08/12/30 03:06:31
何度も、何度も迷った。
言葉を紡ごうと何度も息を吸った。
けれど、声は震えるばかりで音になってくれない。
恥ずかしさで頭がいっぱいで、
うまくいかない自分がもどかしくて、
もうぐちゃぐちゃだった。
視界が揺らぎだし、目頭が熱くなる。
顔を上げられなくなって、シェリルが俯くと、優しい手がシェリルを撫でた。
「シェリル?」
囁くようにして言われた声が再び、シェリルの耳を侵す。
ズルイ。
ズルイ。
ズルイ。
ズルイ。
何度心の中で愚痴っても、だめだった。
この衝動が止められないことを突きつけられるだけだった。
震える手で、アルトの服の先をぎゅっと握り締めると、シェリルは大きく息を吸った。
ひゅうっと小さく音がなった。
「・・・・・シ、テ?」
静かな部屋に落ちた言葉。
自ら発した言葉と音が、今度はシェリルの耳を侵す。
これ以上熱くなりようがないと思っていたのに、さらに顔がその熱さを増した。
「・・・・何を?」
「・・・・・・っ」
アルトの言葉に、シェリルは声を失った。
たったあの二言を言うのに、どれだけ自分が勇気を使ったと思うのだろう。
自ら放った言葉がどれだけ自分を辱めたのか分かっていないのだろうか?
どうしていいか、本当に分からなくなる。
瞳から、とうとう涙が零れだした。