リトバス妄想スレPart10at LEAF
リトバス妄想スレPart10 - 暇つぶし2ch150:3月の雨 1/19
08/09/19 00:24:26 ZvRAfi+q0
 暦の上では春を迎えようかという、季節の境目。
 それでも夜はまだ長く、深夜を迎えた住宅地はたまに通る車の音だけを響かせて、静かに眠りについていた。
 そんな深夜0時半。ベッドの中で恭介は、眠れずに苦しんでいた。
 明日も朝早くから、新米雑誌編集者としての仕事が待っている。だからさっさと眠ってしまえばよかったのだが─

──

 “……また俺は、繰り返してしまったのか”
 “…あんなに鈴を傷つけてしまったのに、また俺は同じ事をしてしまったのか”

 鈴を泣かせてしまった事を、苦しませてしまった事を、恭介は悔やんでいた。
 リトルバスターズ全員に、恭介は伝えていた。
 もし鈴から電話があっても、出ないでくれ。着信拒否リストに入れておいてくれ、と。

 これから鈴は、俺と、ねこしかいない、リトルバスターズとは隔絶された世界へと、漕ぎ出していく。
 そんな時に今までのつながりを残したままでは、きっと過去を振り返ってしまう。
 みんなにも迷惑がかかるし、携帯電話の通話料がかかりすぎる。

 “……俺はまた、間違えてしまったのか…” 


   今日は、鈴が学園の寮を引き払う、期限の日だった。
   リトルバスターズのメンバーはすでに、それぞれの進路へと散らばっていった。
   真人と西園、それに笹瀬川は地元に帰り、大学へ通う。謙吾は実家に戻り、地元の警察に就職した。
   小毬・来ヶ谷・理樹・能美は東京へと移り住み、大学へ通う。
   そして三枝と二木は、誰にも何も言わず、忽然と姿を消していた。

   だが鈴は、進学も就職も、何もしなかった。楽しいこと以外、何もしたくなかった。
   そして恭介は、そんな鈴の言い分を、受け入れた。
   卒業したら俺の所へ来い。飯ぐらいは食わせてやる。と伝えていた。

151:3月の雨 2/19
08/09/19 00:26:05 ZvRAfi+q0
   鈴を学園まで迎えに行く道すがら、恭介は鈴がどんな顔をしているのか、ずっと不安でいた。
   皆と離れることを悲しんではいないだろうか。ちゃんとお別れはできたのだろうか。そもそも、俺が鈴を支え

ることを、鈴は快く思ってくれているのだろうか。
   思考を巡らせつつ一年ぶりに学園を訪れると、正門の前に、鈴が立っていた。
   大きなボストンバッグをひとつ、肩から提げたその表情は、いつも通りの堂々とした物だった。
  「恭介」
  「よう、久しぶり」
  「…これから、よろしく」
  「おう」
   普段よりも少しか細い、それでも普段どおりの堂々とした鈴の口調が聞けて、少し安心した。

 扉を開く音が聞こえる。続いて、たしたし、と廊下を歩く音が聞こえる。
 トイレに起きて来たのだろうか。目を閉じてベッドに横たわる恭介には、鈴の姿が見えなかった。
 しかし足音は途切れることなく、どんどん大きくなっていく。
 そして、恭介の部屋の前で、止まった。
 部屋のドアノブが回り、ぎぎ、と軽く音を立てて扉が開く。
 閉じた瞼にも、廊下の明かり入り込んできた事がわかる。
「……恭介」
 そして、鈴の声が聞こえる。
 それはとても弱々しく、途切れがちなものだった。
「…さっきは、ごめん」
 予想外のしおらしい言葉に、恭介は拍子抜けした。
「これからは恭介が、あたしのことを守ってくれるのに」
「あたりちらしちゃって、………ごめん」
 そんなことはどうでも良かった。
 恭介にとって一番大事なのは、鈴がひとりでも、生きていけるようになること。それだけだった。
 リトルバスターズのみんなと一緒に居続けて、確かに鈴は成長したが、まだ不十分だった。
 人見知りもあまり直っていないし、ひとりで買い物に行くのにも、まだまだ難儀する。 
「みんなとおわかれするとき、あたしは、約束したんだ」
「強くなる、って」
「みんなとあえなくても、がんばって生きていくんだ、って」

152:3月の雨 3/19
08/09/19 00:28:10 ZvRAfi+q0
   学園を出て近くの駅まで移動し、ローカル線から新幹線に乗り換えて東京の少し手前で降りる。
   市営地下鉄に乗り換えて家のそばの駅で降りるまで、鈴は言葉を発することもなく、ただ恭介の後ろをついていくばかりだった。
   家のそばに猫好きなおばさんがいるから、その人と仲良くなれば、猫を連れて帰れるかもしれないぞ、と恭介が言ったが、一匹ずつじゃそいつがあとからいじめられるから、駄目だ、と拒んだ。
   それが、鈴が学園から恭介の家に向かう途中で、初めて発した言葉だった。
   恭介が暮らすマンションに鈴を招き入れ、この日のために冬のボーナスをはたいて誂えた部屋を見せた。
   しかし、ベッドにも、テレビにも、そして無数に用意したねこのぬいぐるみにも、鈴は興味を示さなかった。
   すっかり何をしていいかわからなくなった恭介は、時間も早かったが、夕食を用意した。
   スーパーで買った出来合いの料理を並べただけだったが、一品だけ、麻婆豆腐を自分で作って食卓に並べた。

   久しぶりに、ふたりだけで食卓を囲む。
   いただきます、と手を合わせる。
   「鈴は辛いの、大丈夫だったよな」
   「…ん」
   恭介の言葉に促されて、麻婆豆腐をひとつ口に入れると、少し顔をしかめたが、そのままもぐもぐ、と口を動かした。
   それから水を一口飲んで飲み下すと、意を決したように鈴が口を開いた。
   「恭介」
   「ん?」
   「教えてくれ」
   全く意図しなかった返事が返ってきた。
   「さいきんあたしは、ずっと胸がもやもやしてるんだ」
   「別に恭介と暮らすことがイヤなんじゃない。それはむしろ、楽しみだ」
   「部屋だって用意してくれて、ねこだっていっぱい用意してくれた。それはうれしかった」
   恭介は安堵した。
   俺がやってきたことは、鈴に届いていたんだ。無駄じゃなかったんだ……と思った。
   それでも鈴の話は続いていく。
   「時間はかかるけど、あたしは前にすすんでいける」
   「こまりちゃんやリトルバスターズのみんなから、いっぱい勇気をもらったから」

153:3月の雨 4/19
08/09/19 00:30:14 ZvRAfi+q0
   「なのになんでずっと、あたしはもやもやしてるんだ? もやもや病なのか?」
   それは脳疾患の一種だったが敢えてツッコまなかった。そんな場合ではなかった。
   代わりに、鈴の悩みをほぐそうと、言葉を選んで、話を始めた。
   「何が原因なのか、わからないのか?」
   「うん……あんまし、わからん」
   「みんながいなくなって、寂しいのか?」
   「それ……も、ある」
   鈴の声がくぐもった。それを察した恭介は、さらに詳しく訊いた。
   「まぁでも、会いに行こうと思えば会いにいけるからな、来ヶ谷とか」
   「それはいやだ」
   かぶりを振る鈴の表情が、その嫌さ加減を物語っていた。
   「小毬だって電車一本乗り継げば、遊びにいけるぞ」
   「こまりちゃんなら、ここにいるから」
   そう言って鈴は、ポニーテールの根元につけている『願い星』にそっと触れた。
   別れ際に『いちばんのなかよしさんの証』として、小毬が鈴にくれたものだった。
   「ちょっと骨が折れるが、会いに行けないこともないしな。能美や、理樹も」
   「!………」
   理樹の名前を聞いたとたん、鈴が息を呑んだ。
   そしてその表情が、今までに見たことのない変化を始めた。
   「そうだ……今、恭介に言われて、はじめてわかった……」
   「あたし……」

「……理樹のことが、ずっと、ずっと好きだった」
 あまりにも近くに居過ぎて気づけなかった恋心に、鈴は今日、初めて気がついた。
「でも……もう遅いんだ」
 そして、気づいた時には、全てが手遅れだった。
「だってもう……理樹は、クドのものだから」
 理樹とクドリャフカは高校在学中に交際を始め、ふたりで宇宙飛行士を目指す為、茨城の大学へと進学した。
 今頃新しいアパートで荷物の整理も終え、ふたりともぐっすりと休んでいる頃だろう。
「あたしは理樹に、もう………好きだってゆえないんだ」
 ここから電車で行くにしても、ゆうに2時間以上かかる。簡単に行ける距離ではない。
 心理的にも、距離的にも、鈴と理樹は遠く離れてしまっていた。

154:3月の雨 5/19
08/09/19 00:31:44 ZvRAfi+q0
   「……あたしは、理樹がいないとだめなんだ」
   「ずっとちいさい頃から、あたしが恭介のうしろばっかりついていた時も、理樹はそばにいてくれたんだ」
   「女の子みたいな外見だったから、馬鹿ふたりにくらべて安心できた」
   「だから理樹にだけは、こころの底から安心して、はなしができたんだ」
   鈴は自分が思っていた事を、全て並べ立てようとしていた。
   それが結果として鈴を傷つけ、奈落の底へと叩き落としてしまう事になるのに。
   「あたしは人見知りだし、人がおおぜいいるところにも行きづらい」
   それでも鈴は、坂道を転げ落ちるようにあふれ出る言葉を止めなかった。
   「だからリトルバスターズといっしょにいられた高校時代は、とってもたのしかったし、あたしがいちばん落ち着けるばしょだった、でも」
   段々と、声が震えだす。
   鈴の向かいに座っていた恭介は、席を立って鈴のそばに移動した。
   「もう……ないんだ」
   「リトルバスターズは、ちりぢりになってしまったんだ………」
   鼻をすすり上げる音が聞こえる。鈴の感情が決壊するのは、時間の問題だった。
   「ささみ、くるがや、みお、はるか、ふたき、クド、こまりちゃん、それから馬鹿ふたりに……理樹」
   最後の名前を口にすると、鈴の言葉はさらに勢いを増した。
   「あたし、やっぱりばかだ」
   「こんなときになって、じぶんの気持ちに気づくなんて…あたしばかだ」
   鈴の両目から流れる涙は、もう止められなかった。
   「理樹にないて、すがりついて止めればよかったんだ」
   「でもそうしたら理樹はゆーじゅーふだんだから、理樹をこまらせることになる」
   「クドもこまらせることになる。だから、だめだ」
   「だから、あたしががまんするしかないんだ」
   「でも、いやだ……みんないなくなっちゃうなんて、いやだ……いやだ…よぉ………」
   流れる涙を抑えも拭いもせずに、椅子に座ったそのままの体勢で、いやだ、いやだと鈴は泣き続けた。
   恭介が鈴の肩に手をかける。
   心配するな。お前がひとりでも生きていけるようになるまで、俺が面倒を見てやるから。
   そんな思いを、込めながら。

155:3月の雨 6/19
08/09/19 00:34:22 ZvRAfi+q0
   やがて鈴は携帯を手にすると、理樹に電話をかけた。
   理樹と直接、話をしたかったらしいが、恭介は黙って見ていた。
   電話がつながらない事がわかると、登録されている電話番号へと片っ端からかけまくった。
   小毬からクドリャフカ、美魚に葉留佳、二木や笹瀬川、そして来ヶ谷。果ては真人や謙吾にまで。

   でも、応答は全て同じ『おかけになった番号は、お客様のご都合により、かかりません』だった。 
   みんなが、恭介の言うとおりにしていた。
   恭介は全員に感謝すると同時に、鈴がこの事に対してどうリアクションをとるのか、瞠っていた。
   「おかしいだろ!」
   鈴は、噛み付いてきた。
   「ひとりだけならまだわかる。全員おなじ理由で電話がつながらないなんて、ぜったいにおかしいっ」
   いくら鈴がそう言っても、恭介はとぼけた顔で鈴を見るばかりだった。
   やがて鈴にいくら言っても無駄であると分かると、鈴は「恭介のばかっ」と泣き叫びながら、部屋に閉じこもってしまった。

   そして、今ここに至っている。


 いつまでも鈴と一緒にいられればいいのに、と思ったこともある。
 でもその先には、闇しかない。
 そんな中にいつまでも、大切な妹を置いておけるわけがない。

 俺は鈴がひとりになっても歩けるように、鈴を強くする義務がある。
 永遠に繰り返される6月20日の中、何度も何度も繰り返した、あの出来事のように。
 俺の生半可な想像で生み出された世界なんて、かわいいもんだ。現実は想像以上に多様で、過酷だ。
 鈴と衝突することも何度となくあるだろう。家出だってするかもしれない。生傷だってきっと、絶えない。



「恭介、もうねてるんだろ?」
「………だから、ねたままでかまわないから、お願いがある」

156:3月の雨 7/19
08/09/19 00:35:36 ZvRAfi+q0

 

 

            “ ひとばんだけでいいから、理樹……理樹の、かわりになってくれ ”

 

 


157:3月の雨 8/19
08/09/19 00:40:56 ZvRAfi+q0
 鈴の言っていることが、一瞬、理解できなかった。
 朧気になり始めた意識が、不安げにさざめきだす。
 五感を研ぎ澄まし、鈴の様子を窺う。
 ………乾いた雨の音………ベランダの柵をぱらぱらと叩く、金属的な雨の音………風にたなびく公園の木………
 そして、鈴が動く音。
 でもその音には、何かが足りなかった。
「そうしたらあたしは、ずっと強くいきていく」
 フローリングの上を歩く、ぺたぺた、という音だけが恭介の耳に届いていた。
「みんないなくっても、猫といっしょに、ずっとずっと、いきていく」
 音がベッドの横まで来て、そこで止まる。
 太陽と、猫の匂い。恭介が知っている、いつもの鈴の匂いが、そこにあった。
 ただ、恭介はその匂いに違和感を覚えていた。
「……『理樹』」
 鈴の声に、ねっとりとした質感が加わった。
 そしていつも慣れていた鈴の匂いに、心を躍らせる何かが加わっていた。
 もしかしたら。と恭介は一瞬思ったが、それを形にすれば取り返しがつかなくなるような気がして、押し留めた。

「…そっち、いくぞ」
 鈴が恭介の掛け布団をめくる。
 恭介の体が、外気に晒される。
 一瞬身を震わせた恭介の体に、鈴の体が寄り添う。
 そして、ふたりの体はひとつの布団に、おさまった。

 その瞬間、恭介は、ずっと感じていた違和感の正体を、理解した。

 鈴は、服を着ていなかった。
 パジャマの上からでも感じられる肌の感触で、それを理解した。
「『理樹』………おまえはずっと、いいにおいがしてた」
「おかあさんみたいな匂いが、してた」
 鈴にとって今、自分の隣に寝ている人は『理樹』だった。
 偽りでもなんでも良かった。理樹に自分の思いが遂げられれば、それを糧にして自分はずっと生きていける。
 そう鈴は、強く思っていた。

