08/09/19 11:04:25 16LmSWHR0
まぁいろいろと言われることもあって傷つきもしたけど、幸いにも鈴はお世辞なんて言わなかった。
だからこそか結果的、俺の料理の腕は結構上がっていた。
昼飯でその腕を試すのも楽しいことだろうなと思いながらひとり分の野菜を流水で洗い出した。
そのとき、
「ピザでしたらみんなで食べられそうです」
「なにかひと品あってもよさそうですわね、足りないと思っていたところですわ。
ですのでわたくしは…ラングスティーヌとホタテのソテーにいたしますわ」
「それでしたらえすにっくなものも食べてみたいのです!」
なにやら後方でリクエストの会が結束されていた。もっとも、俺の思い違いだろう。
だがもしも……ということはなきにしもあらず。
そんなときの誤解ほど悲しいものはない。ことが起こらないように即断っておくことにした。
「ここは無国籍な料理屋かよ。済まないが俺の分だけだっ」
「そうですか……エンターテインメントに欠けますね」
…冷凍のピザ生地…海老、ホタテ…生春巻きとスイートチリソース……
一瞬本気で三品作る絵を想像したが俺にとってはやはり酷。
無理。昼休み中だぜ?
西園に突っ込まれたのが癪だからピザトーストくらいは作っておこうと決めて前を向いた。
ささっと野菜をひとまとめにボールに投入して食パン、トマト、ピーマンと順にスライス。
ケチャップ、ウスター、タバスコ、塩胡椒、出来合いのレモン果汁を混ぜてベースソースづくり。
食パンは味が濃いしオーブントースターしかないので薄くスライスしてある。
179:『ロマンSheehan!』7/16
08/09/19 11:06:45 16LmSWHR0
一方にバターとマスタードを塗ってそれをサンドイッチ用に。もう一方にはさっき作ったソース塗ってピザ用に。
ソース塗った方にハム、トマト、ピーマン、ミックスチーズを乗せる。
オレガノとバジルのフレッシュがないので粉末のをふりかけて、軽く余熱したトースターへささっと投入。
そしてピザが焼ける間にサンドイッチを作り上げる。
キューリ、ピクルスをカットしてちぎったレタス、スライストマトとともにバターを塗ったパンで挟む。
ピザと同じソースを掛けて、カット。ピザ焼きあがったところでこれも斜めにカット。片付けて終了。
「はいよ、それっぽいもの」
テーブルに少し空きを作って味気ない大皿に並べたピザとサンドイッチを披露した。
ピザは焼き目がほどほどでそれなりな感じ。でも半ピクニックなおもむきになってしまった。
「おいしそう……ちゅるり」
「小毬君?」
「ん? ふぇぇっ!? なんでもないよ~!」
「いただいてもいいのですか?」
「ああどうぞ」
そう言ってもらえるのはやっぱり喜ばしいことだが。
みんなはメシ持ってきてるし俺の作ったものはそれほど要らないはず。
つーか小毬とかクドとか少食に見えてよく食うもんだなーと後ろから見ていた。
「ふーん、作るとは思わなかった。期待するほどじゃないけど頂いてもいい?」
180:『ロマンSheehan!』8/16
08/09/19 11:08:33 16LmSWHR0
二木までお食べになるようだった。
俺はプラスチックの牛乳ビンのふたを親指できゅぽっと開けて答えた「いいぜ」と。
「……なんかむかつくんだけど」
「まぁそう言わずに食べられそうなら食ってくれって」
俺自身も遅くなった昼食を食べようと席に着いた。
作ってるうち 食欲がなくなるってことはしょっちゅうだ。
俺の分はどうでもいいっちゃどうでもいいんだけども それでも腹が鳴るときゃ鳴る。
……違うか、俺はどうみても素直じゃないのかもな。
自分で作っておきながら自分のがないだなんておかしな話。
※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。
食べることは生きること だけどこれでいいのかも
そのホットケーキ、お前の昼飯。いつか俺も食えるといいな。
おーけい、俺の腹。ぐぎゅるる…
何事もひとつずつ、気負わずいこう。真摯に望めばいいことあるさ。
サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。
181:『ロマンSheehan!』9/16
08/09/19 11:10:35 16LmSWHR0
気が付くと俺は、席を立ってアコギをかき鳴らしていた。
「あなたたちの中で誰かあの人に声かけてあげなさいよ……なんでいきなり歌い出したのよ…」
「ふむ……難題だな。あれはあれで満足してるんじゃないのか?」
「ならいいのかしら……でもなんか気味が悪いじゃない。あの人の既往歴は?」
めっちゃアウェーな空気が醸成されつつあった。おっと、これはやばシス。
スタンドにギターを立てかけて俺は振り向いた。
「で、食えるものだったのかい?」
「ドヤ顔はよしなさい」
二木はとても冷たい。恋をしてしまいそうだ。
既に手馴れた感さえある来ヶ谷は陶器のティーカップの耳に手を掛けて俺を見つめる。
また俺はあきれられただろうか。
「別にお前らの心遣いが欲しいだなんて思っちゃいないさ。
ただな、俺は馬鹿だったんだ。まさか……いや、もういいのさ」
「…くどい言い方ですわね。そういう殿方はあまりよろしくありませんわ」
俺は笹瀬川の明快な口調に確かにそうだなぁと頷きながら、笹瀬川が口に運ぶトマトサンドを眺めた。
あのサンドはいつの間にあんなにうまそうな輝きを放つようになったんだろう。
それを引き抜けるのは王たる資格を持つというあれと一緒だろうか。
笹瀬川が持ち、俺が空腹だからこそ引き立つ。そういうことなんだろうか。
俺は佐渡島に渡ったときの夕暮れを思い出してしまいそうだった。
……もぎゅもぎゅもぎゅ…
182:『ロマンSheehan!』10/16
08/09/19 11:17:21 16LmSWHR0
だが、人のやり切れなさをよそに妖怪がここに一人。
「どうしたの? ……? もしかして私の分も欲しい?」
「あ、ああ……ぃぃ、胸がいっぱいなんだ。だからもらっても残しちまうからさ……」
まゆをひそめた俺を見て三枝は少し不思議そうにしていた。
わりに心配してくれる口調で「裏庭で取れたジャガイモですヨ?」と器によそったマッシュ
ポテトをこちらによこしてくれた。
茹で加減が丁度よかったのだろう。水分が充分に飛んで確かにうまそうではあった。
俺は空腹からかそのポテトの器を自分の手に取ってみていた、すぐに三枝の手に返したが。
「ノンカロリーな何か」返すと同時にまた、注文もして。
こういう風にメシを作ってきてもらえる機会ってのがあってもいいのかもしれない。
ただのひらめきでことを進めて、今は食べられやしないけどそのうちに持ってきてもらおう、と軽はずんだ。
最初、なに言ってるのという顔をした三枝だが、俺が「俺の明日のメシをよろしく」と
いらんかったかもしれないことをしっかりと付け加えたら、気が付いたようだった。
三枝はなんだかカヨワイ感じで答えてくる。
「うん、いいよ。いいけどさー!
恭介せんぱい、そういうこと気にしてそうで気にしてないのはいけないと思いますヨ」
「そういうこと?」
何を言ってるんだろうか?
俺は少しくすぐったくなるような感じに陥りながら、やっぱりもう一度、『醤油こと?』と
聞き返したくなってしまっていたのだが、それは堪えた。
「しょ……、げふ、あーあー、なんでもない」
183:『ロマンSheehan!』11/16
08/09/19 12:02:46 16LmSWHR0
※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。
料理に恋をして、農家や流通や小売だって好きになるさ、
お皿に盛り付けた後の喜びと、そのお皿の目の前に君の幸せな笑みがある。
それはどんなに素晴らしいことだろうな。ラララ、愛で満たされる日々。
「きょ、きょうすけせんぱい…?」
「…はっ!」
俺はまたしてもしでかしているようだった。EBC#F#…
4弦から下に向かってやわらかく弾き終えたとき、俺は自分の状態に気が付くことができた。
抱えているのはまたしてもアコースティックギター。
「なぁ三枝、どうやら俺は保健室に行かなければならないらしい」
「それがよさそうですネ……、行ってしまえばいいデスよ」
傷口をぺちゃぺちゃと舐められるような痛みが走る。
「恭介、元気でね……」
俺はこの自らの状態に覚えがあったものの、それが何のときのことだったのかということは
すっかりと記憶から抜け落ちていた。今はどこが痛いのか、それが分からない。
「君のクラスの担任には私が伝えておこう。
保険医がいなかったとしてもそのままにしてしまわないほうがいいぞ」
ただ、さっきから俺は自覚を強めている。これはフツウではない。
もしかするとさっきどころか今朝、…春、それよりももっと前からおかしいのかもしれない。
理樹たちの視線にサッと影が射したような気がした。
184:『ロマンSheehan!』12/16
08/09/19 12:05:10 16LmSWHR0
「感情の大きな波を中心症状として、それを周期的にくり返す一種の躁状態、ということも考えられます。
そういうときは思い切ってある期間休むことが大切ですよ。のんびりかまえるのがいいようです」
……と本に書いてありましたと付け加えて西園が言った。
次第に雲行きがあやしくなってきていた。
「……そうきょくせいしょうがいではないでしょうか?」
クドはそういうことに詳しいのだろうか?
俺は唐突に、テーブルの上に置かれたメガネを手にとった。
「………」
無言でそれを掛けて、「それ私のです…」と言う西園を制して、
「俺には見えるような気がしないな」とつぶやいた。
なんだろう、俺は影響を受けやすいのだろうか。
いろいろ言われると、それこそが本当のような気がしてきてしまっていた。
冷静じゃなくて、みっともなくて、恥ずかしいやつ。
とそこまでは誰も言っていなかったが、俺自身はそれ程に思い込んでいた。
「……行ってくるわ、その帰りに学食でカップめん食う…」
俺は一度自分と向き合ってみることが必要なんだろうか。
あやふやな気持ちをすっきりさせることが出来れば、明日のメシは三枝が作ってくれる。
今日のような心配なんて要らない。……要らない?
自問を繰り返しながらも俺は、ひとり保健室で休むのがベストなのかもしれないと思い始めていた。
とそこへ、
185:『ロマンSheehan!』13/16
08/09/19 12:07:00 16LmSWHR0
「待ちなさいよ」
その声が聞こえたのは俺がドアの取っ手に手を掛けたときだ。
相手の強張った雰囲気が始めに伝わって、いくらか身構えて俺は振り返る。
が、二木がその胸に抱えているものを見てあ然としてしまった。
「……これ、葉留佳のすかすかのマフィンと、それと、神北さんがいつも作ってくれるクッキー」
両手からこぼれ落ちてしまいそうな量の焼き菓子。……たぶんかき集めたんだろう、きっと。
俺が腹へってるなんてことはずっと察していて、本当に食べずに出て行こうとしていくところを見て
あわてた……?
「あーっそれ食べるならジャムあったほうがいいーっ!! 待って、えっとーっ…ここ……に」
ついで三枝が制服をがさごそと探し「あったーっ!」とポケットからオレンジ色の小瓶を取り出した。
「はいな、裏庭で取れたオレンジで作った特製ジャムでございます」
「お……いいのか?」
小瓶を手に取った俺に対して、三枝の代わりに答えたのは二木だった。
「いいから」
とまどいを隠せない俺に二木はふたり分の返事をかえした。
口の端を結んで、かすかな笑みを浮かべて、プライドにみちた輝きで……大量の焼き菓子をよこしてくれる。
胸に抱えてそのままに。
いや、しかしこれは……そのまま……クレーンゲームのようにがばっと放す……つもりだろうか、まさか?
ちなみにいえば二木が抱えた菓子は、その上に奇跡的に制服のリボンが乗っかっていてプレゼントフォーユーな具合だ。
186:『ロマンSheehan!』14/16
08/09/19 12:09:28 16LmSWHR0
「か、紙袋かタッパーくれっよ、落とすっ!……ってうわっ」
ってかそんなふうにされても俺は持てないっ。
二木の前髪がこれでもかというくらい俺に近づく。
清涼感のある優しい香りがどこからか……というか二木から……というか直に……
……俺を試すようにひろがる。
あんまり近くにこられるとまぁ時にはそういうことになるよな、ああ。
俺は生理的現象を免れえず、ごく多少、かがんだ。
「舌がいいの?……変態」
ちくしょう、なんてエロティックなんだ二木はっ。
明らかに『下』と言っている。
口の動きをみた感じ『舌』とは似ているが実際は「下がいいの? せんぱい」だ。
舌なはずがあるか……! あるかよっ……っ!
変なスイッチが入った俺はチェルベロとともに猛りそうだった。
そんな渡し方があるか……っ!わおーーーん!
だが今度ははっきりと聞こえてきた「……へ、へんたい」
彼女は抱えたマフィンをつぶれてしまいそうなほど強く抱きしめて、青ざめってしまったように
白い顔をしていた。おそらく防衛本能が働いたのだろう、その身はすっかり硬直してしまっていた。
丁度二木が影になっているためその後ろにいるみんなには分からない。
ふたりして小声で立ち尽くして会話していると、それはちょっとした告白シーンのようでもあった。
「そうだ。俺じゃない。不肖の息子の仕業さ」
187:『ロマンSheehan!』15/16
08/09/19 12:11:10 16LmSWHR0
俺は緊張のあまり声が出ないんじゃないかと思ったがそうでもなかった。
二木はこんな俺でさえ気遣ってくれるというのか、「そ、そうね…」と言ってマフィンもなにもかも
を自分のココロに仕舞ってしまう。俺はたとえようもなく悲しい気持ちになった。
あの日本海側の荒波であればすべてを洗い流してくれる。
俺はそうして、佐渡島へ行ったときのことを再び懐かしんだ。
「じゃあしばらく……雀色時まで俺たちは別々の道を歩く。そういうことでいいな」
「保健室に行くだけでそんな遠くに行くみたいに…てご飯食べなくていいの?
