計図もなしにつくったものだから、
二度と同じものはできないだろう。でもきみが被験者でよかったのかもしれないな」
「何が被験者ですか。元通りにならなかったらどうするつもりだったんですか!」
「確かに責任の取りようはないな。済まなかった」
怒られてようやく冷静になれたのか、鈴木は傲慢な表情のなかにも、やや申し訳なさそう
な色を浮かべていた。
「直枝さん……よかった」
こうして僕は、鈴木がマッド鈴木と呼ばれていることに納得がいくようになった。
そして、西園さんから思った以上に慕われていることを知ることとなったのであった。


323:名無しさんだよもん
10/01/15 14:37:08 1K9s4ms70
うん、つまらない。読了乙です。
途中連投規制にかかったため二日にわたってしまいました。


324:憩う 1/4
10/01/17 06:12:35 ZFdayrnJ0
日曜の晴れた空。待ち合わせのバス停に一番早く着いたのは僕だった。
なんていっても日帰りなので、待ち合わせの時間は7時と早めの設定だ。
マフラーで口元を隠すようにして寒さに耐えていると、まずは西園さんがやってきた。
「おはようございます、随分と早くに着いていらしたんですね」
「僕が言い出しっぺだしね」
人の行き交いもまばらの交通路を眺めていると、横断歩道の向こう側から
やってくる小毬さんの姿が見えた。僕は小さく手を振って居場所を示す。
まったく慌てたようすもなく、僕らのほうへと向かってきてくれる。
「おはよーう理樹くん、みおちゃん。まだ風が冷たいねー」
「まったくだよね。手が冷たいよ」
小毬さんも西園さんもコートを羽織ってきている。
近ごろ通過した寒冷前線の影響のせいで、めっぽう寒い。
来ヶ谷さんとクドのふたりもそれからほどなく、待ち合わせ時間に遅れること
なく到着した。後は葉留佳さんを待つのみ。
「……寝坊かな」
バスの時間は15分発。それに間に合うかどうかがいささか心配になってきた
ので、葉留佳さんの携帯にメールをいれてみることにした。
『すぐにでも一報ください。みんなもう揃ってるよ?』
それだけ打ち終えると携帯をデイバッグにいれた。と、同時に振動があった。
『今起きたよーーっ!!後からバスで追うから先に行っててっ!!
 みんなにもよろしく伝えておいてくださいネ!!』
来ヶ谷さんが苦笑気味に答える。「しょうがないな、葉留佳君は」
「どうしようか、この分だと40分くらいは待つことになるし、葉留佳さんの言う
 通り先にいっちゃおっか」と僕は提案した。
「そうですね、少し残念ですけどまた向こうで会えますし、待たずに行くという
 のもわたしはいいと思いますよ」
「私はみなさんの意見に合わせたいと思います―リキ、ちょうどバスも着い
 たみたいなのです」
ぷしゅーと音を立てて開く自動ドア。目的のレジャースポットまでの道のりは1
時間くらいかかる。その間葉留佳さんはひとりになるわけだけど…僕たちは乗
り込むことに決めた。メールで密に連絡を取っていればそれほど寂しい思いも
させないだろうと思い至ったからだ。

325:憩う 2/4
10/01/17 06:17:31 ZFdayrnJ0
「わふーっ!きれいな施設なのですー!来られなかった井ノ原さんたちに何だか
 申し訳ないような気がしてしまいますー」
「鈴ちゃんも来られればよかったのにね」
まず僕はみんなからお金を集めることにした。
「ここのスパの食事つきのプランだから―みんなお金徴収ー5千円ー」
おのおのから代金をもらうと、フロントでまとめてチケットを購入した。
「じゃあ水着に着替えたらみんなは向こうに行っててよ。僕は葉留佳さんを待ってるから」
「そうか、じゃあ私たちは先に向こうにいるからな」
僕の代わりにといったように、来ヶ谷さんがみんなを先導してくれる。
「では葉留佳さんが到着するまでわたしたちは中を見学する程度にしておきますね」
「見学ですか?それでしたら私たちもロビーで待つのがよろしいのではないでしょうか」
クドが疑問を呈す。それに対して「それじゃあ僕と小毬さんで待つよ」と僕は答えた。
「ほえ?わたしと一緒に待ちますか」
「うん、一緒に。いいよね」
ほぼ僕の独断で二人で待つこととなり、
来ヶ谷さんと西園さんとクドは一緒にロビーの奥へと消えていった。
「8時30分だね。さっきメールしたときにはもうバスに乗り込んだって言ってたんだけど…
 いったいいつ頃来るかな…」
「そう焦らなくてもはるちゃんは来ると思います」
「だといいんだけどね」
僕は自販機で缶コーヒーを二本買って、そのうちの一本を小毬さんに手渡した。
「はいこれ」
「ぁわっ、理樹君ー熱いーっ。って、もう一本ははるちゃんのー?」
「そうそう。向こうにイスがあるからくつろいでようよ」
エントランスの左隅に設けられた休憩所のイスに腰掛けて、葉留佳さんを待つことにした。
(「来たらコーヒーでも飲んで落ち着いてもらおう」)と。

