09/09/11 02:05:06
400!
401:fusianasan
09/09/11 19:24:51
シチュエーションを言えば書いてやるよ
402:fusianasan
09/09/13 20:42:02
舞ちゃん小説ならなんでもいいです
403:fusianasan
09/09/13 21:05:41
>>401の上から目線に乾杯
404:fusianasan
09/09/13 23:28:20
どんな内容がいい?
405:fusianasan
09/09/14 00:53:54
sage進行がルールなので従って下さい
406:fusianasan
09/09/15 23:16:15
純愛かレイプ希望
407:fusianasan
09/09/16 00:34:37
レイプがいい
408:fusianasan
09/09/16 01:33:02
いや純愛物がいい
409:fusianasan
09/09/16 01:46:11
純愛ものでありつつ陵辱するのがいい
410:fusianasan
09/09/16 18:54:45
書いてあげるから誰がいいかとシチュエーションを言ってくれ
411:f u s i a n a s a n
09/09/17 11:48:50
岡井ちゃん輪姦
412:fusianasan
09/09/17 17:47:03
舞チャンもので純愛系がいいです
413:ss
09/09/17 19:19:36
輪姦ならりしゃこかももちがいい
414:fusianasan
09/09/19 11:33:28
岡井ちゃんで相手は同級生がいい!
415:fusianasan
09/09/21 12:52:41
りしゃこに筆下ろしされたい
416:fusianasan
09/09/27 12:08:03
舞ちゃんがいいです
417:fusianasan
09/09/29 20:37:44
りしゃこが童貞どもを屈辱的に犯しまくって
泣かせまくる話
418:fusianasan
09/09/30 18:27:49
ほしのあきが脱いでいたなんて。
URLリンク(home.pink.sh)
419:fusianasan
09/10/03 18:59:59
10月ほ
420:fusianasan
09/10/17 05:42:19
そろそろ?
421:fusianasan
09/10/20 00:25:08
書く人さんまだかなぁ
422:fusianasan
09/10/21 22:55:02
もしかして書く人さん逃げたんじゃね
423:fusianasan
09/10/22 16:42:41
誰かかいて
424:fusianasan
09/10/24 15:14:01
だれもいないのかなぁ
425:fusianasan
09/10/26 22:56:38
えりかちゃん…卒業しちゃいましたね
426:fusianasan
09/10/29 00:03:23
だれかぁ…書いて
427:fusianasan
09/10/31 13:59:25
10月終わりか…
428:fusianasan
09/11/02 13:03:59
のべんば
429:fusianasan
09/11/03 08:04:53
>>417
りしゃこ無双すぐるwww
想像:誰もいない所でりしゃこを犯すも童貞ならではの女の子の扱い方で不満爆発のりしゃこは突如ドS暴君少女に変身して童貞の精液を最後の一滴まで吸いつくす
りしゃこ最高だよりしゃこ
430:fusianasan
09/11/03 08:44:41
童貞「ハァハァ…りさゃこー!」
りさこを押し倒し服のボタンを引き裂き抱く
りさこ「いっ、いやーっ!」
童貞終了寸前
童貞「りっ、りしゃこちゃんイキそ…」
りさコ「はぁ…はぁ…エッ?」
童貞「もっ、もう…!」
童貞はりさこの中から短い突起物をりさこの頬に当てながら汚くけがわらしい白い液体を少量垂らした
リサコ「…。これで…おわり?」
童貞「ハァハァ…気持ち良かったよぉ」
リサコ「ちょっと待てよ!私はまだ満足してねーんだよ!」
童貞「また…またしようね、りしゃこちゃん(はあと」
リサコは起き上がって童貞を押し倒し
リサコ「お前ふざけんな!アタシを満足させずに自己満してんじゃねーよ!」
リサコは頬に付いていた白い液体を指二本付け童貞の口に突っ込んだ
童貞「んっ!んぐー!」
味がまずいせいか知らないが童貞の顔の表情もまずかった
リサコ「またしようねと言ったなあ!」
童貞「へっ…ぶぇ…」
リサコ「今からしようじゃないか!あたしが満足するまで帰さないわよ!」
そう言い放つとリサコは童貞のすっかり縮んだ物を膝蹴りした
童貞「〇×△☆&%@#★」
リサコ「大きくなるんだよ!この野郎!」
童貞「ヒーハー!!!!!!!!!!!」
431:fusianasan
09/11/03 08:52:14
>>429>>430書いた者だ…
たまにここ見てるが
俺さぁ工房どころか菅谷の事全然知らないんだよね
>>430読んだらわかるがりさこかりさゅこかりしゃこかわかんなくなっちゃった
こうゆうことになったことを…
本当にすまないと思ってる(キリッ
432:fusianasan
09/11/03 08:57:29
>>417を見てこんなんだろうと書いてみた
書いて後悔すらしないが
少しはスレの活性化にはなりました?
433:fusianasan
09/11/03 19:21:46
梨沙子をマイマイに置き換えれば無問題
434:fusianasan
09/11/10 18:39:07
かいて
435:fusianasan
09/11/10 21:08:25
後藤真希 安めぐみ ほしのあき のヌード・無料で見れて最高でした。
URLリンク(399.jp)
436:fusianasan
09/11/13 14:03:04
梨沙子でスゴイの書いてるが
無理 書き込めません 訴えられそう
437:fusianasan
09/11/13 21:44:10
頑張れ!負けるな!期待してるぞ!
438:fusianasan
09/11/19 20:08:33
がんばってください
439:fusianasan
09/11/20 18:53:24
URLリンク(img277.auctions.yahoo.co.jp)
440:fusianasan
09/11/22 10:43:34
小説待ってます
441:fusianasan
09/11/23 10:10:53
書く人さんまってますよ
442:fusianasan
09/11/26 16:34:10
新作期待
443:fusianasan
09/11/27 16:27:51
期待してます
444:fusianasan
09/11/29 14:41:00
(´・ω・`)
445:fusianasan
09/12/03 16:52:23
書く人さんいないね
446:fusianasan
09/12/04 16:38:54
書く人さんの小説読むのが楽しみだったのに
447:fusianasan
09/12/05 12:59:06
保
448:fusianasan
09/12/05 17:09:44
蒼井優 小倉優子のヌードコスプレ見つけました。
URLリンク(1pg.in)
449:fusianasan
09/12/07 18:07:02
小説まってます
450:fusianasan
09/12/07 23:08:46
書く人いなくてもスレは進む…
451:fusianasan
09/12/08 19:01:37
みやびぃ
452:fusianasan
09/12/10 17:22:00
誰か書いて
453:fusianasan
09/12/13 17:38:36
誰かぁ
454:fusianasan
09/12/18 16:07:39
いないなぁ
455:fusianasan
09/12/23 09:06:35
ほしゅ!
456:fusianasan
09/12/24 18:44:08
保
457:fusianasan
09/12/29 18:43:35
誰か…
458:書く男
09/12/30 19:43:37
「ねぇ今日うちこない?」
「えっいきなりどうした桃子?」
桃子はてれながら
「今日親いないんだ!」
僕と桃子は中1の時にしりあった!
中学の入学式まわりでは
「この学年にアイドルがいるんだって」
僕はその話に興味をもった
まさか同じ学年にアイドルがいるなんて!
そして入学式は始まった
エロとはちょっとはなれてます
すいません
459:書く男
09/12/30 20:23:34
僕の名前は塚永、入学ハガキでは二組だった
入学式では一人ずつ名前をいわれて、へんじをする
「二組、阿部」
「はい」
「伊沢」
「はい」
|
|
|
「塚永」
「はい」
「嗣永」
「はい」
・・・嗣永?なんか聞き覚えある名字だな? え?もしかして!
「あ、あのもしかしてBerryzの嗣永桃子さんですよね?」
「そ、そうだけど、ばれちゃったなぁ、あれ塚永くんだよね?」
「うん」
「名字にてるね!」
「うん、そうだね」
「よろしくね」
「うん」
460:書く男
09/12/30 20:23:56
僕の名前は塚永、入学ハガキでは二組だった
入学式では一人ずつ名前をいわれて、へんじをする
「二組、阿部」
「はい」
「伊沢」
「はい」
|
|
|
「塚永」
「はい」
「嗣永」
「はい」
・・・嗣永?なんか聞き覚えある名字だな? え?もしかして!
「あ、あのもしかしてBerryzの嗣永桃子さんですよね?」
「そ、そうだけど、ばれちゃったなぁ、あれ塚永くんだよね?」
「うん」
「名字にてるね!」
「うん、そうだね」
「よろしくね」
「うん」
461:fusianasan
09/12/30 21:31:32
書く男さんおつです!
462:書く男
09/12/30 21:33:29
続きは明日かきます
エロとはかけはなれるかも
463:fusianasan
09/12/30 21:39:59
>>462
エロくなるまでわくわくしてます!
464:書く男
09/12/30 23:13:33
それから僕と桃子は仲良くなりつきひがながれた
中2の夏
明日からBerryzのコンサートツアーで一週間ももこがいない
「明日から学校やすむの?」「うん」
桃子は寂しそうにうなずいた
・・・僕も正直寂しかった。今まで当たり前のように桃子と話したりしてたけど
きずかないうちに僕は桃子のことが好きなのかもしれない
いや桃子のことが好きだ
桃子と離れたくない
「もも、今日一緒に帰らない?」
「うん!」
桃子は嬉そうにうなずいた
465:fusianasan
09/12/30 23:17:47
ワッフルワッフル
466:書く男
09/12/30 23:49:05
そういえば桃子と二人で帰るのは初めてだ
こうして二人きりで帰ると恥ずかし
「もも、お仕事たいへんだね」
「うん、大変だけど、Berryz好きだから」
「そっかぁ、明日からがんばれよ!」
「うん、ありがとう!」 僕は桃子に聞いてみた
「俺と桃子ってどんな関係?」
「え、ふつうに友達でしょ?」
「俺、桃子のこと好きだよ。俺、桃子の彼氏になっちゃだめかな?」
そのあときまずくなり
二人ともだまりこんで10分ほど歩いた
467:fusianasan
10/01/01 02:09:26
作者光臨だぁ
468:fusianasan
10/01/01 18:48:42
小説きたい
469:書く男
10/01/01 22:24:24
もうすぐ桃子の家
「じゃあ応援してるからがんばれよ」
桃子はだまったまま僕のうでをつかんだ
「やだ」
・・えっどうしたんだ
「ねぇ今日うちこない?」 「えっいきなりどうした桃子?」
桃子はてれながら
「今日親いないんだ!」
470:fusianasan
10/01/02 19:49:10
GJです
471:fusianasan
10/01/02 23:07:44
>>469
書く男乙!
