【Without a Trace】ダニー・テイラー萌え【小説】Vol.15at EROMOG2
【Without a Trace】ダニー・テイラー萌え【小説】Vol.15 - 暇つぶし2ch868:書き手2
08/08/24 22:48:01
それでもいつのまにか眠っていたようで、目覚まし時計が鳴るのとほぼ同時に目が覚めた。
空はすっかり明けていて、群青色の空が広がっている。
ダニーは素顔のジェニファーを眺めながら頬を撫でた。しっとりしたなめらかな肌が指に心地よい。
そっとまぶたにキスをするとジェニファーが目を覚ました。
「おはよう、ジェン」
ジェニファーはダニーに頷いただけでまたすぐに眠ってしまう。揺すってもタオルケットにくるまっただけで起きる気配すらない。
こんなに寝起きが悪いとは知らなかった。
無論、月に二度か三度、夜の数時間を一緒に過ごすだけなのだから知る由もない。
「ほんまに眠り姫やったんやな・・・」
ダニーは寝顔を見つめて微笑む。ジョギングはパスすることにしてじっと見とれていた。

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08/08/24 22:48:50
鼻をつまんだり、キスしたりしていると、ようやくジェニファーが目を覚ました。
ダニーは、ジェニファーの意識がはっきりして、自分を認識するのを待つ。
その一瞬を見逃したくない。どんな顔をするのか知りたかった。
起きぬけの無防備な視線がダニーを捉え、ジェニファーは瞳に微笑を浮かべておはようと言った。
ダニーもおはようと言い返して胸に抱き寄せる。
ジェニファーはキスしようとしたダニーの頬に両手でそっと触れて謝った。
「ごめんね、迷惑掛けて。こんなところをダニーの彼女に見られたら大変なのに」
「あほやな、迷惑やなんて思てへん。それに彼女なんかいてないし」
ダニーは体を入れ替えてジェニファーを組み敷いた。
「オレが付き合ってる女はジェンだけや。他の女なんか興味ない」
ダニーの真剣な眼差しに、ジェニファーは複雑な表情を浮かべる。かまわずキスをして抱きしめた。

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08/08/24 22:49:39
「今日も泊まれる?」
ダニーはサイドテーブルの上の結婚指輪をちらっと見た。無理なのはわかっていても訊かずにいられない。
「今日は帰らないと捜索願出されちゃう」
「大丈夫や、失踪してから48時間経たんと受理されへん。だから、な?ええやろ?」
ダニーは頬をくっつけて甘えた。
「無理よ。できない」
それでもダニーはあきらめきれなかった。ごり押ししたらどうにかなりそうな気がして、
「Quédate conmigo」
スペイン語で一緒にいてと言ってみた。
ジェニファーはダニーの目を見つめ返したまま首を振っただけだ。
いつかからかわれた、¿Se te ha comido la lengua el gato?(猫に舌をとられたの?)を、今度はダニーが言う番だった。

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08/08/24 22:50:36
気まずい沈黙が続く中、ダニーのお腹がぐーっと鳴って、ジェニファーはくすっと笑って体を起こした。
「朝ごはん作るね。食べたいものある?」
ダニーはベッドから出ようとしたジェニファーの腕を掴んだ。
「ない。メシ食って服着たらもう帰るんやろ」
ダニーは投げやりに言い捨てた。聞き分けのない子供のように。
「だって、仕事があるでしょう?」
「オレが休んだらジェンも休む?」
ジェニファーは天を仰いで小さくため息をついた。
「わかった、ランチを食べるまで。その後はワガママ言わないのよ、いい?」
「了解。悪い子終わり」
ダニーはにんまりしながらキスをして、オフィスに連絡するために電話を取り上げた。

872:書き手1 866の続き
08/08/24 23:08:14
ついにジョージの「ヘイトクライム撲滅キャンペーン」が始まった。
内容が内容だけに、ジョージの写真を使ったキャンペーンのTVスポットは、
夜10時以降のみの放映だ。
当然、局部はCG処理をしている。
だが、今やネットの時代だ。即座に大変な話題になった。
ある日、ブッシュ大統領の目に止まり、ホワイトハウスから全米の大小を問わない司法機関すべてに
「ヘイト・クライム撲滅強化期間」の通達が発せられた。

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08/08/24 23:09:59
アンダーソン・エージェンシーには、ジョージの勇気をたたえる手紙や
回復を祈る手紙が、毎日書類箱に5箱以上届き、エージェンシーも整理担当のクラークを雇うほどだった。
そして、すべての治療を終えたジョージがLAから戻ってきた。
ラ・ガーディア空港には報道陣が押し掛け、エージェンシーの前も黒山の人だかりだ。
ジョージは、リムジンから降りて、皆に深くお時儀をし、ビルの中に入って行った。

874:書き手1
08/08/24 23:12:26
アイリスを始め、スタッフが全員、ミーティングルームで待っていた。
「おかえり、ジョージ!さぁさぁ、顔をよく見せてちょうだい!」
ジョージは、顔だけでなく、ポロシャツを脱ぎ、綺麗にタトゥーが消された上半身をアイリスに見せた。
「下半身も確認しますか?」
ジョージがまじめに言うと、
「やだー、あなたの下半身見せつけられたら、失神しちゃうわ」とアイリスが笑った。