で今いつ帰ってくるって言った? 雀……?」
誰しもがせきららな時の流れの上においては平等であった。
諸行ことごとく仏性なり。
遠きいつか、俺はこのことを受け入れることが出来るのかもしれない。
「はぁ、そろそろチャイムが鳴りそーですわ。
わたくし体育の授業で着替えないとなりませんので先に行かせてもらいますわ」
笹瀬川は蕭やかに、ダム・ブランシュのウエハースをつまむとそれを銜えて立ち上がった。
「俺も」
行く先は違えども俺も前向きに進もうと思う。
「何ですの? ついてこないでくださる?」
「……ちがわい! ドア少ないんだからいいだろ!」
考えたってろくな言葉が出てこない。それは俺の心に迷いがあるからだ。
少し……あの日のように、心をクリアーにしたかった。
「すぐ治るよな。俺のこの……なんだ。症状」
188:『ロマンSheehan!』16/16
08/09/19 12:13:25 16LmSWHR0
明日になれば、二木だってさっき見たことなんて気にしないさ。
俺たちはきっと……新しい関係を築いていける。
俺はガラッと窓を開け放って、フック付きロープをするどく投げた。
向かいに立っている背の高い木にくるると巻きついたこの縄を引っぱれば、
その反動がバネとなって体が浮くという寸法だ。
そして俺は告げた。
「みんな、俺のことも愛せよっ。じゃあな」
「結局ドアからは出ていかれないんですね……」
「君は重症だな……ここ一階だぞ。
むろん保健室であれば廊下からのほうが近い……」
料理に恋をして、農家や流通や小売のことも好きになって、
お皿に盛り付けた後の喜びと、そのお皿の目の前に君の幸せな笑みがある。
それはどんなに素晴らしいことだろうね。ラララ、愛で満たされる日々。
また会うとき、そのときはもっと作れたらいい。
メシは持ってくるよ、三枝が。今日の俺はカップめんだけど。
作らないほうがいいのかな。そんなこともうやめにしよう。
※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。
おわり
189:名無しさんだよもん
08/09/19 13:46:14 e23rcaqj0
よくわからん。
190:名無しさんだよもん
08/09/19 20:02:03 4CP+UxYI0
36 :名無しさん@初回限定:2008/09/18(木) 22:11:29 ID:GXnMAffIP
リトバスは上2つからかなり大差の暫定年間3位か
69 :名無しさん@初回限定:2008/09/19(金) 02:28:55 ID:clj8RIDS0
リトバスEXは5万か…通常版併せて6万くらいかな
71 :名無しさん@初回限定:2008/09/19(金) 03:29:14 ID:aZxkGHSC0
2008年 タイトル別年間売り上げランキング(TECHGIANトップランキングに基づく)
TG PUSH Zr Gc 発売日 タイトル・ブランド
1. 4167 47,904 2. 1. 2008年01月25日 FORTUNE ARTERIAL オーガスト
2. 4149 48,939 1. 2. 2008年02月29日 ToHeart2 AnotherDays Leaf
3. 2986 33,782 -- -- 2008年07月25日 リトルバスターズ!エクスタシー Key
4. 2524 25,389 3. 4. 2008年02月29日 超昂閃忍ハルカ ALICESOFT
5. 2067 21,585 4. 5. 2008年04月25日 つよきす2学期 きゃんでぃそふと
6. 1960 17,741 12 9. 2008年06月27日 プリンセスラバー! Ricotta
7. 1860 18,399 -- -- 2008年07月11日 タユタマ -kiss on my deity- Lump of Sugar
8. 1837 22,689 9. 7. 2008年01月25日 さくらシュトラッセ ぱれっと
9. 1836 18,284 6. 3. 2008年05月29日 G線上の魔王 あかべぇそふとつぅ
10 1678 18,531 11 8. 2008年03月28日 かみぱに! クロシェット
191:名無しさんだよもん
08/09/19 23:20:28 +4l9PyjS0
そういえば、理樹×クドは多いけど理樹×コマリマックスはすくないな
192:名無しさんだよもん
08/09/20 03:58:44 f09WqgU9O
理樹×マックスなら屋上だよな
でも、壊れマックスに攻められるのも良いな
193:名無しさんだよもん
08/09/20 05:06:15 JEq0DaB90
むしろ、マックスの部屋でざざみも混ぜてしっぽりむふふと行きたいものですな。
194:名無しさんだよもん
08/09/20 16:31:04 C+1AErgL0
>>193
なんだと、鈴とささみのマックス取り合い合戦か?
195:名無しさんだよもん
08/09/20 17:44:03 cRMDkt3i0
>>194
いやそれは原作で普通に見れるだろう、とあえて空気読まないレス
196:名無しさんだよもん
08/09/21 00:17:04 HGRDKKobO
変な電波を受信しましたよ(汗)
書いていいかな?
197:名無しさんだよもん
08/09/21 00:20:41 KiqVt/Sv0
おk
198:名無しさんだよもん
08/09/21 00:24:04 QTqFPKGt0
期待
199:恭介とリトルバスターズ(1/9)
08/09/21 00:25:48 HGRDKKobO
はやいな(汗)
注意
初めてこうゆうものを書くので読めたもんじゃないと思います。
書いてるうちにキャラ崩壊を起こしてしまいました(汗)
これでも平気な人はどうぞヨロシクですm(__)m
理樹「そういえば、何で"リトルバスターズ"って名前にしたの?」
健吾「"リトルバスターズ"という名前の由来か……。知らないな。」
鈴「私も知らないぞ。前にバカ兄貴に聞いたらモンペチの話でそらされたぞ。」
真人「言われてみると、そうだよな…おい、恭介。ホントの所どうなんだよ。」
恭介「むろん、そっちの方が萌えるからだ!」
恭介以外「………また(21)か。」
恭介「なんで、そうなるんだよ!!まだ、俺は一言も(21)とは言ってねーぞ!」
理樹「そうだよね、リトル=(21)の意味だったとか考え過ぎだよね(汗)」
恭介「あたりまえだ!理樹…本気で好きだぜ!」
鈴「きしょいんじゃボケー!」
バキッッ!
恭介「グフッッ………イグナイテッド!」
理樹「モビルスーツ!?」
200:恭介とリトルバスターズ(2/9)
08/09/21 00:28:29 HGRDKKobO
健吾「で、実際はどうなんだ?」
恭介「な…何となくにきまってんだろ…」
真人「本当かよ……まてよ本当なら、"マッスルバスターズ"でも良かったのかよ。ちきしょう!タイムマシンで過去に戻って、小さかった時の恭介に土下座でもして名前を変えて欲しかったぜ!」
理樹「いやいや(汗)そんなとこでプライドを捨てなくても……てか、恭介。ウソついてるよね。」
鈴「バカのせいで、また話が逸れるとこだったぞ。」
真人「あぁ!?なんだ!?いつも筋肉筋肉言ってる癖に筋肉って奴はいざって時には全く使えないな。こんなんだったら毎日必死こいて筋トレもする意味もないし、機械の体を手に入れる旅に出ようかなって思ってそうな目はよ!!」
理樹「いやいやいや、そんな事微塵も思ってないからね。しかも、毎日筋トレなんてしてないからね(汗)」
201:恭介とリトルバスターズ(3/9)
08/09/21 00:29:35 HGRDKKobO
健吾「ふむ…なら、"なでしこバスターズ"なんてのはどうだ?」
理樹「いやいや(汗)"なでしこジャパン"みたいなノリで言わないでよね。って、健吾まで…」
真人「お前、ホントにその"いやいや"って好きだな。」
理樹「いやいや、二人が言わせるような事を言うからだよ。それに一回だけ"いやいやいや"って言ってるからね。いやいや…」
恭介「…理樹?」
理樹「いやいや、いやいや、いやいやいやい……イ……ヤ……イ゛……ヤ゛……」
真人「やべぇ、理樹が壊れた!?」
202:恭介とリトルバスターズ(4/9)
08/09/21 00:31:25 HGRDKKobO
葉留佳「相変わらず、頭が湧いてる話をしてますネ」
美魚「とりあえず、直枝さんを治さないといけませんね。直枝さんからプラスチックが燃えたような匂いのする煙を出しています。」
理樹「助かったよ、西園さん。でも、どうやって治したの?ブフッッ!」
恭介「聞かない方がいい……。気分が悪くなるぞ……オエぇ…」
健吾「作業中、西園の目がとてもキラキラしてたのが俺には印象的だったぞ……」
美魚「何かいいましたか?」
美魚以外「いいえ!!おかまいなく!!」
203:名無しさんだよもん
08/09/21 00:32:26 KiqVt/Sv0
支援
204:恭介とリトルバスターズ(5/9)
08/09/21 00:32:30 HGRDKKobO
美魚「ところで、なぜこんな事になったのですか?」
真人「それが"リトルバスターズ"の名前の由来を恭介に聞いてたんだけどよ。なかなか、進歩を出さないんだよ。」
理樹「"尻尾を出さない"ね。それに使い方違うしね。」
葉留佳「あの手でいったらどうですかネ。日本で一番有名なアニメの主人公の某青狸に、「なんか道具だしてよ~」って泣き付いてタイムマシンを出してもらって恭介さんの少年時代に行ってきたらどうですかネ」
理樹「いやいや、無茶な事言わないでよね(汗)」
美魚「そうでもないですよ」
205:恭介とリトルバスターズ(6/9)
08/09/21 00:33:35 HGRDKKobO
美魚以外「えぇぇ!?」
美魚「最新のNYP兵器です。名前は"タイム・ストリップだそうです。」
理樹「名前だけだと、年齢制限をかける必要がありそうなモノだね…」
美魚「使い方は簡単です行きたい年日を指定して、ここからでるビームに当たるだけです。」
健吾「便利なモノだな。では、早速いくとしようか。」
葉留佳「そうですネ。パッパッと見て来ちゃいましょう。」
恭介「ちょっっと、まて!本当に行くのか!?そんな胡散臭い機械でホントに過去に行けると思ってるのか!?てか、危ないかもしれないぞ、ビームからでる変な電波で癌になっちまったらどうするんだよ!?」
鈴「うはwww必死だなwww」
恭介「…鈴?」
鈴「何を言われようと、私達は行くぞ。もちろんバカ兄貴である、おまえも一緒だ!」
真人「あきらめろ恭介、どんなにくだらない理由でも俺達は気にしないぜ。」
恭介「………」
健吾「どうした、突然静かになったぞ?」
206:名無しさんだよもん
08/09/21 00:35:06 HGRDKKobO
美魚「準備が整いました。ビームを発射させるので、皆さん集まってください。」
葉留佳「誰もが持っている少年時代。
だが、誰もが忘れてしまう少年時代。この忘れられた大切な時間を取り戻しに行く、はるちん達に待ち受けるものとは!?
次週、"父さんジャンプ買ってこいよ、磯野ー野球しようぜ!、オカマじゃないわ!ニューハーフよ!"の三本でお送りします!」
美魚「発射!」
ビゴーーー!
葉留佳「あれ…?私だけ残ってるんですけど…」
美魚「悪いなのび太。この装置は5人乗りなんだ!!」
葉留佳「ちょwww」
207:恭介とリトルバスターズ(9/9)
08/09/21 00:36:06 HGRDKKobO
「「「「「あーーーれーーー!」」」」」
どすん!!
理樹「イタタ、どうやら着いたみたいだね。」
真人「待ってくれ!今、筋肉にバクがないかチェックしてるんだ!」
健吾「いかん!俺もしておかなければ!」
鈴「お前らウッサイ!」
真人、健吾「すみません…」
恭介「………」
理樹「ん?あれ、少年時代の恭介じゃない?」
鈴「本当だ、あれは少年時代のバカ兄貴だ。略して"代貴"にしよう。」
理樹「いやいや、略すところが変だから。それじゃあ、他の人の名前みたいだし(汗)」
健吾「しかし、何をやってるんだ?ウロウロしているようだが…人探しか?」
恭介「……!!?うまうー!!」
真人「うぉ!恭介が暴れ出したぞ!」
理樹「ウッサイ!」
ずがぁぁぁぁん!!
鈴「理樹…?」
理樹「えへへ♪」
真人「すげぇぜ、あの恭介が気絶しちまった…」
健吾「理樹…お前は…」
理樹「えへへ♪」
鈴「ん?代貴の様子が変だぞ!?」
一同「なに!!」
208:恭介とリトルバスターズ(10/9)
08/09/21 00:39:21 HGRDKKobO
代貴「そこのおじょーちゃん!俺と組んで夜の秋葉の帝王にならないかい?」
健吾「あいつは、あんなに小さな女の子に何を言ってるんだ?」
代貴「えへへ…お嬢ちゃん。飴をあげるからこっちにおいでー…ぐふふ」
理樹「まさか……ね」
代貴「ちっ、なかなか引っ掛からないな。このままでは俺のオペレーション・ロリロリハンターズが成功しないな。」
一同「………」
代貴「しょうがない、先ずはロリを集める組織を作ろうか…
あえて、変な男だらけにしてイケメンな俺を輝かせて…
名前は…そうだな…ロリロリバスターズだとあからさまにやばそうだしな…
そうだ!リトルバスターズなんてのはいいんじゃないか!よしゃぁぁぁ!リトルバスターズさいこぉぉぉ!」
209:恭介とリトルバスターズ(11/9)
08/09/21 00:53:02 cFHnfGWU0
規制にかかったのでパソコンから…
一同「………」
恭介「うぅ…何だったんだ…今のは…ハッ!!」
真人「恭介…」
健吾「お前は…すでに、この時から人の道を…踏み外していたのか…」
理樹「恭介……恭介は僕達の事、そうゆう風に見ていたんだね…
鈴「車に引かれて、ドブに落ちて、カラスに体中突かれて死ね。地獄に堕ちても、地獄のやつらで言う所の地獄にも堕ちて死にまくれ。」
恭介「……うわぁぁぁぁぁ!」
それからリトルバスターズ史上初めて除籍された人がいるとか
妹から卒業してからもウジ虫扱いされてる兄がいるとかいないとか噂が流れたのは言うまでもない。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
最後の最後に規制って…(泣)
始めはこんなに長くなる予定じゃなかったんですが…
書いてるうちに(くだらない)ネタが湧いてきました(汗)
いつかまた電波を受けた時、ちゃんとした物語が書けるように、できれば色々ご指導のほどよろしくおねがいしますm(__)m
210:名無しさんだよもん
08/09/21 00:55:26 qo89EQLD0
GJ
代貴って誰だ
211:名無しさんだよもん
08/09/21 01:01:08 Qe3OwIoI0
恭介ひでえw
>>210
さあもう1回読み直そうか
212:名無しさんだよもん
08/09/21 01:10:50 qo89EQLD0
>>211
おう、読み飛ばしてた、サンクス
213:名無しさんだよもん
08/09/21 01:48:19 PLNvzxW+0
URLリンク(www.kobayashi.co.th)
214:名無しさんだよもん
08/09/21 06:11:29 PLNvzxW+0
「僕はそんなものやりたくないから数に入れないでおいて」
―つぶされたんじゃない。つぶれたんだ。
「違う。恭介はなにも分からないんだね」
―お前は自分から潰れた。自己の喪失を補いたいだけだ。
「こんなの僕は望んでない。それが分からないんだ」
カメレオンのおもちゃなんて、僕はいらない。
「野球なんてしたくない。僕は鈴がいるところへ行きたいよ。(それだけでいいんだ。)」
―あいつがいるところ……
恭介は伝えることが出来ない。
215:名無しさんだよもん
08/09/21 06:12:04 PLNvzxW+0
「ねぇ、鈴はどこにいるのさ? 恭介は知ってるんだろ……」
理樹は激情を必死で抑え、声を震わせる。だが恭介は口を開かない。
どうして、鈴のこと教えてくれないんだよ……教えててくれよ恭介。
無機質な校舎、一室、曇り、雨が降り出しそう、秋。
―はは
ただ息が漏れるだけの乾いた音。
―……言おうか?
