08/02/10 01:43:57 +lJdzHgM0
FATE.
―The Impossible Dream.―(クラナド)
三年の間に朋也を吹っ切れずにいて、同窓会で一人毒づいてるだけの印象がある冒頭部分、
その後の行動を理由づける部分だとは思うのだけど、やや急で説得力に欠ける感じ。
表現はおおむね醒めた感じになっていて、杏の虚無感みたいなものを感じさせるが、
「唾棄すべき」とか、何とも若い女性の思考ではないような印象も受ける。
エロはほとんどが受け身であるが、それを甘んじて受ける杏の葛藤(不安と期待、拒否と受容)が、
淡々と綴られる表現から微妙な加減で伝わるのはなかなかいい感じ。
1~4まで単なるエロ展開だけかと思いきや、4の途中で流れが変わる。
5だけ別にしてるのはこうした構成だからか。
と言うことで、5でようやくエロ以外の本筋(体の繋がりや杏に対する智代の態度の理由)が
明らかになることで、この作品に対する印象も大きく変わる。
設定の詰めや表現とか気になる部分はあったものの、読後の印象は読み始めとはまったく違っていた。
ひと言で表現するなら、(エロ部分も含めて)切ない話だった。うん、悪くない。
思うに、分類で「和姦/視姦/百合/精神陵辱」とか書かなくてもいいのではなかろうかと。
これを見た上で読み進めていくと、どうにも「何? このエロ展開は?」と、
読者を悪い方に誘導する恐れがあるように思う。
もっとも、それを狙っての分類と構成だったのだとしたら、それはそれでありだろう。