326:憩う 3/4
10/01/17 06:21:32 ZFdayrnJ0

……それから45分、小毬さんの募金活動のことなどを話しているうちに時間は過ぎ、
ようやく目的の人物が姿をあらわしたのであった。
「やぁやぁ!遅くなっちゃった!」
「軽っ!」
「私たち結構待ったんだよー」
「本当にごめんね、目覚ましかけるの忘れちゃったんですヨ」
「まぁこの程度の遅れでよかったけどさーあやうく非参加になるところだったんじゃない?」
「理樹くん連絡してくれてありがとね。こまりんも待っててくれてありがとう!
 よい友に恵まれてるナァはるちん。感動ものですヨ!」
愛嬌でごまかそうとしてるかのような素振りだが、いやらしさはない。
僕は人肌程度にぬるくなった缶コーヒーを、
「急いでたでしょ、買っておいたからこれで喉うるおしてよ」と手渡した。
休憩所で少しゆったりとした時間を過ごしていると、もう9時30分にもなろうかという時間になっていた。
そろそろみんなも待ちくたびれているころだと思う。僕らも更衣室へと向かうことにした。
「じゃ、男女別々だから」
のれんのところで別れ、室内に入り、ロッカーを確保した。
トランクスタイプの水着に着替え、私服をしまい、手首に鍵を巻きつけた。
男の着替えなんてあっという間だ。そのまま共同の温泉スペースへと足を運んだ。
「あ、直枝さん!三枝さんは到着されたのですか?」
「うん、ついさっきね。目覚ましかけ忘れてたんだってさ」
「葉留佳君らしいな」
いうまでもなく、来ヶ谷さんたちはともに水着姿。
そこへさらに登場したのが小毬さんと葉留佳さんだ。
「遅くなってごめんね。このはるちんを許して下さいなー!」
「三枝さん、たびたび遅刻しますよね」
冷淡にあしらう素振りをみせた西園さんに、葉留佳さんは困り顔になる。
「美魚君は冗談で言っているだけだ。あまり深刻にするな」
来ヶ谷さんがフォローを入れると、硬い表情がほどけていった。

327:憩う 4/4
10/01/17 06:32:20 ZFdayrnJ0

「まぁこうして揃ったことだしまずは準備体操でもしようか」
「あんまり泳いだりする訳じゃないからしなくても大丈夫だと思いますよー?」
「一応一応。足つったりすることもあるかもしれないしね」
と言って僕が先導して体操を始め、いちにさんしーごーろくしちはち、と、
アキレス腱やひざ、腿の筋や足首を重点的にほぐした。
「じゃあゆったりと入ろうか」
そう言うと僕は、温泉のなかへとどっぷり沈み込んだ。
クドもついてまわる。
「ふぁ、気持ちいいのです。でも今こうして私たちが休んでいる間、棗さんは求職活動、
 宮沢さんは剣道の練習に打ち込んでいらっしゃるんですね」
「そうそう、でも真人は金銭的な事情で来られなかったんだ。これってけっこう大きいよ。
 僕一人しか男がいないし」
「まぁ真人少年には某店のシガールでも買っていってあげようじゃないか」
「お土産のお菓子?そうだねー」
「あ、私も食べたいから後でおすそ分けしてもらおーっ」
「そうするとさ、結局みんなで食べちゃいそうだよね」
「だったら二箱くらい買っちゃいますか?」
「中にチョコが入ったタイプのもあるんです。ですからスタンダードのと分けて食べましょう」
「鈴の分も忘れたら駄目だよ」
帰りの見通しをつけながらわいわいと入浴。
地下1500Mから湧き出ている温泉の効能にひたり、
僕たちは、日ごろのささいなストレスも忘れ去っていた。