472:fusianasan
10/01/03 19:23:36
どんどん書いてください
473:書く男
10/01/03 20:47:43
「おじゃましまーす」
・・・これが桃子の家かぁ
やべっいいにおいする。
「じゃあもものへやいこ」
・・・ももの部屋!きっとかわいいだろうな
「はいっていいよ」
「うん」
「じゃあシャワー浴びてくるからまってて」
・・・えっ?シャワー?
「まって桃、なんでシャワーあびるんだ?」
桃はすこし黙り込んで
「もっとちかくでかんじたい」
・・えっ?どういうことだ? もしかしてエッチってこと
「もも、へんなこきくこどそれってエッチってこと?」
桃子は顔を真っ赤にして
「うん」
474:fusianasan
10/01/04 10:16:24
きてる
475:fusianasan
10/01/04 17:56:04
>>473
かけはなれるどころか急展開だな
続きプリーツ
476:書く男
10/01/04 18:00:35
今考え中
七時ぐらいになるかも
ところで学生?
477:fusianasan
10/01/04 18:19:30
誰が?
478:書く男
10/01/04 18:31:06
あなた
479:fusianasan
10/01/04 18:38:31
>>478
社会人
480:書く男
10/01/04 18:42:37
そうですか!
実は僕中学生で
知ってる範囲の知識で
がんばります
481:fusianasan
10/01/04 18:51:16
童貞君は勘弁な
482:書く男
10/01/04 19:02:29
どういう意味?
483:fusianasan
10/01/04 19:11:52
>>482
がんばれよ若者
484:書く男
10/01/04 19:23:31
了解しました
485:書く男
10/01/04 19:48:08
「じゃあまってて」
・・・やばいがまんできない
僕は桃子をベットに押し倒した
「ちょっと、あせくさいから」
「ハァハァ」
僕は夢中になってキスをした「ンン、ハァ」
夢中にキスして、お互い鼻息があらい
そして舌をからみあった
486:fusianasan
10/01/04 23:24:08
脱字気味だぞ少年
487:fusianasan
10/01/04 23:28:20
いや誤字だったな
488:書く男
10/01/05 07:06:54
やっぱりむずかしいですね
もうかけないです
小説苦手だし
489:失礼します
10/01/05 16:26:50
失礼します
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
490:fusianasan
10/01/05 20:02:45
小倉優子のヌードコスプレ見つけました。
URLリンク(1pg.in)
491:fusianasan
10/01/05 21:15:42
>>488
いいとこでやめたら駄目じゃないか
492:fusianasan
10/01/09 00:10:01
コナイネ
アゲトク
493:fusianasan
10/01/12 07:56:03
書く男さん期待してるのに
494:fusianasan
10/01/12 07:59:50
待ってるから!
ふざけんな!
お前はおれのどれいなんだよ。
愛に恋!めいれいだ!
495:書く男
10/01/13 22:52:37
どれいだぁ?
ふざけんな
おまえが続き書いてみろよ
496:fusianasan
10/01/13 22:53:15
>>495
チュッ
497:脱脂綿
10/01/15 01:30:46
桃子はオナニーした
あまりに気持ちよくて失禁した
己の尿の匂いに酔って、
オナニーは三日三晩続いた
ものすごく良かったから、りしゃこに教えようと、
夜道を走ってりしゃこの家に向かったら、
途中でホームレスに犯されてもういやだ…
498:fusianasan
10/01/17 02:21:19
まあ、ageときますか
499:fusianasan
10/01/17 23:29:54
書く人さんまってます
500:fusianasan
10/01/19 00:12:45
500ゲト
501:fusianasan
10/01/20 17:53:36
だれか書いて
502:fusianasan
10/01/21 00:03:26
書く男
受験か?
503:書く男
10/01/21 19:57:43
ひさしぶりです
まあ受験でいそがしいです
504:fusianasan
10/01/21 23:26:23
俺も受験ですお互いがんばりましょう
505:嗣長桃子
10/01/22 00:20:28
熊井くんの策略
入りたての高校の同じクラスにアイドルの嗣永桃子がいると知っても、熊井くんはとりわけ心をときめかせたりしなかった。
ただ、いつもの淫らなゲームの最高のターゲットが勝手に飛び込んできてくれたという、幸先のよい高校生活のスタートに、内心でほくそえんだだけだ。
熊井くんの策略は、その日のうちに始まった。
『学業と芸能活動の両立について話し合いたいから、夜の七時に教室に来るように』と、担任の名を騙った手紙を靴箱に入れて、桃子がおびき寄せられて来るのを待った。
そして生徒が全員帰宅し、先生たちもあらかた帰ったのを確認して、教室に入り、これから始まる淫らなゲームを頭の中でシミュレートしながら、オナニーを始めた。
七時が近づくにつれて、熊井くんは長身の体躯にふさわしい、大きくて形の良いちんこをさする手に、さらに力と技巧を込めた。
オナニーしている姿を女の子に見せて欲情させるのが、熊井くんのいつものやり方なのだ。
一般人だろうとアイドルだろうと、美しい熊井くんのオナニーを見て興奮しない女の子はいない。
「あっ!!」
不意にあまりにもいやらしくて美しいものを見せられて、嗣永桃子は教室の入り口で固まった。
完璧な美少年である熊井くんの勃起ちんことオナニー姿が立派すぎて、身がすくんでしまい、目を塞いだり、その場から逃げ去ることとかができなかったのだ。
桃子の目がとろ~んとしてきた。
口がだらしなく開いた。
熊井くんはもくろみどおりの展開になったことを確認すると、ちんこをしまって、腰をぴくぴく震わせながらつっ立っている桃子を残して、悠然と教室から出て行った。
今日のところはここまで。
作戦どおりだ。
506:嗣長桃子
10/01/22 00:21:54
お風呂
熱いお風呂につかりながら、桃子は思い出していた。
「あぁん、熊井くんのすごいおちんちん……大きくて、いやらしい形をしてて……色もいやらしくて……あんなのを入れてもらったら、あたし、どうなっちゃうかな??」
記憶に刻まれた熊井くんのおちんちんの姿を自分の指に重ねながら、桃子は恥ずかしい割れ目に沿って指先を這わせて、割れ目の上についている小さな敏感な果実をくにゅくにゅと刺激した。
「あ、あぁぁ……」
お湯の中で、背中と首筋を仰け反らせたまま硬直した。
小さな体からひっきりなしにいやらしい蜜があふれてお湯に溶けてゆくのがわかる。
「お湯が濁っちゃう……えっちなことをしてたのが家族にばれちゃうよ……」
自分の部屋で急いで続きをするために、桃子は髪も洗わずにお風呂から出た。
507:fusianasan
10/01/22 01:18:11
>>503
よう!
>>506
おつん!
508:fusianasan
10/01/24 23:09:53
どんどん書いてください
509:fusianasan
10/01/31 20:25:15
まってます
510:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:24:43
教えられたマンションの一室。
片手にケーキの箱を提げた僕は、チャイムを押すのを一瞬ためらい、深呼吸をする。
それはため息にも似ていて、心がわずかに重みを増した。
意を決してボタンを押すと、僕の心境と反比例して、ありふれた緊張感のないチャイムが、ドアの向こうで鳴った。
一呼吸すると、中から鍵の開く音が聞こえて、ドアが開いた。
「いらっしゃい!」
名前にふさわしく、花のような笑顔を見せるえりかさんが、立っていた。
何度も見ているはずの、見慣れているはずの笑顔なのに、なぜだか僕は、いつもときめいてしまう。
見蕩れていた微笑が、ふいに思案顔になり、
「ちょっと待って」と言って、パタリ、とドアが閉まった。
置いてけぼりの僕は、何がなんだかわからずに、えりかさんの言葉に従ったわけでもなく、立ち尽くす。
ほんの数秒後、最初と同じ速度で開いたドアの向こうから、えりかさんのやや染まった頬の笑顔。
「おかえりなさい、あ・な・た」
爆発音が、どこか近くで聞こえた。自分の頭の中でだ、と気づくまでには、数秒かかった。
首から上がすっ飛ぶほどの威力が、その言葉には、表情には、仕草には、あった。
体中の血液が沸騰、いや気化してしまうほどの衝撃。
真っ赤になっているであろう僕の顔を見、えりかさんは急に照れた表情になり、
「は、早く入って」と、慌てて僕の手を引いた。
玄関に入り、背中でドアが閉まる。
当たり前のことだが、自分の家とは違う匂いがして、改めてえりかさんの家に来たのだと実感させられる。
「もうっ。なんかリアクション取ってくれないと、すっごい恥かしいでしょ」
上気した頬を膨らませるえりかさん。少し珍しい表情だった。
ロングTシャツの長めの袖を弛ませて着て、下はミニスカートから伸びる脚を見せている。
511:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:25:26
不意打ちからいまだに立ち直れない僕は、
「ご、ごめんなさい。あんなこと、言われるなんて思ってなくて……」慌ててそんな当たり前のことを言ってしまった。
僕を見つめるえりかさんの目が丸くなる。
どうしたんだろうか、と思っていると、
「よっぽど驚いちゃったんだね」えりかさんの口調こそ、驚いた響きが混じっている。
「はい」と素直にうなずいて、「……あっ」
失敗に気づいた。そういえば、さっきもごめんなさい、と僕は言っていた。
自分では、くだけた話し方に、もう慣れていたつもりでいたけれど、さすがにあの衝撃のあとでは調子も狂うと言うものだ。
えりかさんが背を丸め、顔を近づけて瞼を下ろした。
キスは何度もしている。でも、“約束を破った”ときのキスは久しぶりだった。
いつもより、ほんの少しだけ、熱い唇。
軽く重ねただけなのに、伝わってくる熱の高さに驚いて、唇を離そうと思ったけれど、それを察したように、えりかさんから体重を預けてくる。
一歩、下がりながらそれを支える僕の背後で、カシャン、と鍵がかかる音。次いで、チェーンをかけられる、金属が奏でる甲高い音。