158:3月の雨 9/19
08/09/19 00:42:43 ZvRAfi+q0
「男なのにおかあさんっていうのも、ヘンだけどな」
「でもにおいがしたから、しょうがないんだ」
 ベッドの中だけで聞こえる、小さな、小さな声で、鈴は言った。
「だから、安心できる」
 鈴は『理樹』の体に手を伸ばして、もたれかかるような体勢をとった。
「んぁ…………」
 溜め息のような声が、鈴の口から漏れる。
 それは安堵の溜め息のようでもあり、恍惚とした吐息のようでもあった。
「『理樹』………」
 鈴が鼻先で『理樹』のパジャマの合わせ目をなぞる。
 ボタンとボタンの間から覗く素肌から、やさしい匂いが鈴の鼻腔に届いていた。
「『理樹』………すきだ」
 鈴の動きが、大胆になってくる。
「もっと『理樹』のにおい、あたしにもくれ」
 手を伸ばして『理樹』に覆いかぶさる。
 鈴はもっともっと『理樹』にくっつきたいと思った。
「………ねてるから、いいよな?」
「パジャマの前、開けるぞ?」
 胸のボタンをおずおずと、でもいそいそと、はずしにかかる。
 ぽろ、ぽろ、とボタンが外れていく。
 そして『理樹』の胸板が露になると、鈴はその匂いを夢中で嗅いだ。
「んぁ………やっぱり、いい匂いだ」
「『理樹』………『理樹』………」
 鈴と『理樹』の肌が、直接触れ合う。
 鈴は『理樹』の胸に鼻を押し当てたり、頬ずりしたり、いとおしそうに戯れていた。


   恭介は、襲いかかる様々な出来事に翻弄され、全く動けずにいた。
   兄として鈴を守る義務感と、初めての体験への不安。そしてその相手が血を分け合った妹だという、背徳感。
   鈴と恭介、ふたりはその微妙なバランスの上に、不安定な形で存在していた。
   そしてこの特別な空間が、今の鈴にとって唯一の心の支えであるということも、恭介は理解していた。

159:3月の雨 10/19
08/09/19 00:44:27 ZvRAfi+q0
「『理樹』……けっこうガタイいいんだよな」
 頬を紅潮させながら、鈴は『理樹』の胸の上で、夢見心地につぶやいた。
「…ほかの馬鹿どもがデカすぎるからわからなかったけど、『理樹』も男にしては、背が高いほうだもんな」
「肩幅もあるんだな、『理樹』」
 鈴の顔が、無遠慮に『理樹』の胸をのぼっていく。
 鎖骨のあたりに、鈴の舌が這わされた。
 ぴくっ、と『理樹』の体が反応する。
「……んゃ?」
 だらしなく開いた鈴の口から、言葉にならない声が漏れる。
「きもちいいのか?『理樹』」
 鈴がいたずらっぽく言う。
 そして自分の胸を、『理樹』の胸にこすりつける。
「んゃ………っっ」
 鈴の背骨に、快楽の電流が流れる。
「……ふにゃ………んっ………ゃ……」
 胸と胸を合わせる行為に、鈴は没頭していく。
「ひゃ………にゃっ………はにゃ…っ……っ!」


   見た目以上に、鈴の胸は柔らかなふくらみを持っていた。
   それを知覚した瞬間、恭介は理解した。
   鈴は、最後まで行こうとしている、ということを。

   恭介も自分の乳首が硬くなっていくのを、鈴の乳首で認識した。
   俺はこのまま流されていってしまえばいいのか、それとも止めるべきなのか。
   そして止めるなら、それは今すぐなのか、ある一線で止めればいいのか。
   恭介は今まで読んだ漫画の知識を総動員して、その答えを出そうとしていた。

160:名無しさんだよもん
08/09/19 00:54:59 ySpjhgGd0
支援

161:3月の雨 11/19
08/09/19 01:19:34 ZvRAfi+q0
「……んっ………ひゃっ……あっ……はにゃぁ…」
 鈴の嬌声は段々大きく、強くなっていく。
 足がもぞもぞと『理樹』の体にからみつく。
 そして『理樹』の太腿に跨った。
 そこから何かが生まれてきそうなほど、熱くなっていた。
「『理樹』………『理樹』ぃ………」
 鈴が今まで出したこともない、甘い声を出す。
「んっ、んんっ、ひゃっ、うゃ、にゃ、はにゃ…」


   見たことも聞いたこともない鈴の姿を見て、恭介は態度を決めた。
  『このまま、鈴を受け止めよう』
  『今、俺が鈴にしてやれることは、これくらいしかない』
   そう、理解していた。
  『今ここで鈴を拒んだら、それこそ鈴は落ち込んで、支えの全くない世界で生きていかなくちゃいけなくなる』
  『もし俺を理樹と思ってこういうことをして、それが鈴にとって、少しでも生きるための糧になるのなら…』
  『…俺は迷わず、そうする。そうするべきなんだ』
  『俺が鈴を、守ってやらなきゃいけないんだからな』
  『たとえどんな形でも、俺が、鈴を………』

162:3月の雨 12/19
08/09/19 01:28:09 ZvRAfi+q0
 ひときわ高い声ではにゃぁ、と鳴くと、鈴は糸が切れたように『理樹』にもたれかかった。
「ふぅ…、ふぅ………」
 荒い息を吐きながら、体をもぞもぞ、と動かし続ける鈴。
「ん?」
 ふともものあたりで、何かがあたっている事に気づく。
「……………」
 違和感の正体を探ろうと、手を、さわさわと動かす。
 『理樹』の体の、固い部分に触れた。
「……?」
 鈴はとろっとした目でそれを掴むと、無意識に弄び始めた。
 さすってみたり、握ってみたり、握ったまま手を動かしてみたり。
 そして鈴にはそれが何なのか、そして何をするための物なのか、分かっていた。
「………思ったより、おっきくないんだな……」
 小さくつぶやいて、『理樹』のパジャマから握っていたものを、引っ張り出す。
 『理樹』は拒むでもなく腰を浮かせるでもなく、寝たふりを続けていた。
「………こわい…」
 その形を初めて目の当たりにして、鈴は素直な感情を口にした。
「こんなのが………あたしの中にはいっちゃうのか……」
「……でも………ひとりじゃつらい……だから……」
「………………『理樹』…………」
 鈴は腰を浮かせて、『理樹』の先端に鈴の熱い部分をあてがった。
 『理樹』のふとももに、膝に、腰に、鈴の長い髪が撒き散らされていた。
 それはまるで、鈴が『理樹』を覆い尽くしているようだった。
「………痛く、して、ほしい…」
「あたしの体に、心に、胸に、だいじなところに………」
「『理樹』を、刻み付けたい………」
「…もう……二度と、忘れたくても忘れられないくらいに………」
「あたしに………『理樹』を………刻み付けてくれっ…」
 搾り出すようにそう言うと、鈴は『理樹』のそれを自分の中に突き刺した。

163:3月の雨 13/19
08/09/19 01:34:26 ZvRAfi+q0
「───っっ!!」
 細い叫び声が、深夜0時半の闇に反射する。
 鈴の中で、何かが突き破られる感触が、した。
 そして『理樹』がぐいぐい、と無理に押し込まれていく。
「はぁ………はぁ…………」
 途中まではいった所で、鈴が止まる。
 ゆっくりと、ゆっくりと。少しずつ、鈴は腰を沈めていく。
 本人の意思に反して、鈴の体は『理樹』を拒もうと蠕動を繰り返していた。
「……ぐ…………」
 その度に鈴の両手は『理樹』の腰を、ぎりり、と強く握り締める。
 いうことをきけ、あたしの体、と念じながら。
「……たい………、……いたい………」
「………いたい……よぉ………りき………」
 いじわるしないでくれ、とでも哀願する風で、鈴は言った。
「………でも………、でも……うれしい………」
「………うれしくて、かなしい………」
 鈴は『理樹』に跨ったまま、自分の胸に去来する思いを、そのまま口にした。
「あはは……あたし、なにいってんだろ……」
「でも……かなしいんだ」
「…ほんとうに……うれしくて、かなしくて……」
「かなしいんだ………。なんでだろ………」
 涙交じりの声で、鈴は続ける。
「『りき』とひとつになれたのに、ないてたら、『りき』におこられちゃうな…」
「でも、ねてるから、いいよな……」
「ねてるから、かなしいっていっても、だいじょうぶだな………」
「あたし、『りき』のがぜんぶ、にゃっ、ほしい…」
「それだけ、もらったら…あたし…あしたか…ら…ずっとがんばるから………」
「リトルバスターズが…んっ、いなくっ…ても……がんばる、にゃっ、か…ら………」
「おね……がい……ひぐっ」
 鈴の声は、しゃくりあげるように、そして、何かに突き上げられるように、何度も止まった。
 あたしのからだ、言うことをきいてくれ。『理樹』とのたいせつな時間を、じゃましないでくれ。
 そうやって鈴は、自分の体に言い聞かせることしか、できなかった。

164:3月の雨 14/19
08/09/19 01:37:23 ZvRAfi+q0
『………ちくしょう!』
 恭介は、泣いていた。
 無力感だけが、この時の恭介を支配していた。
『こんなに鈴が悲しんでいるのに………』
 どうしてこんな形でしか、俺は鈴を支えてやれないんだ。
 どうしてこんな反倫理的な行為でしか、俺は鈴を癒してやれないんだ。
『俺は……』
 そもそも俺が変なことを、してしまったからこういう事になっちまってるんじゃないか……!
『…俺には、何も出来ないじゃないか!!』
『兄妹で交わるなんて、こんな人の道に外れたことをして………!!』
『俺がもっとちゃんと対処していれば……こんな事にはならなかったはずなのに……!!』
『くそっ……! くそぅっ………!!』
 恭介は、ずっと後悔していた。
 リトルバスターズ全員に、鈴からの着信を拒否するように言い渡していたことを。
 そんなことをしてしまったから、鈴がこんなことを始めてしまったんだ………!!
 でも俺には、それを止める事も、資格すらも、ない………!!
『うぐっ………んんっ……!』
 その思いとは裏腹に、鈴の体は蠕動をやめ、徐々に動きやすくなるように潤いを持ち始めてきた。

165:3月の雨 15/19
08/09/19 01:39:55 ZvRAfi+q0
 そして、鈴が腰をゆっくりと浮かせると、体中に快感が駆け抜けた。
 一度それを感じてしまえば、あとはもう、転げ落ちていくだけだった。
「んにゃっ、はにゃっ、ふにゃぁ……」
 そして恭介の腰の上では、髪を振り乱して嬌声をあげる鈴の姿があった。
「……『理樹』……きもち、っ、にゃぁ!」
「……いたく………なくな……くっ……て、にゃ、きた……はにゃっ、ゃ、ひゃっ…」
 木の葉のように、鈴の体は、恭介の腰の上で舞い踊っていた。
「……『り』………『理樹』……『理樹』っ、『理樹』っ!」
『……ぐっ、んんっ、鈴、鈴っ、鈴!』
 恭介は自分の中に爆ぜそうな快感が迫ってきたことを認識すると、強引に腰をひねって鈴を突き飛ばした。
 鈴がベッドの横に落ちるのと同時に、恭介も腰を引き、自分自身を鈴から遠ざける。
 恭介もベッドから転げ落ちる。
 行き場を失った恭介の白い思いは、あらぬ方向へ飛び、壁に無残な姿を晒した。

 ベッドを挟んで、互いはまた離れてしまった。
 しばらくしてから鈴は、ふわふわと部屋を出て行った。
 恭介も壁に残った自分の欠片をティッシュで拭うと、ゴミ箱に葬った。
 そして、鈴の匂いが残るベッドに潜り込み、眠ろうと努めた。

166:3月の雨 16/19
08/09/19 01:45:06 ZvRAfi+q0
 それからしばらくして。
 鈴はひとり、リビングの窓の前に佇み、外を眺めていた。

 部屋に戻り、パジャマに着替えてベッドに入ろうとしたが、全然寝付けなかった。
 体に欠けた『何か』を埋めたくて、ずっと外を見続けていた。

「…鈴」
 背後から恭介の声が聞こえたが、鈴は振り返らなかった。
「まだ、起きてたのか?」
「……ん」
 小さく頷く鈴。
「…ねむれなかった」
 そうか、とだけ声をかけて、恭介は鈴のすぐ後ろに立った。
「……恭介」
「なんだ?」
 まるで何事もなかったかのように、ふたりはいつもどおりの会話を始めた。
「……この雨…」
「……雪だったら、よかったのに…」
「……ん?」
 鈴の意味するところが、恭介にはわからなかった。
「雪だったら、あたしの心の中に降り積もって、あたしを全部、まっしろに埋めてくれたのに……」
「……………」
 その言葉に応える代わりに、恭介は猫柄の半纏を鈴の背中にかけた。
「そんな所に立ってたら、風邪ひくぞ」
「これを着ろ」
「………うん」
 鈴は黙って、袖を通した。
 丸の中にいろんな猫の表情がある、ピンク色の半纏。
 この日の為に、恭介が用意したものだった。

 それからしばらく、ふたりはずっとそのままの格好で、佇んでいた。

167:3月の雨 17/19
08/09/19 01:47:05 ZvRAfi+q0
「……恭介、そろそろねないで大丈夫か?」
「ああ」
「明日また、会社いくんだろ」
「あたしはいいから、寝ろ」
「俺のことはいい」
「いいから、寝ろっ」
 鈴が反駁する。
 そして鈴は、うつむきがちになって、言った。
「あたしは………だいじょうぶだから………」
「……もう………泣かないから………」
「…………ひとりに………して、くれ………」
 恭介はその言葉で、鈴の状況を理解した。
 そして鈴の両肩に手を軽く当てると、鈴のそばを離れた。
「…恭介」
 恭介には聞こえない大きさで、鈴はつぶやいた。
「……………ありがとう」
 そして、恭介の部屋の扉が開き、静かに閉じられた。
 鈴は誰へともなく、でも、はっきりとした口調で、つぶやいた。

 


     “………さよなら、理樹”
 

 


168:3月の雨 18/19
08/09/19 01:50:45 ZvRAfi+q0
「………で、鈴。なんだこれは?」
「あさごはんだ」
 朝7時半。
 恭介は鈴に、目の前の丼に注がれた物体について、尋ねた。
「きのうの残りものであたしが作った、とくせいの料理だ」
 目の前にあったのは、昨日恭介が冷蔵庫に入れたおかずの全てが、ごはんと一緒に味噌汁にぶち込まれて、煮込ま