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今日は規制にかからずに終えました。
それとは関係ないけど1に乙る。

328:丸ゴシック体の人 ◆GothicfNhE
10/01/18 22:13:17 B1KpmGNs0
連作GJです。
とくに温泉の話はもっと掘り下げて読んでみたい気もするぞ。

というわけで、私からも一作品を(1年3ヶ月ぶりの投稿だ!)。
ここの絵を見てたら、リトルバスターズの会話が聞こえてきたので、
それを書き記してみました。 → URLリンク(suezen.cool.ne.jp)

それでは参ります。

                「一年の計は団欒にあり」 (18/18)

329:一年の計は団欒にあり 1/18
10/01/18 22:15:00 B1KpmGNs0
1月7日。そろそろ正月の浮かれた気分もなくなりかけた頃。
僕達は、寮の僕と真人の部屋で、リトルバスターズ大新年会の準備をしていた。
部屋の床に粘着ローラーをかけて、余分なものをベランダに出して、置いておく。
何せ、この狭い部屋に12人が集まる(しかも半数以上は女子)から、丁寧に掃除しておかないといけない。
「理樹、持って来たぞ」
こたつ一式を脇に抱えた真人が、休憩室から戻ってきた。
「ありがとう、真人」
「掃除はもう終わったから、こたつ、置いていいよ」
「おっけー」
そう言うと真人はこたつ台を置き、電熱器を中央にセットしてからこたつ布団を上にかける。
そして天板を置き、線を延ばして壁際のコンセントにつなげる。
たちまち電熱器が赤く光り、こたつの中を暖め始めた。
「理樹、どんな鍋なんだろうな」
「どうだろうね…」
今、家庭科部室では来ヶ谷さんと葉留佳さんが、鍋の仕込みの真っ最中だった。
「…でも来ヶ谷さんがいるから、とりあえず食べられる鍋にはなると思うけど」
「だよな」
葉留佳さんだけだったら、多分『闇鍋闇鍋ー♪』って感じで、靴下を食べる羽目になりそうだった。

330:一年の計は団欒にあり 2/18
10/01/18 22:35:34 B1KpmGNs0
「リキ、井ノ原さん。持って来ました」
家庭科部室から電熱調理器を持って来たクドが、入ってきた。
「あ、クド、ありがとう」
僕達もカセットコンロは持っていたが、大人数の中で火を使うのもどうかと思い、クドにお願いしていたのだ。
「おこたの上に置いちゃって、だいじょうぶですか? リキ」
「うん。もう拭いてあるから、どうぞ」
「お邪魔しますです」
と言いながら、こたつの中央に電熱調理器を据えて、壁のコンセントにつなげた。
「そういやクー公。鍋って、どんな鍋なんだ?」
「クドも見てるんでしょ? よかったら教えてくれないかな」
「ひみつですっ」
クドは笑顔で僕達の質問をいなした。
「じゃ、醤油系か味噌系かだけでも教えてくれよ」
「うーん………………」
「大豆系ですっ」
クドは謎の言葉を残して、ふたたび家庭科部室へと戻っていった。
「大豆系? どういうことだよ、理樹」
「味噌は大豆からできるけど、その事ではなさそうだよね…」
「うぃす」「持って来たぞ」
入れ替わりに恭介と謙吾が、食器類を持って来た。
「理樹。そろそろ料理が到着する」
「紙コップ、確か持って来てたよな」
「あ、うん」
と言って僕は、机のひきだしから紙コップを取り出した。

331:一年の計は団欒にあり 3/18
10/01/18 22:39:40 B1KpmGNs0
「第2回リトルバスターズ!チキチキ 一年の計は団欒にあり・新年鍋パーティー!」
いつものように恭介のタイトルコールで、新年会が始まった。
「第1回ではないのですか?」
「去年もやったんだよ。この、新年鍋パーティー」
「毎年恒例なの? 理樹君」
「というわけではないんだけど……」
「小毬。7日は学食だと、七草がゆとか軽いものしか出ねぇだろ?」
「それで真人が去年『肉食いたい!』と駄々をこねはじめて、仕方なく食材を集めて、仕方なく始めたんだ」
「んだよっ、それじゃオレが困ったガキみたいじゃねぇかよっ」
「オレはプロテインだけでもいいんだよよ………オレの筋肉を飢えさせるわけには、いかなかったんだよっ」
「へぇ、あなたの筋肉は直接、ごはんを食べるのね」
「屁理屈こねてんじゃねぇっ、二木っ」
「何を言ってるの。当然の疑問でしょう?」
二木さんと真人が言い争いを始めるそばで、僕は全員を見渡した。
ふたり、足りなかった。
「そういえば、みおちんとささみんがいないですネ」
「あのな、はるか」
「みおは今日、実家からかえってくるっていってた」
「鍋にはまにあうから『全部食べないでくださいね』ってメールがきてた」
「なるほど………じゃ、ささみんは?」
「それは知らない。でも、ま、いいだろ」
と鈴が言うや否や、小毬さんの膝の上にいた黒猫が、ふにゃあー、と鳴いた。