そんなわけはないのに、閉じ込められたような気持ちになってしまう。
ゆっくりと離れていったえりかさんが、いつもの薄い笑みを浮かべて、僕の右手に目を送る。
「それは?」
「あ、ケーキを、買ってきて……」
本体がどれだけ驚いても、それを離さなかった、右手をほめてやりたい。
以前、母親が買ってきたことのあるケーキで、女の子の家に遊びに行くときはこれを買っていきなさい、
と言っていたのを、家を出る前に思い出したのだ。
あの時は、何をバカなことを言っているんだか、なんてため息をついたものだが、
初めて女の子の家に招かれて、どうすればいいのかわからなかった僕は、結局あの言葉に従ってしまった。
512:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:25:48
「ひょっとして、お母さんに言われて?」
心臓を撃ち抜くような、一言だった。
なんでばれたんだろう。
少しはいいところを見せたい、なんて考えていた僕は、あっさりと看破されて、混乱する。
自分がどんな表情を浮かべているのか想像もつかないが、慌てふためく僕を見て、えりかさんが笑う。
「この前、駅まで送っていってもらったときにね、“女の子の家に遊びに行くときは、
駅前の店でケーキを買っていくように言ってある”って聞いてたの」
そしてまんまと、僕はそのとおりの行動を取っていたわけか。
悔しさとか恥かしさとか、情けない気分でうつむいてしまう僕に、えりかさんが、
「面白いお母さんだよね。私、あのお母さんとなら、仲良くやっていけると思うよ」笑い混じりの、弾むような声で言う。
そうですか。
僕はいまだに仲良くやっていく自信はありません……って。
「それって、どういう……」
なにかとても深い意味が潜んでいるように思い、聞き返そうとする僕。
しかし、それを笑顔で遮ったえりかさんは、
「さ、上がって」僕の手を握った。
それだけで、言葉の続きを飲み込んでしまう僕。
問いかけの言葉は消化されて、もう再び出てくることはなさそうだった。
「おじゃまします」
えりかさんに導かれるように、別の言葉が現れた。
513:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:26:29
飲み物を持ってくる、と言い残して、席を立ったえりかさん。
部屋に一人、取り残されたような気分の僕。
つい、きょろきょろと見回してしまう。
ぬいぐるみや化粧道具、ファッション雑誌が本棚に立ててあったり、
グループのメンバーと撮った写真が、枕もとのコルクボードに貼られていたりと、自分が持っていないものを見ると、
いかにも女の子の部屋と主張している。
ベッドやカーテンなど、自分の部屋にも当たり前にあるものでも、デザインや色が違うだけで、まるで違うもののように見えてくる。
そして何よりも。
僕の鼓動を乱すのは、部屋の空気そのものだ。
女の子の匂い、っていうんだろうか。
妙に覚えのある匂いだな、と思ったが、考えてみれば当たり前だった。
えりかさんとキスするとき、えりかさんに抱きしめられるとき、僕を包み込むあの香りが、何倍もの濃度で充満している。
えりかさんに包まれているような、そんな錯覚に襲われる。
甘い香りを求めて鼻を鳴らすと、まるで見計らったかのようなタイミングで、ドアが開いた。
紅茶とケーキを載せた盆を、片手でバランスを取りながら持ち、
「お待た……え? なんか臭う?」笑顔が一転して、不安に曇る。
「あ、いや、そうじゃなくて。その、いい匂いがして」
雲を払ったように、表情を綻ばせるえりかさんが、
「いい匂い?」と、首をかしげる。
「うん……あの、えりか、の、匂いがして……」
その匂いを嗅いでいた、と告白してしまい、耳まで熱くなった。
僕の隣に腰を下ろしたえりかさんが、くすくす笑いながら、ケーキと紅茶をテーブルの上に置いてくれた。
「今日は赤くなってばっかだね」
言われて、ますます紅潮していくのを実感する。
まるで、僕だけ真夏にいるようだ。
うつむいた視界に入ってきたのは、ミニスカートからはみ出すえりかさんの白いふとももで、
僕の周囲には、とことん落ち着かなくさせる状況しかなかった。
514:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:26:58
「ねえ」
ふとももを見ていたことを、とがめられたかと思ったけれど、えりかさんの声色にそんな険は含まれていなかった。
なんだろう、と顔を上げると、立ち上がったえりかさんが、ベッドに歩いていった。
ベッドの縁で腰を下ろすと、何も言わず微笑み、両腕を広げてみせた。
戸惑ったのは一瞬だけで、確かめるようにえりかさんと目を合わせると、花の香りに誘われる虫のように、
ふらふらとえりかさんに近づく。いや、吸い寄せられる。
えりかさんの前に跪き、その胸に、顔を埋める。
形を失ったように、ぼんやりする僕の頭に、えりかさんの両腕が絡みつく。
まるで形を留めるように、えりかさんの腕はぴったりと僕の頭を抱きしめられ、抱き寄せられる。
「いい匂い、する?」
「……うん」
胸を疼かせる、甘い香り。
頬に押し付けられる、柔らかなふくらみ。
その奥で高鳴る、脈動。
えりかさんも、緊張しているんだろうか。
鼓動は、大きく、激しく、何かを訴えかけているように脈打っている。
それを聞き取りたくて、背中に手を回し、頭をえりかさんの胸に密着させる。柔らかいふくらみに沈み込んでいく。
抱きつかれたり、腕を組んだときに、感じていた柔らかさだけど、こんなにもはっきりとした感触は初めてだった。
肺はえりかさんに匂いに満たされ、頭は女の子独特の柔らかさに包まれて、幸福感と肉欲が、同時に湧き上がってくるのを感じる。
えりかさんを押し倒して、情欲を吐き出す姿を妄想した。
おそらく、その妄想を実行したとしても、えりかさんは受け入れてくれるだろう。
けれど、それを実現させられないのが僕だった。
欲望を押さえつけている僕の、気をそらしてくれるように、えりかさんが口を開いた。
「あの、ね……怒らないで聞いてほしいんだけど……」
不安そうに震える声。
えりかさんの声だとは、とても信じられなかった。
「私ね、今まで、好きになられたことはあっても、好きになったことって、なかったの。キミを好きになるまでは」
515:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:27:23
えりかさんの口から、何度も聞いた言葉が、聞きなれない響きでこぼれた。
「好きだって言われて、嬉しくなって、それが好きってことだと思ってたけど……
キミを好きになって、ぜんぜん違うものだって、わかったんだよ」
えりかさんの腕は、おぼれている人間が、目の前に放り投げられた浮き輪にしがみつくように、僕の頭を強く抱きしめる。
頬が、胸に押し付けられる。
胸の柔らかさよりも、えりかさんの不安が、鼓動から伝わってくる。
僕は、なんと答えていいのかわからず、なんと言ってあげればえりかさんの不安を取り除けるのかわからず、
背中に回していた手を、強く絡ませて、抱きしめた。
ありがとう。
かすれて消えそうな声で、ささやくえりかさん。
「あの、聞いてもいいかな?」
腕の中で問いかける僕に、
「なに?」
優しく声を返してくれるえりかさん。
少し腕を緩ませてくれたので、顔を上げて間近のえりかさんを見上げる。
「僕の、どこを、好きになったのかなって、思って……」
気にはなっていたけれど、えりかさんの方からも話してこないし、なんとなく、今まで聞けずにいた。
えりかさんは、きょとんとした顔になって、一瞬、目を泳がせた。
聞いてはいけないことだったのだろうか、と戸惑ったが、
「言ったことなかったっけ?」
言ったと思っていた。言ったつもりになっていた。
えりかさんらしいと言えばらしい。
少なからず悩んでいたのが、バカらしくなる。
「キミが入学してすぐ、空手部の練習試合があったでしょ? あの時の、泣きそうな顔を見て……」
516:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:27:44
小学生のころから空手をやっていて、当然の流れで空手部に入部した。
うちの空手部には、新年度になると、僕が生まれる前から縁があるという他校との、交流試合が伝統となっている。
入部したばかりとはいえ、経験者である僕は、組手をやることになった。
相手は僕よりも一回り大きな体を持ち、県大会でベスト4にまでなった上級生で、しかも美形だった。
僕が勝てる要素なんてひとつもない。
今から思えば、思い上がらないように、調子に乗らないように、最初にへこませてやろうという考えがあったのかもしれない。
しかし、あの時の僕は、勝つつもりでいた。
当然のごとく手も足も出なくて、苦し紛れに出した蹴りが、たまたま技有りになった程度だった。
しかし、それが相手を本気にさせてしまったようで、重く鋭い正拳突きを受けて、敗北した。
こちらは全力を尽くしてへとへとだったというのに、相手はたいして息も乱してもいなかった。
完敗だった。
悔しかった。
こぼれそうになる涙を、必死にこらえていた。
517:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:28:39
あのときの相手が、えりかさんの友達の彼氏で、それにつき合わされたらしい。
「勝てるわけないじゃんって思って見てたんだけど、
終わってからあんな悔しそうな顔してて……それだけ真剣なんだなぁって、思って。そしたら、なんか、かっこいいなぁ、って」
えりかさんは視線を宙に向け、あのときの光景を思い出しているらしい。
その頬は、かすかに赤く染まっている。
「あの真剣な顔を思い出すとね、胸がドキドキして。あぁ、これが恋なんだなぁってわかったんだけど、
さっきも言ったけど、好きになられたことはあっても、好きになったことはなかったから、
どうしていいかわかんなくって……それで、卒業式まで、ずっと遠くから見てることしか出来なくって……」
最後の言葉は、ため息をつくように、唇からこぼれた。
「もっと早く告白できてたら、もっと長く、付き合っていられたのにね」
少し残念そうに、悲しそうに、えりかさんが呟いた。
そこいたのは、えりかさんではなかった。
年上の綺麗なお姉さん、である、えりかさんではなかった。
当たり前にある恋愛に、当たり前に悩む女の子が、そこにはいた。
見上げる僕を、見つめ返すえりかさん。
胸が高鳴る。
今までの、ドキドキさせられてきたのとは違う、もっと柔らかくて、穏やかで、温かい感情が、鼓動とともに湧き出してくる。
湧き出す感情の赴くまま、彼女に口付けた。
