11/01/25 21:51:30
二駅先の駅にボクたちは降り立った。ここもやっぱり人のいない場所だった。
「行こうか」
「…うん」
佐紀が小さくそう言った。少しは愁眉を開いてくれたのだろうか。ボクたちは駅から歩いて、海岸沿いを目指した。
「ねえ…怒ってる?」
「何が?」
「さっきのこと」
ボクは恐る恐る訊いてみた。答えを聞くのが怖いような…でも答えを聞かないと先に進めないような…複雑な気持ちだ。
「怒ってないよ…別に」
佐紀はそう言うが、声はどこか元気がない。まあ、今日、ずっとなんだけど。まるで、付き合う前に戻ってしまったみたいだ。
それはなぜ?ボクが悪いのか?だとしたら、どうしたら元に戻ってもらえるんだ?
謎ばかりが増える。でも、それをいちいち彼女に訊くわけにもいかない。だから余計に気が重くなって、空気まで重くなるんだ。
ああ、なんて悪循環。