『…お前は犯したんだよ、鈴を』
こんな感じ? 俺見たくないんだ。
こういうこと何度も何度も思い出したくない。
俺の居場所なんてここには無いのかもね。
216:名無しさんだよもん
08/09/21 06:31:14 PLNvzxW+0
……ちなみに俺は188です。駄文スマン。
217:名無しさんだよもん
08/09/21 07:53:51 PLNvzxW+0
「…言わないなら僕から言おうか?」
「鈴、ずっと『施設』にいるんだよね。あはは、知らないと思ってた?」
「僕でなければいいんだよ。僕はいつまでも咎人だからさ、僕でなくなればいいんだ」
僕は今持っている全てのものを捨てても、泣いてしまいたかった。
「あはは、はは、こんなことが続くのは嫌だ、はは」
頬を生ぬるくて下らない慰めにもならない涙が伝う。
さっきまで居たはずの恭介ももうおらず、誰からも切り離されるような孤独が僕を侵食する。
僕は思う。僕には幸せだった時間があるはずだった。
そのことだけに捉われて、記憶の一切を閉じ込めてしまおうとする僕がいる。
自制心もなく、なにもかもが手に付かない。
頭頂部から後頭部にかけての頭痛がする。眉や頬の辺りがビリビリしておもわず目を細める。
どこまで行っても痛みが僕を追いかける。
誰も信じてくれない。誰も相手になんてしない。
少なくともこの部屋で僕を知るひとなんて誰もいない。誰だっていいのに、誰もいない。
218:名無しさんだよもん
08/09/21 08:45:16 PLNvzxW+0
不在の空白は僕を狂気へと追いやった。いや、僕はすでに自らの意思でこの足を絡めているのだろう。
「どこまでも愚かだ、僕は」
短絡的な衝動に身を任せて僕は、教室の壁を叩きつける。
ブツケタ拳の皮が捲れても構わずに二度、三度殴る。血が多少飛び散ろうとも気にならない。
軽い陶酔感が支配して僕の心はかえって楽になり、気が紛れていく。
ひとつの決意が固まっていき、荒くなった自分の呼吸が段々と聞こえてくる。
立ち向かわなければならないのは一つではないような気がする。
進まなければ、もう、後に残るものはなにも無いということ。これだけははっきりとしていた。
何が残ろうと、気持ちがついえてしまおうと、構わない。ただ、落ち着く必要は無い。
この昂りの行き先が告げるのはどこだ。と、自分のココロを確かめるように目を瞑り手を胸にあてる。
時の止まった闇の中に不確かな過去が見えて、そこに自分の姿を思う。
……あれは僕だろうか。薄ぼんやりとした焦点の合わない影が揺れる。
笑い声、人の気配、僕、それと……
219:名無しさんだよもん
08/09/21 09:42:47 PLNvzxW+0
動悸が絶え間なく、首の後ろあたりが強張って体が無機物になったように硬い。
血の気が引くとはこのことだろうか。
己の視界に期待が持てないとみるや僕はすぐさま目を開いた。
いない、なにも無い。…そんなはず……。
手には尋常ではない量の汗がぬめる。
過去に連なった自身がきっと、邪魔をしている。
『そんなことはない“はず”だ。あるわけない。いないわけがない……』
錯乱を刷り込むようにくり返し誰かの存在を成り立たせようとする僕がいる。
もはや自我や理性は信用にならず、僕は自らで嘘を暴かなくてはいけない。
そうだ、よくは見えない。でもそれでいいはずだ。
思考の綱を手繰り寄せた先……そう、あそこは間違いなく教室…だった。
僕はマボロシの在り処をそこに求め気を急かす。
この校内のどこかに偽りがある。それは巧妙というより死角。
乱暴に扉を開け放って僕は、駆け出した。
220:名無しさんだよもん
08/09/21 10:46:05 PLNvzxW+0
平面化された幾何学的な通路。永遠とも思える夕暮れ。
僕はキュビズムの絵画の小道の上に置かれている。
見渡す限りがジグザグして、道は曲がりくねり、壁が道で覆い隠されている。
まっすぐに走っているはずが斜めに傾いたり、またまっすぐにもどったりと不安定だ。
人為的な秩序と緊張に満ちた空気が満ちている。
とてもじゃないけど、どれがどの部屋なのかは確信が持てない。
重ねられた空間の脇に扉が見えたかと思うと、それがまたくるりと一回転していく。
一階にいるはずなのに三年のクラスが横切る。わけがわからなくなる。
……この世界に意思があるとしたら、その意思は僕が疲れるのを望んでいるのかもしれない。
止まってしまえば同じような機会は二度と訪れない。つまり……僕は忘れたままだ。
忘れる……
僕は血でぬれた指を制服の裾で擦る。
どこに繋がっていようとも開けなければ始まらない。まず、近くを流れてきた扉を開ける。
221:名無しさんだよもん
08/09/21 11:43:02 PLNvzxW+0
ひと呼吸をして息を少し整える。
ノブをひねるときしりと音が鳴って手の感覚が軽くなり、扉がふっと消えた。
僕は支えを無くしたせいか偏った力のまま前のめりに滑り転ぶ。
「……っが…」
壁を殴ったときはそうでもなかったけど、手のひらが擦り剥けて今度は多少痛い。
赤くなった皮膚を見ていると大した怪我のように思えてくる、けどさほどじゃない。
それより、転んだ拍子に僕は気付いた。
床がザラザラとしていて、校舎の床敷きと違う。
立ち上がると風が、心地いいというには強すぎる勢いで奔流して吹き荒んでくる。
外。しかもこれは屋上だ。普段は立ち入り禁止の立て札がしてあるから僕は入ったことは……ない。
はず、なのに、なぜか見覚えがある。当たり前のように僕の前を矛盾が遮る。
貯水タンクの裏側にはボイラー室がある。そこはカビ臭くて、湿った場所…。
僕はいつだ……夏休みにそんな仕事を頼まれただろうか。…ボイラー室の清掃とか…。
222:名無しさんだよもん
08/09/21 12:32:39 PLNvzxW+0
開けるのが怖い。そもそも開ける必要があるんだろうか。
『くすくすくす』
小毬さん…の声だ。笑い声がする。
そうだ、一つは、僕は小毬さんに償わなければいけない。
段々と今いる世界のことが分かってきた。
僕は彼女に……
『おにいちゃん、……またもどってきてくれたんだ』
いや、これは小毬さんじゃない。ただの幻想の具象だ。
僕はもうここにはいないし。小毬さんもいない。
意を決した僕は、その錆付いた鉄の扉を開けて中へと踏み入った。
薄暗くて、壁がぼろぼろと零れ落ちる窮屈な部屋だ。
その奥で膝を抱えて座っている女の子がいる。
「りきくん、こんなところ来たら駄目だよ……。汚い」
僕は聞く耳を持たない。張り巡らされたパイプを跨いで彼女へと近づくと、
その頬に手を当てた。
「……ずっと…待ってた?」
「…………うん」
彼女はこれからもこの世界に取り残される。
僕は小毬さんの柔らかい髪を撫でて、その顔を引き寄せると抱きしめた。
「少しだけこうしていよう……?」
僕はもう二度とここを訪れることはないのかもしれない。
ずっと、こうしてあげられればよかった。
今になって、しかもこんなことしか出来ない僕は、やっぱり責められるべきなんだろう。
僕はしばらく、……彼女を、今だけでも、抱きしめていたかった。
223:名無しさんだよもん
08/09/21 16:56:42 PLNvzxW+0
「……数えてったらさ、」
小毬さんの仕草はどこかうつろにまどろんでいて、胸が痛む。
僕が話し始めると小毬さんは小さくぴくと反応した。
「ずっとずっと、ずーっとさ、ひとつ。ひとつさ、また数えてったら、」
小毬さんは、星空みたいに綺麗な瞳を向けて僕のことを見つめる。
僕は一度言葉を止めると彼女の顔を眺め、もう一度引き寄せた。
なにをしていたんだろう。僕は。
それ以上は言うことが出来なくて言葉が止まってしまう。
「…っ……」
「どうしたんですか、…くるしい?」
僕は彼女の栗色の髪に顔を埋める。「…や」彼女が少しいやがって、緋色の髪飾りが微かに揺れる。
都合のいい言葉ばかりを並べ立てる僕は……なんだ。
まだどうにかなるとでもいうのはそれこそが嘘だ。
こんなに酷い話、ない。僕は彼女のことを知っていて、逃れようとしている。
僕は続けようとした。でも、僕が話し始める前に聞こえた。
「……幸せになれる…」
224:名無しさんだよもん
08/09/21 17:56:45 PLNvzxW+0
折れてしまいそうな願い。
混濁し始めた意識の中で摺り合うように彼女との抱擁をもう一度交わす。
抱きとめた彼女はあまりに軽くて悲しい。
行かなければいけない…。
長くここにいることは出来そうになかった、頭が憔悴してぼんやりする。
「ごめん。ごめん……」
僕は消えてしまいたいほどに謝る。
急激な睡魔に襲われて僕は寝てしまいそうになっていた。
彼女が安らかになるその最後までいられずによろめく。
「またどこかに行くんですか? そんなに…心配しなくてもいいよ」
こんなこと、彼女は言うだろう…か。
ふらふらとしながら、入ってきたはずの扉を背にして僕は彼女に向きあった。
「ずっと忘れないよ」
彼女は変わらないやさしい笑みを浮かべてくれるのに、
許して欲しい、とも告げられずに、僕に考えられるのは目の前のことだけになった。
ここで倒れるなら、それはそれでよかった。…でも、これは夢。
明日になればこの記憶はどこかへと整理されてしまうかもしれない。
225:名無しさんだよもん
08/09/21 18:48:14 PLNvzxW+0
僕はメクラになって、結局は自分勝手にここを後にしようとしている。
忘れないだなんて約束は果たせるのか分からない。醜い二枚舌だ。
(同化したイメージの中に隠されてしまった彼女に、それでも想いを伝えることは出来た。)
―空調の低い振動が鳴り響いている。
伏せた目を彼女へと向けたときそこにはもうなにも無くて、
ただ縦長の配電盤やらの機械が設置されていた。彼女の痕跡は見当たらない。
ふたり分の記憶と夢、拓也さんの意思に依存した世界。
僕はもうそこを振り返ることをしなかった。
ぬかるみを突き進むような重苦しい足取り、床が膝の位置まで埋没する。
じわりとした痺れを感じながら歩き出す。前へ、前へ。
四方の窓ガラスを打つ雨の音がボツボツと耳に障る。
あと二つ。目的は自然と定まっている、まず僕はクドを探す。
上り坂の先の丘になった面、地に張り付いた扉が見える。
意識がはっきりし出したからだろうか、そこは部室へと続いているような気がした。
だが…遠い。ベルトコンベアーに引き戻されてでもいるように景色が変わらない。
226:名無しさんだよもん
08/09/21 19:15:05 PLNvzxW+0
迷うことはないのにもどかしい、進と退が交錯するアンビバレントな時間だった。
構造上の作為が僕を大まかに操って脆弱な半固体に固める。
よく冷やされて、辿り着いた頃には手足のないヒルコのような体でその部屋に
産み落とされるという青白い夢想に囚われる。
このいくらかの時の中に芽生えた新しい愚かさ、この愚かさを育ててしまいかねない
馴致された肉体になって、ある一つの意思のもとに振り回される。
足がもつれそうになる度、受け入れていく過程は捻じ曲げていくものであるにもかかわらず
横暴というほどに着手され、画にすればどんなにか間抜けだった。
羊水の中でうごめく胎児、そんな偏執が地を朦朧と霞ませる。
227:名無しさんだよもん
08/09/21 19:58:44 PLNvzxW+0
足が棒のよう。比ゆではなく、本当に棒。骨がそのまま体を支えているのか、それとも
河馬や象のように硬質で分厚い皮の塊となったのか、生物的でありながら植物的な、
あるいは無機質な感触へと変化を遂げて、おもちゃのパーツに過ぎない不気味さとなった。
強くなった雨音が鼓膜を震わせる。
上昇と下降を繰り返す断続的な波はやがておとなしくなり、普段と変わらない校舎がときおり姿を現す。
今であればそこへ飛び込める、いや、今しかないんだ。
距離を測って長い助走をもって全力で飛び込むと、岩戸の鍵のようにへこんだ取っ手に手を掛けた。
だが握力のない僕は自分の体を支えられずに落ちてしまいそうになる。
……歯を食いしばりながら懸命にしがみついてその扉を横にスライドさせようとする。
「…ぐぅ…っ…」
開きそう…。
背中に力を入れて精一杯の力でその扉をずらす。
一瞬だけ、こんなことをしてることの明確な理由が欲しくなって気が遠のいた。
頑なな扉とこの歪みの理由。僕の目的。
だけどすべてがいっしょくたになっていて、それを分けてしまうのは不可能に思えた。
228:名無しさんだよもん
08/09/21 20:42:16 PLNvzxW+0
『ああ、きっと僕は誰かを利用した』
声が流れ込む。
―自覚は無かった。
どちらかが恭介だ。どちらかが、僕。
死んだ兄の名を付けられたエレクトロニカの奇人の怪音が鳴り響く。
僕はそれを振り払いたいがために無造作に肘を伸ばした。すると、耳鳴りが止み、
扉にぶつけたと思った腕が、不思議なことに向こう側へするりと抜けていた。
手を伸ばした先は空間、……ベルトコンベアのあるこの廊下より、ずっと涼しい。
僕はもう、大して驚いてない。
ただ飛び込んだ先で頭を打つこともあると思い、半身になって飛び込んだ。
どさっ
充分とはいえないものの受身を取って着地。
すぐに立ち上がると周りを眺めた。
月明かりを反射する夜の湖面のように光るタイルの先に、その姿はあった。
クド。……それに真人だ。
格子状に差し込む蛍光灯がふたりを陰鬱に見せる。
229:名無しさんだよもん
08/09/21 21:37:53 PLNvzxW+0
「……マサト、マサト」
寂しそうなクドの声がする。
「みなさん帰ってきませんね。どうしたのでしょうか…」
「もしかして、待ち合わせの場所を間違えてしまったのではないですか…?」
きっと心配になるたびに訊ねてしまうのか長い間そうしているんだと思う、
クドは真人の背中に手を合わせて、耳を当てるように体を預けていた。
…だけど、いつも元気なはずの真人の様子はどこかぎこちない。
俯いてしまっているから顔色は分からない、けど縮こまってしまっていて、
こんな真人……らしくなかった。具合でも悪い……?