少し戸惑った様子を見せながらも、受け入れてくれる。
とくん、とくん、とくん。
鼓動が伝わる、温かなキス。
どちらからともなく、す、と離れた。
嬉しそうに、柔らかな光をたたえた瞳が、僕を見つめる。
「好きだよ、えりか」
自然と、言葉が出てきた。
僕の今の気持ちを素直に、率直に表す言葉。
518:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:29:20
ほんの少しの間目を丸くし、それから目元を緩ませて微笑む、えりか。
「初めて、だよ」
「え?」
「いま、初めて、好きって、言ってくれたんだよ」
「そう、だっけ……」
言われれば、そうだったかもしれない。
えりかからの気持ちに戸惑うばかりで、僕の気持ちを、ちゃんと伝えていなかったかもしれない。
ごめん、と謝るのではなく、その代わりに、
「好きだ」と、気持ちを言葉にする。
えりかは、うん、とうなずいて、瞳を潤ませた。
「私も、大好きだよ。あの頃よりも、ずっと、好き」
甘いささやきに、心が蕩ける。
何で僕は今まで、こんなにも可愛い彼女に気づけなかったんだろうか。
溢れ出す気持ちをこらえきれず、今日、何度目かのキス。
何度、経験しても、慣れることが出来なかったキスだったけれど、今はどうしてか、自然に、当たり前のように、唇を重ねることが出来た。
僕の思いは見当はずれの場所に向かっていて、えりかからの思いに壁を作っていて。
その誤った回線の接続を、ようやく正せたような。
今やっと、心をつなげることが出来たような、そんな気がする。
唇に触れる違和感が、そんな思いに酔う僕の思考を遮った。
最初はそれが何か気づかず、ぬるりと唇を割って口の中に入り込んできたところで、えりかの舌だとわかる。
突然のことに驚き、反射的に唇を離してしまった。
「あっ」
不意に失った温度に、戸惑うえりかの声。
不安そうに揺れる瞳が、僕の胸に小さな棘を刺す。
拒んだわけじゃない。
言葉にする代わりに、僕から口付けを再開して、声をもらした唇に舌を伸ばす。
「んっ」
今度は驚いたように息を漏らし、舌を受け入れてくれた。
519:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 17:30:07
入り口を通り抜けて、えりかの舌に触れる。
僕の舌を迎え入れて、絡みつく。
どうしていいのわからずに、とにかく動かすことしか出来なかったが、えりかはでたらめな僕の動きに合わせて、優しくリードしてくれる。
聞いているだけで興奮してくる、色っぽい水音が、静かな部屋に響く。
肌よりも熱い口の中。
えりかの、中。
荒くなった吐息が口の中に送り込まれて、興奮が高まる。
熱くなる体が、えりかを求めている。
今までにないくらい、強く。
息苦しさもあって舌を解くと、どちらからともなく、唇を離した。
目の前には、瞳を潤ませ、上気したえりかの顔が、照れ笑いに綻んでいる。
その、とてもかわいらしい表情に、理性を保てるはずがなかった。
ごくり、と喉を鳴らしてから、
「えりか……」名を呼ぶ。
そこから、どう切り出せばいいのか、それとも行動で示してしまっていいのか、頭の中は嵐のように混乱していた。
頭の中に心臓が移動してきたみたいに、鼓動がうるさくて、考えがまとまらない。
やがて、えりかは潤んだ瞳を、ふ、と翳らせた。
え、と思っていると、
「私ね、あの……初めてじゃ、なくて……」ごめん、と重苦しい声を、吐き出した。
今までのことを考えれば、容易に想像できることだった。
まるっきり気にならない、と言えば、嘘だ。
言葉にされると、胸にのしかかるものを感じる。
でも、それでも。
「僕は、えりかが好きだ」
この気持ちに偽りはない。
少し驚いて、目元を緩ませたえりかは、うん、と嬉しそうにうなずいてくれた。
ちょん、と触れるだけのキスをして、えりかのシャツのすそに手をかけた。
震える手でシャツを捲り上げると、それに合わせてえりかがバンザイのように手を上げてくれる。
みぞおちを過ぎたあたりで、薄いピンクのブラジャーが現れ、目を奪われる。手だけは半ば自動的にシャツを脱がす。
520:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:00:04
乱れた髪を手櫛で整えるえりかの頬は、先ほどよりもさらに赤く染まっていた。
きっと僕も、負けず劣らず、真っ赤な顔をしていることだろう。
次は下、だけど……スカートってどうやって脱がせるんだ。
たいていのスカートは、たしか腰の横にホックがある、はず。
と、腰の横辺りに視線を向けると、えりかが僕の手に触れた。
驚いて、えりかの顔を見ると、微笑を浮かべて、僕を見つめていた。
えりかは見詰め合ったまま、僕の手を引き、腰の横に指先を触れさせた。
指先に触れる感触は、ホックではなくファスナーだった。
知らずにいたら、戸惑ってしまうところだ。
僕はそれを下ろして、スカートを脱がせていく。
えりかが腰を浮かせてくれて、あっさりと脱がせることが出来た。
ブラとおそろいの、ピンクのショーツ。
直接、見る印象は、メールに添付されていた画像とは、文字通り次元が違う。
ずっときれいで、ずっと、興奮する。
あまりの存在感に、目を離せないでいると、
「ねえ……私だけじゃ、恥ずかしいから……」えりかが、伏し目がちの赤い頬で呟く。
「あ……うん」
えりかに言われて、服を着ていることが、不思議と恥ずかしいことのように思えてしまった。
シャツのボタンに手をかけると、そこにえりかの手が重なる。
え? と思っていると、薄い微笑のえりかが僕の手をどけ、ボタンに指をかけた。
「あ、いや……自分で……」
「私のは脱がせたのに?」
そう言われてしまうと、返す言葉が見つからない。
えりかは、押し黙った僕を見て、くすり、と笑うと、ボタンを外し始めた。
他人に服を脱がされるというのは、子供の頃を除けば初めてだ。
恥ずかしいし、緊張するしで、居心地が悪い。
しかも布越しに、えりかの指が触れるたび、心臓が跳ね上がる。
ドギマギしているうち、シャツを脱がされ、ズボンと靴下が剥ぎ取られ、下着のみになっていた。
521:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:00:31
下着は、内側から大きく膨らんでいる。
これから起こることに対する期待と、初めて目にする女体に向かう情欲。
思考が暴走寸前の僕に、えりかが抱きつき、耳元で、
「ブラ、外してくれる?」甘く、淫靡な囁き。
小さくかすれた声だけど、頭蓋が破裂するような衝撃を受ける。
どうにか頷いて、背中に手を回す。
震える指先でホックを探し当て、両手を使ってそれを外す。思った以上に、うまく外すことが出来た。
ネットやら本やらで調べておいてよかった。
「上手」
感心したえりかの声が、吐息となって耳をくすぐる。
かすかに背筋を震わせた僕は、ホックを外した手を背中に滑らせて、腰にまで降りていく。
下着のゴムに指をかけると、脱がせやすいように、腰を浮かせてくれるえりか。
おかげで、するりと、脚を抜くことが出来た。
首に抱きつかれたままなので、見ることは出来ないけれど、おかげで多少は理性を保っていられる。
「すごく、ドキドキしてるよ、私……」
「僕も……」
短く言葉を交わすと、小さく息を吐く、えりか。
そして、首に絡まっていた腕が、ゆっくりと解かれた。
えりかの体。
遮るもののない、一糸まとわぬ姿。
女性らしい曲線で描かれた輪郭は、芸術的ですらある。
形よく膨らんだ乳房と、引き締まった腰のくびれ。
小さなへその下にある、整えられた翳りと、男を魅了する美脚。
全てが僕をひきつける。
「キミも、脱いでよ」
見とれていた僕は、えりかの声で我に返った。
小さく顎を引いて首肯し、下着に手をかける。
何度か見られている場所だけど、今まではえりかの手で晒されていた。
それが自らの意思で脱ぐとなると、種類の異なる羞恥が湧き上がってくる。
体を覆う最後の一枚の脱ぎ捨てて、全てをさらけ出す。
522:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:00:53
暖房と興奮の熱で体は温まっているけれど、さすがにペニスが外気に触れると、肌寒い気がしてくる。
熱情にいきり立つペニスが、えりかの目に触れ、ますます硬度を増すのがわかる。
くすり、と笑ったえりかが手を伸ばし、ペニスを撫でる。
「うっ」
鋭い快感が、神経を走り抜けていった。
その甘い快感に身を委ねてしまいたくなるのを、崖っぷちでこらえた。
えりかの手がそれ以上動かないように、両肩をつかんで瞳を覗き込んだ。
なに? と口が動く前に、唇をふさぐ。
んっ、と戸惑った息を漏らすえりかを、そっとベッドに横たえた。
唇を離すと、驚いた表情のえりかを見下ろす。
「その……今日は、僕が……」するから、と唇を動かす。
えりかは、なぜか目を泳がせて、赤い頬をさらに色濃く染めながら、こくり、と頷く。
うまく出来る自信なんてないけれど、そうしたい、と思った。
改めて視線を下に向ける。
女性特有のふくらみ。
その柔らかそうな見た目とは裏腹に、重力によって崩れることなく、綺麗な形を保っている。その頂には桃色の乳首。
そっと重ねるように手のひらを置くと、その柔らかさに驚く。
男にはない、女性にしかない柔らかさ。
「ふぅっ」
小さくこぼれたえりかの吐息は、かすかに揺れて聞こえた。
撫でるように優しく、柔らかな塊を揉む。
滑らかな肌と押し返してくる弾力が、手のひらに心地良い。いつまでもこうしていたくらいだ。
えりかの胸が大きく上下しているのが、触れている手から伝わってくる。
気持ちいいのだろうか。
それとも、ただ緊張しているからだろうか。
少し膨らんできて見える乳首を、指の腹で擦る。
「んぅっ」
甲高い声が短く走り、驚いて顔を上げると、えりかが恥ずかしそうに口元を隠して目を逸らした。
523:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:01:14
驚いた声、というわけではないようだ。
さらに指で擦り、摘み、弾く。
そのたびにえりかは、
「んっ、うぅっ、やっ……」素直に反応し、息を漏らす。
初めて見るえりかの表情、仕草。
そのかわいらしさに、僕の興奮が高まる。
乳房から手を離して、えりかの体を滑り降りていく。
閉じられているふとももに手を置き、えりかを見上げる。
今にも、涙があふれ出しそうなほど潤んだ瞳が、こちらを見つめている。
視線が絡み合うと、小さく息をついたえりかが、ゆるゆると、固まっていた脚が解いていく。
整えられた薄めの茂み。
足の付け根に隠れていた、深い亀裂。