332:名無しさんだよもん
10/01/18 22:43:45 7q0ahCtf0
支援

333:一年の計は団欒にあり 4/18
10/01/18 22:43:53 B1KpmGNs0
一度、火から下ろしておとなしくなった鍋だったが、電気調理器の上で再び、くつくつ、と小躍りを始めていた。
さっきからずいぶんクリーミーな匂いがする。
豆乳鍋って、一体、どんな鍋なんだろう………?
「では諸君。披露しよう」
と言いながら左手にミトンをはめた来ヶ谷さんが、鍋の蓋に手をかける。
「おねーさんお手製の豪華豆乳鍋、とくとご覧あれっ」
そして一気に、蓋が開け放たれる。
それまでほのかに漂っていたクリーミーな匂いと共に、ダシの香りが部屋全体へと放たれた。
鍋の中では、色とりどりの野菜や肉が、鍋全体に咲き誇っている。
おおー、と真人と謙吾がため息をもらす。
「みたことない鍋だな」
「豆乳鍋だ、鈴君」
「なにぃっ!?」
「……………来ヶ谷、すまん」
「うん?」
「俺は、豆乳が苦手なんだ……」
「いや、俺もこれ食ったんだけど、豆乳独特の臭みもなくて、すげぇうまいぞ」
ままま、いっぺんどうぞ。と葉留佳さんが言いいながら、小皿に少しスープをとりわけ、謙吾に手渡した。
謙吾は少しためらっていたが、覚悟を決めたのか、えいやっ、と一気にスープを呷る。
「………………」
「……おい、これ本当に豆乳か?」
「すごいうまいじゃないかっ」
謙吾の会心の言葉に、リトルバスターズが歓声をあげた。
「豆乳と同量の出汁を合わせるだけで出来る簡単お鍋だ。諸君らも試してくれたまえ」
そんななかで来ヶ谷さんがあらぬ方向を向いて、訳の分からない事を言っていた。

334:一年の計は団欒にあり 5/18
10/01/18 23:03:25 B1KpmGNs0
「早く食おうぜっ」
ウキウキしっぱなしの真人を制して、来ヶ谷さんがひとりひとり、具を取り分けていく。
お菓子ばかり食べ過ぎないようにな、と小毬さんには色の濃い野菜を多めに。
少しでも成長出来ますように、とクドには出汁をとったいわしを何匹か添えて。
キミはどうせ後でたくさん食べるだろう、と真人には残り物の白菜の茎をたくさん入れて。
そして僕はみんなの紙コップにウーロン茶を注いで渡す。
「それではご発声をリーダー、どうぞ」
旧リーダーの恭介が、新リーダーの僕に発言を促した。
僕はとりあえず立ち上がると、無難なあいさつをした。
「去年はバス事故とかいろいろ大変だったけど、今年一年、いい年でありますようにっ」
そして、乾杯! とコップを盛大に合わせて、リトルバスターズの新年会は、めでたく始まったのであった。
しかし騒がしくなったのも束の間、全員いっせいに、各自取り分けられた具を口に入れる。
「………………」
一瞬の静寂の後、真人が吼えた。
「うめえ!」
「これが肉だったらもっとうめえ!」
そう真人は叫ぶと、まだ熱い白菜の茎を口いっぱいにほおばった。
「すごいおいしいよ~」
小毬さんが至福の表情になる。
「おお、うまいじゃないか。くるがや」
鈴は偉そうに言う。
「こっ、これはおいしいのですっ」
「豆乳を煮込むと、こんなにくりーみーな味になるのですかっ」
「うむ。私も恭介氏から教わった甲斐があるというものだ」