れた物だった。
 恭介は顔を引きつらせながらも、嬉しかった。
 鈴が自発的に家事をしてくれたこと。何よりも、鈴が自分で考えて料理を作ってくれた事が嬉しかった。
「……………」
 恭介は台所かられんげを持ってきて、それで鈴の料理をひとすくいすると、口に運んだ。
 紛れもない、ねこまんまだった。
「……どうだ?」
「三千世界のねこたちが、この料理めがけて飛んでくるはずだぞ」
「このあたりからねこがいなくなって、あたしの部屋にあつまるんだ」
「そう、まさに『ハーメルンの笛吹き』ならぬ『鈴のねこまんま』だ」
 ねこまんまであることは自覚しているらしい。
「……………鈴」
「ん?」
「今度一緒に、料理の作り方を教えてやろう」
「うん」
 あまり乗り気ではない返事が、返ってきた。
「落ち着いたら、小毬も呼んでやるから」
「………!」
 鈴の表情が、ぱっと輝いた。
「ほんとかっ」
「……ただ、あいつにお菓子以外の料理が出来るかどうかは、分からないがな」
「大丈夫だ、こまりちゃんは料理もすごいうまいんだぞ」
 一番の親友である鈴が言うのなら、間違いはないだろう。
 恭介は、満足げにうなずいた。
「なら、安心だな」

169:3月の雨 19/19
08/09/19 01:52:52 ZvRAfi+q0
「こまりちゃんに、あたしの部屋をみせてあげるんだ」
「ねこがいっぱいで、きっとびっくりするだろうな」
「でも、大学があるから、来月だな」
「たのしみ」
 すっかり鈴は、笑顔に戻ってくれていた。
『………たまにはみんなで集まるのも、悪くないかもしれないな』
 月に一度くらいは、俺が車を回してみんなを集めてもいいかな、と恭介は思った。
 俺だって完璧じゃない。ほんの少しだけ鈴より先にいるだけで、俺がやる事の全てが正しいだなんて、思っちゃいない。
 俺も鈴と一緒に成長する。いつか家庭を持ったら、頼れるパパになれるように。

「じゃ、鈴。休憩がとれたら携帯に電話するから、出るんだぞ」
「うん」
「それまでは部屋で、テレビでも見ていてくれ」
「誰が来ても、居留守使ってくれてかまわないから」
「わかった。いるす中です、って答えるから」
「それじゃ意味ないだろっ」
 そう言って恭介は、じゃあな、と出て行った。

 リビングに戻って、自分で作った自慢の料理を、ひとくち食べてみる。
 ただの、ねこまんまだった。
「うーん………これじゃあ三千世界のねこは、よびあつめられないな………」
「……なにがいけなかったんだろう………」
 恭介がかえってきたら、教えてもらおう。
 それから、こまりちゃんにも教えてもらうんだ。いろいろ。
 部屋のそうじのしかたとか、洗濯のしかたとか。

 あたしは、前に進むんだ。
 もうリトルバスターズは散り散りになって、なくなってしまったと思ってたけど、ちがった。
 リトルバスターズは、永遠になくならない。
 こうしてこまりちゃんとも、また会えるから。
 みんなからもらった勇気、むだにしないで、強くなるんだ。
 強く、いきていくんだ。

170:名無しさんだよもん
08/09/19 02:18:26 Z/f74yam0
めちゃくちゃGJだいやもうくちゃくちゃだ
くちゃくちゃGJだ!

泣いた(TT)

171:名無しさんだよもん
08/09/19 02:22:01 eq05a6Hq0
得ろげーゲット
URLリンク(goodlife.homeip.net)


172:名無しさんだよもん
08/09/19 10:54:07 16LmSWHR0
タイミング悪いの作ってしまった……。
169の読後感を壊したくない人は飛ばしてください。
以下、コメディー。

173:『ロマンSheehan!』16/16
08/09/19 10:55:27 16LmSWHR0

-----------------------------

『ロマンSheehan!』

-----------------------------------------

俺はロープと共に窓へと体を滑り込ませ、理樹たちのクラスへと鮮やかに着地した。

「……ふぅ」

してやったぜという顔は断じてしていない。いつものことだからだ。
立ち上がった俺に、早速のことながらかすれ気味の声が降りかかる。

「きやがったーーっ!! おい、どうにかしてくれよっっ!!」

真人は助けを求めて……いる?
教室をくるっと見回すも三枝の姿はない。
あいつの不在を確認した俺は上の空な気持ちとはいえ真面目な顔を作った。
真人を邪慳に扱うつもりはなかったので、
「どうした真人。また随分と慌ててるじゃないか」と訊いた。
何かされたんだろうか。そんな感じだった。
「なぁ、これ……ひどくねぇか!」
「ん?」

174:『ロマンSheehan!』2/16
08/09/19 10:56:22 16LmSWHR0

シュッ…!

真人はちらりと何かを見せてくれたのだが、あまりにすばやくて目で追うのが精一杯だった。
「なぁこれ……ひでぇだろ!!」
そして矢継ぎ早に俺の同意を求める。
俺には布っぽい何かだったように思えたが……推測でモノを言うのは憚られた。
いささか沈痛な面持ちの真人とただ向き合っているのも罪だ。
こういうよく分からないことはすぐに言うに限るので俺は「……済まん、見えなかった」と素直に言った。
すると「うぉ、マジかよ……」と真人はうめく。
「まじもなにもあるかよ。
 お前のわからんポイントなら集めてもらえるディッシュはもうすぐだと思うぞ」
一方では俺のやるせないポイントが溜まっているのだということを知ってか知らずか真人は「もう一度か…」
と呟きながらもそのモーションを始めた。と思ったら自分の手から手へ投げた。

シパッ!

「はぇえよっ!!」
明らかなクイックモーションだった。
「お前な…、見せる気あんのかっ。ないだろっ! カネ返せっ!」
「すまねぇ……オレの神様は今日はどうしてか引っ込んでいらっしゃる…」
「なんだよ神様って! ああ! 筋肉の神様かぁォラっ! 出て来イヤァ!!」
「そんなにお声を荒げられては弱ってしまいますな……」


175:『ロマンSheehan!』3/16
08/09/19 10:57:43 16LmSWHR0
いい加減、いい加減、ああ、いい加減だ!
毎夜のごとく聞こえてくるサバトのようなザワメキに半ば精神をやられていた俺は、
その憤りを真人へと向けて発散してしまっていた。
見せ控えることには訳があるに決まってる。だがいい!
15番線のプラットホームが見えたっ。

「終わりだっ!」
シッ…パシィッッ!
「うおぉっ!」

初速の速さだけを頼りに、点と点を犯罪で結び合わせるかような神速の直線で
真人の手に握られたそいつをかすめ取った。
「てめぇ! オレ今見せようとしてたじゃねぇかよっ!
 そんなことしていいと思ってんのかっ??」
「悪いな、だがもういいだろ。こいつは拝ませてもらうぜ」

イヤそうな顔をする友を制して俺は獲物にほお擦りをした。
崩れそうなジェンガから直方体を引き抜いたと同じ安い高揚感が体を巡っていく。俺は目を瞑った。
ヴェルベットな質感。上品な、雑巾やハンカチとは違ったサラサラとしたほお触りがそうさせるのか、
俺の笑みはいやらしいものに仕立て上げられていた。
しいていうのならこれは何だろう? ああ、分かる。
物質としての感触としてこれは、ランジェリー性が高いものだということが。
…どうやら言葉にはなりそうもない。―俺はそいつの正体が分かったような気がした。

176:『ロマンSheehan!』4/16
08/09/19 10:59:21 16LmSWHR0

「………」
俺はそれをそっと真人に手渡した。そしてメシを食いに行こうと決めた。
「じゃあな、犯罪者」
「ってちげえーーーーっっっっ!!!」

気さくに立ち去ろうと努めて教室を出た。なぜか前方からは、複雑に反響した真人の怒号が聞こえてきた。
冤罪事件の無実の立証がどれほど大変なのかは知らないが昼に聞きたい話ではなかった。
気を取り直して、真人なら大丈夫だろうと結論を出して歩みを進めた。

昇降口の手すりにかるく左手をかけながら、かつこつと降りる。
ローファーがステップを噛んで音が高い。階段を下りきったころに頭上を笛の音が飛んだ。
ピピーッと駆け抜けていったささやかな音に清々しささえ感じ、俺は廊下をてくてくと歩いていく。
いつもなら気にも留めない中庭のスペースなんかを眺めながら食堂ではない部屋へと向かう。
隣の芝生は青いってThe grass always seems greener on the other side.だったか?
取り留めもなく、うっすらとした影が射す光の空間を見つめたせいか風呂に入る無防備さで歌を歌っていた。

「リーブハイ、リブマイリィ、リーブライトゥシィ……、テケナリイージー」

そのままの軽快さでいまだに書き換えられていないプレートが架かった部屋の戸を開けていた。
「ジャステイク、ジャステケテケナリージーーィ」
盛り上がり方が原曲とはかけ離れながらも俺が部屋に踏み入ると、驚くほどみんなは無関心だ。
逆にいえばこれは、俺のミュージックが新しいお昼の挨拶として受け入れられたということなんだろうか。
んで入った瞬間に気付いたんだが、涼しい。

177:『ロマンSheehan!』5/16
08/09/19 11:03:21 16LmSWHR0
俺はなるだけ表情を変えずに右手を上げ、まずは二木に確認を取ってみた。
「おはロック」
「……あなた頭大丈夫? 無理よ」
何が無理なのかはすぐさまによく分かる。二木は俺の拙さを責めているんだ。
「おはようはおはロックだろ? 違ったか?」
「ちょっ、やめなさい! 強要しないで。そんなことさせるつもりなら許さないわよ…!」
「はは……しないしない」
おそらく今俺は二木にとって『面倒な人』だろうと勝手に認識を済ませ、彼女の隣に部屋の隅に置いてあった
フェンダーのアンプを並べて即席の居場所を作った。ちょっと嫌がられつつ。
「おはよ、恭介」
理樹のさわやかな声がかかる。
「ああ、おはロック」
俺も同様のさわやかさを精一杯に返す。そして「あとな、これ返すよ」と言って
袖の下からケースを取り出して、テーブルの木目に沿ってCDを滑らせた。
理樹のお惣菜の手前でそいつは止まり、理樹には「今すっごく危なかったんだけど」と横着を非難する
ような目つきをされた。
テーブルは所狭しといったところだったが残念ながら俺のための小毬の手作り弁当などはナッシングだ。
なので俺は素直に、マジックで『みんなの冷蔵庫』と書かれた冷蔵庫から具材を取り出してサンドイッチを
作ることにした。来ヶ谷のこんな時のため用ピクルスなどもあることだし、と。
「珍しいな、恭介氏は料理ができるのか?」と来ヶ谷。
「料理って言えるか分からないけどな。昼飯くらいは作れるようになりたいからほんと、たまに」
俺が作るのは気が向いたときに作るいかにもなひとり者の料理ばかり。
さらにいえば、多少飲食店で働いているくせして基礎を無視して作ってしまうことがある。
鈴いわく「もっとシンプルなものが食いたい」だそうだ。
いくらか直そうとしてみたがまだ直らない。くどくなってしまうことが多々ある。

178:『ロマンSheehan!』6/16
08/09/19 11:04:25 16LmSWHR0
まぁいろいろと言われることもあって傷つきもしたけど、幸いにも鈴はお世辞なんて言わなかった。
だからこそか結果的、俺の料理の腕は結構上がっていた。
昼飯でその腕を試すのも楽しいことだろうなと思いながらひとり分の野菜を流水で洗い出した。
そのとき、

「ピザでしたらみんなで食べられそうです」
「なにかひと品あってもよさそうですわね、足りないと思っていたところですわ。
 ですのでわたくしは…ラングスティーヌとホタテのソテーにいたしますわ」
「それでしたらえすにっくなものも食べてみたいのです!」

なにやら後方でリクエストの会が結束されていた。もっとも、俺の思い違いだろう。
だがもしも……ということはなきにしもあらず。
そんなときの誤解ほど悲しいものはない。ことが起こらないように即断っておくことにした。

「ここは無国籍な料理屋かよ。済まないが俺の分だけだっ」
「そうですか……エンターテインメントに欠けますね」

…冷凍のピザ生地…海老、ホタテ…生春巻きとスイートチリソース……
一瞬本気で三品作る絵を想像したが俺にとってはやはり酷。
無理。昼休み中だぜ?
西園に突っ込まれたのが癪だからピザトーストくらいは作っておこうと決めて前を向いた。
ささっと野菜をひとまとめにボールに投入して食パン、トマト、ピーマンと順にスライス。
ケチャップ、ウスター、タバスコ、塩胡椒、出来合いのレモン果汁を混ぜてベースソースづくり。
食パンは味が濃いしオーブントースターしかないので薄くスライスしてある。

179:『ロマンSheehan!』7/16
08/09/19 11:06:45 16LmSWHR0
一方にバターとマスタードを塗ってそれをサンドイッチ用に。もう一方にはさっき作ったソース塗ってピザ用に。
ソース塗った方にハム、トマト、ピーマン、ミックスチーズを乗せる。
オレガノとバジルのフレッシュがないので粉末のをふりかけて、軽く余熱したトースターへささっと投入。
そしてピザが焼ける間にサンドイッチを作り上げる。
キューリ、ピクルスをカットしてちぎったレタス、スライストマトとともにバターを塗ったパンで挟む。
ピザと同じソースを掛けて、カット。ピザ焼きあがったところでこれも斜めにカット。片付けて終了。
「はいよ、それっぽいもの」
テーブルに少し空きを作って味気ない大皿に並べたピザとサンドイッチを披露した。
ピザは焼き目がほどほどでそれなりな感じ。でも半ピクニックなおもむきになってしまった。

「おいしそう……ちゅるり」
「小毬君?」
「ん? ふぇぇっ!? なんでもないよ~!」
「いただいてもいいのですか?」
「ああどうぞ」
そう言ってもらえるのはやっぱり喜ばしいことだが。

みんなはメシ持ってきてるし俺の作ったものはそれほど要らないはず。
つーか小毬とかクドとか少食に見えてよく食うもんだなーと後ろから見ていた。

「ふーん、作るとは思わなかった。期待するほどじゃないけど頂いてもいい?」


180:『ロマンSheehan!』8/16
08/09/19 11:08:33 16LmSWHR0
二木までお食べになるようだった。
俺はプラスチックの牛乳ビンのふたを親指できゅぽっと開けて答えた「いいぜ」と。
「……なんかむかつくんだけど」
「まぁそう言わずに食べられそうなら食ってくれって」
俺自身も遅くなった昼食を食べようと席に着いた。

 作ってるうち 食欲がなくなるってことはしょっちゅうだ。
 俺の分はどうでもいいっちゃどうでもいいんだけども それでも腹が鳴るときゃ鳴る。
 ……違うか、俺はどうみても素直じゃないのかもな。
 自分で作っておきながら自分のがないだなんておかしな話。

※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
  それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
  サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。