そっと触れて、皮膚の裂け目を左右に開くと、内側から現れる、粘膜の花びら。
シンプルなような、複雑なような、感想がはっきりしない、バラのような形。
僕は……僕は、まるで花の蜜に誘われる蜂のように、気がつけばそこに口を押し付けていた。
「えっ!? ちょっと、待っ……くぅっ」
顔を背けていたえりかには、不意打ちのように感じられただろう。
慌てて僕の頭を押さえつけるけれど、ふとももにしがみつくようにして、離されない。
粘膜の奥に舌を送り込み、さきほどのキスを思い出し、口の中でしたように、舌を動かす。
「んぅっ、待ってって言っ、ふぅっ、ふあっ」
まだ何か言いたそうなえりかだったけれど、かまわずに舌を動かす。
唇とも、口の中とも違う、未知の感触。
舌が動くたびに、びくびくと、体の内側と外側が反応して震え、
「ふぁ……くぅっ……ふっ、ぁあっ」聞いたことのないえりかの声が、鼓膜を揺らす。
もっと聞きたい。
やがて、自分の唾液ではない、生暖かい液体が、舌に絡み付いてくる。
自分の愛撫で、愛しい人が気持ちよくなってくれている。
それが嬉しくて、たまらない。
524:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:01:39
粘膜の穴から舌を抜き出して、秘裂の縁を止めているような突起を、舌先で弾く。
「んあぁぁっ」
硬く尖ったそこが、クリトリスであり、女性の体の中でもっとも敏感な場所だということくらいは、わかる。
ただ、腰が浮き上がりそうになるほどの反応を見せるとは、思ってはいなかった。
腰が動いたせいで、驚いて口を離してしまう。
荒い呼吸で、腹を上下に動かす、えりか。
かすかに光る目元。
濡れた瞳が僕を見、
「もうっ……がんばり、すぎっ……」
「えりかに、気持ちよくなってほしくって」
言ってしまって、少し恥ずかしくなる。
いまさらという気もするけれど。
そんな僕の心を見透かしたように、えりかはくすくすと笑い、しかし、その笑顔をすぐに引っ込めて、
「そろそろ、いい、よ……」消えてしまいそうな声で、言った。
「え?」
聞こえなかったわけではないけれど。
その意味がわからなかったわけではないけれど。
問い返してしまった。
えりかは、少し困ったように、真っ赤な顔で眉をゆがめ、
「だ、だからぁ……今度は、キミが、気持ちよくなる番、なんだよ……」言い終えると、すがるように指を絡めてくる。
僕はそれに応えて、小さく、頷いた。
肉欲と愛欲が詰まって、はちきれそうになっているペニスを、唾液と愛液で濡れたえりかの秘裂に押し付ける。
「んっ」
息を漏らしたのは、どちらだったか。
粘膜同士がこすれあい、甘い刺激が、脳に駆け込む。
片方の手をつないだまま、腰を押し出す。
が。
つるり、と滑って目標を外してしまった。
「あ、あれ……」
ちゃんと、穴の上に押し当てたと思ったけど。
525:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:02:00
「焦らないで」
優しく囁く声。
えりかの空いている手が、僕のペニスに柔らかく添えられる。
それだけでも充分な快感だったが、その手が、亀頭の先端を、粘膜の花びらに導いてくれた。
短く視線を交わして、再び腰を押し出した。
えりかが押さえていてくれたので、今度は的を外すことなく、欲望の塊が、えりかの中に沈みこんでいく。
水っぽい音を立てながら、柔らかくて熱い深みの中を、襞を押し広げながら、奥へと潜り込む。
眉を寄せるえりかは、深い息を吐き出して、異物の進入に耐えているようにも見えた。
僕は僕で、腰が砕けそうになる快感に堪えながら、ついに、根元までがえりかの体の中に埋まった。
「ふぅぅぁああぁっ」
きゅ、と握った手に力を込めるえりか。
初めて体感する、女性の内側。
熱い肉襞が、ペニスに絡みつき、目がくらむような快感が襲い掛かってくる。
今度は僕が、握った手に力を入れてしまう。
お互いの乱れた呼吸が、部屋の空気を満たしていく。
濡れた瞳同士で見つめあった。
「えりか……」
愛しい名前を囁いて、体を重ねる。
片方の手はつないだままで、もう一方の手を背中に回して抱きしめると、それに応えてえりかの腕が首に絡まった。
えりかの乳房が僕の胸に密着して、つぶれる。
どちらからともなく唇を合わせて、舌が絡み合う。
より強い快楽を求める信号が、脳神経を駆け巡る。
キスに夢中になってきたえりかの、不意を突くように、腰を動かす。
526:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:02:22
「ンぅ、ふッ─んゥゥッ! ─ッ、ゥッ」
舌を絡めたまま、唇の隙間から漏れる息が、熱く濡れている。
蜜に濡れた粘膜の襞は、ペニスに張り付き、柔らかく締め付けてくる。
腰を押し出せば、引き込むようにうねり、引けば、離すまいと絡み付いてくる。
まるで僕に抱きつく、えりかそのもののようだ。
先端が奥を打つたびに、口の中に甘い息を送り込んでくるえりか。
その吐息を吸い込み、熱いいい気を返す僕。
2人の息が混ざり合い、熱と快楽が増大する。
「くぅ、ア─ッ、─、──ッ!」
自然と腰の動きが早くなる。
ペニスが擦られる刺激が強くなって、奥壁を亀頭で突くたび、快感が全身を駆け巡る。
「ぅ、ァ─ッ──! ─ッ!」
僕の激しさに、えりかも呼応する。
高まる感覚を、抑え切れない。
ひときわ強く、腰を打ち付けて、えりかに包まれたまま、快感の臨界を迎えた。
えりかの体の奥底で、爆発するように飛び出してくる精液。
精液を打ち付けられるたび、ビクビクと体を痙攣させる、えりか。
体も心も、ひとつに溶け合っているような、不思議な感覚。
大好きな女の子とひとつになれて、生涯最高の快感を体験して、ただ気持ちいいだけではなく、体中がとても温かな感情で満ちている。
やがて、おびただしい量の精液を吐き出したペニスが、ようやく力尽きた頃、僕らは唇を解いた。
目の前には、愛しい人の顔。
僕を見つけると、ゆっくりと微笑んで、一筋の涙を流した。
戸惑った表情を見せると、
「これで、ちゃんと彼女に、なれたんだなって……」目元を柔らかく緩ませる、えりか。
527:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:03:13
ひょっとしたら、僕が不安だったように、えりかも不安だったのかもしれない。
僕の自信のない態度は、自分を彼女として認めているのかどうか、心配させていたのかもしれない。
告白されたときは、驚いて、ただ戸惑うだけだった。
そのあとも、強引とも似た積極的な態度に、引っ張られているだけだった。
好きなのかどうか、ちゃんと考える時間も与えられず、愛情や好意を押し付けられることが、重く感じたこともあった。
でも僕は、えりかの隣にいることを選んだ。
いつの間にか、えりかと離れたくないと思っていた。
これからもずっと、そばにいたいと思っている。
僕を見上げるえりかが、そういえば、と何かに気づいたような顔をする。
「キミを見上げるのって、初めて、かな? すごく新鮮……」
言われてみれば、確かに見上げてばかりで、視線の下にいるえりかを見るのは、初めてだったかもしれない。
「すごく……ドキドキする」
はにかんで微笑むえりか。
言われるまで気づかなかったことなのに、気づくまでは意識しなかったことなのに、意識してしまうと、いまさらながら、胸が高鳴る。
「ベッドの上だと、身長差が気にならなくなるんだね」
無意識にこぼれた言葉を聞いて、えりかが頬を染め、照れ笑いとともに、
「エッチなセリフだよね」いまさらなことを言った。
いつもと違って見えるその表情は、いつもよりも数段可愛く見える。
こんな可愛らしい表情に、今まで気づけなかったことが悔やまれる。
けれど、今からでも遅くはない。
これからは、いつでも見ることが出来るだろう。
「好きだよ、えりか」
囁いて口付ける。
528:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:03:41
柔らかい笑顔を浮かべたえりかが、
「今日は、そればっかだね」嬉しそうに言って、口付けを返してくれる。
今まで口にしてこなかった分、溢れてきてしまうのかもしれない。
それでも僕は、まだ言い足りないくらいだった。
もっともっと、伝えたい言葉だった。
「えりかが、好きだ」
頬を撫でると、僕の愛しい人は、幸せそうに微笑んだ。
529:書く人 ◆ZBov0fGF0M
10/02/01 18:06:06
ご無沙汰して・・・おりました・・・
梅さん卒業・・・までに・・・書こうと思っていたら・・・このざまです
・・・DVD発売・・・記念・・・にも若干遅い・・・ですが
うちには・・・まだ届いて・・・ないので・・・
一応、梅さんは最終回かな・・・
これからもこんなペースだと思いますが、コンゴトモヨロシクお願いします。
530:fusianasan
10/02/02 02:02:31
書く人さんきてたあああああああああああああああああああああああああ
次も期待して待ってます
531:fusianasan
10/02/03 00:05:57
書く人さんきてたぁ。これからもよろしくおねがいします
532:fusianasan
10/02/03 00:08:46
>>書く人さん マイマイかまいみぃの小説書いていただけませんか?
533:fusianasan
10/02/04 17:51:22
保
534:fusianasan
10/02/07 09:54:46
新作期待
535:fusianasan
10/02/07 14:41:46
前にイベントで
536:fusianasan
10/02/07 19:39:36
どうした?
537:fusianasan
10/02/08 06:02:42
前にイベントでショーパンの桃子の股間凝視してたら、物凄く嫌な顔されて興奮したよ!
538:fusianasan
10/02/08 23:05:42
それは良いなぁ
539:fusianasan
10/02/11 22:10:12
舞美か舞の小説期待
540:fusianasan
10/02/12 19:58:20
エロ小説の動画結構あった。無料無修正。
URLリンク(erofilecentral.com)
541:fusianasan
10/02/16 17:06:53
書く人さん待ち
542:fusianasan
10/02/16 19:13:44
おげれつ工房
URLリンク(www.oreno-movie.com)
543:fusianasan
10/02/20 11:03:52
新作期待
544:fusianasan
10/02/20 14:57:19
書く人来ないかな???
