11/02/08 22:13:33
「わー、結構入ってるね」
てっきりがらんどうのスタジアムを想像していたボクは、予想以上のお客さんに面食らった。
「こっちこっちー!」
矢島さんのバイタリティは本当にすごい。男のボクよりもはるかに元気いっぱいで、感心してしまう。
一体彼女はどうしてあんなにいつも元気なのだろうか…謎だ。
導かれるままについていくと、ボクたちの座るべき席の隣にもう一人女の子が座っていた。
「まいみさーん!」
「ちぃ!」
ちぃ…?誰だ?
「久しぶりだね」
「うん…ちなみは毎回来てたのに…」
どうやら二人は友人のようだが、二人の会話に入れない。ボクは何だか自分だけが取り残された気分になった。
「ああ、そうだ。紹介するね」
矢島さんの言葉で、ボクはようやく会話に加えてもらえることができた。
「後輩の徳永千奈美ちゃん。オレンジのサポーターなんだよ」
「はじめまして!」
徳永さんがボクに声をかけてきた。小麦色に焼けた健康的な肌が印象的だった。
「ああ、どうも、はじめまして…」
「ちぃちゃん、彼が○○くん。ほら、この間、私が『今度連れていく』って言ってたでしょ。あの子」
どうやら、事前に矢島さんは徳永さんにボクのことを紹介していたらしい。ボクは何も聞かされてなかったんだけどなぁ…
と思わず言いかけてやめた。危ない危ない。