 食べることは生きること だけどこれでいいのかも
 そのホットケーキ、お前の昼飯。いつか俺も食えるといいな。
 おーけい、俺の腹。ぐぎゅるる…
 何事もひとつずつ、気負わずいこう。真摯に望めばいいことあるさ。

  サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
  それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
  サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。


181:『ロマンSheehan!』9/16
08/09/19 11:10:35 16LmSWHR0

気が付くと俺は、席を立ってアコギをかき鳴らしていた。
「あなたたちの中で誰かあの人に声かけてあげなさいよ……なんでいきなり歌い出したのよ…」
「ふむ……難題だな。あれはあれで満足してるんじゃないのか?」
「ならいいのかしら……でもなんか気味が悪いじゃない。あの人の既往歴は?」
めっちゃアウェーな空気が醸成されつつあった。おっと、これはやばシス。
スタンドにギターを立てかけて俺は振り向いた。
「で、食えるものだったのかい?」
「ドヤ顔はよしなさい」
二木はとても冷たい。恋をしてしまいそうだ。
既に手馴れた感さえある来ヶ谷は陶器のティーカップの耳に手を掛けて俺を見つめる。
また俺はあきれられただろうか。

「別にお前らの心遣いが欲しいだなんて思っちゃいないさ。
 ただな、俺は馬鹿だったんだ。まさか……いや、もういいのさ」
「…くどい言い方ですわね。そういう殿方はあまりよろしくありませんわ」
俺は笹瀬川の明快な口調に確かにそうだなぁと頷きながら、笹瀬川が口に運ぶトマトサンドを眺めた。
あのサンドはいつの間にあんなにうまそうな輝きを放つようになったんだろう。
それを引き抜けるのは王たる資格を持つというあれと一緒だろうか。
笹瀬川が持ち、俺が空腹だからこそ引き立つ。そういうことなんだろうか。
俺は佐渡島に渡ったときの夕暮れを思い出してしまいそうだった。

……もぎゅもぎゅもぎゅ…


182:『ロマンSheehan!』10/16
08/09/19 11:17:21 16LmSWHR0
だが、人のやり切れなさをよそに妖怪がここに一人。
「どうしたの? ……? もしかして私の分も欲しい?」
「あ、ああ……ぃぃ、胸がいっぱいなんだ。だからもらっても残しちまうからさ……」
まゆをひそめた俺を見て三枝は少し不思議そうにしていた。
わりに心配してくれる口調で「裏庭で取れたジャガイモですヨ?」と器によそったマッシュ
ポテトをこちらによこしてくれた。
茹で加減が丁度よかったのだろう。水分が充分に飛んで確かにうまそうではあった。
俺は空腹からかそのポテトの器を自分の手に取ってみていた、すぐに三枝の手に返したが。
「ノンカロリーな何か」返すと同時にまた、注文もして。

こういう風にメシを作ってきてもらえる機会ってのがあってもいいのかもしれない。
ただのひらめきでことを進めて、今は食べられやしないけどそのうちに持ってきてもらおう、と軽はずんだ。
最初、なに言ってるのという顔をした三枝だが、俺が「俺の明日のメシをよろしく」と
いらんかったかもしれないことをしっかりと付け加えたら、気が付いたようだった。
三枝はなんだかカヨワイ感じで答えてくる。

「うん、いいよ。いいけどさー!
 恭介せんぱい、そういうこと気にしてそうで気にしてないのはいけないと思いますヨ」
「そういうこと?」

何を言ってるんだろうか?
俺は少しくすぐったくなるような感じに陥りながら、やっぱりもう一度、『醤油こと?』と
聞き返したくなってしまっていたのだが、それは堪えた。
「しょ……、げふ、あーあー、なんでもない」


183:『ロマンSheehan!』11/16
08/09/19 12:02:46 16LmSWHR0
※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
  それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
  サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。

 料理に恋をして、農家や流通や小売だって好きになるさ、
 お皿に盛り付けた後の喜びと、そのお皿の目の前に君の幸せな笑みがある。
 それはどんなに素晴らしいことだろうな。ラララ、愛で満たされる日々。

「きょ、きょうすけせんぱい…?」
「…はっ!」
俺はまたしてもしでかしているようだった。EBC#F#…
4弦から下に向かってやわらかく弾き終えたとき、俺は自分の状態に気が付くことができた。
抱えているのはまたしてもアコースティックギター。
「なぁ三枝、どうやら俺は保健室に行かなければならないらしい」
「それがよさそうですネ……、行ってしまえばいいデスよ」
傷口をぺちゃぺちゃと舐められるような痛みが走る。

「恭介、元気でね……」
俺はこの自らの状態に覚えがあったものの、それが何のときのことだったのかということは
すっかりと記憶から抜け落ちていた。今はどこが痛いのか、それが分からない。
「君のクラスの担任には私が伝えておこう。
 保険医がいなかったとしてもそのままにしてしまわないほうがいいぞ」
ただ、さっきから俺は自覚を強めている。これはフツウではない。
もしかするとさっきどころか今朝、…春、それよりももっと前からおかしいのかもしれない。
理樹たちの視線にサッと影が射したような気がした。

184:『ロマンSheehan!』12/16
08/09/19 12:05:10 16LmSWHR0

「感情の大きな波を中心症状として、それを周期的にくり返す一種の躁状態、ということも考えられます。
 そういうときは思い切ってある期間休むことが大切ですよ。のんびりかまえるのがいいようです」

……と本に書いてありましたと付け加えて西園が言った。
次第に雲行きがあやしくなってきていた。
「……そうきょくせいしょうがいではないでしょうか?」
クドはそういうことに詳しいのだろうか? 

俺は唐突に、テーブルの上に置かれたメガネを手にとった。
「………」
無言でそれを掛けて、「それ私のです…」と言う西園を制して、
「俺には見えるような気がしないな」とつぶやいた。
なんだろう、俺は影響を受けやすいのだろうか。
いろいろ言われると、それこそが本当のような気がしてきてしまっていた。
冷静じゃなくて、みっともなくて、恥ずかしいやつ。
とそこまでは誰も言っていなかったが、俺自身はそれ程に思い込んでいた。

「……行ってくるわ、その帰りに学食でカップめん食う…」

俺は一度自分と向き合ってみることが必要なんだろうか。
あやふやな気持ちをすっきりさせることが出来れば、明日のメシは三枝が作ってくれる。
今日のような心配なんて要らない。……要らない?
自問を繰り返しながらも俺は、ひとり保健室で休むのがベストなのかもしれないと思い始めていた。
とそこへ、

185:『ロマンSheehan!』13/16
08/09/19 12:07:00 16LmSWHR0

「待ちなさいよ」

その声が聞こえたのは俺がドアの取っ手に手を掛けたときだ。
相手の強張った雰囲気が始めに伝わって、いくらか身構えて俺は振り返る。
が、二木がその胸に抱えているものを見てあ然としてしまった。

「……これ、葉留佳のすかすかのマフィンと、それと、神北さんがいつも作ってくれるクッキー」

両手からこぼれ落ちてしまいそうな量の焼き菓子。……たぶんかき集めたんだろう、きっと。
俺が腹へってるなんてことはずっと察していて、本当に食べずに出て行こうとしていくところを見て
あわてた……?

「あーっそれ食べるならジャムあったほうがいいーっ!! 待って、えっとーっ…ここ……に」
ついで三枝が制服をがさごそと探し「あったーっ!」とポケットからオレンジ色の小瓶を取り出した。

「はいな、裏庭で取れたオレンジで作った特製ジャムでございます」
「お……いいのか?」
小瓶を手に取った俺に対して、三枝の代わりに答えたのは二木だった。
「いいから」
とまどいを隠せない俺に二木はふたり分の返事をかえした。
口の端を結んで、かすかな笑みを浮かべて、プライドにみちた輝きで……大量の焼き菓子をよこしてくれる。
胸に抱えてそのままに。
いや、しかしこれは……そのまま……クレーンゲームのようにがばっと放す……つもりだろうか、まさか?
ちなみにいえば二木が抱えた菓子は、その上に奇跡的に制服のリボンが乗っかっていてプレゼントフォーユーな具合だ。

186:『ロマンSheehan!』14/16
08/09/19 12:09:28 16LmSWHR0

「か、紙袋かタッパーくれっよ、落とすっ!……ってうわっ」
ってかそんなふうにされても俺は持てないっ。
二木の前髪がこれでもかというくらい俺に近づく。
清涼感のある優しい香りがどこからか……というか二木から……というか直に……
……俺を試すようにひろがる。
あんまり近くにこられるとまぁ時にはそういうことになるよな、ああ。
俺は生理的現象を免れえず、ごく多少、かがんだ。
「舌がいいの?……変態」
ちくしょう、なんてエロティックなんだ二木はっ。
明らかに『下』と言っている。
口の動きをみた感じ『舌』とは似ているが実際は「下がいいの? せんぱい」だ。
舌なはずがあるか……! あるかよっ……っ!
変なスイッチが入った俺はチェルベロとともに猛りそうだった。
そんな渡し方があるか……っ!わおーーーん!
だが今度ははっきりと聞こえてきた「……へ、へんたい」

彼女は抱えたマフィンをつぶれてしまいそうなほど強く抱きしめて、青ざめってしまったように
白い顔をしていた。おそらく防衛本能が働いたのだろう、その身はすっかり硬直してしまっていた。
丁度二木が影になっているためその後ろにいるみんなには分からない。
ふたりして小声で立ち尽くして会話していると、それはちょっとした告白シーンのようでもあった。

「そうだ。俺じゃない。不肖の息子の仕業さ」


187:『ロマンSheehan!』15/16
08/09/19 12:11:10 16LmSWHR0
俺は緊張のあまり声が出ないんじゃないかと思ったがそうでもなかった。
二木はこんな俺でさえ気遣ってくれるというのか、「そ、そうね…」と言ってマフィンもなにもかも
を自分のココロに仕舞ってしまう。俺はたとえようもなく悲しい気持ちになった。
あの日本海側の荒波であればすべてを洗い流してくれる。
俺はそうして、佐渡島へ行ったときのことを再び懐かしんだ。

「じゃあしばらく……雀色時まで俺たちは別々の道を歩く。そういうことでいいな」
「保健室に行くだけでそんな遠くに行くみたいに…てご飯食べなくていいの?
 で今いつ帰ってくるって言った? 雀……?」
誰しもがせきららな時の流れの上においては平等であった。
諸行ことごとく仏性なり。
遠きいつか、俺はこのことを受け入れることが出来るのかもしれない。

「はぁ、そろそろチャイムが鳴りそーですわ。
 わたくし体育の授業で着替えないとなりませんので先に行かせてもらいますわ」

笹瀬川は蕭やかに、ダム・ブランシュのウエハースをつまむとそれを銜えて立ち上がった。
「俺も」
行く先は違えども俺も前向きに進もうと思う。
「何ですの? ついてこないでくださる?」
「……ちがわい! ドア少ないんだからいいだろ!」
考えたってろくな言葉が出てこない。それは俺の心に迷いがあるからだ。
少し……あの日のように、心をクリアーにしたかった。

「すぐ治るよな。俺のこの……なんだ。症状」

188:『ロマンSheehan!』16/16
08/09/19 12:13:25 16LmSWHR0

明日になれば、二木だってさっき見たことなんて気にしないさ。
俺たちはきっと……新しい関係を築いていける。

俺はガラッと窓を開け放って、フック付きロープをするどく投げた。
向かいに立っている背の高い木にくるると巻きついたこの縄を引っぱれば、
その反動がバネとなって体が浮くという寸法だ。
そして俺は告げた。

「みんな、俺のことも愛せよっ。じゃあな」
「結局ドアからは出ていかれないんですね……」
「君は重症だな……ここ一階だぞ。
 むろん保健室であれば廊下からのほうが近い……」

  料理に恋をして、農家や流通や小売のことも好きになって、
  お皿に盛り付けた後の喜びと、そのお皿の目の前に君の幸せな笑みがある。
  それはどんなに素晴らしいことだろうね。ラララ、愛で満たされる日々。 

 また会うとき、そのときはもっと作れたらいい。
 メシは持ってくるよ、三枝が。今日の俺はカップめんだけど。
 作らないほうがいいのかな。そんなこともうやめにしよう。

※ サンドイッチひと切れでいいや ひと切れでいい
  それならなお一層に、『なんで取っておかなかったんだろう?』
  サンドイッチひと切れでいいや。サンドイッチ、ひと切れでいい。


おわり


189:名無しさんだよもん
08/09/19 13:46:14 e23rcaqj0
よくわからん。

190:名無しさんだよもん
08/09/19 20:02:03 4CP+UxYI0
36 :名無しさん@初回限定:2008/09/18(木) 22:11:29 ID:GXnMAffIP
リトバスは上2つからかなり大差の暫定年間3位か
69 :名無しさん@初回限定:2008/09/19(金) 02:28:55 ID:clj8RIDS0
リトバスEXは5万か…通常版併せて6万くらいかな

71 :名無しさん@初回限定:2008/09/19(金) 03:29:14 ID:aZxkGHSC0
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1.  4167 47,904 2.  1.  2008年01月25日 FORTUNE ARTERIAL オーガスト
2.  4149 48,939 1.  2.  2008年02月29日 ToHeart2 AnotherDays Leaf
3.  2986 33,782 -- -- 2008年07月25日 リトルバスターズ!エクスタシー Key
4.  2524 25,389 3.  4.  2008年02月29日 超昂閃忍ハルカ  ALICESOFT
5.  2067 21,585 4.  5.  2008年04月25日 つよきす2学期 きゃんでぃそふと
6.  1960 17,741 12 9.  2008年06月27日 プリンセスラバー! Ricotta
7.  1860 18,399 -- -- 2008年07月11日 タユタマ -kiss on my deity- Lump of Sugar
8.  1837 22,689 9.  7.  2008年01月25日 さくらシュトラッセ ぱれっと
9.  1836 18,284 6.  3.  2008年05月29日 G線上の魔王 あかべぇそふとつぅ
10 1678 18,531 11 8.  2008年03月28日 かみぱに! クロシェット

191:名無しさんだよもん
08/09/19 23:20:28 +4l9PyjS0
そういえば、理樹×クドは多いけど理樹×コマリマックスはすくないな

192:名無しさんだよもん
08/09/20 03:58:44 f09WqgU9O
理樹×マックスなら屋上だよな
でも、壊れマックスに攻められるのも良いな

193:名無しさんだよもん
08/09/20 05:06:15 JEq0DaB90
むしろ、マックスの部屋でざざみも混ぜてしっぽりむふふと行きたいものですな。

194:名無しさんだよもん
08/09/20 16:31:04 C+1AErgL0
>>193
なんだと、鈴とささみのマックス取り合い合戦か?