545:fusianasan
10/02/22 17:34:14
書く人さん、まいまいかまいみぃの小説書いてください
546:fusianasan
10/02/26 15:03:18
書く人保
547:fusianasan
10/02/27 08:16:05
舞ちゃん読みたい
548:fusianasan
10/02/27 18:01:35
まいまい期待
549:fusianasan
10/03/02 22:30:25
書く人さんくるかなぁ
550:fusianasan
10/03/03 15:51:58
まいまい★
551:fusianasan
10/03/05 00:40:43
ここが落ちたらpart.4誰か立ててくれないかなぁ
552:fusianasan
10/03/09 15:32:26
書く人さんまってます
553:fusianasan
10/03/15 19:02:07
まいまいの小説きたい
554:fusianasan
10/03/20 11:33:37
書く人さん待ってます
555:fusianasan
10/03/26 12:20:47
まいまい
556:fusianasan
10/03/28 15:44:20
りしゃこ最高
557:fusianasan
10/03/29 00:01:24
まいまい小説期待
558:fusianasan
10/04/03 01:23:48
友理奈…
559:fusianasan
10/04/03 22:54:07
560:fusianasan
10/04/05 16:26:28
神降臨を信じて待つ
561:fusianasan
10/04/25 13:04:57
書く人さん
562:fusianasan
10/04/25 14:21:22
まだ来ないの?
563:fusianasan
10/05/08 16:45:37
書く人さん舞ちゃんかまいみぃの小説書いてください
564:fusianasan
10/05/10 01:40:33
書く人さんまってます
565:fusianasan
10/05/10 01:58:56
間隔的にはそろそろ載せてくれそうだけどね
566:fusianasan
10/05/10 23:18:04
そろそろかな
567:fusianasan
10/05/12 23:10:57
まだかなぁ
568:fusianasan
10/05/19 18:21:23
待ってるのに
569:fusianasan
10/05/21 23:18:50
まだかなぁ
570:fusianasan
10/05/26 20:33:27
そろそろやろ
571:fusianasan
10/06/06 16:02:33
まいまい
572:fusianasan
10/06/16 15:57:11
まだかなぁ
573:fusianasan
10/06/17 20:41:45
これ見て!
URLリンク(livedoor.2.blogimg.jp)
ばらまこーぜ!
574:fusianasan
10/06/27 17:05:09
書く人さん
575:fusianasan
10/07/07 00:58:30
誰でも良いので書いて欲しい・・・
576:fusianasan
10/07/18 01:19:19
誰か書いて・・・
577:fusianasan
10/07/21 20:30:37
もうじき半年です
書く人さん・・・
578:fusianasan
10/07/25 22:20:57
もうきてもいい頃だなぁ
579:fusianasan
10/07/26 15:18:24
エロでは定番だけど・・・。
URLリンク(filezappa.info)
580:fusianasan
10/08/02 13:42:29
ww
581:fusianasan
10/08/06 23:01:37
書く人さんまだかぁ
582:fusianasan
10/08/18 20:31:36
まだかなぁ
583:fusianasan
10/10/03 00:48:26
書く人さんはこないのか
584:fusianasan
10/10/04 08:11:13
いや、待っていれば必ず神降臨するはず
585:ベリオタ
10/10/06 22:46:30
あなたがかけば
586:fusianasan
10/10/11 23:34:37
誰か書いてください
587:fusianasan
10/10/18 16:44:32
これすごいです。。
URLリンク(www.qrbeen.com)
588:fusianasan
10/11/09 18:51:21
書く人さんはもういないのかな・・・・
589:fusianasan
10/12/11 01:15:43
過去作の再録とかやってくんないかな。りしゃこ編まとめて読みたい。
590:fusianasan
10/12/12 12:19:35
誰か小説求む
591:fusianasan
10/12/29 20:58:26
もうすぐ年明ける
592:fusianasan
10/12/29 21:08:03
このスレまだあったんだね
なつかしいよ
593:鬼畜
11/01/01 20:18:52
雅「ほれほれいきたいんだろ」
童貞「うっういく」
どびゅどびゅ
雅「よくも私の顔にかけてくれたわね」
童貞「すっすいません」
雅「全部搾りだしてあげるんだから」
シコシコシコシコ
童貞「いっちゃうよ雅チャンもうやめてくれ」
どびゅどびゅ
雅「まだでるでしょ」
童貞「勘弁してくれよー」
594:fusianasan
11/01/15 13:59:40
誰もいないのか
ちょっと書いてもいいかなと思ったけど(´・ω・)
595:fusianasan
11/01/16 00:15:08
>>594さん ぜひ書いてください
596:fusianasan
11/01/16 03:10:43
お願いします
597:fusianasan
11/01/16 20:03:40
・エロ部分が少なめ
・それ以外が超長い
・いつ完結するか分からない
この条件でよければ(´・ω・)
598:fusianasan
11/01/17 01:18:39
是非是非
599:fusianasan
11/01/18 20:35:20
是非おねがいします愛理がいいです
600:fusianasan
11/01/19 00:54:17
『10+1』
601:fusianasan
11/01/19 00:55:28
プロローグ
思えば、生まれてこの方、女の子と付き合ったことがなかった。もちろん今までの人生の中でそれなりに恋はしたと思うし、
逆にされていたのかもしれないが、それが発展したことが一度もないのである。
『自分には色恋沙汰など縁のない話だ』と、割と本気で思っていた。
ボクは普通に小学校を卒業して、普通に中学校も卒業して、自分の家からそれほど離れていない高校の入試に合格した。
取りたてて特に見所があるわけではない、まったくもって平凡な人生。
別に顔立ちがよいわけでもなし、スポーツ万能なわけでもなし、頭脳明晰なわけでもなし、実にないない尽くしの人間である。
でも、一つだけ『誰にも負けない』ことがある。それは…
おっと、この段階ではまだボク自身、それには気が付いていないんだった。
ボクがその内容を知ることになるのは、もっともっと後になってからの話である。
しかも、それはボク自身が気づくことではなくて、周囲の人間から言われて、初めて知ったことでもある…
『それ』が自分の人生によい影響をもたらすのか、あるいは悪い影響をもたらすのか…それも謎。
602:fusianasan
11/01/19 00:56:33
ボクが出会った十人の女の子。
それぞれがそれぞれに違った名前、顔、性格、そして長所と短所を持っていた。
十人十色というが、いろんな人がいた。
真面目な優等生、心に傷を抱えた美少女、一途な後輩、素直になれない少女、遠い親戚、そしてティーンエージャー
最後の一年を迎えた女の子…
ある人とは親密になり、ある人とはケンカし、ある人とは恋に落ち、ある人とは別れ…
高校に入学してからのボクの人生はその繰り返しだった。その中で、時に笑い、時に泣き、時に怒り、時に悲しんで…
そして時に幸せを味わった。
もっとも、中学卒業まで『平凡な人生』を送ってきた人間が、まさか高校に入ってからそんな人生を送ることになるとは、
この時点ではボクも、そして周囲の誰も予想していなかったに違いない。
なぜそうなったのか。未だに自分でもわからない。ただ、すべてはいろんな要素と少々の偶然の積み重ねの産物なのだろう、
とは思う。
名前も顔も性格も違う十人の女の子たちに出会ったのも、きっとそう…いろんなものが積み重なった産物なのだ。それが
いいことか悪いことなのかは知らないが、ボクは彼女たちに出会ったことをちっとも後悔していないし、起こったことすべてが…
それはそれで…素敵な思い出、なのだろう。
…話が長くなった。
時計の針を高校一年生の春に進めよう。
603:fusianasan
11/01/19 00:57:28
第一編 それは、生まれて初めて知った ひと夏の恋
第一章
―流れ星 流れ星 すぐに消えちゃう君が好きで
604:fusianasan
11/01/19 00:58:22
高校に入学して、最初の春。
まずはこの一年を共に過ごすクラスが決められることになる。
もっとも、すべては密室談義なので、ボクはただ決められたものを甘んじて受けるしかない。
『こいつと一緒になりたい』『こいつとは一緒になりたくない』なんて思いがあったとしてもそれが受け入れられる
わけでなし。
『未来ぐらいは自分の手で選ばせて』と思っても、それが叶うわけでなし。
まあ、仕方のないことなんだけど。
結局、ボクは1年5組になった。同じクラスに中学校時代からの悪友がいたから、ちょっと気がほぐれた。やっぱり、
誰も知らない世界に放り込まれるよりは、誰か一人でも知った人のいる世界の方が住みやすい、はずだ。
同じクラスに背の低い女の子がいた。髪はショートカットで、見た感じ中学生にしか見えない。
「あの子、どこかで見たことあるような気がする…」
が、名前が思い出せない。悪友が教えてくれた。
「え?あの子知らないの?清水さん。同じ中学校じゃないか」
「そうだったっけ?」
そう言われてみたら確かにそうかもしれない。でも会話した記憶がまったくない。
「そりゃクラスが違うからだよ。オレたちバカが行くクラスと違って、あの子は成績優秀者のクラスだったからな」
「はあ…」
なるほど、だから会話した記憶がないのか。でも、そんな子がどうしてボクらと同じクラスに?
「知らね」
…一言で返されてしまった。
この段階では、ボクも、そしておそらく彼女も、これから起こる運命のいたずらをまだ知る由はない。
605:fusianasan
11/01/19 00:59:15
そんな彼女が、ある授業でボクの隣の席に座ることになった。
ボクは彼女の名前を知っている。同じ中学校だったんだから、もしかしたら彼女もボクの名前を知っているかもしれない。
でもあんまり話せそうにない。成績優秀(らしい)彼女はいつも丁寧にノートを取っては、授業が終わると大事にカバンに
しまっているのだった。ろくすっぽ勉強したがらないボクとはわけが違うようだ。
でも、先に話しかけてきたのは彼女の方だった。隣になって二回目の授業中のこと。
「あ、あの、シャーペンの芯なくなったんで、貸してもらえませんか?」
「あ?ああ、どうぞ」
たったこれだけと思うなかれ。一言だけの返事を返すのに、内心どれだけオドオドしたことか…
「はい」
シャーペンの芯の入った入れ物を丸ごと渡すと、彼女はちょっと驚いたようだった。
「え?一本でいいんですけど」
「いいよ、全部もらっときな」
思わず口走ってしまった。勢いに任せて。言った直後「しまった」と思ったがもう遅い。なあに、シャーペンの芯なんて
大した値段じゃないや、あげちゃえあげちゃえ、と自分に言い聞かせる。
「ありがと…ございマス」
彼女は照れながらボクにお礼を言った。照れてはいたが、こちらに向けた表情は、確かに笑顔だった。
「…!」
なんだ、なんだこの気持ちは。一体ボクの心に何の変化が起きたというのだ?
