08/01/28 22:20:06
みはし視点注意。ピョア注意。欝注意。
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「好きだって、言おうと思う。決めたんだ」
静かにそうおれに告げる阿部君の姿は、とても落ち着いていて、なんだかいつもより大人っぽくて、俺
は思わず見とれてしまった。
「みはし?」
「あ、ううう、うん」
ぼけっとしてたら、阿部君がどうしたのかと、おれを覗き込んできた。
おれが好きだって言われたわけでもないのに、おれはおかしい。顔が近いせいか、すごくドキドキして
ヘンにどもってしまう。でも、いつものことだからか、阿部君はあまり気にしてないみたいだ。
今日も屋上には、相変わらずおれと阿部君しかいない。もう季節も冬にさしかかっているから、よほど
の物好きじゃないと、ここにはこないらしい。そういいながら阿部君はにやりと笑った。変わったものが
見える穴場なのにな、だって。
変わったものってなんだ? もしかしておれのことかな。だったら阿部君は、やっぱり意地悪だ。
風が吹いたのか、寒そうに阿部君が肩をすくめた。首を上に傾けて、顔をしかめている。
おれもつられて見上げる。灰色の雲がいっぱいしきつめられた空は重くて、暗くて、気持ちいいものじゃ
ない。
雨降るのやだな。
阿部君が野球できなくなっちゃう。
すごい速さで形を変えていく曇天をぼんやり眺めていたら、隣で阿部君が小さく言った。