195:名無しさんだよもん
08/09/20 17:44:03 cRMDkt3i0
>>194
いやそれは原作で普通に見れるだろう、とあえて空気読まないレス

196:名無しさんだよもん
08/09/21 00:17:04 HGRDKKobO
変な電波を受信しましたよ(汗)
書いていいかな?

197:名無しさんだよもん
08/09/21 00:20:41 KiqVt/Sv0
おk

198:名無しさんだよもん
08/09/21 00:24:04 QTqFPKGt0
期待

199:恭介とリトルバスターズ(1/9)
08/09/21 00:25:48 HGRDKKobO
はやいな(汗)

注意
初めてこうゆうものを書くので読めたもんじゃないと思います。
書いてるうちにキャラ崩壊を起こしてしまいました(汗)
これでも平気な人はどうぞヨロシクですm(__)m


理樹「そういえば、何で"リトルバスターズ"って名前にしたの?」
健吾「"リトルバスターズ"という名前の由来か……。知らないな。」
鈴「私も知らないぞ。前にバカ兄貴に聞いたらモンペチの話でそらされたぞ。」
真人「言われてみると、そうだよな…おい、恭介。ホントの所どうなんだよ。」
恭介「むろん、そっちの方が萌えるからだ!」

恭介以外「………また(21)か。」

恭介「なんで、そうなるんだよ!!まだ、俺は一言も(21)とは言ってねーぞ!」
理樹「そうだよね、リトル=(21)の意味だったとか考え過ぎだよね(汗)」
恭介「あたりまえだ!理樹…本気で好きだぜ!」
鈴「きしょいんじゃボケー!」

バキッッ!

恭介「グフッッ………イグナイテッド!」
理樹「モビルスーツ!?」

200:恭介とリトルバスターズ(2/9)
08/09/21 00:28:29 HGRDKKobO
健吾「で、実際はどうなんだ?」
恭介「な…何となくにきまってんだろ…」
真人「本当かよ……まてよ本当なら、"マッスルバスターズ"でも良かったのかよ。ちきしょう!タイムマシンで過去に戻って、小さかった時の恭介に土下座でもして名前を変えて欲しかったぜ!」
理樹「いやいや(汗)そんなとこでプライドを捨てなくても……てか、恭介。ウソついてるよね。」
鈴「バカのせいで、また話が逸れるとこだったぞ。」
真人「あぁ!?なんだ!?いつも筋肉筋肉言ってる癖に筋肉って奴はいざって時には全く使えないな。こんなんだったら毎日必死こいて筋トレもする意味もないし、機械の体を手に入れる旅に出ようかなって思ってそうな目はよ!!」
理樹「いやいやいや、そんな事微塵も思ってないからね。しかも、毎日筋トレなんてしてないからね(汗)」

201:恭介とリトルバスターズ(3/9)
08/09/21 00:29:35 HGRDKKobO
健吾「ふむ…なら、"なでしこバスターズ"なんてのはどうだ?」
理樹「いやいや(汗)"なでしこジャパン"みたいなノリで言わないでよね。って、健吾まで…」
真人「お前、ホントにその"いやいや"って好きだな。」
理樹「いやいや、二人が言わせるような事を言うからだよ。それに一回だけ"いやいやいや"って言ってるからね。いやいや…」
恭介「…理樹?」
理樹「いやいや、いやいや、いやいやいやい……イ……ヤ……イ゛……ヤ゛……」
真人「やべぇ、理樹が壊れた!?」

202:恭介とリトルバスターズ(4/9)
08/09/21 00:31:25 HGRDKKobO
葉留佳「相変わらず、頭が湧いてる話をしてますネ」
美魚「とりあえず、直枝さんを治さないといけませんね。直枝さんからプラスチックが燃えたような匂いのする煙を出しています。」



理樹「助かったよ、西園さん。でも、どうやって治したの?ブフッッ!」
恭介「聞かない方がいい……。気分が悪くなるぞ……オエぇ…」
健吾「作業中、西園の目がとてもキラキラしてたのが俺には印象的だったぞ……」
美魚「何かいいましたか?」
美魚以外「いいえ!!おかまいなく!!」

203:名無しさんだよもん
08/09/21 00:32:26 KiqVt/Sv0
支援

204:恭介とリトルバスターズ(5/9)
08/09/21 00:32:30 HGRDKKobO
美魚「ところで、なぜこんな事になったのですか?」
真人「それが"リトルバスターズ"の名前の由来を恭介に聞いてたんだけどよ。なかなか、進歩を出さないんだよ。」
理樹「"尻尾を出さない"ね。それに使い方違うしね。」
葉留佳「あの手でいったらどうですかネ。日本で一番有名なアニメの主人公の某青狸に、「なんか道具だしてよ~」って泣き付いてタイムマシンを出してもらって恭介さんの少年時代に行ってきたらどうですかネ」
理樹「いやいや、無茶な事言わないでよね(汗)」
美魚「そうでもないですよ」

205:恭介とリトルバスターズ(6/9)
08/09/21 00:33:35 HGRDKKobO
美魚以外「えぇぇ!?」
美魚「最新のNYP兵器です。名前は"タイム・ストリップだそうです。」
理樹「名前だけだと、年齢制限をかける必要がありそうなモノだね…」
美魚「使い方は簡単です行きたい年日を指定して、ここからでるビームに当たるだけです。」
健吾「便利なモノだな。では、早速いくとしようか。」
葉留佳「そうですネ。パッパッと見て来ちゃいましょう。」
恭介「ちょっっと、まて!本当に行くのか!?そんな胡散臭い機械でホントに過去に行けると思ってるのか!?てか、危ないかもしれないぞ、ビームからでる変な電波で癌になっちまったらどうするんだよ!?」
鈴「うはwww必死だなwww」
恭介「…鈴?」
鈴「何を言われようと、私達は行くぞ。もちろんバカ兄貴である、おまえも一緒だ!」
真人「あきらめろ恭介、どんなにくだらない理由でも俺達は気にしないぜ。」
恭介「………」
健吾「どうした、突然静かになったぞ?」

206:名無しさんだよもん
08/09/21 00:35:06 HGRDKKobO
美魚「準備が整いました。ビームを発射させるので、皆さん集まってください。」
葉留佳「誰もが持っている少年時代。
だが、誰もが忘れてしまう少年時代。この忘れられた大切な時間を取り戻しに行く、はるちん達に待ち受けるものとは!?
次週、"父さんジャンプ買ってこいよ、磯野ー野球しようぜ!、オカマじゃないわ!ニューハーフよ!"の三本でお送りします!」
美魚「発射!」

ビゴーーー!

葉留佳「あれ…?私だけ残ってるんですけど…」
美魚「悪いなのび太。この装置は5人乗りなんだ!!」
葉留佳「ちょwww」

207:恭介とリトルバスターズ(9/9)
08/09/21 00:36:06 HGRDKKobO
「「「「「あーーーれーーー!」」」」」

どすん!!

理樹「イタタ、どうやら着いたみたいだね。」
真人「待ってくれ!今、筋肉にバクがないかチェックしてるんだ!」
健吾「いかん!俺もしておかなければ!」
鈴「お前らウッサイ!」
真人、健吾「すみません…」
恭介「………」
理樹「ん?あれ、少年時代の恭介じゃない?」
鈴「本当だ、あれは少年時代のバカ兄貴だ。略して"代貴"にしよう。」
理樹「いやいや、略すところが変だから。それじゃあ、他の人の名前みたいだし(汗)」
健吾「しかし、何をやってるんだ?ウロウロしているようだが…人探しか?」
恭介「……!!?うまうー!!」
真人「うぉ!恭介が暴れ出したぞ!」
理樹「ウッサイ!」

ずがぁぁぁぁん!!

鈴「理樹…?」
理樹「えへへ♪」
真人「すげぇぜ、あの恭介が気絶しちまった…」
健吾「理樹…お前は…」
理樹「えへへ♪」
鈴「ん?代貴の様子が変だぞ!?」
一同「なに!!」

208:恭介とリトルバスターズ(10/9)
08/09/21 00:39:21 HGRDKKobO
代貴「そこのおじょーちゃん!俺と組んで夜の秋葉の帝王にならないかい?」
健吾「あいつは、あんなに小さな女の子に何を言ってるんだ?」

代貴「えへへ…お嬢ちゃん。飴をあげるからこっちにおいでー…ぐふふ」

理樹「まさか……ね」

代貴「ちっ、なかなか引っ掛からないな。このままでは俺のオペレーション・ロリロリハンターズが成功しないな。」

一同「………」

代貴「しょうがない、先ずはロリを集める組織を作ろうか…
あえて、変な男だらけにしてイケメンな俺を輝かせて…
名前は…そうだな…ロリロリバスターズだとあからさまにやばそうだしな…
そうだ!リトルバスターズなんてのはいいんじゃないか!よしゃぁぁぁ!リトルバスターズさいこぉぉぉ!」

209:恭介とリトルバスターズ(11/9)
08/09/21 00:53:02 cFHnfGWU0
規制にかかったのでパソコンから…

一同「………」

恭介「うぅ…何だったんだ…今のは…ハッ!!」
真人「恭介…」
健吾「お前は…すでに、この時から人の道を…踏み外していたのか…」
理樹「恭介……恭介は僕達の事、そうゆう風に見ていたんだね…
鈴「車に引かれて、ドブに落ちて、カラスに体中突かれて死ね。地獄に堕ちても、地獄のやつらで言う所の地獄にも堕ちて死にまくれ。」

恭介「……うわぁぁぁぁぁ!」

それからリトルバスターズ史上初めて除籍された人がいるとか
妹から卒業してからもウジ虫扱いされてる兄がいるとかいないとか噂が流れたのは言うまでもない。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
最後の最後に規制って…(泣)
始めはこんなに長くなる予定じゃなかったんですが…
書いてるうちに(くだらない)ネタが湧いてきました(汗)

いつかまた電波を受けた時、ちゃんとした物語が書けるように、できれば色々ご指導のほどよろしくおねがいしますm(__)m

210:名無しさんだよもん
08/09/21 00:55:26 qo89EQLD0
GJ

代貴って誰だ

211:名無しさんだよもん
08/09/21 01:01:08 Qe3OwIoI0
恭介ひでえw

>>210
さあもう1回読み直そうか

212:名無しさんだよもん
08/09/21 01:10:50 qo89EQLD0
>>211
おう、読み飛ばしてた、サンクス

213:名無しさんだよもん
08/09/21 01:48:19 PLNvzxW+0
URLリンク(www.kobayashi.co.th)

214:名無しさんだよもん
08/09/21 06:11:29 PLNvzxW+0
「僕はそんなものやりたくないから数に入れないでおいて」

―つぶされたんじゃない。つぶれたんだ。

「違う。恭介はなにも分からないんだね」

―お前は自分から潰れた。自己の喪失を補いたいだけだ。

「こんなの僕は望んでない。それが分からないんだ」

カメレオンのおもちゃなんて、僕はいらない。

「野球なんてしたくない。僕は鈴がいるところへ行きたいよ。(それだけでいいんだ。)」

―あいつがいるところ……

恭介は伝えることが出来ない。

215:名無しさんだよもん
08/09/21 06:12:04 PLNvzxW+0
「ねぇ、鈴はどこにいるのさ? 恭介は知ってるんだろ……」

理樹は激情を必死で抑え、声を震わせる。だが恭介は口を開かない。

どうして、鈴のこと教えてくれないんだよ……教えててくれよ恭介。

無機質な校舎、一室、曇り、雨が降り出しそう、秋。

―はは

ただ息が漏れるだけの乾いた音。

―……言おうか?

 『…お前は犯したんだよ、鈴を』


こんな感じ? 俺見たくないんだ。
こういうこと何度も何度も思い出したくない。
俺の居場所なんてここには無いのかもね。

216:名無しさんだよもん
08/09/21 06:31:14 PLNvzxW+0
……ちなみに俺は188です。駄文スマン。

217:名無しさんだよもん
08/09/21 07:53:51 PLNvzxW+0
「…言わないなら僕から言おうか?」
「鈴、ずっと『施設』にいるんだよね。あはは、知らないと思ってた?」
「僕でなければいいんだよ。僕はいつまでも咎人だからさ、僕でなくなればいいんだ」
僕は今持っている全てのものを捨てても、泣いてしまいたかった。
「あはは、はは、こんなことが続くのは嫌だ、はは」
頬を生ぬるくて下らない慰めにもならない涙が伝う。
さっきまで居たはずの恭介ももうおらず、誰からも切り離されるような孤独が僕を侵食する。
僕は思う。僕には幸せだった時間があるはずだった。
そのことだけに捉われて、記憶の一切を閉じ込めてしまおうとする僕がいる。
自制心もなく、なにもかもが手に付かない。
頭頂部から後頭部にかけての頭痛がする。眉や頬の辺りがビリビリしておもわず目を細める。
どこまで行っても痛みが僕を追いかける。
誰も信じてくれない。誰も相手になんてしない。
少なくともこの部屋で僕を知るひとなんて誰もいない。誰だっていいのに、誰もいない。

218:名無しさんだよもん
08/09/21 08:45:16 PLNvzxW+0
不在の空白は僕を狂気へと追いやった。いや、僕はすでに自らの意思でこの足を絡めているのだろう。
「どこまでも愚かだ、僕は」
短絡的な衝動に身を任せて僕は、教室の壁を叩きつける。
ブツケタ拳の皮が捲れても構わずに二度、三度殴る。血が多少飛び散ろうとも気にならない。
軽い陶酔感が支配して僕の心はかえって楽になり、気が紛れていく。
ひとつの決意が固まっていき、荒くなった自分の呼吸が段々と聞こえてくる。
立ち向かわなければならないのは一つではないような気がする。
進まなければ、もう、後に残るものはなにも無いということ。これだけははっきりとしていた。
何が残ろうと、気持ちがついえてしまおうと、構わない。ただ、落ち着く必要は無い。
この昂りの行き先が告げるのはどこだ。と、自分のココロを確かめるように目を瞑り手を胸にあてる。
時の止まった闇の中に不確かな過去が見えて、そこに自分の姿を思う。
……あれは僕だろうか。薄ぼんやりとした焦点の合わない影が揺れる。
笑い声、人の気配、僕、それと……

219:名無しさんだよもん
08/09/21 09:42:47 PLNvzxW+0
動悸が絶え間なく、首の後ろあたりが強張って体が無機物になったように硬い。
血の気が引くとはこのことだろうか。
己の視界に期待が持てないとみるや僕はすぐさま目を開いた。

いない、なにも無い。…そんなはず……。

手には尋常ではない量の汗がぬめる。
過去に連なった自身がきっと、邪魔をしている。
『そんなことはない“はず”だ。あるわけない。いないわけがない……』
錯乱を刷り込むようにくり返し誰かの存在を成り立たせようとする僕がいる。
もはや自我や理性は信用にならず、僕は自らで嘘を暴かなくてはいけない。
そうだ、よくは見えない。でもそれでいいはずだ。
思考の綱を手繰り寄せた先……そう、あそこは間違いなく教室…だった。
僕はマボロシの在り処をそこに求め気を急かす。
この校内のどこかに偽りがある。それは巧妙というより死角。
乱暴に扉を開け放って僕は、駆け出した。