考えたが答えは出なかった。ただ胸だけが妙にドキドキし続けて…
そう、ボクはこの時、彼女に一目惚れしてしまったのである。
(つづく)
606:fusianasan
11/01/19 01:01:29
ということで、スタートしました(´・ω・)
こんな感じで、やたらめったら長くて会話文と「…」が多くて
しかもエロ成分が少なめの話が合計10本続きます
かなりのボリュームになることが予想されますので
読まれる際はくれぐれもご注意を(´・ω・)
なお、この話と骨格は同じ話ですが
エロ描写を控えめにしたVerを
URLリンク(yy21.kakiko.com)
↑こちらに連載しています
上のスレではこちらでは連載していない話も連載予定なので
もしよろしければ、ご覧ください(´・ω・)
607:fusianasan
11/01/19 02:15:49
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
10人ってことは℃-uteも出るのかな?
でもそれだと出てこないメンバーも・・・
608:fusianasan
11/01/19 03:35:00
wktk!!
609:fusianasan
11/01/19 21:48:31
>>605
それからは普通に彼女…清水さんと会話ができるようになった。優等生だからとっつきにくいのかと思っていたが、
話してみると結構フレンドリーな人だった。
時々、ボクが授業中に寝ていたりすると…
「ほら…○○君…寝ちゃだめデスよ、起きて起きて」
とシャーペンで脇腹を突っついてくれたりもする。
そして、授業が終わった後に、
「もう、しっかりノート取らないとだめデスよ、ほら」
と、自分が取ったノートを写させてくれるのであった。
ボクは彼女のそんな優しい部分にますます惚れ込んでしまっていた。でも、これまで女の子と付き合ったことのない
男の悲しい性…
どうやって彼女と仲良くなるか、どうやって彼女をデートに誘うかのアイディアが思い浮かばなかったのである。何とか
彼女と仲良くなって、一緒にデートに行ってみたい。でも誘い方が分からない…困った、さてどうするか。
ボクは高校生になって初めて迎える中間テストのことより、そっちの方で頭がいっぱいであった。悪友の力も借りながら、
何とか目標を達成しようとあれこれ考えていた。
ない知恵をすべてそっちに傾けた結果、中間テストの結果は散々だったのは言うまでもない。
でも、その努力は無駄ではなかった。中間テスト明けの土曜日に、ついにボクは彼女と初デートをすることになったのだ。
610:fusianasan
11/01/19 21:49:28
五月の三回目の土曜日、暑い日だった。ボクは駅の前で、彼女が来るのを待っていた。
「お待たせ。遅くなってごめんなさい」
十分遅れで、彼女が現れた。
驚いた。普段の制服を着たおとなしい彼女からは想像もできないくらい、オシャレな服を着ていたからだ。
黒を大胆にあしらった、カッコいい服だった。
「…どうか、しましたか?」
ボクがあんまりキョトンとしていたせいだろう、彼女が怪訝な顔をした。
「いや、何でもないよ。ちょっとビックリしただけ」
「何で?…私の顔、何かついて…ますか?」
「そうじゃないんだ。その…私服がすごくオシャレだったから」
本音だった。だって、普段は『優等生だけど地味』な女の子がこんなに変身するとは思わなかったから。
「ホントに?…ありがと」
彼女…清水さんはそう言ってはにかんだ。よかった。ちょっとずつでも彼女との『距離』は縮まってるみたいだ。
611:fusianasan
11/01/19 21:50:51
二人で電車に乗った。行き先は…電車で五つ先の水族館。この日が決まってから、ない知恵を一生懸命
絞りに絞って考えたデートコース。一応、事前にそれとなく彼女に大丈夫かどうか訊いてみたし、多分、
外すことはないだろう、って思ってはいるんだけど…でも、正直期待と不安が半々ってとこだろうか。
電車の中。本当は話したいことがたくさんある。しかし、それは阻止されてしまった。電車の中に人が多いのである。
「何か、人多いね…」
「うん」
「ごめんね、こんなに人多いと思わなかったんだ…」
「…いいよ。待つのは平気だから、気にしないで」
またドキッとした。今まで「ですます調」でしか喋ってくれなかった彼女が無防備に、タメ口で喋ってくれたのだ。
彼女が少しずつボクの方に近づいてくれているような気がして、ボクは内心とてもうれしくなった。
612:fusianasan
11/01/19 21:51:36
(´・ω・)っ(つづく)
613:fusianasan
11/01/20 00:00:25
きたー
614:fusianasan
11/01/20 22:14:19
>>611
電車が水族館の最寄り駅に着いた。ボクと彼女は歩道橋にある「動く歩道」に足を踏み入れようとした。
その時…
「あっ!」
よそ見でもしていたのか、彼女が足を乗せるタイミングを失った。バランスを崩した彼女の体が倒れかかる。危ない。
「!」
ボクは反射的に、手を伸ばして彼女の体を支えていた。特に何かを考えたわけではなく、本能で。
倒れかかった彼女の体を、ボクは見事に自分の腕の中に収めることに成功した。
「…ごめん。びっくりした?」
素に戻ったボクがそう尋ねると、彼女は首を小さく横に振った。
「ううん。ありがとう」
そう答える彼女の顔はしかしどこか恥ずかしそうで、頬が赤くなっていた。ボクもボクで、自分の反射的に取った行動に
驚いてしまい、その後のデートの記憶がまったくない。
確か…イルカを見て、ペンギンを見た記憶まではあるんだけど…それ以外はあいまい。
ただ、二人でソフトクリームを食べたことだけはよく覚えている。だって、そんな経験、人生初だったから。
615:fusianasan
11/01/20 22:15:14
帰りの電車の中。
「楽しかったね」
彼女が自らボクにそう言ってきた。ボクは内心、今にも跳び上がりそうなくらい嬉しかった。まあ、ここで跳び上がっていたら、
多分彼女にも、周りの人にも、白い目で見られることになっただろうが…自制心のありがたみを今日ほど感じたことはなかった。
「う…うん!」
ボクは精いっぱい自制していたつもりなのだが、全く自制になっていなかったようだ。声が明らかに上ずって、興奮してるのが
誰の目にも分かってしまうレベル。たぶん顔には『うれしい』の四文字がデカデカと描かれていたことだろう。いや、まったくもって
お恥ずかしい…
でも、彼女はそんな僕を見て態度を変えなかった。
「そっか。よかった」
そう言って、ニッコリと微笑んで、それで終わり。実に簡潔、実にシンプル。
もしも恋愛経験豊富な人なら、彼女のそんな反応で、彼女が内心どう思っているのかを察するのは容易なのだろう。でも、あいにく
ボクはそうではなかった。心の中で
「これってどういう意味なのかな」
「ボク、間違ったこと言っちゃったかな」
「引かれてるんじゃないよな?」
とまあ、いろんな疑問符が浮かんでは消えて行った。
多分あの時電車に乗り合わせていた人の中で、ボクが一番疑問符だらけの人間だったことだろう。
616:fusianasan
11/01/20 22:16:20
電車が駅に着いた。彼女とはここでお別れだ。
「今日は…ありがとう」
本当は、この後『また…会ってくれないか?』って言いたかった。でも言えなかった。それを言うと、自分が
"がめつい"人間に思われそうな気がしたから。
「こちらこそ…ありがと」
黒を大胆にあしらったオシャレな彼女は、頬を少し赤らめながらそう答えた…と、次の瞬間。
「ねえ…もし…よかったら…その…」
彼女が少しどぎまぎしながら、続けて話し始めた。もっとも、話し始めたその言葉は妙な空白が何度か
混在していて、しかも、電車の走行音や周囲の人々の発する声や音にかき消されそうなくらい小さなもの
だったけど。
「え?何?」
肝心なことが聞き取れない。ボクは意を決して聞こうとした…が、運悪くそこへ別の電車が到着し、キキーッと
いう大きな鉄の塊が擦れる音を残してくれたおかげで、ボクの声もまたかき消されてしまった。
鉄の塊が擦れる音が消えた時、ようやく彼女の声が聞こえた。でもそれは…
「…ううん、何でもない。また、学校で。じゃ、またね。バイバイ」
彼女はそう言うと、一度こちらに手を振って去って行った。一体、彼女は何を言おうとしていたのだろう。二回目の
デートのお誘い?それとも告白?はてまた…
ボクにはそのすべてがまだ謎のままだった。毎日のように使っているのに、この時ほど電車を恨めしいと思った
ことはない。多分これからもそうだろう。
617:fusianasan
11/01/20 22:16:59
家への道を急ぎながら、ボクは彼女の言いたかったことをまだ考えていた。一刻も早く確認したかったが、そうもいかなかった。
ボクも彼女も、携帯電話など持っていなかったからだ。『電話をかける』という行為はイコール『家への電話』ということになり、
それに彼女が出るという保証は一切なかったからである。さすがにそれをやる度胸は、ボクにはなかった。
ボクが携帯電話を持つようになるのはもう少し先のことだが…それはまた別の時代の話。
618:fusianasan
11/01/20 22:18:32
(´・ω・)っ(つづく)
(´・ω・)っ(ちょっとしたおねがい)
読まれた方は…少しでもいいので、何か感想やご意見ご要望などいただけると
非常にありがたいです
長ーい話になりますが、少しずつエロティックな方向に振っていきますので
もうしばらくお待ちください…(´・ω・`)
619:fusianasan
11/01/21 02:31:48
乙です!
新狼の方とどう変わっていくのかちょっと楽しみ
620:fusianasan
11/01/21 15:58:57
乙です
これから先が楽しみです。
621:fusianasan
11/01/21 21:54:15
これからの展開に期待!