875:書き手1
08/08/24 23:14:32
「いつから、普通の仕事に戻れますか?」
「それがね、大変なのよ。ジョージ、どうする?
 あなた、ホワイトハウスに招待されているの!」
「え?あのホワイトハウスですか?」
ジョージは困った顔をした。
「僕、そういうの苦手だから・・・断っちゃだめ・・・ですよね?」
「当たり前じゃない!合衆国大統領が招待してるのよ!ご家族もご一緒にって」
「また両親に怒られちゃう」
「つべこべ言わずに行きなさい!」
「はい、わかりました」
「それから、TVのトークショーの仕事がめじろ押しなんだけれど、どうする?」
「それは、やりたいです」
「わかったわ。とにかく体を休めてね。ダニーにかわいがってもらいなさい」

876:書き手1
08/08/24 23:17:25
ジョージは照れた顔をした。
「ダニーに早く会いたいです」
「そうよね。裏口に小さなリムジン停めてあるから、それで家まで帰るといいわ」
「アイリス、ありがとう。何もかも」
2人はハグした。
リバーテラスにも報道陣が殺到していた。
テラスのセキュリティーが2人がかりで、ジョージを中に入れた。
「おかえりなさい。オルセン様。よくご無事で」
「ありがとう」
「私たちがもっとしっかりしていたらと思うと・・」
セキュリティーの一人が悔しそうに言った。
「そんなことないよ。事件は、スーパーマーケットで起こったんだから。
 いつも守ってくれてありがとう」
「オルセン様・・・」
セキュリティーの2人もジョージとぎゅっと握手した。

877:書き手1
08/08/24 23:19:17
部屋に入ると、すぐに電話が鳴った。
「ジョージ!おかえり!」
「パーシャ、長く留守にしてごめんね」
「僕は大丈夫。ジョージは大丈夫?痛くない?」
「ああ、大丈夫だよ、実はちょっと痛いんだけどね」
「これから、お部屋行ってもいい?」
「ああ、おいで」
「うん、待ってて!」
ジョージは、久し振りのハドソン川の眺めを見下ろしながら、パンナをぐいっと飲んだ。
チャイムだ。TV画面を見ると、パーシャが映っている。
ジョージはセキュリティーを解除した。
今日は、2人でケータリングで何か食べよう。
ダニーとは、もっとゆっくり会いたい。
ジョージはそう思いながら、パーシャを強く抱き締めた。

878:書き手1
08/08/25 23:24:10
怒涛のようなジョージの1週間が過ぎ、やっと生活に余裕が出てきた。
ジョージのTVのトークショー出演は、またも話題になった。
「尊敬するオバマ上院議員のスピーチを引用させて頂きます。
「ブラックのアメリカもホワイトのアメリカもラティーノのアメリカもアジア人のアメリカもなく、
 ただ“アメリカ合衆国”があるだけだ」僕のメッセージは以上です。」

879:書き手1
08/08/25 23:26:28
昔はただの陸上バカで、今は体をちゃらちゃら見せて歩くモデルだと思われていた
ジョージの印象ががらりと変わった。
硬派の雑誌各誌も「黒いアキレス、再び立ち上がる」「戦士に必要な勇気」など
好意的な記事を掲載していた。
政界へ誘う動きさえ出てきている。
ダニーはさらに広がるジョージと自分の差を克服できずにいた。
自分の前にいる時のジョージは、前と変わらない。
しかし、彼の持つパブリック・イメージは完全に変わってしまった。

880:書き手1
08/08/25 23:28:08
「お前さ、アメリカの歴史に名を残す人間なんやないやろか」
ジョージは大笑いした。
「そんなはずないよ。僕は普通の人。ダニーが大好きなただの男だよ!」
ジョージは、ダニーを組み敷いて、キスを何度も交わした。
「ダニーはいろいろ考えすぎるんだよ。もっと気楽にして。僕までいろいろ考えちゃう。
 嫌な考えばっかりだよ。だから、やめようよ。そういえば、父さんも母さんもダニーに会いたいって言ってた」

881:書き手1
08/08/25 23:30:41
一度はホーム・カミングを断ったダニーだった。
会わなければならないだろうか。
「俺、両親、いてへんやろ。そういうの苦手やねん」
「うちの両親がダニーの両親になるって」
「へ?」
「ダニーのこと、大好きなんだよ。うちの両親。だから考えといてね」
「・・うん・・なぁ、お前の皮膚の体温調節機能って元に戻るんか?」
ふとダニーが尋ねた。
ダニーと触れ合っていても、ジョージの体はずっとひんやりしたままなのだ。
「うん、先生は時間がかかるって言ってたけど。冷たいの嫌い?」
ジョージが不安そうにダニーを見つめる。
「そんなことあるわけないわ。お前が寒くないのかと思ってだけで」
「大丈夫だよ。だってダニーが隣りにいるんだもん。それじゃ、おやすみ」
「おやすみ、ジョージ」
ダニーは夜中にジョージがうなされる声で目を覚ました。
「ジョージ、俺や。大丈夫やで」
ジョージはそのあと静かになり、朝まで眠りとおした。