ふたりの間にはなにか立ち入りがたい雰囲気が立ち込めていて、遠い。
立ち入らないほうがいいと、直感的にそう思いはしたけれど、
僕は声を掛けずにはいられなかった。これだけ近くにいるんだからと。
「ねぇクド、真人……なにか…あっ…た?」
妙に慎重になりながら訊ねて、僕は自分が思っている悪い予感を伝えてしまっていた。
僕の声が聞こえているはずの真人は微動だにしない。
クドが、不安に陥る前に僕を見つけてくれた「あっ、直枝さんっ!」
230:名無しさんだよもん
08/09/21 22:43:25 PLNvzxW+0
しかし僕の想像は的を得ていないのか、クドに呼ばれることにどこか違和感を感じてしまった。
口をゆるく開いたまま立ち尽くしてしまう。
―どうして僕はクドに会おうと思ったんだ?
見ればクドは少し落ち着いた感じでもあって、病的さなんてない。
が、………
『お前はクドを見捨てたよな』
退屈を紛らわせでもするように恭介の声が響く。いや、これは僕なのか。
僕はつい、疑いの残る汚れたまなざしでクドを見てしまう。
クドはそうだ、テヴアに帰る予定だったじゃないか。なのになんでここにいるのだろうか。
…飛散したピースが集まろうとしていた。(クドは子犬じゃないか、哺乳瓶で授乳をする子犬。)
……っ…っ
いきなり、口内がぬらぬらとした粘膜で弄ばれるような不快きわまりない感触で埋められる。
…ぷはっ……
感触はすぐに消えたけど。
「……どうしたのですか、」
ああ、何だか、何か分かってしまったような気がする。
胸の中に次々、黒々とした想念が浮かんでは消える。
慰め? なんだ? …ふざけるなよな……。
クドの手首には鎖の後がある。噛んだのか引っ掻いたのか…腕にはミミズ腫れのような痕だって…ある。
231:名無しさんだよもん
08/09/21 23:57:22 PLNvzxW+0
フラッシュバックしたイメージによみがえるクドは儚かった。
誰にも守られずにいつもくったりしている。
さっきまで薄暗い真夜中のような気がしていたのに、今では白夜のように薄白い陽が差し込む。
時間の感覚までが狂ってきた。
喋る体力があるうちに話さなければと、僕はもう明け透けにものを言うつもりになってきていた。
僕はクドの顔を見つめると「向こうに行っていて」と、この間だけ出払ってもらうようにお願いをした。
丁寧さを含んだ傾げるような会釈をしてクドは、扉の向こう側へ行った。
この部屋に残されたのは僕と真人だけだ。
「真人、いつまでそうしてるんだよ」
僕は遠慮しない。
「ここまで来なかったら、一生隠し通したんじゃないの?」
「もっとも恭介は知ってるだろうけど」
クドに聞かれていないせいか、徹底してしまおうと思った。
「……あんなこと隠したまま、いつも筋肉ーっとかしてきたんだろっ?」
「冗談じゃない…それって、僕のこと騙してるじゃないか」
言葉を並べていくうち、気化熱で体が冷えるように空しくなっていく。
部屋を占める真人の体躯も煩わしい。
232:名無しさんだよもん
08/09/22 02:00:49 xmueH1Ji0
「………」
真人は、相変わらずこういうときは黙ってしまう。
他の連中が怪我をしそうになったときもそうだ。
「なぁ、能美のときはどうして無茶なことをしたんだ?」
お前は守ってやれないのにな。
言外にそれを乗せて傷つけるような言い方をする。それはわざとといっても過言ではないだろう。
急にガラリと変わった俺の口調を聞き、口を閉ざしていた真人は憎しみを込めて俺を睨む。
「……そんな風に他人になりかわって楽しいかよ、恭介」
俺は返してやる。
「理樹のままだったら話さないだろ」
歯車のまま回っていればその方が幸せだなんて嘯きながら、本当は救いたがって、
そしてその結果がこれだろ。なかなか笑えるじゃないか……。
確かに自分を律してはいたがお前はまるで駄目だった。
「何だったらそういう風にして助けてやってくれよ。理樹や鈴のことを」
皮肉を込めて話していた。
「そんなよ、俺がしちまったようなやり方理樹が望むかよ」
「まぁそうなるか」
満足な答えを得られないものの思い悩んでいた真人の心中を多少なりとも聞けたので、
それで済ますことにした。
233:名無しさんだよもん
08/09/22 03:42:37 xmueH1Ji0
……、目の前の景色がずれ落ちた。
陳腐な風景画が歪んで、突如間違い探しでも与えられたように真人は消えていた。
僕はそのことを否応なく気付かされる。
瓦礫のなかに立ち尽くしているような荒廃感に急に寒気がした。
気が抜けて、そしてクドももういない。空っぽになった部室はそれこそ僕自身みたいだ。
滑稽……、そんな、今更なことがグルグルと頭の中を掻き回る。
僕は一つの大切な機会を失ったことを理解した。
欠落の方が多く目についてしまい、歩き出すことが辛い。
でも分かっていたはずだった。いったい僕はなんて言って歩き出した…。
(随分ご立派なことを考えてたじゃないか。)
自虐が恭介の言葉のように何かを語る。
ほんとうの恭介は…こんなこと言わない。
指はまだ血に塗れたままなのに、その痛みも薄らいでしまっていた。
分解の効かないくらいにばらばらに壊れてしまえばもう生きる必要もないのかもしれない。
虚血性の心疾患にでもかかったようにめまいがしそうだ。
僕が露になっていく。
234:名無しさんだよもん
08/09/22 04:54:08 xmueH1Ji0
扉を開いて、廊下へと駆け出す。
ふらふらになりながら、みじめに歩くさまは、小動物だ。
どこへ向かえばいいんだろう。
立体の迷路に入れられて右往左往する。
僕の胸にあいた穴は塞がらず、飲み込まれそうになる。
全部がひとつずつ欠けている。
理想なんて程遠い。
息が切れてしまって力が入らず、壁にもたれこんで倒れそうになる。
日ごろまともな運動をしていないということがモロに出る。
なんの計画もなく、部活もしていない。
時間を遡行してもっと元気だった頃に帰って、もう一度走り込みたい。
野球にしたって僕は付け刃だ。ベースランでも息が、切れる。
まともな練習にどっぷりと浸かってれば……とたらればが漏れる。
激しかった雨はもうまばらだ。廊下は無音に近い。
直角に曲がったかと思えばUターンするような曲がり角。
ひょっとすると何回も何回も同じところを回っているんじゃないかという気がしてくる。
そろそろもう足もへたってきている。
とりあえずで、手当たり次第に探し出すしかないんだろうか。
どこにも踏み出せないままただ時間だけが過ぎていく。
何か手がかりを探したい。僕はそんな気持ちからひとつ大きな深呼吸をしていた。
235:名無しさんだよもん
08/09/22 05:37:26 xmueH1Ji0
「…はぁ……ふぅぅぅ………」
血の巡りの衰えた頭で耳を澄ます。
……ざぁざぁ……ざぁざぁ…小豆でも転がしているような音がする。
画鋲や釘やボタンやコインがばら撒かれた音なんて、混ざっていない。
僕は目で見たことを信じようとする。
外は雨が降っている……これ…雨の音だ……
でも視覚と聴覚が一致しない…。
窓の外の雨は、降っているとはいえぽつぽつとしたもの。
聞こえてくるのはざぁざぁ…だ。
雨音に似た音はなんだろうと弱った頭に鞭を打つ。
油とか、砂とか、そういうものが思い浮かぶ。
砂……
ざらざらざらってとこだろうか。
さらさら…というほど澄み切った音は出ない。
むしろ濁っている感じがする……
これは外の雨音じゃないな。
どこからか聞こえてくるけど、これはどこのなんの音なんだ……
老犬みたいに足をよろよろとさせながら、
ひとまず前から聞こえてくるということだけを頼りにまた歩き出す。
236:名無しさんだよもん
08/09/22 06:48:28 xmueH1Ji0
空中にドローイングされた絵の中を歩く。
ときおり現れる階段を昇る。
自然発生的なベルトコンベアーに流される。
だいぶ歩いたり走ったりしてきたと思うんだけど……
最初に歩き出す方向はかなり重要だったんじゃないかと思う。
カオス理論? バタフライ効果? ……なんだかごくわずかなずれから
将来に甚大な結果が生じるとかいうそういう理論があったような気がする。
来ヶ谷さんがいればこの難解でデタラメな迷路も直線距離一発だったんだろうか…
でも、歩くときはただ歩くのがいいに違いない。
今はなんだか重荷というか、何かを置き忘れてきてしまったというか、
疲れているわりには体が少し軽くなっていた。
もし楽ができるとなればもっと早くにどこかで頓挫していたと思う。
僕はただ歩く。歩く。
僕の目的はもう一つだった。このまま何もかも忘れて、鈴を目指す。
歩く楽しみにこうして浸っているのは、少し能天気過ぎるけど、
もしもこれが不安を隠すための虚勢だとしてもいい。
止まったら死んでしまう回遊魚にでもなってやれって、自分を追いやる。
悲しいのもう沢山だ。
237:名無しさんだよもん
08/09/22 08:13:52 xmueH1Ji0
思考のろれつが回らなくなっていた。
噛んだのはいうまでもないけれど、……僕の目の前に大きな二つの分岐路が構えている。
ここに来て始めてのケース。すなわち、これはマボロシではないだろうか、ということだ。
散々隘路という隘路を歩きまわってきたせいか、視力もなんだかあやしいし、
下手をすると一方の道はとても危うい。
図太くなった、あるいは麻痺した神経のせいで迷う必要はなくなってしまってはいた。
一つは帯状に広がる金色の道。もう一つは木製の、欄干まで付いてあるやさしそうな道。
僕は……今までずっと金色の道を目指してきたんだと思う。
狭くて見えづらい、それは滑りやすい道だ。
一度転んでしまえばズザザーッとほぼ垂直落下する……険しい道。
そこで僕は考え方を少し変えてみたんだ。
今僕にそんなところを這う力が……あるのか?
ここまで延々と歩いてきて、当初からの目的はあったものの……ちょっと無謀だなって思ったよ。
それに負け惜しみじゃないけどさ、
あの場所まで上りきっても鈴じゃなくて金貨とか財宝とかが見つかりそうじゃない?
だからさ、僕はここで迷いがふっきれてしまったんだ。
あの小路はいつかにしよう。やっぱり鈴を探そう……ってさ。
そして僕は歩き出したんだ。あのやさしそうな道をさ。
238:名無しさんだよもん
08/09/22 08:53:48 xmueH1Ji0
板張りの道がキュと鳴る。それはさながら何かの鳴き声のようだった。
すべてが消えてしまいそうな静寂が辺りを支配している。
何か全部失くした。そんな暗い道だ。
広かったのは最初だけで、奥へ進むほどそれを感じた。
ああ、どっちに進んでも同じだったんだなと。
竹やりが突き出てきたので避けそこなった僕のわき腹にはそれが突き刺さっている。
今生きているのが不思議だった。
僕は先ほどまでの出来事をもう一度、走馬灯として見ることになって、
忘れたくないことまで忘れてしまっていたことに思い出した。
悲しかった。
今でもはっきりと思い出せるし、あの時だってそうなのに、どうして僕は、
あの竹やりに刺されたとき、彼女のことを忘れられたんだろう。
ここで死ぬこと……それは誠意だろうか。
鈴……小毬さん……
僕の意識は羽のように軽くなる。
何か全ての汚辱を身に纏ったような不快さにも苛まれる。
目を閉じてしまえばすぐにでも眠れる。
僕は痛みのわりにははっきりとした精神でこれを堪えていた。
239:名無しさんだよもん
08/09/22 10:02:23 xmueH1Ji0
だけど、…完全に道を見失ってしまっていた。
よく気が持ってられると自分でも思う。
全部自分のせいだから仕方ない、そんな割り切り方は今は出来そうもなかった。
寝たい……でも何もかも中途半端だ。張り付いた竹やりが血を吸い上げていく。
自分の心の弱さに吐き気を催す。
鋭いやりが刺さって、それでも平然としていられるほど強くない……
立ち止まってしまったことを後悔していた。
廊下だってグニャリと歪んでいるのか、単に僕が見ているものが歪んでいるのか。
このヤリだって刺さるように仕掛けてあったのか……?
違う、そこまでじゃなかったはずだった。
でもなんだかここにきてからはいつも虐められてる気がする。
泣きたい…、痛くて仕方ない……
なんだろ、なにしてんだ。
体が重い。
240:名無しさんだよもん
08/09/22 11:52:32 xmueH1Ji0
泣き言しか出てこない…。
僕は体を引きずって、なにも考えたくなくてまた歩き出す。
どこを彷徨っても僕は鈴を見つけられない。
無心になりたい。
砂の音ももう聞こえない。
まったく新しい道のはずなのに今まで辿ってきた道をなぞっているような既視感にとらわれる。
けど、何の目印もないからまた一から歩き直しているみたいだった。
……でも、まだ入っていないクラスで気になるところがあった。
もしかすると僕は、鈴が怖い。
だから、2-E…見つけていたけれど、まだ入っていなかった。
恭介が言う言葉が頭の中で繰り返される。
僕が…
その先を続ける気持ちにはならない。
…急激な眠気が僕に休息を求めていた。
241:名無しさんだよもん
08/09/22 20:41:32 ZyetQY7D0
( ゚д゚)
(゚д゚ )
( ゚д゚ )
242:名無しさんだよもん
08/09/22 20:44:49 xmueH1Ji0
棚引いた雲が窓の外を流れていく……
眠りかけた意識を奮い立たせて前だけを睨む。
自分との戦い。
心臓が拍動して出血は酷くなった。
傷口よりも胸が痛くて、酸素が上手く廻っていかない。
点々と落ちていった血の痕がそれを物語る。
黒ずんだ制服は……じっとりと重い。
僕はボタンを外すことも出来ず、
掴みづらいボタンを勢いなく引きちぎると、上着を脱ぎ捨てた。
冷えた体は勝手に震えたりしていうことをきかない。
無理に力を入れようものならきっともう倒れてしまう。
明日元通りの学校が始まって、廊下に倒れている僕は消えていて…
そんな自分を想像する。
僕は笑う。「それなら一学期がいいな…」
終わらない意識が取り囲む私物化された学校。
この校舎が早く、元通りになる姿を思いながら、僕は……扉を開けた。
243:名無しさんだよもん
08/09/22 21:46:00 xmueH1Ji0
……がさ、…で……よなー……
…えっ……キャハハ……
賑やかそうに話しをしているクラスメイトたちがいる。
ここは……
頭が働き出す前にひと際大きな、声が聞こえてくる。
「まじで? あの子ほんと頭ヨワイよね」「笑えんだけど」
疲労の上いきなりの声だ。
僕は動揺してしまいそうだった……
落ち着け…僕。何気ない……何でもないことだ……
ひとつひとつはバラバラの出来事が無意識によって結び付けられているだけだ。
僕だけではないふたつ、それか三つの無意識。
だらりと血が流れていくがみんなは僕に気付かない。
たしかさっき、そのことを望んだような気がする。
中には酷いことを言っている…そんなのも、あるのだろうけど、
聞けば今度の修学旅行のこととかを交えていているだけだ。
毅然としていればいいんだ。
でなければ、相手をそんな風に思い始めてしまうことだってあるに違いないよ。
自分のことだって嫌いになる。不自由さに我を忘れて、それでいいことなんてあるわけない。
244:名無しさんだよもん
08/09/22 22:06:04 3Qrbq6ra0
もうなにがなにやら。
せめて、名前欄に番号振ってくれればいつ終わるかがわかるのに。
245:名無しさんだよもん
08/09/22 22:32:38 xmueH1Ji0
ごめん、終わりが全然見えなかったんだ。
今晩中に終わらせる。まじごめん。
246:名無しさんだよもん
08/09/22 22:59:44 xmueH1Ji0
僕はどこか縋るように念じていた。
心はすぐに乱れていた。
とそこへ
「りき、ぼーっとして、どうしたんだ?」
「えっ……?」
ちょうど真横、思ってもみないところから鈴の声がした。
耳を疑いそうになりながら、僕はきょろーと不自然な振り向きをしてしまう。
机の上に座って足をぶらっとさせている鈴。……えっ?