220:名無しさんだよもん
08/09/21 10:46:05 PLNvzxW+0
平面化された幾何学的な通路。永遠とも思える夕暮れ。
僕はキュビズムの絵画の小道の上に置かれている。
見渡す限りがジグザグして、道は曲がりくねり、壁が道で覆い隠されている。
まっすぐに走っているはずが斜めに傾いたり、またまっすぐにもどったりと不安定だ。
人為的な秩序と緊張に満ちた空気が満ちている。
とてもじゃないけど、どれがどの部屋なのかは確信が持てない。
重ねられた空間の脇に扉が見えたかと思うと、それがまたくるりと一回転していく。
一階にいるはずなのに三年のクラスが横切る。わけがわからなくなる。
……この世界に意思があるとしたら、その意思は僕が疲れるのを望んでいるのかもしれない。
止まってしまえば同じような機会は二度と訪れない。つまり……僕は忘れたままだ。
忘れる……
僕は血でぬれた指を制服の裾で擦る。
どこに繋がっていようとも開けなければ始まらない。まず、近くを流れてきた扉を開ける。


221:名無しさんだよもん
08/09/21 11:43:02 PLNvzxW+0
ひと呼吸をして息を少し整える。
ノブをひねるときしりと音が鳴って手の感覚が軽くなり、扉がふっと消えた。
僕は支えを無くしたせいか偏った力のまま前のめりに滑り転ぶ。
「……っが…」
壁を殴ったときはそうでもなかったけど、手のひらが擦り剥けて今度は多少痛い。
赤くなった皮膚を見ていると大した怪我のように思えてくる、けどさほどじゃない。
それより、転んだ拍子に僕は気付いた。
床がザラザラとしていて、校舎の床敷きと違う。
立ち上がると風が、心地いいというには強すぎる勢いで奔流して吹き荒んでくる。
外。しかもこれは屋上だ。普段は立ち入り禁止の立て札がしてあるから僕は入ったことは……ない。
はず、なのに、なぜか見覚えがある。当たり前のように僕の前を矛盾が遮る。
貯水タンクの裏側にはボイラー室がある。そこはカビ臭くて、湿った場所…。
僕はいつだ……夏休みにそんな仕事を頼まれただろうか。…ボイラー室の清掃とか…。

222:名無しさんだよもん
08/09/21 12:32:39 PLNvzxW+0
開けるのが怖い。そもそも開ける必要があるんだろうか。
『くすくすくす』
小毬さん…の声だ。笑い声がする。
そうだ、一つは、僕は小毬さんに償わなければいけない。
段々と今いる世界のことが分かってきた。
僕は彼女に……
『おにいちゃん、……またもどってきてくれたんだ』
いや、これは小毬さんじゃない。ただの幻想の具象だ。
僕はもうここにはいないし。小毬さんもいない。
意を決した僕は、その錆付いた鉄の扉を開けて中へと踏み入った。

薄暗くて、壁がぼろぼろと零れ落ちる窮屈な部屋だ。
その奥で膝を抱えて座っている女の子がいる。
「りきくん、こんなところ来たら駄目だよ……。汚い」
僕は聞く耳を持たない。張り巡らされたパイプを跨いで彼女へと近づくと、
その頬に手を当てた。
「……ずっと…待ってた?」
「…………うん」
彼女はこれからもこの世界に取り残される。
僕は小毬さんの柔らかい髪を撫でて、その顔を引き寄せると抱きしめた。
「少しだけこうしていよう……?」
僕はもう二度とここを訪れることはないのかもしれない。
ずっと、こうしてあげられればよかった。
今になって、しかもこんなことしか出来ない僕は、やっぱり責められるべきなんだろう。
僕はしばらく、……彼女を、今だけでも、抱きしめていたかった。

223:名無しさんだよもん
08/09/21 16:56:42 PLNvzxW+0
「……数えてったらさ、」
小毬さんの仕草はどこかうつろにまどろんでいて、胸が痛む。
僕が話し始めると小毬さんは小さくぴくと反応した。
「ずっとずっと、ずーっとさ、ひとつ。ひとつさ、また数えてったら、」
小毬さんは、星空みたいに綺麗な瞳を向けて僕のことを見つめる。
僕は一度言葉を止めると彼女の顔を眺め、もう一度引き寄せた。
なにをしていたんだろう。僕は。
それ以上は言うことが出来なくて言葉が止まってしまう。
「…っ……」
「どうしたんですか、…くるしい?」
僕は彼女の栗色の髪に顔を埋める。「…や」彼女が少しいやがって、緋色の髪飾りが微かに揺れる。
都合のいい言葉ばかりを並べ立てる僕は……なんだ。
まだどうにかなるとでもいうのはそれこそが嘘だ。
こんなに酷い話、ない。僕は彼女のことを知っていて、逃れようとしている。
僕は続けようとした。でも、僕が話し始める前に聞こえた。

「……幸せになれる…」



224:名無しさんだよもん
08/09/21 17:56:45 PLNvzxW+0
折れてしまいそうな願い。

混濁し始めた意識の中で摺り合うように彼女との抱擁をもう一度交わす。
抱きとめた彼女はあまりに軽くて悲しい。
行かなければいけない…。
長くここにいることは出来そうになかった、頭が憔悴してぼんやりする。
「ごめん。ごめん……」
僕は消えてしまいたいほどに謝る。
急激な睡魔に襲われて僕は寝てしまいそうになっていた。
彼女が安らかになるその最後までいられずによろめく。
「またどこかに行くんですか? そんなに…心配しなくてもいいよ」
こんなこと、彼女は言うだろう…か。
ふらふらとしながら、入ってきたはずの扉を背にして僕は彼女に向きあった。
「ずっと忘れないよ」
彼女は変わらないやさしい笑みを浮かべてくれるのに、
許して欲しい、とも告げられずに、僕に考えられるのは目の前のことだけになった。
ここで倒れるなら、それはそれでよかった。…でも、これは夢。
明日になればこの記憶はどこかへと整理されてしまうかもしれない。

225:名無しさんだよもん
08/09/21 18:48:14 PLNvzxW+0
僕はメクラになって、結局は自分勝手にここを後にしようとしている。
忘れないだなんて約束は果たせるのか分からない。醜い二枚舌だ。
(同化したイメージの中に隠されてしまった彼女に、それでも想いを伝えることは出来た。)
―空調の低い振動が鳴り響いている。
伏せた目を彼女へと向けたときそこにはもうなにも無くて、
ただ縦長の配電盤やらの機械が設置されていた。彼女の痕跡は見当たらない。
ふたり分の記憶と夢、拓也さんの意思に依存した世界。
僕はもうそこを振り返ることをしなかった。


ぬかるみを突き進むような重苦しい足取り、床が膝の位置まで埋没する。
じわりとした痺れを感じながら歩き出す。前へ、前へ。
四方の窓ガラスを打つ雨の音がボツボツと耳に障る。
あと二つ。目的は自然と定まっている、まず僕はクドを探す。
上り坂の先の丘になった面、地に張り付いた扉が見える。
意識がはっきりし出したからだろうか、そこは部室へと続いているような気がした。
だが…遠い。ベルトコンベアーに引き戻されてでもいるように景色が変わらない。

226:名無しさんだよもん
08/09/21 19:15:05 PLNvzxW+0
迷うことはないのにもどかしい、進と退が交錯するアンビバレントな時間だった。
構造上の作為が僕を大まかに操って脆弱な半固体に固める。
よく冷やされて、辿り着いた頃には手足のないヒルコのような体でその部屋に
産み落とされるという青白い夢想に囚われる。
このいくらかの時の中に芽生えた新しい愚かさ、この愚かさを育ててしまいかねない
馴致された肉体になって、ある一つの意思のもとに振り回される。
足がもつれそうになる度、受け入れていく過程は捻じ曲げていくものであるにもかかわらず
横暴というほどに着手され、画にすればどんなにか間抜けだった。
羊水の中でうごめく胎児、そんな偏執が地を朦朧と霞ませる。

227:名無しさんだよもん
08/09/21 19:58:44 PLNvzxW+0
足が棒のよう。比ゆではなく、本当に棒。骨がそのまま体を支えているのか、それとも
河馬や象のように硬質で分厚い皮の塊となったのか、生物的でありながら植物的な、
あるいは無機質な感触へと変化を遂げて、おもちゃのパーツに過ぎない不気味さとなった。
強くなった雨音が鼓膜を震わせる。
上昇と下降を繰り返す断続的な波はやがておとなしくなり、普段と変わらない校舎がときおり姿を現す。
今であればそこへ飛び込める、いや、今しかないんだ。
距離を測って長い助走をもって全力で飛び込むと、岩戸の鍵のようにへこんだ取っ手に手を掛けた。
だが握力のない僕は自分の体を支えられずに落ちてしまいそうになる。
……歯を食いしばりながら懸命にしがみついてその扉を横にスライドさせようとする。
「…ぐぅ…っ…」
開きそう…。
背中に力を入れて精一杯の力でその扉をずらす。
一瞬だけ、こんなことをしてることの明確な理由が欲しくなって気が遠のいた。
頑なな扉とこの歪みの理由。僕の目的。
だけどすべてがいっしょくたになっていて、それを分けてしまうのは不可能に思えた。

228:名無しさんだよもん
08/09/21 20:42:16 PLNvzxW+0
『ああ、きっと僕は誰かを利用した』
声が流れ込む。
―自覚は無かった。
どちらかが恭介だ。どちらかが、僕。
死んだ兄の名を付けられたエレクトロニカの奇人の怪音が鳴り響く。
僕はそれを振り払いたいがために無造作に肘を伸ばした。すると、耳鳴りが止み、
扉にぶつけたと思った腕が、不思議なことに向こう側へするりと抜けていた。
手を伸ばした先は空間、……ベルトコンベアのあるこの廊下より、ずっと涼しい。
僕はもう、大して驚いてない。
ただ飛び込んだ先で頭を打つこともあると思い、半身になって飛び込んだ。

どさっ

充分とはいえないものの受身を取って着地。
すぐに立ち上がると周りを眺めた。
月明かりを反射する夜の湖面のように光るタイルの先に、その姿はあった。
クド。……それに真人だ。
格子状に差し込む蛍光灯がふたりを陰鬱に見せる。

229:名無しさんだよもん
08/09/21 21:37:53 PLNvzxW+0
「……マサト、マサト」
寂しそうなクドの声がする。
「みなさん帰ってきませんね。どうしたのでしょうか…」
「もしかして、待ち合わせの場所を間違えてしまったのではないですか…?」
きっと心配になるたびに訊ねてしまうのか長い間そうしているんだと思う、
クドは真人の背中に手を合わせて、耳を当てるように体を預けていた。
…だけど、いつも元気なはずの真人の様子はどこかぎこちない。
俯いてしまっているから顔色は分からない、けど縮こまってしまっていて、
こんな真人……らしくなかった。具合でも悪い……?

ふたりの間にはなにか立ち入りがたい雰囲気が立ち込めていて、遠い。
立ち入らないほうがいいと、直感的にそう思いはしたけれど、
僕は声を掛けずにはいられなかった。これだけ近くにいるんだからと。
「ねぇクド、真人……なにか…あっ…た?」
妙に慎重になりながら訊ねて、僕は自分が思っている悪い予感を伝えてしまっていた。
僕の声が聞こえているはずの真人は微動だにしない。
クドが、不安に陥る前に僕を見つけてくれた「あっ、直枝さんっ!」

230:名無しさんだよもん
08/09/21 22:43:25 PLNvzxW+0
しかし僕の想像は的を得ていないのか、クドに呼ばれることにどこか違和感を感じてしまった。
口をゆるく開いたまま立ち尽くしてしまう。
―どうして僕はクドに会おうと思ったんだ?
見ればクドは少し落ち着いた感じでもあって、病的さなんてない。
が、………
『お前はクドを見捨てたよな』
退屈を紛らわせでもするように恭介の声が響く。いや、これは僕なのか。
僕はつい、疑いの残る汚れたまなざしでクドを見てしまう。
クドはそうだ、テヴアに帰る予定だったじゃないか。なのになんでここにいるのだろうか。
…飛散したピースが集まろうとしていた。(クドは子犬じゃないか、哺乳瓶で授乳をする子犬。)
……っ…っ
いきなり、口内がぬらぬらとした粘膜で弄ばれるような不快きわまりない感触で埋められる。
…ぷはっ……
感触はすぐに消えたけど。
「……どうしたのですか、」
ああ、何だか、何か分かってしまったような気がする。
胸の中に次々、黒々とした想念が浮かんでは消える。
慰め? なんだ? …ふざけるなよな……。
クドの手首には鎖の後がある。噛んだのか引っ掻いたのか…腕にはミミズ腫れのような痕だって…ある。

231:名無しさんだよもん
08/09/21 23:57:22 PLNvzxW+0
フラッシュバックしたイメージによみがえるクドは儚かった。
誰にも守られずにいつもくったりしている。
さっきまで薄暗い真夜中のような気がしていたのに、今では白夜のように薄白い陽が差し込む。
時間の感覚までが狂ってきた。
喋る体力があるうちに話さなければと、僕はもう明け透けにものを言うつもりになってきていた。
僕はクドの顔を見つめると「向こうに行っていて」と、この間だけ出払ってもらうようにお願いをした。
丁寧さを含んだ傾げるような会釈をしてクドは、扉の向こう側へ行った。
この部屋に残されたのは僕と真人だけだ。
「真人、いつまでそうしてるんだよ」
僕は遠慮しない。
「ここまで来なかったら、一生隠し通したんじゃないの?」
「もっとも恭介は知ってるだろうけど」
クドに聞かれていないせいか、徹底してしまおうと思った。
「……あんなこと隠したまま、いつも筋肉ーっとかしてきたんだろっ?」
「冗談じゃない…それって、僕のこと騙してるじゃないか」
言葉を並べていくうち、気化熱で体が冷えるように空しくなっていく。
部屋を占める真人の体躯も煩わしい。

232:名無しさんだよもん
08/09/22 02:00:49 xmueH1Ji0
「………」
真人は、相変わらずこういうときは黙ってしまう。
他の連中が怪我をしそうになったときもそうだ。
「なぁ、能美のときはどうして無茶なことをしたんだ?」
お前は守ってやれないのにな。
言外にそれを乗せて傷つけるような言い方をする。それはわざとといっても過言ではないだろう。
急にガラリと変わった俺の口調を聞き、口を閉ざしていた真人は憎しみを込めて俺を睨む。
「……そんな風に他人になりかわって楽しいかよ、恭介」
俺は返してやる。
「理樹のままだったら話さないだろ」
歯車のまま回っていればその方が幸せだなんて嘯きながら、本当は救いたがって、
そしてその結果がこれだろ。なかなか笑えるじゃないか……。
確かに自分を律してはいたがお前はまるで駄目だった。
「何だったらそういう風にして助けてやってくれよ。理樹や鈴のことを」
皮肉を込めて話していた。
「そんなよ、俺がしちまったようなやり方理樹が望むかよ」
「まぁそうなるか」
満足な答えを得られないものの思い悩んでいた真人の心中を多少なりとも聞けたので、
それで済ますことにした。

