阿部「三橋!!体位は!!!」 at EROMOG2
阿部「三橋!!体位は!!!」 - 暇つぶし2ch906:みをつくし・解
08/01/28 23:50:16
>>903

まだ元服前の童殿上の身だとはいえ、嫡男として顔を広げるに越したことはない、と昔はよく父に方々へ連れまわされた。
その夜も少納言邸でひらかれた桜の宴に同席し、余興の一環として覚えたての笛を披露するはめになってしまう。
所詮子どもの腕前で、とても他人に聞かせる程のものではなかったが、大人たちは一句同音に褒め称えた。
それは笛の出来栄えを認めているのではなく、権力の中枢を担う貴族の子息に取り繕うだけのものだった。
今に始まったことではない、とどこか冷めた思いでこちらも上辺だけの礼を述べる。
そんな折急に風が強まり、飛ばされた桜の花びらが、新月の闇夜に白く映えて美しかった。
しばらくして雨足も強まってきたので、改めて軒下へと席を移したことをきっかけに酒宴がはじまる。
私は完全にその空間に飽きて、一人気の向くままに少納言邸の探索を開始した。
はじめのうちは手の行き届いた庭園や、心のきいた調度の数々を面白がっていたが
思いのほか複雑な造りの渡り廊下に、進んできた方向を忘れ完全に迷子になってしまった。
随分と奥まった場所まで来てしまったのかもしれない、私室らしき場所も目に付いて、急いで戻らなくては。
そう考えていた瞬間、近場に落雷したのか大きな音が鳴り響き、同時にすぐ手前にある部屋から叫び声が聞こえた。
幼いながらも女声ではなさそうだったので、家人ならば道を教えてもらおうと思い、一声かけてから部屋に入る。
するとそこには、几帳の端を掴み小さくなって震える同じ年程の子どもがいた。

少し変わった髪色をしているが身なりは良く、仕えの者という感じではない。
少納言家の子かとも思ったが、確かここの子どもは姫が一人いるだけのはずだ。
だが、目の前に居る子どもは髪も短く確かに男の装束をしていた。
「大丈夫?ただの雷神さまだよ。…ねぇ、君はこの家の人?」
正体不明のまま、とりあえず宥めようとして声をかける。恐る恐る顔を上げた子どもは
大きな目にうっすらと涙を浮かべながらも、人が来て安心したかのように名乗った。
「おへそ、隠さなきゃって思って。…オレ、は廉っていうの。ここはオレの、家だよ?」
“廉”が言うには家のものは皆、乳兄弟ですら一人残らず宴の給仕へと動員されてしまって
苦手な雷が怖くても、部屋を出てはいけないという言いつけを守っていたらしい。


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