「えっ、えっ、うぇっ!?」
僕は新手の生命体のような奇声を上げてしまっていた。
「こわっ! りきはなにかになってしまったのか!?」
鈴の声がベッカムのアーリークロスのように切れ味を放つ。
疲れていても関係ない。走れば届く!
「鈴! ど、どこいたんだよ……! いや、って……ここにいたのっ!?? いたんだ!」
僕はウルサイくらいに鈴にまくし立てる。
ペナルティエリアに滑り込むような慌しさで駆け込んでいた。
247:名無しさんだよもん
08/09/22 23:33:51 5YE4ogiwO
まだこいつは無修正脳内オナニーぶちまけてるのか
248:名無しさんだよもん
08/09/22 23:37:03 y3A9NWzl0
ある程度まとめてから書いたほうがいいと思う
249:名無しさんだよもん
08/09/22 23:43:17 VU0ICRwx0
ちゃんとテキストファイルにまとめてからコピペオヌヌヌ
推敲もしやすい
と前スレで初SS投下した者が言っております
250:名無しさんだよもん
08/09/23 00:00:43 eL5WolaeO
読みにくい所はあるが悪くない気がするのは俺だけだろうか。
251:名無しさんだよもん
08/09/23 00:34:54 jZM4iFU60
>>248.249.250
ありがとう。読みにくい……そうだと思います。
ご指摘のまとめ方ももうちょっと上手くなりたい…
これが終わってすぐにまた何か書き出すってことはないけど、
もし戻ってくるときは向上したいと、そんな風に思ってます。
252:名無しさんだよもん
08/09/23 00:35:27 jZM4iFU60
「…………鈴っ」
「にゃあっ! やめろバカ…!」
被さるように抱きしめる。けど、出来る限りやさしく。
鈴の背中で結んだ僕の手の傷はいつの間にか消えていた。
突き刺さっていたはずの竹やりももうどこにも見当たらない。
「ためらってしまってばかりだった。……長い遠回り、してきたよ」
失ってしまった約束を取り返すように想いを込める。
砂音も、恭介の声も……どこからも聞こえない。
鈴に触れた僕の胸はまだとくとくと鳴っていて、新しい命のようだった。
「そうか……。それ、楽しかったか?」
いつもの鈴がそこにいる。
僕はそれだけで泣いてしまっていた。独りよがりな涙だ。
「ぐすっ……わかんない」
堪えようとしても止まらない。
安心してしまったせいかとめどなくあふれ出てしまいそうになる。
な、泣きたくないのに……!
253:名無しさんだよもん
08/09/23 01:04:59 PpclBuKd0
だから続けるにしても改善しろって
だらだら長時間垂れ流しはうんざりする
先に書き纏める→必要レス数計算する→番号振って書き込む
程度で良いんだからさ
254:名無しさんだよもん
08/09/23 01:06:00 gIbRa4SB0
ここまで長いなら保管庫に投稿したほうがいいような気もする・・・
255:名無しさんだよもん
08/09/23 01:08:38 ICji8E1sO
終わりが見えないと間が空いてても他の投稿者が投稿しにくいしね
256:名無しさんだよもん
08/09/23 02:54:25 jZM4iFU60
度々で済みません。一応終わらせることが…出来ました。
長時間スレを使って本当に申し訳ありませんでした。
257:名無しさんだよもん
08/09/23 02:56:39 jZM4iFU60
鈴は肩越しで泣くこんな僕を見てどう思ったのか、
子供をあやすようによしよしとする。
正直に言ってかなり恥ずかしい。
「泣きたいときは泣いてもいいんだって恭介が言ってた」
そう言うと鈴は僕の背中をぽんぽんと叩いてくれた。
「おっ、なに乙女のように泣いてるんだい?」
あまりに情けない状況の中、後ろから突然声がした。
ふと記憶の中の表情が混ざり合って、僕は警戒して身を翻した。
「どうしたんだ…理樹よ」
僕はもう一度、恭介の顔をよく眺める。
258:名無しさんだよもん
08/09/23 02:57:25 jZM4iFU60
心配そうに、曇ってしまった僕の顔を不安げに見つめて、
次の言葉が出せないでいる。……そんな、いつもの恭介だ。
「まさか鈴……お前理樹になにかしたんじゃないだろうな……」
こんな馬鹿なことだって平然と言い出すし。
「そんなわけあるかっ、ぼけ!」
とうぜん鈴は机の上からジャンピングハイキックをおみまいする。
と同時に恭介に当たってバランスを失ってしまう。
……うわあっ!
コマ送りのように落ちていく鈴。
僕はつんのめってその落下点へ滑る。―ヘッドスライディングっ
「ぐっ」「うにゃっ」
ぎりぎりで間に合ったというか、鈴は僕のせなかに尻もちをついて声を漏らす。
「……っいてて、おーい鈴ねんざとかしてないか?」
聞こえてくるのは恭介の、活発な僕らを控えめに心配する声。
背中からは……鈴のおもみが感じられる。
ズキズキと痛む背中。胸の痛みよりずっと楽な痛み。
おだやかない日常が還る。
こうしていられる、そのことがどれだけ尊いものなのか…実感が湧いてくる。
そして僕は、この限りある時間をいつまでも大切にしたかった―
終わり
259:名無しさんだよもん
08/09/23 20:45:40 2cTlaOlM0
なんつーか、人に伝える気あるのだろうか…。
もっとわかりやすく書けると思われ。
260:名無しさんだよもん
08/09/23 21:26:22 kMQC2kho0
むしろ意図的にわかりにくく書いてるんじゃないのか?
思いつくままに書き殴っても、ここまで伝わってこないものにはならんだろ。
まぁ伝える気がないなら書くのはオフラインだけにとどめておけと。
261:名無しさんだよもん
08/09/23 21:59:04 xtybPlKFO
暗い地下迷宮の通路を時風は走っていた走るその足に銃弾がかすめる。
「くっ!」
「動くな」
振り返るとそこには殺意を持った朱鷺戸沙耶がこちらに銃を向けて立っていた。「沙耶!」
理樹も駆けつけて息を呑んだ。
敵のボスである時風を追い詰めたからだ「…理樹君は知らなかったわよね。時風の正体を」
理樹はその言葉を聞いてハッとする。
(…まさか)
「教えてあげるわ」
パンッ
銃弾を受けた時風の仮面は真っ二つに割れた。
「そ、そんな…」
262:名無しさんだよもん
08/09/23 22:10:43 xtybPlKFO
「…き、恭…介」
理樹は愕然とした。理樹にとって大切な友達であり最大の理解者が今敵としてそこにいた。
「そうだ…オレが時風だ」
血で濡れた顔で笑い彼はそう言った。
「どうして…」
「…理樹、鈴が執行部にさらわれたんだ。それで俺は脅されてこんな事をやらされていたんだ!だけど、今なら奴らのスキを突く事ができる。頼む…協力してくれ」
「理樹君!騙されちゃダメよ!」
沙耶がまた銃を構え恭介に狙いをつける
263:名無しさんだよもん
08/09/23 22:24:26 xtybPlKFO
「お前はいつもオレの邪魔をするのか」
「私は…自分の願いを叶えたいだけよ!それがわがままでもね」
沙耶の目に涙が滲む
「お前は本当にわがままだな…何度もチャンスを与えたのは間違いだった…理樹の為と思ったが…」
沙耶が嗚咽をする。
「…やはりお前はこの世界から弾き出されていたんだ!」
恭介は隠し持っていた銃を沙耶に向ける沙耶もそれに反応し恭介に銃を向ける
「朱鷺戸っ!」
「時風っ!」
パンッ
264:名無しさんだよもん
08/09/23 22:25:21 xtybPlKFO
そしてR2へ…
265:名無しさんだよもん
08/09/23 22:41:48 sYWegBeo0
「という劇を考えてみたんだ。その劇の題名は・・・リトルバスターズ!反逆の沙耶R2 でどうだ?」
「おおっ、すげぇ・・・で、当然この俺の出番もあるんだろうな?」
「ああ、ある・・・お前は無実なのにも関わらず主人公に濡れ衣を着せられ、しかし主人公に忠節を尽くす騎士の役だ」
「朱鷺戸×棗・・・女男はダメです」
「なら何なら良いのかね、西園女史」
「ここは、記憶を無くした主人公に監視役としてつけられた、偽の弟を登場させてみてはどうでしょうか。
任務を実行しながらも、どこか主人公に惹かれていく偽の弟・・・これはいけます」
266:名無しさんだよもん
08/09/23 22:43:23 sYWegBeo0
自分で釣られてレスして気付いた
シンクー役で恭介のがいいなw
267:名無しさんだよもん
08/09/23 22:49:54 qOZxl4L10
>>266
ロリコン的な意味でか。
268:名無しさんだよもん
08/09/23 23:16:42 jARZGSFd0
スクレボEND後、ゲームマスターになった沙耶によって皆は記憶を改変され
恭介は沙耶達とは関係ない普通の学生として生活していた
そしてその「弟」として恭介を監視する理樹
しかし来ヶ谷によって記憶改変を免れていた鈴と接触し、記憶取り戻した恭介は呟く
「間違っていたのは俺じゃない!世界の方だ!」
西園「やっぱり棗×直枝は王道ですよね」
269:なりきり5回戦目(1/4)
08/09/23 23:20:37 jPjnDTWU0
佳奈多「五回戦行くわよ」
葉留佳「って、何か急にお姉ちゃんが仕切ってるんだけど」
佳奈多「ふふ、葉留佳貴女まだやってないんですってね。最高に恥ずかしいものを引かせてあげるわ・・・」
葉留佳「な、なんか謂れの無い復讐の的になってますヨ!?」
美魚「・・・・・・わふー」
佳奈多「葉留佳!! あなたそこに直りなさい!!」
葉留佳「さらに何か思いっきり冤罪きたー!?」
理樹「まぁまぁ、とりあえず佳奈多さん引いちゃって・・・」
佳奈多「わかったわよ・・・。葉留佳対朱鷺戸さん」
葉留佳「って、ほんとに引かれたー!?」
唯湖「執念だな。シスコンエネルギーとも言う」
佳奈多「言いませんっ」
恭介「・・・しかしまぁ」
理樹「ついに引いちゃったねぇ・・・」
鈴「何だ、どーした?」
唯湖「いや、何・・・」
小毬「あやちゃーん、出番だよ?(近くにあったダンボールを持ち上げる)」
あや「・・・ぇ?(箱の中から登場)」
一同「・・・・・・・・・・・・・・・・」
唯湖「・・・さすがだ、コマリマックス」
小毬「あやちゃん、出番だよ?」
あや「・・・あの、さ、小毬、いつから気づいてたの?」
小毬「ふぇ? いつからって、不思議なこと聞くね・・・」
恭介「ぶっちゃけ最初からだ。全員な」
あや「・・・・・・ふ、ふふふ・・・・・・」
理樹「ああ、来るかな・・・」
美魚「来るでしょうね」
270:なりきり5回戦目(2/4)
08/09/23 23:21:19 jPjnDTWU0
あや「そーよ!気づかれてないと思ってたわよ!
私に気づかずにわいわいやってるの見ていつどうやって出て行って脅かしてやろうかなんて考えて悦に入ってたわよ!
