08/02/23 04:15:19
>>104
『結構イケそうじゃねえか…よし、寺の爺さんが、若い男を御所望だったし、いくぞ』
『あ、あの、どういう、イミ…』
男に渡された、やたらヒラヒラした着物を着ながら、たぬきは恐る恐る聞きました。
外に出かけようとしていたタレ目の男は、ニィと口をゆがませて言いました。
『お前を売りに行くんだよ、お望みどおりにな』
わけもわからずついていくと、行き先は立派なお寺でした。
男は交渉してくるというので、たぬきは若い僧に先導されて、奥の部屋に通されました。
そこは真っ赤な掛け布団のかけられ、枕の二個並んだ、いやに隠微な空気の溢れる寝所でした。
たぬきは喜びました。
こんな、ふわふわの布団なんて、寝たことがありません。
ぽふぽふその上で転がって遊んでいると、突然障子がスパーンと開きました。
そこから現れたのは、非常にメタボな腹を持った、ハゲのおじいさんでした。
おじいさんは、たぬきをみて、いやらしそうに笑いました。
『ヒョヒョヒョ、先に布団を暖めていたとは、なんと気の効く陰間だの』
『か、かげま?お、オレ、ちゃが、ま』
おじいさんは、着物がはだけ、丸出しになったたぬきのふとももに釘付けです。
たぬきの、不安そうな声など、まったく聞こえていないようです。
そしておじいさんは、突然たぬきに飛び掛りました。
たぬきは悲鳴をあげましたが、寺の奥深く、その悲壮な叫び声は、夜の闇に溶けて消えました。