233:名無しさんだよもん
08/09/22 03:42:37 xmueH1Ji0
……、目の前の景色がずれ落ちた。
陳腐な風景画が歪んで、突如間違い探しでも与えられたように真人は消えていた。
僕はそのことを否応なく気付かされる。
瓦礫のなかに立ち尽くしているような荒廃感に急に寒気がした。
気が抜けて、そしてクドももういない。空っぽになった部室はそれこそ僕自身みたいだ。
滑稽……、そんな、今更なことがグルグルと頭の中を掻き回る。
僕は一つの大切な機会を失ったことを理解した。
欠落の方が多く目についてしまい、歩き出すことが辛い。
でも分かっていたはずだった。いったい僕はなんて言って歩き出した…。
(随分ご立派なことを考えてたじゃないか。)
自虐が恭介の言葉のように何かを語る。
ほんとうの恭介は…こんなこと言わない。
指はまだ血に塗れたままなのに、その痛みも薄らいでしまっていた。
分解の効かないくらいにばらばらに壊れてしまえばもう生きる必要もないのかもしれない。
虚血性の心疾患にでもかかったようにめまいがしそうだ。
僕が露になっていく。

234:名無しさんだよもん
08/09/22 04:54:08 xmueH1Ji0
扉を開いて、廊下へと駆け出す。
ふらふらになりながら、みじめに歩くさまは、小動物だ。
どこへ向かえばいいんだろう。
立体の迷路に入れられて右往左往する。
僕の胸にあいた穴は塞がらず、飲み込まれそうになる。
全部がひとつずつ欠けている。
理想なんて程遠い。
息が切れてしまって力が入らず、壁にもたれこんで倒れそうになる。
日ごろまともな運動をしていないということがモロに出る。
なんの計画もなく、部活もしていない。
時間を遡行してもっと元気だった頃に帰って、もう一度走り込みたい。
野球にしたって僕は付け刃だ。ベースランでも息が、切れる。
まともな練習にどっぷりと浸かってれば……とたらればが漏れる。
激しかった雨はもうまばらだ。廊下は無音に近い。
直角に曲がったかと思えばUターンするような曲がり角。
ひょっとすると何回も何回も同じところを回っているんじゃないかという気がしてくる。
そろそろもう足もへたってきている。
とりあえずで、手当たり次第に探し出すしかないんだろうか。
どこにも踏み出せないままただ時間だけが過ぎていく。
何か手がかりを探したい。僕はそんな気持ちからひとつ大きな深呼吸をしていた。

235:名無しさんだよもん
08/09/22 05:37:26 xmueH1Ji0
「…はぁ……ふぅぅぅ………」
血の巡りの衰えた頭で耳を澄ます。
……ざぁざぁ……ざぁざぁ…小豆でも転がしているような音がする。
画鋲や釘やボタンやコインがばら撒かれた音なんて、混ざっていない。
僕は目で見たことを信じようとする。
外は雨が降っている……これ…雨の音だ……
でも視覚と聴覚が一致しない…。
窓の外の雨は、降っているとはいえぽつぽつとしたもの。
聞こえてくるのはざぁざぁ…だ。
雨音に似た音はなんだろうと弱った頭に鞭を打つ。
油とか、砂とか、そういうものが思い浮かぶ。
砂……
ざらざらざらってとこだろうか。
さらさら…というほど澄み切った音は出ない。
むしろ濁っている感じがする……
これは外の雨音じゃないな。
どこからか聞こえてくるけど、これはどこのなんの音なんだ……
老犬みたいに足をよろよろとさせながら、
ひとまず前から聞こえてくるということだけを頼りにまた歩き出す。

236:名無しさんだよもん
08/09/22 06:48:28 xmueH1Ji0
空中にドローイングされた絵の中を歩く。
ときおり現れる階段を昇る。
自然発生的なベルトコンベアーに流される。
だいぶ歩いたり走ったりしてきたと思うんだけど……
最初に歩き出す方向はかなり重要だったんじゃないかと思う。
カオス理論? バタフライ効果? ……なんだかごくわずかなずれから
将来に甚大な結果が生じるとかいうそういう理論があったような気がする。
来ヶ谷さんがいればこの難解でデタラメな迷路も直線距離一発だったんだろうか…
でも、歩くときはただ歩くのがいいに違いない。
今はなんだか重荷というか、何かを置き忘れてきてしまったというか、
疲れているわりには体が少し軽くなっていた。
もし楽ができるとなればもっと早くにどこかで頓挫していたと思う。
僕はただ歩く。歩く。
僕の目的はもう一つだった。このまま何もかも忘れて、鈴を目指す。
歩く楽しみにこうして浸っているのは、少し能天気過ぎるけど、
もしもこれが不安を隠すための虚勢だとしてもいい。
止まったら死んでしまう回遊魚にでもなってやれって、自分を追いやる。
悲しいのもう沢山だ。

237:名無しさんだよもん
08/09/22 08:13:52 xmueH1Ji0
思考のろれつが回らなくなっていた。
噛んだのはいうまでもないけれど、……僕の目の前に大きな二つの分岐路が構えている。
ここに来て始めてのケース。すなわち、これはマボロシではないだろうか、ということだ。
散々隘路という隘路を歩きまわってきたせいか、視力もなんだかあやしいし、
下手をすると一方の道はとても危うい。
図太くなった、あるいは麻痺した神経のせいで迷う必要はなくなってしまってはいた。
一つは帯状に広がる金色の道。もう一つは木製の、欄干まで付いてあるやさしそうな道。
僕は……今までずっと金色の道を目指してきたんだと思う。
狭くて見えづらい、それは滑りやすい道だ。
一度転んでしまえばズザザーッとほぼ垂直落下する……険しい道。
そこで僕は考え方を少し変えてみたんだ。
今僕にそんなところを這う力が……あるのか?
ここまで延々と歩いてきて、当初からの目的はあったものの……ちょっと無謀だなって思ったよ。
それに負け惜しみじゃないけどさ、
あの場所まで上りきっても鈴じゃなくて金貨とか財宝とかが見つかりそうじゃない?
だからさ、僕はここで迷いがふっきれてしまったんだ。
あの小路はいつかにしよう。やっぱり鈴を探そう……ってさ。
そして僕は歩き出したんだ。あのやさしそうな道をさ。

238:名無しさんだよもん
08/09/22 08:53:48 xmueH1Ji0
板張りの道がキュと鳴る。それはさながら何かの鳴き声のようだった。
すべてが消えてしまいそうな静寂が辺りを支配している。
何か全部失くした。そんな暗い道だ。
広かったのは最初だけで、奥へ進むほどそれを感じた。
ああ、どっちに進んでも同じだったんだなと。
竹やりが突き出てきたので避けそこなった僕のわき腹にはそれが突き刺さっている。
今生きているのが不思議だった。
僕は先ほどまでの出来事をもう一度、走馬灯として見ることになって、
忘れたくないことまで忘れてしまっていたことに思い出した。
悲しかった。
今でもはっきりと思い出せるし、あの時だってそうなのに、どうして僕は、
あの竹やりに刺されたとき、彼女のことを忘れられたんだろう。
ここで死ぬこと……それは誠意だろうか。
鈴……小毬さん……
僕の意識は羽のように軽くなる。
何か全ての汚辱を身に纏ったような不快さにも苛まれる。
目を閉じてしまえばすぐにでも眠れる。
僕は痛みのわりにははっきりとした精神でこれを堪えていた。

239:名無しさんだよもん
08/09/22 10:02:23 xmueH1Ji0
だけど、…完全に道を見失ってしまっていた。
よく気が持ってられると自分でも思う。
全部自分のせいだから仕方ない、そんな割り切り方は今は出来そうもなかった。
寝たい……でも何もかも中途半端だ。張り付いた竹やりが血を吸い上げていく。
自分の心の弱さに吐き気を催す。
鋭いやりが刺さって、それでも平然としていられるほど強くない……
立ち止まってしまったことを後悔していた。
廊下だってグニャリと歪んでいるのか、単に僕が見ているものが歪んでいるのか。
このヤリだって刺さるように仕掛けてあったのか……?
違う、そこまでじゃなかったはずだった。
でもなんだかここにきてからはいつも虐められてる気がする。
泣きたい…、痛くて仕方ない……
なんだろ、なにしてんだ。
体が重い。

240:名無しさんだよもん
08/09/22 11:52:32 xmueH1Ji0
泣き言しか出てこない…。
僕は体を引きずって、なにも考えたくなくてまた歩き出す。
どこを彷徨っても僕は鈴を見つけられない。
無心になりたい。
砂の音ももう聞こえない。
まったく新しい道のはずなのに今まで辿ってきた道をなぞっているような既視感にとらわれる。
けど、何の目印もないからまた一から歩き直しているみたいだった。
……でも、まだ入っていないクラスで気になるところがあった。
もしかすると僕は、鈴が怖い。
だから、2-E…見つけていたけれど、まだ入っていなかった。
恭介が言う言葉が頭の中で繰り返される。
僕が…
その先を続ける気持ちにはならない。
…急激な眠気が僕に休息を求めていた。

241:名無しさんだよもん
08/09/22 20:41:32 ZyetQY7D0
( ゚д゚)


(゚д゚ )


( ゚д゚ )

242:名無しさんだよもん
08/09/22 20:44:49 xmueH1Ji0

棚引いた雲が窓の外を流れていく……

眠りかけた意識を奮い立たせて前だけを睨む。
自分との戦い。
心臓が拍動して出血は酷くなった。
傷口よりも胸が痛くて、酸素が上手く廻っていかない。
点々と落ちていった血の痕がそれを物語る。
黒ずんだ制服は……じっとりと重い。
僕はボタンを外すことも出来ず、
掴みづらいボタンを勢いなく引きちぎると、上着を脱ぎ捨てた。
冷えた体は勝手に震えたりしていうことをきかない。
無理に力を入れようものならきっともう倒れてしまう。
明日元通りの学校が始まって、廊下に倒れている僕は消えていて…
そんな自分を想像する。
僕は笑う。「それなら一学期がいいな…」
終わらない意識が取り囲む私物化された学校。
この校舎が早く、元通りになる姿を思いながら、僕は……扉を開けた。

243:名無しさんだよもん
08/09/22 21:46:00 xmueH1Ji0

……がさ、…で……よなー……
…えっ……キャハハ……

賑やかそうに話しをしているクラスメイトたちがいる。

ここは……

頭が働き出す前にひと際大きな、声が聞こえてくる。
「まじで? あの子ほんと頭ヨワイよね」「笑えんだけど」
疲労の上いきなりの声だ。
僕は動揺してしまいそうだった……
落ち着け…僕。何気ない……何でもないことだ……
ひとつひとつはバラバラの出来事が無意識によって結び付けられているだけだ。
僕だけではないふたつ、それか三つの無意識。
だらりと血が流れていくがみんなは僕に気付かない。
たしかさっき、そのことを望んだような気がする。
中には酷いことを言っている…そんなのも、あるのだろうけど、
聞けば今度の修学旅行のこととかを交えていているだけだ。
毅然としていればいいんだ。
でなければ、相手をそんな風に思い始めてしまうことだってあるに違いないよ。
自分のことだって嫌いになる。不自由さに我を忘れて、それでいいことなんてあるわけない。

244:名無しさんだよもん
08/09/22 22:06:04 3Qrbq6ra0
もうなにがなにやら。
せめて、名前欄に番号振ってくれればいつ終わるかがわかるのに。

245:名無しさんだよもん
08/09/22 22:32:38 xmueH1Ji0
ごめん、終わりが全然見えなかったんだ。
今晩中に終わらせる。まじごめん。

246:名無しさんだよもん
08/09/22 22:59:44 xmueH1Ji0
僕はどこか縋るように念じていた。
心はすぐに乱れていた。
とそこへ

「りき、ぼーっとして、どうしたんだ?」
「えっ……?」

ちょうど真横、思ってもみないところから鈴の声がした。
耳を疑いそうになりながら、僕はきょろーと不自然な振り向きをしてしまう。
机の上に座って足をぶらっとさせている鈴。……えっ?
「えっ、えっ、うぇっ!?」
僕は新手の生命体のような奇声を上げてしまっていた。

「こわっ! りきはなにかになってしまったのか!?」

鈴の声がベッカムのアーリークロスのように切れ味を放つ。
疲れていても関係ない。走れば届く!

「鈴! ど、どこいたんだよ……! いや、って……ここにいたのっ!?? いたんだ!」

僕はウルサイくらいに鈴にまくし立てる。
ペナルティエリアに滑り込むような慌しさで駆け込んでいた。

247:名無しさんだよもん
08/09/22 23:33:51 5YE4ogiwO
まだこいつは無修正脳内オナニーぶちまけてるのか

248:名無しさんだよもん
08/09/22 23:37:03 y3A9NWzl0
ある程度まとめてから書いたほうがいいと思う

249:名無しさんだよもん
08/09/22 23:43:17 VU0ICRwx0
ちゃんとテキストファイルにまとめてからコピペオヌヌヌ
推敲もしやすい
と前スレで初SS投下した者が言っております

250:名無しさんだよもん
08/09/23 00:00:43 eL5WolaeO
読みにくい所はあるが悪くない気がするのは俺だけだろうか。

251:名無しさんだよもん
08/09/23 00:34:54 jZM4iFU60

>>248.249.250
ありがとう。読みにくい……そうだと思います。
ご指摘のまとめ方ももうちょっと上手くなりたい…
これが終わってすぐにまた何か書き出すってことはないけど、
もし戻ってくるときは向上したいと、そんな風に思ってます。

252:名無しさんだよもん
08/09/23 00:35:27 jZM4iFU60
「…………鈴っ」
「にゃあっ! やめろバカ…!」

被さるように抱きしめる。けど、出来る限りやさしく。
鈴の背中で結んだ僕の手の傷はいつの間にか消えていた。
突き刺さっていたはずの竹やりももうどこにも見当たらない。

「ためらってしまってばかりだった。……長い遠回り、してきたよ」

失ってしまった約束を取り返すように想いを込める。
砂音も、恭介の声も……どこからも聞こえない。
鈴に触れた僕の胸はまだとくとくと鳴っていて、新しい命のようだった。

「そうか……。それ、楽しかったか?」

いつもの鈴がそこにいる。
僕はそれだけで泣いてしまっていた。独りよがりな涙だ。
「ぐすっ……わかんない」
堪えようとしても止まらない。
安心してしまったせいかとめどなくあふれ出てしまいそうになる。
な、泣きたくないのに……!

