11/02/11 22:48:47
「じゃあ、ちぃ、またね」
「ばいばーい」
徳永さんは、ボクたちに手を振って反対方向の電車に乗って行った。ボクは何気なくそれを見送った…が。
「ん?」
その時、ボクは確かに見ていた。徳永さんの体に起きていた、ある変化を。
「○○くん、どうかした?」
帰りの電車の中で、矢島さんがボクに訊ねた。
「いや、何でもない…何でもないよ」
徳永さんの体に起きていた変化を、彼女に話すべきか話さざるべきか…ボクは考えていた。事は急を争うのかもしれない。
ならばできるだけ早く話した方がいい。
でも、ここは電車の中。誰かに話を聞かれてしまうかもしれないし、その中に徳永さんの知り合いがいる可能性だって、
ゼロではない。
ここで話すのはあまりにリスクが高すぎる気もする…
結局、ボクは言えなかった。言えないまま、自宅に帰った。それが後々、『ボクと彼女と彼女と彼女の関係』に影響をもたらす
ことになるのだけれど、その時は、そんなこと思いもしなかった。
(第一章 終)
VICTORY THE ALFEE-1993
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