335:一年の計は団欒にあり 6/18
10/01/18 23:21:23 B1KpmGNs0
「でもクド公。あの鰹節と昆布でとったダシも、いい仕事してましたヨ」
「そうですか?」
「私も見たけど、びっくりしたわよ」
「家庭科部って、あんな贅沢なものを使ってたのね………」
「…私も使ってみたいわ、あんないい鰹節」
「佳奈多さん。あーちゃん先輩に紹介しましょうか?」
「いっ、いいわよっ」
窓ガラス沿い、一番奥の席に小毬さんと鈴が並んで座っている。
そしてなぜか小毬さんの膝の上には、見たことのない黒猫が座っていた。
いつも僕が寝ているベッドには、葉留佳さんと来ヶ谷さんが腰掛けて、来ヶ谷さんが鍋に具材と豆乳を追加していた。
机の脇には真人と恭介が並んで座っていて、鈴と真人の間に、クドがちょこん、と挟まっていた。
僕も席が取れなかったので、小毬さんと葉留佳さんの間に座っている。
入り口に一番近いところには二木さんと謙吾が座っていた。

336:一年の計は団欒にあり 7/18
10/01/18 23:30:08 B1KpmGNs0
「………そういえば、さ」
来ヶ谷さんが追加した具が煮えるのを待つ間、僕は二木さんに話しかけた。
「二木さんもすっかり、リトルバスターズになじんだよね」
「な、何言ってるのよ、直枝っ」
「私はあくまでも葉留佳の保護者としてここにいるのであって………」
そしていつものように、私はリトルバスターズの仲間ではない、ということを顔を真っ赤にしながら、述べた。
「何を言っている。佐々美君も佳奈多君も、すっかりリトルバスターズの一員じゃないか」
「そうだぞ、二木」
二木さんの反論の機会を封じながら、恭介が来ヶ谷さんの援護にまわった。
「こないだのバトルだって、嫌々言いながら一番熱中してただろうが」
「!!…………………」
「………た、確かに熱中してしまいましたけれども、でもそれとこれとは………ごにょごにょ………」
たちまち亀みたいに閉じこもる二木さん。
「でも半年前までは、考えられなかったよ………」
「はるちゃんもかなちゃんも、なかなおりできてよかったねっ」
「それ以前に、はるかとふたきが双子だってことすら、いわれるまで知らなかったぞ」
「…髪のクセ、色、それに同じ髪飾り………怪しいとは思っていましたが………」
「でもどう見ても、風紀委員がつける髪飾りじゃないもんな。これ」
そう言って恭介は、葉留佳さんのほうを見ながら二木さんの髪飾りをちょん、と触る。
うつむいた二木さんの体が、一瞬、ぴくっ、と反応した。
「しかしこうして今、全ての事情を知ったうえで、改めて見直してみると………」
「………より一層、いとおしく見えるよ」
「やっ! やめてくださいっ、来ヶ谷さんも、棗先輩もっ………」

337:名無しさんだよもん
10/01/18 23:32:32 bDL6+z1M0
s

338:一年の計は団欒にあり 8/18
10/01/18 23:33:02 B1KpmGNs0
「でもおまえら、本当に目の色以外、そっくりだよな…」
「そりゃ恭介さん。一卵性双生児ですからして」
「となると双子の定番ネタ、入れ替わりなんてやった事あんのか?」
「!!………………」
「やはは、バレちゃいましたか?」
二木さんは驚いて顔を挙げ、葉留佳さんは頭を掻いていた。
「バレたって………今まで何度か、入れ替わってたの?」
「そんなわけないでしょっ」
「いやだっておねぇちゃん。青と黄色のカラーコンタクト、何枚か持ってるじゃない」
「持ってないわよっ」
「だいたいからして、入れ替わっても分かっちゃうでしょっ」
「うん? 目の色が変わって、髪型も変わったらわかんねぇだろ」
と言う真人を睨みつけて、二木さんが命令した。
「男性陣、耳を塞ぎなさい」
「何だよ、いきなり」
「いいからっ」
何がなんだかよくわからないまま、二木さんの言うとおりにする。
二木さんが顔を真っ赤にしながら、二言三言、つぶやくのが見えた。
たちまち高笑いをする来ヶ谷さん。
胸を張りながらにやりと笑う葉留佳さん。
そしてそんな葉留佳さんに詰め寄る二木さん。
どこからどう見ても、仲良し姉妹がじゃれあっているようにしか、見えなかった。

