11/02/07 21:25:53
「ああ、そうだ。ボクさあ…携帯電話、買ったんだよね」
その数日前に今更ながら、ボクは人生初の携帯電話を買ってもらった。
もっとこれが早くからあれば、佐紀と別れずに済んだのかもしれないなぁ…
と思ってしまったのは、ここだけの話だ。
「そうなんだ。じゃあ、私のアドレス、教えてあげる」
「…いいの?」
「いいよ!何で?いいに決まってるじゃん」
矢島さんは『どうしてそんなこと訊くの?』という表情をしていた。そして、快く自分の連絡先を教えてくれた。
「あんまり電話かけたら、怒られるかもね」
ボクがそう言うと、彼女は笑って、
「そんなことないよ。夜なら大丈夫。部屋に一人でいることが多いから…いつでも連絡してよ」
と言ってくれた。どこまで本当か分からなかったが、ボクにそんなことを言ってくれる彼女の優しさに、
また感動してしまった。
駅に着くまで二人でいろんな話をしたが、話せば話すほど、ボクは彼女に惹かれていく、ような気がした。
(つづく)