それが実は見逃してもらってたなんてね、ほんと笑えるでしょ、滑稽でしょ、笑いたければ笑いなさいよ
ほらアーッハッハって笑いなさいよアーッハッハッハッハ!!」
謙吾「アーッハッハッハ!!」
あや「わらうなああああああああ!!!」
謙吾「うおっ、エアガンの乱射はやめんか!」
真人「いってぇぇえ!? 何で俺まで打たれるんだよ!?」
理樹「ってうわ、どさくさに紛れて復活してるし」
美魚「しかしなぜダンボールなんかに入っていたのですか?」
あや「この間恭介の部屋で見た本にあったのよ。最高のサブシスタンスアイテムだって」
恭介「一応言っとくと、それゲームの攻略本な」
あや「へ? ・・・ってことは、私、ゲームの情報を真に受けて実践したってこと?」
鈴「あほだな」
あや「・・・ふ、ふふふふふ・・・、ええそーよ、あほよ!まさかゲームのアイテムだったなんて考えも」
理樹「はいはいはいはい。自虐してばっかだと話進まないからさっさとクジ引いて」
あや「あたしの一芸なんだから最後までやらせなさいよおおおおおお!!」
クド「何だか最近のリキは容赦ないのです・・・」
美魚「黒理樹・・・大いにありです・・・。黒理樹×棗。ほぅ・・・」
葉留佳「てか私のキャラ飲まれてない!?」
佳奈多「騒がし乙女の面目危うしね。これを気に落ち着きでも身につけたら?」
葉留佳「それはムリですネ。というわけで、とりゃー!」
あや「ぶつぶつぶつ・・・。はい、引いたわよ、これで満足?」
恭介「本題これからだからな。ほら、壇上上がれ。準備できたな。ファイッ!!」
271:なりきり5回戦目(3/4)
08/09/23 23:21:50 jPjnDTWU0
葉留佳「朱鷺戸さん、校内にエアガンを持ち込むのは風紀違反にも程があるわ」
佳奈多「・・・・・・(無言で頭を抱える)」
美魚「さすが双子」
理樹「いつの間にか髪型変えてカラコンまで入れてるし・・・」
クド「わふー!? あの人三枝さんだったんですかー!?」
唯湖「しかししましまだけは譲らない。葉留佳君はよくわかっている」
恭介「視点が何かエロいな」
唯湖「うむ。エロいことは正義だよ」
鈴「なんでだ」
あや「いや、べつにそんなものもってない」
謙吾「む、これはまさか?」
あや「かなたこそ、風紀委員やめたんならそういうこという必要はないんじゃないか?」
佳奈多「・・・朱鷺戸さん、そこにいるの、葉留佳なんだけど」
あや「な・・・、にゃにぃ!?」
鈴「にゃにぃ!? あたしか!?」
理樹「・・・そこでわかるんだね」
小毬「でも結構似てるねぇ」
葉留佳「ふふ、この完璧な変装。私のほうがよほどスパイ向きのようね」
佳奈多「私はあんなこと言わないわよ」
理樹「うん、わかってる。わかってるんだけど、何でか突っ込み入れられないんだ・・・」
あや「うあああ、く、悔しいー!」
恭介「あや、減点1」
あや「し、しまったぁぁぁぁ!!」
謙吾「さっきから自爆しすぎだろう、お前・・・」
美魚「さすが天然ボケスナイパー・・・、無自覚に狙ってきますね」
272:なりきり5回戦目(4/4)
08/09/23 23:22:22 jPjnDTWU0
葉留佳「理解した? 所詮あなたの他人への理解なんてその程度なのよ。わかったらその辺であひょー、とかうひゃーとか言ってせいぜい周りを楽しませることね」
理樹「・・・突っ込みどころ満載過ぎてどうしたらいいのか・・・」
佳奈多「・・・・・・・・・」
クド「か、佳奈多さんが震えてます・・・」
あや「そ、そんなんできるか! あほかお前!」
鈴「うん、あたしでもそう言う」
恭介「むしろ誰でも言うな」
葉留佳「あほ? ふふ、そうかもね。でもそのあほに変装技術であなたは負けたの。あなたはあほ以下ということなのよ。さぁ、あほ以下はさっさと」
佳奈多「葉留佳、あなたちょっとこっち着なさい」
葉留佳「あれ? ・・・何か肩すっごい力で握られてマスヨ?(大汗)」
佳奈多「あなたが私をどう見ているのかよーっく判ったわ。ちょっとあっちで姉妹の価値観の相違について、ゆっくりお話しましょう」
葉留佳「あ、あのー、ちょーっと昔のおねーちゃんをやってみただけだったんだけどー・・・、悪気とか無いですヨ? ナッシングですヨ?」
佳奈多「そうね。確かに昔の私ね。怖いくらいよく似てたわ。でもね、人間って理不尽よね。本当のこと言われると、逆に怒るのよね。悪気関係なしにね」
葉留佳「え、いや、ちょ、やば、り、りきくん、こまりん、りんちゃんへるぷぅぅぅ!!」
理樹「ごめん、無理」
小毬「ふぇ!? えーと、えーと・・・、ご、ごめんなさはい~~」
鈴「あきらめろ、はるか」
葉留佳「ええええ、見捨てられたぁぁぁ!? ってお姉ちゃん耳つかまないで引っ張らないで痛い痛い痛い~~~!!」
佳奈多「痛い? ええそうでしょうね。姉をそんな風に見てる妹にはそれがお似合いよ。さあ、さっさと歩きなさい」
葉留佳「うあぁぁ、だ~れ~か~た~す~け~てぇぇぇ・・・・」
唯湖「傍目には佳奈多君が佳奈多君を引っ張っていく光景だな。うむ、これはシュールだ」
あや「・・・・・・・・・は! そーいえば、えっと、あの、勝負は!? どうなるのよ、これ!?」
恭介「・・・あー、このオチは予想しなかったな」
クド「わふー・・・、とりあえず、あやさんの勝利でいいのではないでしょーか・・・?」
あや「・・・何か、負けた気分だわ」
273:名無しさんだよもん
08/09/23 23:23:53 jPjnDTWU0
というわけで、五回戦目置いていきますね。
しかしなんというか、はるちんはオチ担当として秀逸すぎる。
274:名無しさんだよもん
08/09/23 23:26:47 RabsQa1C0
こいつ乙だΣ(∵)
まぁはるちんだしな
275:名無しさんだよもん
08/09/23 23:38:19 i+SZIZBd0
乙
っていうかテラMGSwww
276:名無しさんだよもん
08/09/24 01:28:45 R9fi37vv0
謙吾に吹いたwww
277:名無しさんだよもん
08/09/24 02:12:21 WLUlbejn0
さすがはるちんは素晴らしいオチ要員だ!
278:名無しさんだよもん
08/09/24 07:01:35 /lV2jdLF0
はるちんにあややらせても同じぐらい笑える展開になりそうだが。
台本形式にさえ目を瞑れば、意外と面白いなこのネタ。
279:名無しさんだよもん
08/09/24 09:18:28 boTplyDH0
こういうSSというより一発ネタなものは下手に地の文入れるより
台本形式の方がやりたいネタが伝わりやすくていい。
ゲームのテキストだけ抜き出したような感じ。
280:名無しさんだよもん
08/09/24 12:17:09 mD34Aqf90
さすがはるちん、おいしいところをかっさらっていkますな~
GJ
281:名無しさんだよもん
08/09/24 21:01:14 JJZ0OPg30
何か面白いネタで妄想出来そうなやつありませんか?
282:名無しさんだよもん
08/09/24 21:21:50 BFfhBmdDO
ちょっと前に本スレで出ていた
魔法わんこクドリャフカ
使い魔ストレルカ
はいかがかね?
283:名無しさんだよもん
08/09/24 23:11:57 JJZ0OPg30
探してみましたが本スレってどこですか?分かりません。
284:名無しさんだよもん
08/09/24 23:36:01 zjzrNSi80
>>283
妄想スレのことだろう。あそこが本スレだぜ
285:名無しさんだよもん
08/09/24 23:36:32 zjzrNSi80
>>284
妄想× 考察○
286:名無しさんだよもん
08/09/25 01:22:54 bLqjRBON0
空の軌跡プレイしたが、理樹とヨシュアが妙にかぶって見えて仕方ない。
声つながりでレーヴェと恭介置き換えると余計ひどい。
このままだといつか理樹に「幻影奇襲」って叫ばせそうで怖いわ。
287:名無しさんだよもん
08/09/25 01:59:04 zX7fZbSN0
あんですってー!
288:名無しさんだよもん
08/09/27 07:39:24 PK/+IdGxO
ささみに鈴の真似させて
鈴にささみの真似を…………
289:名無しさんだよもん
08/09/27 08:06:37 A07++GyA0
むしろ理樹にさささの真似をさせてさささに理樹の真似を…
290:名無しさんだよもん
08/09/27 21:11:00 +AjmblNPO
それを見て恭介はハァハァしてるんですね、わかります。
291:名無しさんだよもん
08/09/27 21:15:04 JS/n7J/L0
裏では民安が訳わからなくなって死にそうになるんですね
292:名無しさんだよもん
08/09/27 21:16:59 l5qj+cUG0
最終的にたみーの喘ぎ声がはいるわけですね
293:名無しさんだよもん
08/09/28 01:28:38 BdlZZekZ0
結論として
たみーはエロイという訳ですね
294:名無しさんだよもん
08/09/28 01:54:14 qdRMKkmK0
酒が入った勢いで妄想をtxtに起こしたら訳わからん事になった
Kanon当時以来SSなんて書いてなかったために元々酷い構成力がくちゃくちゃだが
俺の妄想を晒そうと思う
テーマは「考えたまま文章を打つとこうなる」
295:1/4
08/09/28 01:55:16 qdRMKkmK0
空いている左手で携帯を開いて画面を覗き込む。午前1:52分。ついでに片手で操作して天気予報も調べてみる。
どうやら、雨は降らないらしい。
□■□
僕らの世界に別れを告げて、夏が終わって、秋が来て、冬が過ぎて。……僕らは三年生になった。
恭介が卒業して東京の編集社に就職した以外では、何の因果か僕が男子寮長を継いだ以外は変わりがない、
ありふれた時間の中で、リトルバスターズは笹瀬川さんに参戦してもらって何回か野球の試合をしたり、
いつものように大騒ぎを繰り返していた。
昼間になると少しだけ汗ばむくらいの季節、僕は夜の校門の前で大荷物を抱えて突っ立っていた。
荷物の正体は望遠鏡。卒業の時に恭介が残していったたくさんのガラクタの一つで、
なんでも旅先で貰った物で、自分は使わないから、と僕にくれたのだ。
この間はこれを使ってメンバーみんなで屋上で天体観測をしたりもした。
でも、今の僕が待っているのは楽しい仲間たちではなく、……その、恋人、だった。
「なんだ理樹、早いな」
鈴の音を響かせて校門を飛び降りた鈴が、開口一番そんなことを言った。
携帯の時計は一時半を僅かに過ぎた頃。待ち合わせは二時だったのだから、そう言う鈴だって充分早い。
「ところで鈴、その荷物、何?」
「これか?小毬ちゃんによると、出かける時はこれくらいのお菓子は必要らしい」
「………そう」
鈴の担いでいた「大」荷物を預かる。
「鈴こそ早いね。見回り、早かったの?」
「というより、今日はかなたがかるかと一緒に家に帰ってるから、見回りの目が甘かった」
「ああ、葉留佳さんの家に帰るって言ってたね、そういえば」
話しながら、どちらともなく歩き出す。この辺は幼馴染ゆえの意思疎通なんだろう。
296:2/4
08/09/28 01:56:20 qdRMKkmK0
「今から行くのはどこなんだ?」
「すぐ近くだよ。多分鈴も知ってると思うけど、あそこの踏み切りをこえてすぐに、
丘みたいにになってる高台があったでしょ?」
「あー、あれか、前に真人と謙吾がケンカして落っこちて大騒ぎになったとこか」
「……そんなこともあったね」
踏み切りに差し掛かる。この時間でもまだ電車は動いているようで、カンカンカンという音が耳についた。
「鈴、悪いけど携帯で時計と、あと天気予報も見てくれる?荷物で両手塞がっちゃって」
真人や謙吾は軽々と持っていた望遠鏡も、僕には少し重かったりする。
「んー、二時ちょっと前だな」
「天気はわかる?朝までもってくれると助かるんだけど」
「ちょっと待て、えっと、大丈夫……だとおもう」
「ありがとう。踏み切り、開いたね」
ぽつぽつと話をしながら歩くと、やがて高台に出た。
荷物をベンチに置いて、ぱぱっと望遠鏡の組み立てを済ます。
前に一回組み立ててたから、かなり手間取った前回よりは速く組み立ったと思う。
「よし、出来た。鈴、もう大丈夫だよ」
「ん」
鈴が望遠鏡を覗き込む。
今回の天体観測を提案したのは鈴だった。屋上でした天体観測会が気に入ったらしく、
僕にもそれを拒む理由は……まあ、「女の子と夜中に二人きりで抜け出す」なんて、
仮にも寮長の肩書きを預かる身としてはいかにもまずかったりもするんだけど……それでも鈴の希望は叶えてあげたかった。
あの世界が終わり、僕らはその、結ばれて、みんなが祝福してくれた。
297:名無しさんだよもん
08/09/28 02:50:51 NC+3lznp0
バンプの天体観測の歌詞が思い浮かんだが違ったか
298:名無しさんだよもん
08/09/28 02:59:53 anNKgHmH0
>>297
あってると思われ
299:3/4
08/09/28 03:06:13 qdRMKkmK0
望遠鏡を覗き込んでいた鈴が振り返る。鈴の目は潤んで星光を映していた。
「理樹は、最近あたしと二人で居る時、なんだか辛そうだ」
その言葉に、心臓を掴まれたような感覚を覚えた。
いつからか、僕は違和感を覚え始めていた。
みんなが創ってくれたあの世界の想い出は、断片的にしか残ってない。
時間が経って記憶が整理されていく中で、その中にリトルバスターズではない、
それどころか出会ってすら居ないはずの女の子の面影がある事に気付いたのだ。
クールで、なんでも出来て、実は抜けているところがある、そんな、名前も思い出せない「彼女」。
やがて、二人きりの時に鈴が微笑むたび、怒るたび、落ち込むたび、「彼女」の面影が重なって見えるようになった。
そしていつの間にか「僕は誰かの代わりに鈴を選んだのか?」そんな事を考えるようになった。
その答えはもちろん、毎回決まってNO。鈴は鈴だし、誰の代わりでもなければ誰かを代わりにもできない大切な女の子だ。
でもそんな懐疑心は僕の脳裏に貼り付いて離れず、その想い出自体は春の日差しのように暖かな印象なのに
それを忘れられない僕自身が、いつしか鈴に対して後ろめたさを感じていた。
僕はそれを表情に出さないように気をつけていたけど、敏感な鈴は、それを感じていたのだと思う。
僕らが出会ったばかりの関係ならどうだったか。長い時間を一緒に過ごした幼馴染であることを、少しだけ恨めしく思った。
あるいはこれは、こんなにも幸せなのに物足りなさを感じていた僕への罰だったのかもしれない。
「そっ!そんな事!」
「いや、あたしにはわかる。というより、わかってしまった」
それこそ、幼馴染ゆえの意思疎通なのか。
「あたしは、理樹を苦しめたくは、ない」
鈴の声は震えていた。
300:4/4
08/09/28 03:07:14 qdRMKkmK0
鈴は学校の方向に走り去り、それが最後の二人きりで過ごした時間になった。
次の日、どんな顔をして鈴に会ったものかと思っていたけれど、鈴は何事もなかったようにケロッとしていた。
僕はそれに甘えて、何事もなかったように過ごしてしまった。
謝ろうとは思った。けどその次の日は日直を理由に鈴と話すことを避けてしまった。
次の週は次の試合を理由に、次の月は寮長の仕事を理由に、やがて受験勉強に追われ、
かけがえのない時間は僕を置いて駆け抜けていってしまった。
□■□
高校の近くにアパートを借りて、近所の大学に通って二年目の初夏。
夜中だというのに蒸し暑い部屋で、僕は手紙を書いている。
リトルバスターズの皆とは、それぞれちょくちょく会っているけど、恭介とは………いや、鈴とはまだ一度も会えていない。
みんなから聞く分には元気でやってるらしいけれど、鈴と直接会うような気持ちにはなれないでいた。
何を話せばいいのか。どんな表情をすればいいのか。
いつからか僕は、鈴に宛てた手紙を書くようになった。言い訳と、思いつく限りの謝罪と、近況をまとめた手紙。
何度か出そうと思ったけれど、封筒に入れたまま宛名を書けないでいる手紙たち。
時々思い立っては、そのたびに初めから書き直して、机の隅に重なっていく手紙達。
「はあ……」
今日もまた、その山に新たな一葉を加えたところで視界の片隅に望遠鏡が入った。
恭介から貰った、あの望遠鏡。押入れに入れられずに部屋の片隅に置いてある望遠鏡。
何故かはわからないけど、その望遠鏡を手にとって、そのまま外に出た。
少しは力も付いたらしく、あの頃よりは手軽に望遠鏡を担ぐ事が出来た。
空いている左手で携帯を開いて画面を覗き込む。午前1:52分。ついでに片手で操作して天気予報も調べてみる。
どうやら、雨は降らないらしい。
301:名無しさんだよもん
08/09/29 02:38:01 3TGqD/0z0
小毬「ゆいちゃん、あのね、最近理樹君がいぢわるなんだよ」
唯湖「ほう。とりあえずゆいちゃんはやめたまえ」
小毬「だからね、ちょっとだけ仕返しをしちゃいたいなー、って思うんだけど、どうしたらいいかなぁ?」
唯湖「スルーか。まぁ、そうだな。とりあえず理樹君に、『最近来ないんだよー』とでも言ってみるといい」
小毬「うん、わかったよー」
数日後
小毬「ゆいちゃんゆいちゃんゆいちゃんどうしよおおおお結婚しよって言われたあああああああああ!!」
我ながら酷い電波だ。
302:名無しさんだよもん
08/09/29 02:53:10 4pJDkX7k0
終わり?