339:名無しさんだよもん
10/01/18 23:33:08 NwW8bsCJ0
支援

340:一年の計は団欒にあり 9/18
10/01/18 23:42:06 B1KpmGNs0
来ヶ谷さんが追加した具材もすっかり消費されて、今度は葉留佳さんが鍋奉行になった。
さて天性の閃きだけで生き抜く葉留佳さんは、どんな鍋を僕達に提供してくれるのか。
…でも、靴下は食べたくないなぁ。
「………そろそろ、頃合いですかネ」
豆乳とは違う甘い匂いがたちのぼる僕と真人の部屋。
葉留佳さんがそう言って、右手にミトンを装着した。
「葉留佳さん。今度は何鍋なの?」
「それは見て驚け! 聞いて驚け! 食って驚け! ですヨ」
おりゃっ、と言いながら葉留佳さんが蓋を開くと、さっきまで乳白色だった鍋の色が、少し茶色くなっていた。
取り皿と箸を手に突撃する準備万端整っていた真人と謙吾が、動きを止める。
「なんだ…? この色………」
「はるちゃん、おみそ入れた?」
「うん。豆乳鍋は味噌豆乳鍋にジョブチェンジしましたー!」
そして自分の口でファンファーレを奏でる葉留佳さんだった。
「葉留佳君。味噌なんか入れたらしょっぱくて風味が壊れるんじゃないか?」
「甘めの白味噌を入れましたから、そのヘンは大丈夫ですヨ」
「三枝、入れるなとは言わんが、せめて一言断れ………」
「そうですよ、三枝さん」
と入り口から、別の声が聞こえてきた。
「わたしも豆乳鍋、食べたかったです…」
紙袋を両手にぶら下げた西園さんが、ドアの前に立っていた。
「…みなさん、明けましておめでとうございます」
おめでとう、とみんなが一斉に声をかける。
「西園。大漁だったか?」
恭介が西園さんの袋の中を覗き込みながら言う。
「…いえ、少し足りなかったので、大須に立ち寄ってきました」

341:一年の計は団欒にあり 10/18
10/01/18 23:45:57 B1KpmGNs0
「…こちら、よろしいでしょうか」
そう言って西園さんは、二木さんと恭介の間の隅に腰を落ち着けた。
「どうぞ」
「ああ、構わんぞ」
「直枝。取り皿と箸とコップ」
「うん、ちょっと待ってね」
「西園さん、ウーロン茶でよかった?」
「…はい、お願いします」
「濡れるといけないから、袋は理樹の机の下に置いておけ」
「…ありがとうございます」
恭介が僕の机の椅子を引き出し、そこに西園さんの荷物を置いた。
「………………」
あたりに、何とも言えない空気が立ちこめる。
西園さんの趣味──ごにょごにょ、な本──については黙殺するのが、みんなの間で暗黙の了解になっていた。
「………………」
そして周囲の目を気にせず、あたりまえのように本を開きだす西園さん。
「…このへんであれば、二木さんにも受け入れていただけるかと………」
「いっ! いいわよっ」
うわあ、西園さんが二木さんを捕食しようとしてる…。
「………………」
二木さんの抵抗は無視して、ぱら…、とページをめくる西園さん。
「………………」
「………………」
「………………」
僕達は西園さんと二木さんのほうを見ないようにして、おのおの、鍋に集中した。
『………二木さん、さようなら。』

342:一年の計は団欒にあり 11/18
10/01/18 23:57:58 B1KpmGNs0
西園さんが参加したことで、鍋の消費ペースはどんどんあがっていく。
3杯目の鍋もあっという間にクリアされ、僕達の目の前では4杯目の鍋がことこと、と準備運動をしていた。
4皿用意していた具材も、あと1枚。おそらく次の5杯目でラストになるだろう。
これならなんとか、食べきれそうだ。
「葉留佳君。締め用のうどんはどこにあるかな?」
と思ったら鍋には『締め』があったんだった!
「あ、すいやせん姉御。家庭科部室に置きっぱなしでした」
「取りに行ってやろうか? 三枝」
入り口に一番近いところにいた謙吾が立ち上がる。
「かたじけのうござりまする、謙吾どの」
「謙吾少年。甘やかすと葉留佳君のためにならんぞ」
「いや、いい。ちょうど外の空気も吸いたかったところなんだ」
「…全く、ダメだな。葉留佳君は」
「すいやせん………」
あまり真剣にわびているようには見えなかった。
「葉留佳君。お詫びに謙吾少年と結婚したまえ」
「なんじゃそりゃ!」
「どんなお詫びだっ、来ヶ谷っ」
そして小毬さんが抱きかかえていた猫が、ふぎゃー、と抗議するように鳴いた。
「あ、それと謙吾少年」
「食後のデザートも冷蔵庫に入ってるから、一緒に持って来てくれるとありがたい」
「わかった」
リトルバスターズジャンパーを羽織り直すと、謙吾が部屋から出て行った。