253:名無しさんだよもん
08/09/23 01:04:59 PpclBuKd0
だから続けるにしても改善しろって
だらだら長時間垂れ流しはうんざりする

先に書き纏める→必要レス数計算する→番号振って書き込む
程度で良いんだからさ

254:名無しさんだよもん
08/09/23 01:06:00 gIbRa4SB0
ここまで長いなら保管庫に投稿したほうがいいような気もする・・・

255:名無しさんだよもん
08/09/23 01:08:38 ICji8E1sO
終わりが見えないと間が空いてても他の投稿者が投稿しにくいしね

256:名無しさんだよもん
08/09/23 02:54:25 jZM4iFU60
度々で済みません。一応終わらせることが…出来ました。
長時間スレを使って本当に申し訳ありませんでした。

257:名無しさんだよもん
08/09/23 02:56:39 jZM4iFU60
鈴は肩越しで泣くこんな僕を見てどう思ったのか、
子供をあやすようによしよしとする。
正直に言ってかなり恥ずかしい。
「泣きたいときは泣いてもいいんだって恭介が言ってた」
そう言うと鈴は僕の背中をぽんぽんと叩いてくれた。

「おっ、なに乙女のように泣いてるんだい?」

あまりに情けない状況の中、後ろから突然声がした。
ふと記憶の中の表情が混ざり合って、僕は警戒して身を翻した。
「どうしたんだ…理樹よ」
僕はもう一度、恭介の顔をよく眺める。

258:名無しさんだよもん
08/09/23 02:57:25 jZM4iFU60


心配そうに、曇ってしまった僕の顔を不安げに見つめて、
次の言葉が出せないでいる。……そんな、いつもの恭介だ。
「まさか鈴……お前理樹になにかしたんじゃないだろうな……」
こんな馬鹿なことだって平然と言い出すし。
「そんなわけあるかっ、ぼけ!」
とうぜん鈴は机の上からジャンピングハイキックをおみまいする。
と同時に恭介に当たってバランスを失ってしまう。
……うわあっ!
コマ送りのように落ちていく鈴。
僕はつんのめってその落下点へ滑る。―ヘッドスライディングっ

「ぐっ」「うにゃっ」

ぎりぎりで間に合ったというか、鈴は僕のせなかに尻もちをついて声を漏らす。
「……っいてて、おーい鈴ねんざとかしてないか?」
聞こえてくるのは恭介の、活発な僕らを控えめに心配する声。
背中からは……鈴のおもみが感じられる。
ズキズキと痛む背中。胸の痛みよりずっと楽な痛み。
おだやかない日常が還る。
こうしていられる、そのことがどれだけ尊いものなのか…実感が湧いてくる。
そして僕は、この限りある時間をいつまでも大切にしたかった―




終わり

259:名無しさんだよもん
08/09/23 20:45:40 2cTlaOlM0
なんつーか、人に伝える気あるのだろうか…。
もっとわかりやすく書けると思われ。

260:名無しさんだよもん
08/09/23 21:26:22 kMQC2kho0
むしろ意図的にわかりにくく書いてるんじゃないのか?
思いつくままに書き殴っても、ここまで伝わってこないものにはならんだろ。
まぁ伝える気がないなら書くのはオフラインだけにとどめておけと。

261:名無しさんだよもん
08/09/23 21:59:04 xtybPlKFO
暗い地下迷宮の通路を時風は走っていた走るその足に銃弾がかすめる。
「くっ!」
「動くな」
振り返るとそこには殺意を持った朱鷺戸沙耶がこちらに銃を向けて立っていた。「沙耶!」
理樹も駆けつけて息を呑んだ。
敵のボスである時風を追い詰めたからだ「…理樹君は知らなかったわよね。時風の正体を」
理樹はその言葉を聞いてハッとする。
(…まさか)
「教えてあげるわ」
パンッ
銃弾を受けた時風の仮面は真っ二つに割れた。
「そ、そんな…」

262:名無しさんだよもん
08/09/23 22:10:43 xtybPlKFO
「…き、恭…介」
理樹は愕然とした。理樹にとって大切な友達であり最大の理解者が今敵としてそこにいた。
「そうだ…オレが時風だ」
血で濡れた顔で笑い彼はそう言った。
「どうして…」
「…理樹、鈴が執行部にさらわれたんだ。それで俺は脅されてこんな事をやらされていたんだ!だけど、今なら奴らのスキを突く事ができる。頼む…協力してくれ」
「理樹君!騙されちゃダメよ!」
沙耶がまた銃を構え恭介に狙いをつける

263:名無しさんだよもん
08/09/23 22:24:26 xtybPlKFO
「お前はいつもオレの邪魔をするのか」
「私は…自分の願いを叶えたいだけよ!それがわがままでもね」
沙耶の目に涙が滲む
「お前は本当にわがままだな…何度もチャンスを与えたのは間違いだった…理樹の為と思ったが…」
沙耶が嗚咽をする。
「…やはりお前はこの世界から弾き出されていたんだ!」
恭介は隠し持っていた銃を沙耶に向ける沙耶もそれに反応し恭介に銃を向ける
「朱鷺戸っ!」
「時風っ!」
パンッ

264:名無しさんだよもん
08/09/23 22:25:21 xtybPlKFO
そしてR2へ…

265:名無しさんだよもん
08/09/23 22:41:48 sYWegBeo0
「という劇を考えてみたんだ。その劇の題名は・・・リトルバスターズ!反逆の沙耶R2 でどうだ?」
「おおっ、すげぇ・・・で、当然この俺の出番もあるんだろうな?」
「ああ、ある・・・お前は無実なのにも関わらず主人公に濡れ衣を着せられ、しかし主人公に忠節を尽くす騎士の役だ」

「朱鷺戸×棗・・・女男はダメです」
「なら何なら良いのかね、西園女史」
「ここは、記憶を無くした主人公に監視役としてつけられた、偽の弟を登場させてみてはどうでしょうか。
任務を実行しながらも、どこか主人公に惹かれていく偽の弟・・・これはいけます」

266:名無しさんだよもん
08/09/23 22:43:23 sYWegBeo0
自分で釣られてレスして気付いた
シンクー役で恭介のがいいなw

267:名無しさんだよもん
08/09/23 22:49:54 qOZxl4L10
>>266
ロリコン的な意味でか。


268:名無しさんだよもん
08/09/23 23:16:42 jARZGSFd0
スクレボEND後、ゲームマスターになった沙耶によって皆は記憶を改変され
恭介は沙耶達とは関係ない普通の学生として生活していた
そしてその「弟」として恭介を監視する理樹

しかし来ヶ谷によって記憶改変を免れていた鈴と接触し、記憶取り戻した恭介は呟く
「間違っていたのは俺じゃない!世界の方だ!」



西園「やっぱり棗×直枝は王道ですよね」

269:なりきり5回戦目(1/4)
08/09/23 23:20:37 jPjnDTWU0
佳奈多「五回戦行くわよ」
葉留佳「って、何か急にお姉ちゃんが仕切ってるんだけど」
佳奈多「ふふ、葉留佳貴女まだやってないんですってね。最高に恥ずかしいものを引かせてあげるわ・・・」
葉留佳「な、なんか謂れの無い復讐の的になってますヨ!?」
美魚「・・・・・・わふー」
佳奈多「葉留佳!! あなたそこに直りなさい!!」
葉留佳「さらに何か思いっきり冤罪きたー!?」
理樹「まぁまぁ、とりあえず佳奈多さん引いちゃって・・・」
佳奈多「わかったわよ・・・。葉留佳対朱鷺戸さん」
葉留佳「って、ほんとに引かれたー!?」
唯湖「執念だな。シスコンエネルギーとも言う」
佳奈多「言いませんっ」
恭介「・・・しかしまぁ」
理樹「ついに引いちゃったねぇ・・・」
鈴「何だ、どーした?」
唯湖「いや、何・・・」
小毬「あやちゃーん、出番だよ?(近くにあったダンボールを持ち上げる)」
あや「・・・ぇ?(箱の中から登場)」
一同「・・・・・・・・・・・・・・・・」
唯湖「・・・さすがだ、コマリマックス」
小毬「あやちゃん、出番だよ?」
あや「・・・あの、さ、小毬、いつから気づいてたの?」
小毬「ふぇ? いつからって、不思議なこと聞くね・・・」
恭介「ぶっちゃけ最初からだ。全員な」
あや「・・・・・・ふ、ふふふ・・・・・・」
理樹「ああ、来るかな・・・」
美魚「来るでしょうね」

270:なりきり5回戦目(2/4)
08/09/23 23:21:19 jPjnDTWU0
あや「そーよ!気づかれてないと思ってたわよ!
   私に気づかずにわいわいやってるの見ていつどうやって出て行って脅かしてやろうかなんて考えて悦に入ってたわよ!
   それが実は見逃してもらってたなんてね、ほんと笑えるでしょ、滑稽でしょ、笑いたければ笑いなさいよ
   ほらアーッハッハって笑いなさいよアーッハッハッハッハ!!」
謙吾「アーッハッハッハ!!」
あや「わらうなああああああああ!!!」
謙吾「うおっ、エアガンの乱射はやめんか!」
真人「いってぇぇえ!? 何で俺まで打たれるんだよ!?」
理樹「ってうわ、どさくさに紛れて復活してるし」
美魚「しかしなぜダンボールなんかに入っていたのですか?」
あや「この間恭介の部屋で見た本にあったのよ。最高のサブシスタンスアイテムだって」
恭介「一応言っとくと、それゲームの攻略本な」
あや「へ? ・・・ってことは、私、ゲームの情報を真に受けて実践したってこと?」
鈴「あほだな」
あや「・・・ふ、ふふふふふ・・・、ええそーよ、あほよ!まさかゲームのアイテムだったなんて考えも」
理樹「はいはいはいはい。自虐してばっかだと話進まないからさっさとクジ引いて」
あや「あたしの一芸なんだから最後までやらせなさいよおおおおおお!!」
クド「何だか最近のリキは容赦ないのです・・・」
美魚「黒理樹・・・大いにありです・・・。黒理樹×棗。ほぅ・・・」
葉留佳「てか私のキャラ飲まれてない!?」
佳奈多「騒がし乙女の面目危うしね。これを気に落ち着きでも身につけたら?」
葉留佳「それはムリですネ。というわけで、とりゃー!」
あや「ぶつぶつぶつ・・・。はい、引いたわよ、これで満足?」
恭介「本題これからだからな。ほら、壇上上がれ。準備できたな。ファイッ!!」

271:なりきり5回戦目(3/4)
08/09/23 23:21:50 jPjnDTWU0
葉留佳「朱鷺戸さん、校内にエアガンを持ち込むのは風紀違反にも程があるわ」
佳奈多「・・・・・・(無言で頭を抱える)」
美魚「さすが双子」
理樹「いつの間にか髪型変えてカラコンまで入れてるし・・・」
クド「わふー!? あの人三枝さんだったんですかー!?」
唯湖「しかししましまだけは譲らない。葉留佳君はよくわかっている」
恭介「視点が何かエロいな」
唯湖「うむ。エロいことは正義だよ」
鈴「なんでだ」
あや「いや、べつにそんなものもってない」
謙吾「む、これはまさか?」
あや「かなたこそ、風紀委員やめたんならそういうこという必要はないんじゃないか?」
佳奈多「・・・朱鷺戸さん、そこにいるの、葉留佳なんだけど」
あや「な・・・、にゃにぃ!?」
鈴「にゃにぃ!? あたしか!?」
理樹「・・・そこでわかるんだね」
小毬「でも結構似てるねぇ」
葉留佳「ふふ、この完璧な変装。私のほうがよほどスパイ向きのようね」
佳奈多「私はあんなこと言わないわよ」
理樹「うん、わかってる。わかってるんだけど、何でか突っ込み入れられないんだ・・・」
あや「うあああ、く、悔しいー!」
恭介「あや、減点1」
あや「し、しまったぁぁぁぁ!!」
謙吾「さっきから自爆しすぎだろう、お前・・・」
美魚「さすが天然ボケスナイパー・・・、無自覚に狙ってきますね」

272:なりきり5回戦目(4/4)
08/09/23 23:22:22 jPjnDTWU0
葉留佳「理解した? 所詮あなたの他人への理解なんてその程度なのよ。わかったらその辺であひょー、とかうひゃーとか言ってせいぜい周りを楽しませることね」
理樹「・・・突っ込みどころ満載過ぎてどうしたらいいのか・・・」
佳奈多「・・・・・・・・・」
クド「か、佳奈多さんが震えてます・・・」
あや「そ、そんなんできるか! あほかお前!」
鈴「うん、あたしでもそう言う」
恭介「むしろ誰でも言うな」
葉留佳「あほ? ふふ、そうかもね。でもそのあほに変装技術であなたは負けたの。あなたはあほ以下ということなのよ。さぁ、あほ以下はさっさと」
佳奈多「葉留佳、あなたちょっとこっち着なさい」
葉留佳「あれ? ・・・何か肩すっごい力で握られてマスヨ?(大汗)」
佳奈多「あなたが私をどう見ているのかよーっく判ったわ。ちょっとあっちで姉妹の価値観の相違について、ゆっくりお話しましょう」
葉留佳「あ、あのー、ちょーっと昔のおねーちゃんをやってみただけだったんだけどー・・・、悪気とか無いですヨ? ナッシングですヨ?」
佳奈多「そうね。確かに昔の私ね。怖いくらいよく似てたわ。でもね、人間って理不尽よね。本当のこと言われると、逆に怒るのよね。悪気関係なしにね」
葉留佳「え、いや、ちょ、やば、り、りきくん、こまりん、りんちゃんへるぷぅぅぅ!!」
理樹「ごめん、無理」
小毬「ふぇ!? えーと、えーと・・・、ご、ごめんなさはい~~」
鈴「あきらめろ、はるか」
葉留佳「ええええ、見捨てられたぁぁぁ!? ってお姉ちゃん耳つかまないで引っ張らないで痛い痛い痛い~~~!!」
佳奈多「痛い? ええそうでしょうね。姉をそんな風に見てる妹にはそれがお似合いよ。さあ、さっさと歩きなさい」
葉留佳「うあぁぁ、だ~れ~か~た~す~け~てぇぇぇ・・・・」

唯湖「傍目には佳奈多君が佳奈多君を引っ張っていく光景だな。うむ、これはシュールだ」
あや「・・・・・・・・・は! そーいえば、えっと、あの、勝負は!? どうなるのよ、これ!?」
恭介「・・・あー、このオチは予想しなかったな」
クド「わふー・・・、とりあえず、あやさんの勝利でいいのではないでしょーか・・・?」
あや「・・・何か、負けた気分だわ」


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