303:名無しさんだよもん
08/09/29 08:07:53 dNON7RvXO
>>301
GJ!
これシリーズ化しないかな……
今後のスレの流れに期待
304:名無しさんだよもん
08/09/29 10:32:47 quG0sjjIO
クド「来ヶ谷さん、あのですね、最近佳奈多さんがお疲れ気味なので構ってもらえないのです…」
来ヶ谷「ほう…」
クド「だからですね、少しだけ疲れをとってあげたいー、って思うんですがどうしたらいいでしょうか?」
来ヶ谷「まぁ、そうだな。とりあえず佳奈多君にコレをつけて、『ご主人様~』とでも言ってみるといい」
クド「わふー、わかりました」
数日後
クド「わふーーーー!来ヶ谷さん、来ヶ谷さん、佳奈多さんに求婚されたのですー!世間の目なんか気にしないわって言われましたああぁぁ!」
ごめん反省してる、後悔はしてないが
305:名無しさんだよもん
08/09/29 13:52:43 5vwCHl7s0
攻めるときは戦力を集中させるといいお。
近場からMGを引っこ抜いて、ライフルマンに警戒するんだお
306:名無しさんだよもん
08/09/29 14:02:08 EzdzxKGF0
>>304
いや、GJだ!
307:名無しさんだよもん
08/09/29 15:17:03 5vwCHl7s0
>>305は誤爆だから気にしないでくれ。
308:名無しさんだよもん
08/09/29 15:42:13 WDlTk73C0
全く深い意味もなくかなたんを思うがままに書いた
ひたすら理樹といちゃつくだけのSSなので、あまり内容とか追求しないでいただけるとありがたいです
突貫工事なんで、クオリティもあまり気にしないでくれるとありがたいw
いつごろから投下すればよいでしょうか?
309:名無しさんだよもん
08/09/29 15:49:48 orhK1ATc0
>>308
夜じゃね?
310:名無しさんだよもん
08/09/29 16:40:57 WDlTk73C0
では9時から投下します。
投下支援よろしくお願いしますー
311:名無しさんだよもん
08/09/29 16:50:26 5vwCHl7s0
台本形式だけはやめてくれれば何も言わないぜ。
312:名無しさんだよもん
08/09/29 19:57:26 utA4/1oqO
何で台本形式(?)をそこまで嫌うのかが分からん
313:名無しさんだよもん
08/09/29 20:56:57 NRtQAefI0
ここをSSスレかなにかと勘違いしてるんじゃない?
314:佳奈多といちゃいちゃ①
08/09/29 21:01:11 WDlTk73C0
投下します
ひたすらいちゃいちゃするSSなので、あまり期待しないでくださいw
>>313
SSスレじゃなかったのか(∵)
315:佳奈多といちゃいちゃ① 1/13
08/09/29 21:04:34 WDlTk73C0
うららかな春の陽気が、学校の中庭に差す。
佳奈多さんと二人で芝生の上に寝転がりながら、僕はその陽気を全身で享受していた。
隣で寝ていた佳奈多さんは、いつの間にかすやすやと寝息を立てていた。
今日は日曜日、殆どの生徒は校舎にいない。
リトルバスターズの皆も、今日は思い思いの場所に遊びに行っていた。
季節は3月、卒業式を終えて春休みだ。
先日僕らは晴れて進級し、恭介や寮長は卒業した。
その後の恭介(と、あーちゃん先輩もついでに)のリトルバスターズ主催、卒業式2次会もつつがなく終了していた。
そして、大きく変わったことは2つ。
僕と佳奈多さんは、それぞれ男子寮・女子寮の寮長となった。
まだ実際の業務、引継ぎなどがあるのであーちゃん先輩や男子寮長は寮会室に縛り付けられてはいたが。
その引継ぎの業務に忙殺され、やっと取れた休憩時間を今こうやって、二人で過ごしている。
もうひとつは、僕と鈴が、リトルバスターズのリーダーとなったことだ。
鈴は副リーダーを務めることに難色を示したが、僕自身が多忙の身であったので、恭介の助力も得て何とか説得した。
結果的にこの判断は大成功で、先の卒業式2次会においては(僕も仕事の合間合間で手伝う時間を見つけ、様々な団体に交渉や根回しを行ったりしたが)鈴が主体となってリトルバスターズをまとめあげ、これを成功させている。
鈴の意外な交渉スキルや統率力は僕や恭介の予想を遥かに超えていて、佳奈多さんの仕事は、もっぱら殆ど鈴の側から持ってきた提案にハンコを押してやるに止まった。
腕時計を見ると、まだ時間には数十分も余裕がある。
佳奈多さんのほうを見ると、いつもの凛々しさとは打って変わった、あどけない寝顔をしていた。
一年前はまだ薄かったここの芝生も随分と成長して、今は青々と茂っている。
今度芝刈り機で綺麗にする必要があるくらいだな、と思いながら、芝生を指で弄ったり、くるくる指先に巻きつけてみたり。
芝生のツルツルした感じは中々に気持ちよかったけれど、物足りない気持ちになる。
本当なら今すぐにでも、佳奈多さんの髪に指を絡めたいところなのだけれど、それで目を覚まさせてしまったら大変だ。
316:佳奈多といちゃいちゃ① 2/13
08/09/29 21:05:49 WDlTk73C0
それでなくとも、僕らは睡眠不足だった。
せめて平和に芝生に横たわっている時間くらい、ゆっくりと寝かせてあげたかった。
佳奈多さんの平穏な寝顔を見ていると、僕の瞼も自然に重くなってくる。
大きな欠伸をひとつしてから、ほんの少しだけ佳奈多さんに近づいて、僕は目を瞑った。
それから数十分後、僕はきっかり予定した時間通りに目を開いた。
時刻は約束十五分前、寸分の狂いもない。
寮会メンバーとして暮らすうちに、身についてしまった悲しき特殊能力だった。
「ほら、佳奈多さん」
佳奈多さんも殆ど同時に目を覚ましたようだった。
「ああ、理樹。もうそろそろ時間かしら」
「うん。十五分くらい前」
僕と佳奈多さんは腰から上だけ起き上がって、大きく伸びをする。
「午後の予定って何だっけ」
「引継ぎ書類の作成と、各同好会への説明会。それと後前年度の予算案も一度確認した後原案を作らないと」
学生としては多すぎる仕事量だったが、今の僕らは半分感覚が麻痺しているようなものだった。
「日付が変わる前に帰れればいいね」
僕は苦笑を浮かべて、佳奈多さんの頭を撫でる。
「後、仕事一つ忘れてるわよ」
「はいはい」
僕は体を捻って、佳奈多さんのちょっと歪ませた唇に軽くキスをひとつした。
佳奈多さんはくすくすと笑いながら、僕にもキスをし返した。
「起きた?」
「当然よ」
僕らは芝生から立ち上がって、もう一度伸びをした。
気持ちの良い春の日和で、まるで僕の脳まで蕩けてしまいそうだ。
まあもっとも僕も佳奈多さんも、お互いによって脳まで蕩けているようなものだったから、大差ないのかもしれなかった。
///
317:名無しさんだよもん
08/09/29 21:06:55 WDlTk73C0
購買で買ったサンドウィッチを2つぶら下げて、僕らは資料の山積みになった寮長室に戻った。
女子寮長――書きづらいのであーちゃん先輩とする――と、男子寮長は、ノートパソコンのキーボードを凄まじい速度で叩いていた。
二人ともサボるときはサボる性質なのだが、やはり仕事をするときの作業効率や速度は到底僕らの追いつけるところではなかった。
あーちゃん先輩曰く、「あんなもん慣れよ。経験経験」らしい。
「あー、かなちゃんと直枝くんお帰り。お二人でリラックスできた?」
「大いに」
佳奈多さんの横の座席に腰を下ろして、手元にあった資料をぱらぱらとめくる。
「かーっ、いいなぁ!あたしも理樹くんくらい面倒見のいい彼氏が欲しいわ」
二木さんはさっき買ったサンドウィッチの入ったビニール袋を開けて、カツサンドを僕に手渡してくれた。
お礼を言ってから、僕は外装のビニール袋を綺麗に破りとった。
「あーちゃん先輩にも彼氏とかいないんですか?」
「かなちゃんみたいな素敵な彼はいないわよー。このままじゃ青春終わっちゃうわ」
「恭介なんてどうですか。僕から話をつけましょうか」
寮会特権、取り置きのカツサンドをかじりながら軽口を叩くのは、最近の僕の昼の日常だった。
相手は真人になったりあーちゃん先輩になったりだったが、近頃は自分でもノリが良くなったように感じることもしばしばだ。
「恭介くんかっこいいけどねー。ありゃ女に興味あるってタイプじゃなさそうだ」
「棗先輩ってそっちの人なんですか?」
と、フルーツサンドをちぎっては食べ、ちぎっては食べしている佳奈多さん。
「あなたの彼、寝取られちゃうかもよ~?」
いやいやいや・・・でも時々、怪しい雰囲気を感じたりすることがあるような・・・いや、そんなことはないだろう。
恭介は僕の、一番の親友だ。そんな疑いを持ったりはしたくない。
「流石にそれはありませんて・・・」
「本当よね?」
寝取られる、のところが気になったらしい。
そんな可愛らしさにちょっと二ヤけながら、僕は手に持っていた資料をダンボール箱に投げ入れた。
「僕には佳奈多さんがいるのに、何で恭介とそっちに行かなきゃいかなきゃいけないんだよ・・・」
「ひゅーひゅー」
さっきから会話に入れなかった男子寮長が茶々を入れる。
318:佳奈多といちゃいちゃ① 4/13
08/09/29 21:08:37 WDlTk73C0
「恭介のやつ、寂しがってたぜ?寮長室貰ってからというもの、俺らと全然遊んでくれなくなったってさ」
寮長室とは、女子寮の一番端にある特別な部屋のことだ。
寮長になった生徒だけが使える部屋で、今は僕と佳奈多さんが使用している部屋のことだ。
シャワー、冷蔵庫、小さなテレビ、通常の女子寮のベッドよりもずっと大きいベッド、専用タンス。
簡素なキッチンやコンロ、食器まである。
ついでに支給されるノートパソコンを活かすためのLANケーブルも完備だ。
とはいえ、寮長の仕事は朝4時に始まり、深夜に寮に戻るということもザラ。
よってそんな設備を生かせることは殆どなく、日常的に使うのは、その大きなベッドに限られた。
「それにしてもアツアツよねぇ。結婚してるようなもんじゃない」
僕と佳奈多さんの寮長室は本来別々なのだが、僕は持てる最大限のコネとテクニックと政治的圧力を使いこなして、同じ部屋に泊まることを黙認させている。
その手腕は裏工作の名手の恭介をして、「お前天才だな」と言わしめるほどの鮮やかさだった。
元々寮長室の存在自体を知らない生徒も多いので特に問題になることはなく、その上名目上は僕と佳奈多さんは別室扱いだったので、同棲生活を送っていることを知っているのは一部の教師とあーちゃん先輩、男子寮長、恭介と葉留佳さんだけに止まった。
「僕らはこれでリラックスできるから良いんですよ」
「お互い気の済むまでイチャイチャしてなよ。見てるこっちが砂糖吐きそうだ」
「すみません」
「ただ、仕事はきちんとやってもらうわよ?かなちゃんもね」
あーちゃん先輩がぱちん、とキーボードを打つと、机の下にあったプリンタから印刷された文書が吐き出される、
佳奈多さんが残り一かけになったフルーツサンドをくわえながら、吐き出されたプリントを拾い上げる。
「これ昨年度の予算だけど、目を通しておいてね。実際の配分は後で委員会とかでの審議もあるから、あくまで目安くらいで」
「分かりました。先に予算書は作っておくので、その間あーちゃん先輩はお休みどうぞ」
「んじゃ、私もちょっと寝てくるね。後でまた」
あーちゃん先輩は仕事は終わったとばかりに大あくびをつくと、教室をさっさと出て行ってしまう。
「さ、俺も手伝うからちゃっちゃと終わらせよう。この後の予定も詰まってるから」
319:名無しさんだよもん
08/09/29 21:13:34 3cPWGSnd0
連投規制かな…
とりあえず支援
320:佳奈多といちゃいちゃ① 5/13
08/09/29 21:16:04 WDlTk73C0
男子寮長は黒板に張られたスケジュール表をにらみつけながら、僕らに言う。
「去年よりも酷いなぁ。寮会は人手不足なんだから、仕事増やしちゃだめだろう・・・」
まあ、仕方ないですねと笑って、僕はカツサンドの最後の一切れを食べ終えた。
佳奈多さんが差し出してくれた急須にお茶を注いで、いざ仕事開始だ。
///
仕事は困難を極めた。
まず予算の作成というのが難問だった。
去年の決算や前年度予算、前々年度予算を参考に予算を組み上げていく作業なのだけれど、この配分が難しい。
後で委員会で審議・改訂が加えられるのだが、原案でどれほどの予算が計上されているかは部の獲得する予算に直接関わってくる。
そのため部や同好会はあの手この手で原案予算を増やそうと張り切っている(時には顧問の先生を巻き込んで、予算に関して嘆願にきたこともある)。
様々な力関係や政治的圧力が存在している中で、この予算を改訂し実情に沿ったものにするのは並大抵の労力ではない。
「前年どおり、というわけにも行かないわよね」
「そうだね。リトルバスターズにも予算枠をあげるわけにもいかないかな」
「一応同好会申請はしてあるんでしょ?同好会予算としてなら計上が可能じゃないかしら」
「他の部の反発を招きかねないよね。リトルバスターズに寮会は掌握された、って」
「その時の支持勢力はソフトボール部と家庭科部、剣道部くらいかしら。可決は無理ね」
「予算計上するだけして、後は鈴と来ヶ谷さんに任せるとか」
「まぁ、可決される可能性は低いだろうけど。私たちも、時間がないんだからそれでいいんじゃないかしら」
「オーケー」
僕は表計算ソフトの最後の行に『LB』として、その下に同好会予算の基準額を打ち込んだ。
上書き保存のショートカットキーを押して、少し待ってからノートパソコンから刺さっていたフラッシュメモリーを引き抜いた。
「佳奈多さんも悪くなったね、リトルバスターズに予算を支給するなんて」
「あなたほどじゃないわね。棗先輩より性質が悪いわ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
席を立ったついでに、佳奈多さんの頬に軽いキスを落とす。