343:名無しさんだよもん
10/01/19 00:00:17 JUkn0EA20
i

344:一年の計は団欒にあり 12/18
10/01/19 00:06:24 w6CAnv7D0
「んじゃ、さっそくいただくぜっ」
謙吾が出て行った瞬間、真人が直箸で鍋をつつきだした。しかも取るのは肉、肉、肉。肉ばかり。
「井ノ原さんっ、お肉ばかり取ったらダメですっ」
たちまち真人の取り皿には、肉の山が出来ていた。
「クー公、止めるな。オレは今、猛烈に肉が食べたいんだっ」
「…ほう? 真人少年」
「最初に白菜ばかりオレによこしやがっておかげで筋肉が腹減ったと泣いているじゃないか責任とっておまえの筋肉よこせいやおまえは全然筋肉なんかなかったよな、という事か?」
「い、いや、そ、そういう訳じゃねぇけどよ…」
真人のいいがかりを、来ヶ谷さんが完璧に学習していた。
いっぽう僕は具を追加しようと、皿を探していた。
葉留佳さんが、僕の掛け布団にもたれかかっていた。
「葉留佳さん?」
「朝から働きづめで、ちょっと眠くなっちゃった…」
僕は来ヶ谷さんの後ろに置かれた食材を取ろうと、横たわった葉留佳さんの体の上から腕を伸ばし、皿を手に取る。
それを僕のそばに置き直そう、と思ったら、葉留佳さんが僕の布団をもぞもぞ、と触っていた。
「……何してるの? 葉留佳さん」
「えへへ~~……」
眠そうで嬉しそうな顔をして、僕の布団に顔をこすりつけ始める葉留佳さん。
「理樹くんのにおいだぁ~………」
「え、えっ、ちょ、ちょっとやめてよっ」
しかも顔をうずめて、すーはーすーはー、匂いまで嗅いでいる。
これはやめさせないと。
「や、やめてよっ、変な匂いとかしてるかもしれないし………」
「男が女のフェロモン臭を求めるように、女も男の汗臭さを求めるのが人の世の常なのだよ」
そんな世の常なら僕は世捨て人でいい。
と思った瞬間、扉ががちゃり、と音を立てて開いた。
「………………」
ビニール袋を手にした謙吾が僕達を見て、凍り付いていた。
「は、葉留佳さん。ほら、謙吾がすごい不思議そうな顔でこっち見てるから…ね? やめようね…」
どうにか葉留佳さんを説得して、起き上がってもらった。

345:一年の計は団欒にあり 13/18
10/01/19 00:18:36 w6CAnv7D0
葉留佳さんを片付けたら、今度は真人だ。
「ほら真人。ひとりじめしちゃダメでしょっ」
「うん? 理樹。また真人がやらかしたのか」
「そうなんだよ………謙吾が出て行った瞬間、鍋の肉という肉を集め始めてさ………」
「………相変わらずだな、真人」
「ほら真人。取った肉をみんなに返して」
「悪ぃ、理樹」
「というかこの肉はよ、理樹のためにオレがとっておいたんだよ」
「ミエミエのうそをつくなぼけー!」
座ったまま、真人の後頭部に裏拳を打ち込む鈴。
そして真人は自分で盛りつけた肉の山に、おもいっきり顔をつっこんだ。
「うわぁぁぁああぁぁぁぁーーー!! に、肉しか見えねぇーーーーーー!!」
天を仰ぎ頭を抱えた真人の両目に、良い具合に煮込まれた肉がぴたり、と張り付いていた、覆い隠していた。
肉が真人の取り皿から四方八方へと飛び散り、そのうち1枚が小毬さんの抱える猫に、張り付いた。
ふぎゃー! と黒猫は小毬さんの腕を飛び出して、頭を抱えた真人に飛びかかる。
そして真人の頭に登ると、バリバリ、と爪を立ててひっかきだした。
「うおおおぉぉぉーーーっ! ね、猫の爪いてぇーーーーーー!!」
「ほわああぁぁぁぁぁ…」
「こら、食事をしているそばであばれるなっ、毛がおちるだろっ」
「相変わらずだな、真人。おまえは」
「おまえら、オレのことも心配しろよっ」
ふにゃー、にゃー、と声をあげながら、その猫は真人の頭に爪をかけ、抵抗した。
「うむ。さすがの筋肉マスターでも、頭は弱点だったか」
「…その言葉に二重の意味を込めているんですね、来ヶ谷さん」
そして小毬さんと鈴で、どうにか猫をひきはがすことに成功したのだった。