882:書き手1
08/08/25 23:32:56
「わー!たいへんだ!ダニーの朝ごはん!」
ジョージが珍しく、ばたばたしている。
「ええよ、プラザのそばで買うから」
「ごめんなさい!」
「お前は謝ることないで」
「じゃ、シャワーして。ワードローブそろえるから」
「ありがと」
今日な夏物のエンポリオ・アルマーニのスーツだった。
涼しくてありがたい。
「ジョージ、サンキュ。今日、お前は何するん?」
「バーニーズに出勤だよ。久し振りだから緊張しちゃうね」
「それなら、飯食おうか」
「本当?すごくうれしい」
「8時に裏口にいるわ。お前の好きなタイ料理、食いに行こ」
「わー最高!じゃ、ダニーも気をつけてね」
「おう」
ダニーは、エレベータを降りて行った。

883:書き手1 882の続き
08/08/27 00:21:16
2人はグリニッジ・ヴィレッジにある話題の店「ハイライン」に入った。
フロア・マネージャーがすぐにジョージと気がつき、奥まったテーブルに案内してくれた。
「カラフルできれいなお店だね。タイレストランじゃないみたい」
ジョージが天井を見たりしていると、シェフが挨拶にきた。
「オルセン様、ご来店ありがとうございます。本日はぜひおまかせメニューとさせてください」
タイ人のようだが英語が流暢だ。ダニーもうなずく。
「じゃ、それでお願いします」
シェフは嬉しそうに厨房に戻っていった。

884:書き手1
08/08/27 00:23:14
ヴーヴ・クリコを頼んで乾杯をするとジョージが尋ねた。
「ねぇ、機嫌直った?」
「俺、機嫌悪かったか?」
「昨日、いらいらしてたから」
「ごめん。お前のせいやないから」
「いや、僕のせいでもあると思う。ねぇ、今までの2人のままでいようよ、ダニー、お願い」
「わかってるって。少し時間くれへんか?」
「うん、わかった」
話していると1皿目が出てきた。
「フォラグラと赤キャベツ入りのスパイシースープでございます」
次は青パパイヤのサラダにサーモンを合わせている。
そしてレモングラスとクミンで味付けされたテンダーロインステーキ、
付け合わせがさつまいもで変わっている。
最後にデザートは、タイのお茶をつかったティラミスだ。

885:書き手1
08/08/27 00:24:34
2人が甘い味のついた花びらの浮いたハーブ・ティーを飲んでいると、
フロア・マネージャーがやってきた。
「いかがでございましたでしょう?」
「とても斬新で面白い組み合わせですね。おいしかったです」
「そちらさまは?」
ダニーも尋ねられたので、「洗練されたタイ料理でした。ありがとう」と答えた。
「よろしければサインを頂戴したいのですが」
「はい、いいですよ」
ジョージは色紙にサラサラとサインを書いた。
「どうぞ、これからもごひいきにお願い申し上げます。スタッフ一同お待ち申し上げております。」
深々と頭を下げられ、2人は苦笑した。

886:書き手1
08/08/27 00:26:57
リムジンを待っている間、ジョージは鼻歌を歌っていた。
おとなしい彼が珍しい。その上、あんな事件のすぐ後だ。
ダニーは、ジョージは何て強い男なのだろうと感服した。
「この店は美味いな。うん、でも僕が考えてるタイ料理とちょっと違うんだけどね」
ジョージは言った。
「どんなんがええの?」
「チャイヤが作るみたいなやつ」
「でも$4やで」
「それでも、チャイヤの味は本物なんだよ」
リムジンがやってきたので、2人は乗り込んだ。

887:書き手1
08/08/27 00:28:19
「今日も泊まる?」ジョージが尋ねた。
「いいや、今日は帰るわ。家も汚くなってるしな」
ジョージはちょっと残念そうな顔をしたが、
ショーファーに「リバーテラスのあと、ブルックリンに回ってください」と頼んだ。
リバーテラスでジョージに別れを告げ、ブルックリン・ブリッジにさしかかった。
今までは、電車かせいぜいタクシーで行き来していたこの橋を、自分がリムジンで渡るようになるとは。

888:書き手1
08/08/27 00:29:49
本当はジョージも、マーティンも、自分にマンハッタンに越してきてほしいと思っているのだろう。
それは十分に分かっている。
しかし、それをやってしまうと、ダニーは自我が崩壊しそうな気がするのだ。
アメリカン・ドリームは嫌いではない。
施設育ちの自分がFBIになれただけで、上出来だと思っている。
しかし、つきあっている人間のおかげで手に入れる幸せが、
はたして自分の求めている幸せなのか、決めかねている。
何より、それで自分が充足できないことを一番わかっているのは、ダニー本人だ。
上手につきあっていかないと、ジョージともマーティンとも別れかねない。
ダニーは窓の外を見ながら、ぼんやりそんなことを考えていた。


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