佳奈多さんはちょっと恥ずかしそうな顔をしたが、すぐにまたノートパソコンに向かい合った。
321:名無しさんだよもん
08/09/29 21:16:25 Kq4IcSvE0
SS保管庫に~とおもったがエロ要素があるならムリか
322:佳奈多といちゃいちゃ① 6/13
08/09/29 21:17:36 WDlTk73C0
男子寮長が無糖アイスコーヒーをがぶ飲みしている席に近づいて、フラッシュメモリーを渡す。
「こんな感じでいいでしょうか?」
「佳奈多ちゃんの分は終わったのかい?それを見ないと何とも言えないな」
「佳奈多ちゃんは止めてください」
「いけないの、いつもこっちの彼には"そういう時に"色々呼ばれてるんじゃないのかな?」
「そこは二人の秘密なので」
「理樹も少し言葉を選びなさい。それじゃまるで、私がその、"そういう時に"ヘラヘラしてるみたいじゃない」
頬を赤らめて、極力視線をこちらに向けないようノートパソコンのモニタを凝視している佳奈多さんはやっぱり可愛らしい。
さっきからニヤけっぱなしの顔を直すこともせず、もう一度キスを落として佳奈多さんの隣の席に戻った。
「しかしいつから名前で呼び合う仲になったんだい?理樹ー、だの佳奈多さんー、だの」
「秘密です」
「絶対教えません」
「ちぇっ」
予算の原案の作成が終わり、説明会へのスピーチ案を練りながら、残りのジャムサンドを食べ、
昨日作成した書類にミスがないかを点検しながら体育館の裏側で出番を待ち、佳奈多さんと共にそのスピーチを一学年の全生徒相手に話し終えた。
ここまで僅か2時間である。
一時間以下で作った急ごしらえのスピーチだったが、佳奈多さんの抜群の説得力と僕のアドリブ能力のおかげで、盛大なる拍手を得ることができた。
男子寮長やあーちゃん先輩は口々に「いい後継者がいてよかったわ」、「最強のコンビだな」と褒めそやした。
説明会が終わったのが夜7時、さて夕食はどうしようかなどと考えていると、寮会室のドアがこんこんとノックされた。
「リキー、佳奈多さーん、お夕食の差し入れですっ」
ドアを僕が開けると、そこにはステンレスのカートを押してきたらしいクドと鈴が立っていた。
土鍋の飯ごうとまだ湯気の立っている味噌汁、ラップで綺麗に包んだ煮物などがカートに乗っていた。
「わふ、リキ。こんばんわ。1階からここまでの直通エレベータ、すごく便利ですね」
「うん、便利だった。できれば、いつでも使えるようにしてほしいな」
どうやら1階から、最上階のこの階までエレベータを使ってカートを持ってきたらしい。
クドはカートをがらがらと押しながら、寮会室に入ってきた。
323:佳奈多といちゃいちゃ① 7/13
08/09/29 21:18:56 WDlTk73C0
さながら小さな専属コックのようだった。
「夕飯を多めに作ってきましたので、皆さんでお食べください。出来ればあったかいうちにどうぞ、なのですっ」
「クドリャフカに、私も料理を教えてもらおうかしら」
「佳奈多さんならいつでも大歓迎ですよ。家庭科部室に、今すぐかむ・おん!なのです!」
「ふふ、ありがと」
クドの髪の毛を梳くように佳奈多さんが撫でると、クドは顔を赤らめて、わふっ、と声を上げた。
「理樹。リトルバスターズの"よさん"、用意してくれたのか?」
「可決されるかどうかは鈴次第だよ。委員会は来週だから、それまでに頑張れば何とかなるかもしれない」
「うーみゅ・・・とりあえずはるかやくるがやと相談してみる」
「僕も佳奈多さんも出来る限り手伝うけど、あんまりあてにはしないで。多分時間がそんなに取れないから」
「大丈夫だ。あたしは、何と言ったってリトルバスターズの"ふくりーだー"だからな」
えへんとばかりに胸を逸らす鈴。
少し危なっかしげだけれど、今の鈴はとても頼りになる存在だった。
「ごめんね。今引き継ぎの関係でバタバタしてるけど、4月に学校が始まってちょっとしたら暇になるから」
「うん、わかった。理樹もかなたも時間を見つけてあそびにこい」
クドと鈴は先に夕食を食べたそうなので、2人はもう一度僕らに挨拶して去っていった、
カートは家庭科部室のある棟の中に置いてくださいとのことだったので、僕らはさっそく夕食を頂いた。
さすがクドお手製といった感じで、食堂で食べるものとは格が違う夕食だ。
土鍋の飯ごうに入ったご飯にはところどころ焦げがついていて香ばしい。
湯気を立てる味噌汁はどうやらワカメのようで、クド拘りの逸品をふんだんに使用しているものであるようだった。
また煮物はしっかりと味が染み込んでいて、昆布らしい出汁の味が利いている。
その上クドらしい気遣いで端のほうにたくあんまで付いていたので、ご飯も煮物もすぐに完食してしまった。
「かなちゃんは、直枝くんに料理作ってあげたりはしないの?」
あーちゃん先輩は食後の緑茶をすすりつつ、何とも和やかな表情を浮かべてノートパソコンを見ている。
「美味しいですよ。佳奈多さんの手料理」
「理樹、それはあーちゃん先輩にバラさない約束でしょ」
324:佳奈多といちゃいちゃ① 8/13
08/09/29 21:19:49 WDlTk73C0
「なになに二人で『食べてみて理樹』『美味しいよ、佳奈多さんの作るものならなんでも』『理樹・・・』『佳奈多さん・・・』みたいなことまでやってたわけ?」
「やってませんっ」
実際はそれに近いことをやっていたりするのだが、さすがにそこまで言うのは止めておいた。
その後キスだけに終わらず、その場で佳奈多さんを抱いてしまったからだったが。
あの日は寮長室を貰った次の日だったので良かったが、共同炊事場でそれをやったら今頃どうなっていただろうか。
「確か理樹くんも料理作れるんだろ。これからの時代、男も料理できなきゃいけないんだろうなぁ」
同じく緑茶をすする男子寮長が呟く。
「今の女は料理作れない奴も多くてなぁ。それくらい基本ステータスだっつうの」
「からっきしダメだわ」
「あーちゃん先輩は料理できないんですか?」
「まあやることが少なかったからねぇ。多分練習すれば出来るようになるんじゃないかな」
「やっといたほうがいいんじゃない?男視点から見たら、重大要素だぜ」
「適当に時間見つけて頑張るわよ。ご馳走様でしたっと」
食器の片付けに入ったあーちゃん先輩の前で、佳奈多さんは僕のほうを見る。
「私とクドリャフカの料理、どっちがおいしかった?」
何とも典型的な、答えにくい質問の代表例が飛んでくる、
「えーと・・・その」
「やっぱりクドリャフカのほうが上手よね・・・」
佳奈多さんが受けたショックは意外と大きいらしく、意気消沈したように肩を落とした。
僕は何とかフォローしようと、色々迷ったあげく、とりあえすこう言ってみることにした。
「佳奈多さん補正で佳奈多さんの料理のがおいしいと思うよ!」
男子寮長もあーちゃん先輩も、佳奈多さんも驚いた(呆れた)ようにこっちを見る。
「佳奈多さん補正って何なのよ」
「料理には愛情、みたいな」
「・・・っ!」
真っ赤になった佳奈多さんを見ながら、佳奈多さんの唇の端っこに付いていたご飯粒を指で取り除く。
それを口に運んで飲み込んだところで、あーちゃん先輩の中断命令が下される。
「あーあーはいはい、ご馳走様でした。皆さん片付け片付けー」
男子寮長もつまらなそうにお皿をカートの上に乗せて、僕らにご馳走様と言った。
僕も苦笑して、すみませんでしたと謝った後に皿を片付けに入った。
325:308
08/09/29 21:30:03 Y4bTG8bqO
携帯から
326:308
08/09/29 21:31:29 Y4bTG8bqO
携帯から
連投制限とバイト数の規制厳しいorz
327:名無しさんだよもん
08/09/29 21:31:49 3cPWGSnd0
支援 >>321 最近SS保管庫は鯖移転してエロ可になった。絵はエロ不可のままだけど
328:308
08/09/29 21:32:56 Y4bTG8bqO
携帯から
329:佳奈多といちゃいちゃ① 9/13
08/09/29 21:37:09 WDlTk73C0
///
昨日から続いている引継ぎ資料のある程度の完成を見たところで、時刻は10時を回っていた。
大半の時間は引継ぎ資料に費やされ、また明日は手直しや点検などの仕事が待ち受けている。
この寮会室に釘付けの日々は、まだ終わりそうにない。
それでも一日のノルマが終わるとほっとした気分になるのは事実だった。
僕ら四人は今日一日の健闘を讃えあい、明日も続く地獄の行進を励ましあった。
僕と佳奈多さんはカートを押しながら、寮会室を出た。
外に出ると一片の雲もない夜空が輝いていて、しばし僕らはその美しい眺めを鑑賞した。
夜空の校舎で男女二人が仲良く、カートをがらがらと引っ張りながら歩く光景はさぞ異様だっただろう。
寮長室のある校舎から家庭科部室のある特別棟まではすぐ近くだ。
そのままカートを中に入れて置いておこうかと思ったが、皿を洗って返したほうがいいだろうということになった。
クド一人に洗い物を押し付けるのは、僕も佳奈多さんもすっきりしなかったからだ。
家庭科部室は閉まっていて誰もいない様子だったが、ポケットから取り出した鍵の束から家庭科部室の鍵を見つけ出して、鍵穴に挿し込む。
すぐに鍵はがちゃりと空いて、落ち着いた和風空間が姿を現した。
きちんと整理されたキッチンを借りて、皿洗いを始める。
とはいえ四人分で、一人当たりのお皿の数も少なかったから、僕と佳奈多さんの2人でやればすぐ終わる量だった。
洗剤を少しつけたスポンジで皿や茶碗を拭き、乾燥棚にひとつひとつを丁寧に乗っけてゆく。
佳奈多さんとこうやって二人で家事のようなことをするのも悪くはないなと、慣れた手つきで皿洗いをこなす佳奈多さんを見て思った。
ものの数分で皿は片付いて、カートも綺麗に雑巾で拭き終わる。
僕は銀色のステンレスのカートの上に『クドへ 夕飯ありとう 理樹 佳奈多』と書いたメモを置いて、家庭科部室を後にした。
特別棟のすぐ横に、女子寮新館の裏手にある寮長室への階段がある。
少し前まであーちゃん先輩の住んでいたそこは、僕と佳奈多さんの専用の空間となっていた。
今日の仕事で忘れているものが無かったかを確認しながら、僕らは階段を上った。
330:佳奈多といちゃいちゃ① 10/13
08/09/29 21:39:11 WDlTk73C0
ひとつしかないドアに、前を歩いていた佳奈多さんが鍵を差してドアノブを捻る。
ドアを開けた玄関先で、僕らは突然磁石に引き付けられたかのように抱き合った。
「理樹・・・」
「佳奈多さん・・・」
開けたドアが自然に音を立てて閉まるのと同時に、僕らは深いキスをしていた、
お互いの唇を割って、舌を絡め合わせる。
もう幾度も味わった佳奈多さんの唾の味だけれど、飽きるどころかキスをするたびにおいしくなるような気すらした。
次第にとろんとした目つきになる佳奈多さんの腰を左手で支えつつ、右手をスカートの中に潜り込ませる。
下着の上から佳奈多さんのそこを撫でると、ちょっと佳奈多さんは嫌そうな顔をした。
キスを一旦止めて、唾のブリッジが僕らの間に落ちたところで、佳奈多さんが口を開く。
「ここですると、服に皺が付くわよ」
「明日アイロン掛ければよくない?」
「スカートとかあなたのズボンとか、汚したらどうするのよ」
もう一度佳奈多さんとキスを交わした後、僕は渋々ながら佳奈多さんを解放した。
「制服姿の佳奈多さんと、一度してみたいと思ってたんだけど」
「学校を卒業した後なら、考えてあげてもいいわ」
「それじゃつまらないんだよ」
「理樹・・・あなた変態なのね。変態。制服フェチなの?」
「佳奈多さんだからだよ」
「おだてても、させてあげないわよ」
佳奈多さんは余裕しゃくしゃくで靴を脱いで、リビングへと向かう。
僕も苦笑しながら靴を脱いで、佳奈多さんの靴と僕の靴を同じ靴箱に入れた。
///
「明日何時起きだっけ」
「5時じゃなかったかしら・・・」
「ごめんね」
「理樹の変態」
331:佳奈多といちゃいちゃ① 11/13
08/09/29 21:40:15 WDlTk73C0
僕と佳奈多さんは抱き合いながらベッドの中にいた。
そういうことをした後だったので、しばらく佳奈多さんとずっと唇を合わせ続けたままだったのだが、いい加減息が苦しくなったので、キスを止めて深呼吸した後だった。
柔らかい佳奈多さんの肌や胸の感触を感じながら、髪の毛を梳くように撫でる。
髪の毛はさらさらと僕の手から零れて、佳奈多さんの香りを立てた。
佳奈多さんはシャツを前だけはだけて、僕は裸という格好だ。
シャツ越しの感覚も悪くはなかったけど、やはり直に佳奈多さんを抱き締めたいと思った。
だけれど、いつもそれだけは佳奈多さんは嫌がった。
「あなたはよくても、当の私が気持ち悪くなるのよ。せっかくしてるのに、あまり気を散らすようなことをしないで」
とは佳奈多さんの弁だった。
佳奈多さんの胸を軽く揉みながら、僕は佳奈多さんの額にキスをした。
「胸を揉まれてると、寝られないんだけど」
「事後の余韻は何とやら、でしょ。少し我慢しててよ」
「・・・ごめんなさい」
「いいよ。佳奈多さんのおっぱいが気持ちよさすぎるだけだから」
「こうすれば、いいかしら」
ちょっと佳奈多さんは距離を置いて、僕のほうに向いていた体を水平にする。
佳奈多さんは体勢を変えて、胸を揉み易くしてくれた。
「ありがと」
佳奈多さんの胸を存分に揉みしだきながら、再び僕と佳奈多さんは熱いキスを交わす。
胸の先端がまた少し硬くなってきたのを感じた。
乳首をこねたり、摘んだりしてやると、佳奈多さんはまたちょっと顔を赤くした。
「ねぇ佳奈多さん、今だけシャツ、脱がせちゃダメかな」
「・・・いつも言っているでしょう。それだけは理樹にもダメ、よ」
佳奈多さんは諦めなさい、とばかりにキスをしてくる。
「もう今日はしないから。抱き締めるだけ」
「胸は揉まなくていいの?」
「それより、佳奈多さんをぎゅっとしたいんだ」
「ばか」
佳奈多さんは僅かばかり迷うように僕を見たあと、こくりと小さく頷いた。