346:一年の計は団欒にあり 14/18
10/01/19 00:35:55 w6CAnv7D0
「うぅぅ………」
クドのマントと制服と髪が、飛び散った鍋の汁と具でたいへんなことになっていた。
「…悪ぃ、クー公」
「たいへんな目に遭いましたのです………」
「ほら、クドリャフカ君。これで拭きたまえ」
「すみませんです………」
「………全くロクな事しやがらないなこの独活の唐変木は」
悲しいうめき声をあげながら、頭や制服をペーパータオルでぬぐう。
僕と小毬さんで、周囲に散らばった具や汁も拭いていった。
「もう大丈夫だよ、みんな」
そして元の位置に戻った小毬さんの膝には、さっきまで真人をひっかいていた猫が、さっそく座っていた。
「いきなり飛びかかったら、めっ」
小毬さんは叱りつけていたが、黒猫はどこ吹く風か、にゃー、と鳴いていた。
「こまりちゃん。その猫、どこかへやれないのか?」
「それがね、私の膝の上から動いてくれないの………」
「鈴。おまえ猫の扱いには慣れてるんだろ? なんとかしてやれよ」
「いや、さっき取り上げようとしたら、ものすごい勢いでていこーされた」
「クーちゃんなら、どうかな?」
クドが立ち上がり、小毬さんのところへ移動する。
そして猫を触ると、あっという間になついてしまった。
「この子、人を選ぶのかなぁ………?」
「あたしもみたことないんだ、この猫は」
しっぽに巻き付けられているリボンが、どこかで見たことあるような気がした。

347:名無しさんだよもん
10/01/19 00:40:53 JUkn0EA20
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348:一年の計は団欒にあり 15/18
10/01/19 00:56:08 w6CAnv7D0
最後の鍋からは、ずいぶん辛そうな匂いが漂っていた。
これなら鍋を開けるまでもない。最後の鍋はキムチ豆乳鍋だ。
「…あまり辛いのは、苦手だよ………」
といいながら小毬さんは、コップにオレンジジュースをついでいた。
「こまりんっ、食事中にジュースを飲む人がどこにありますかっ」
「…愛媛の人?」
珍しく小毬さんが狙ってボケた。
「エヒメでもシズオカでもワカヤマでもダメなものはダメっ」
そりゃ確かに、愛媛じゃ水道をひねればオレンジジュースが出てくる、っていう都市伝説は聞いたことがあるけどさ。
「三枝さん。このお鍋で最後ですか?」
「ううん、最後にうどんでシメるヨ」
「…ちょっと、おなか一杯かもしれません」
小食な西園さんが、おなかを押さえた。
「確かに、11人で鍋5杯プラスうどんは多いわね」
「でもふたき。野菜もたべたから、あたしはそんなに腹いっぱいじゃないぞ」
「まぁ、そっちは井ノ原真人が肉ばかり食べてたから、そうなるかもね」
「…でも、みなさん」
「うん?」
「鍋のシメはうどんではなくて、おじやではないのですか?」
「えっ………?」
「僕の中では、うどんなんだけど」
「どう? 他のみんなは」
と意見を訊いてみると、おじやの方が優勢みたいだった。
「そうなんだ………」
「まぁ、一概にうどんが良い、という訳でもないぞ、理樹君」
来ヶ谷さんが『又聞きなのだが』と前置きしたうえで、教えてくれた。
「プロの料理人が言うには、あっさりした鍋にはおじや、濃い味の鍋にはうどん、が良いらしい」
「となると、キムチ豆乳鍋にはうどんで正解、ってことですネ」
「うむ」


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