622:fusianasan
11/01/22 01:05:10
>>617
その日の夜。
「ボクにしか見えない地図を 広げて一人で見てた…」
自分で言うのも何だけど、ボクはロマンチストだ。星を見るのが好きで、中学生の頃、親にねだって十何万もする天体望遠鏡を
買ってもらったこともある。小学生の頃は、電車で片道三十分もかけて、プラネタリウムへ出かけるのが好きだった。
好きなことは歳を取るにつれていろいろと変わったけれど、星を見ることは子どものころからずっと、好きだったことの一つだった。
星を眺めながら、ボクは一人いろんなことを考えていた。まあ、八割方が清水さんのことだったんだけど。
「あの子も同じ空をどこかで見ているのかなぁ…」
できれば、そうであってほしいな。
そしていつかは、二人一緒に同じ空を眺めていたいな。と思った。
623:fusianasan
11/01/22 01:05:57
その夜、ボクは夢を見た。
夢の中で、ボクは清水さんと教室で喋っていた。夢の中のボクは実に積極的で、彼女にキスを求めている。
「もぅ…誰か来ちゃったらどうするの…?」
そう言って尻込みする彼女を、ボクは笑って制した。
「いいじゃない。どうせ誰も来ないさ」
そしてボクは彼女の唇を求めるのである。尻込みしていた彼女だが、観念したように目を閉じた。
「ん…」
唇と唇を合わせ、舌と舌を絡ませる。唇を離すと、彼女の顔が紅潮していた。
624:fusianasan
11/01/22 01:06:47
「ねえ、『アレ』、やってくれないかい?」
ボクがねだると、彼女は素直に従ってくれた。座っているボクの前にひざまずき、ゆっくりと手を伸ばす。
「ん…おっきくなってる…ね」
「だって…これで興奮しないのは、男じゃないさ…」
彼女のひんやりとした手が、ボクのそれに触れた。
「これだと動かせないや…脱がせて、いい?」
「いいよ」
彼女自らボクの制服のズボンのベルトに手をかけた。ベルトを緩め、ボタンを外し、ズボンとその下の下着を
ゆっくりと引き下ろしていく。
「ふふ…おっきいままだよ?」
彼女のひんやりとした手が、再びボクのそこに触れる。やがてその手は、ゆっくりと上下運動を始めていく。
「あぁ…」
上下運動がだんだんとリズミカルなものになっていく。
「気持ちいい?」
「うん、すごく気持ちいい…」
ボクがそう言うと、彼女はニッコリと微笑んで、そして唇を手のところへ持っていき…
ちゅぱ…ちゅぱ…
いつの間にか、与えられる感覚がひんやりとした手の触感から、温かい舌の触感に変わっていた。
625:fusianasan
11/01/22 01:07:26
目を閉じて与えられる感覚に酔っていたボクであるが、ふと目を開けて下を見た。上目づかいでゆっくりと舌を動かしている
彼女と目が合った。彼女は微笑んだまま、舌の動きを続け…それに加えてゆっくりとかぶりを振り始めた。
与えられる感覚が甘いものから痛痒いものに変わっていく。
「出ちゃいそうだよ…出していいかい?」
ボクがそう訊ねると、彼女は小さくうなずいた。もう障壁はない。フィニッシュへ昇りつめるだけ…
「あっ…出るっ!」
…ん?
あ…?
…夢、か?
ボクは目が覚めた。そこには教室などなく、いつもと同じ寝室があるだけだった。当然、彼女の姿もない。
「やっちゃった…」
そこで、自分のパジャマの前が濡れていることに気がついた。そう、ボクは夢の中で果ててしまったのである。
ああ、何て恥ずかしい…
こんなことは、絶対誰にも言えるわけがないではないか…
一人でそそくさと後始末をする自分の姿が何とも情けなく思えた。
626:fusianasan
11/01/22 01:08:30
月曜日。ボクは努めて普段と変わらない素振り…をして学校へやってきた。でも、内心は『いつ、どこで彼女に思いの丈をぶつけるか』で
頭がいっぱいだった。その日の授業のことなんてどうでもいいくらいに。
「よう、何かソワソワしてんな。どうしたの?」
"努めて普段と変わらない素振り"を心がけたボクの努力は、数十分でムダになってしまった。悪友のこの一言で、ボクは自分がいかに
浮ついていたかを理解せざるを得なかったのである。
「おはよー」
級友たちとにこやかに談笑しながら、彼女がやってきた。でも、さすがに今は声をかけられない。堅いゾーンディフェンスを敷く女子ばかり
の空間に飛び込んでいけるほど、ボクはトリックスターではない。
結局彼女は授業が始まるまでずっと級友たちとしゃべっていた。動きようがなかった。
授業の間中、ボクは彼女に自分の気持ちをどう伝えようか、そればかりが気になって、授業が手につかないまま時間が過ぎていった。
…結局、そのままその日の全授業を棒に振ることになったけど。
627:fusianasan
11/01/22 01:09:21
放課後、夕焼けの時刻。家に帰ろうかと一人歩いていたら、彼女が校門の前を同じように一人で歩いていた。チャンス!
「清水さーん!」
ボクがそう呼ぶと彼女は振り返って、ちょっと驚いた顔をした。
「あ、あのー…この間はどうも」
もっと気の利いたことは言えないのか…と自分でも思うが、仕方ない。恋愛下手だから。
「ああ、○○くん。こちらこそありがとう」
彼女は少し疲れているようだったが、それでも笑ってくれた。
「よかったら…一緒に帰らない?ちょっと話したいことがあるんだ」
思い切って言ってみた。さて、彼女はどう出る?と思ったら、
「いいよ。でも、私、行かなきゃいけないところがあるから、駅まででいい?」
駅というのは、この間待ち合わせた駅ではなくて、学校の最寄り駅のことだ。となると、歩いて数分の距離しかない。
だけど、とりあえず彼女と一緒に帰れることになったのだ。だから、時間制限などボクにはどうでもよかった。
「うん、わかった。じゃあ、行こうか」
ボクと彼女は、駅に向かって歩き始めた。
628:fusianasan
11/01/22 01:10:02
「この間さ、最後に…電車が通って聞こえなかったんだけど、何か言おうとしてたじゃない?」
例の話を振ってみた。すると彼女は
「ああ…あれ?いいよ、大したことじゃないから…あれは忘れて」
と答えた。なんだか意味深だ。だけど、それ以上突っ込む勇気はなかった。
「そっか、じゃあ、ボクも忘れようっと」
そう言って笑うしかなかった。
ボクたちはもうすぐ駅に着こうかというところまで歩いてきていた。この踏切を渡れば、後は駅へ一直線だ。
「ねえ…お願いがあるんだけど」
「何?」
この時、彼女の心は無防備だった、ように思えた。
「もしよかったら、また、会ってくれないかな」
「学校の、外で?」
「うん」
思い切って言えた。彼女の目を見て、しっかり言えた…はずだ。これでダメなら、諦めるしかない。
…諦めたくはないけど。
629:fusianasan
11/01/22 01:10:51
「うん、いいよ」
OKが出た。ボクはこの時、またしても内心飛び上がりたいくらい嬉しかった。でもあくまで冷静に…
いられないよね、やっぱり。
「ホント!?いいの?」
「どうしたの?そんなに驚いて」
彼女はそう言うと、ボクの目を冷静に見据えて言った。
「いいよ、だって、この間、楽しかったし」
「ホントに!?」
またしても声が上ずるボクを見て彼女は怪訝な顔をしていた。まあ、そりゃそうだよね。でもしょうがない。
だって、ホントに嬉しかったんだから…
その夜は興奮して眠れなかった。おかげで次の日の授業は輪をかけてボロボロだった。
(つづく)
630:fusianasan
11/01/22 01:13:30
>>619-621
どうもありがとうございます(´・ω・)
ちょっとだけエロ要素が…やっとこ入ってこれました(´・ω・)
新狼に書いている話はエロ要素をある程度カットした話(これがオリジナル)で
このスレに書いている話はオリジナル版にエロ要素を加えたり、きつめのエロ描写を入れた話になってます(´・ω・)
当分先になりそうですが、このスレ用の話では出てくる登場人物も一部変更する予定です
(>>599でリクあったし愛理かな?)
いろいろとご感想をいただけて嬉しかったです
これからもどうぞよろしくお願いします(´・ω・)
631:fusianasan
11/01/22 02:05:09
乙です!
夢精とか青春だなぁw
632:fusianasan
11/01/23 00:11:05
>>629
その約束から二週間後。ボクたちは二度目のデートをすることになった。行き先は、前行った場所とは反対方向にある、
ショッピングモール。
「実はね、見たい映画があるんだ」
彼女がそう言ったのは、一週間前のこと。
「何の映画?」
「この間公開になって、見に行きたかったの」
「じゃあ、それを見に行こうよ」
彼女が見たいと言っていた映画を二人で見た。ハリウッドのラブストーリーだ。
清水さんは主演の女優さんがお気に入りらしく、まばたきをする時間も惜しむかのように見入っていた。
ボクはその横でポップコーン食べながら見ている。まあまあ面白い映画だった。
「楽しかった?」
「うん…とっても楽しかったよ」
「そっか、ならよかった」
その後は二人でお茶をして、ウィンドウショッピングを楽しんで…
まあ、いわゆる普通のデートってやつだ。多分、初回よりは落ち着いていられた、と思うし、彼女との会話も弾んだ、ような気がする。
633:fusianasan
11/01/23 00:12:08
その帰り道。
「話があるんだ」
今日どんな展開になろうとも、これだけは言おうと決めていたこと。もう覚悟はできていた。
「何?」
彼女が足を止めた。その前にボクが立った。
ここは行くしかない。
「ボク…清水さんのことが好きなんだ。
ボクと…付き合ってくれないか」
言った。言ってしまった。とうとう言ってしまった。もう後には戻れない。でも仕方ない。いつかは絶対に言わないと
いけない言葉だったんだから。
少し間があった。ボクは相変わらず彼女の顔を見つめていた。彼女は顔を赤らめながら、少し困っているようだった。
「…ど、どうしたの?」
結局ボクが先に口を割ってしまった。黙っておいた方がいいのかなぁ…でも、沈黙が流れ続けるのも、耐え難いものが
ある。仕方ないかな。
「ごめん、今まで言えなかったんだけど、私…」
634:fusianasan
11/01/23 00:12:59
??
え?何だこの展開?ひょっとして、他に彼氏がいるとか?だったら今までのボクの苦労はなんだったんだよ!!
ここまで期待させといて、そりゃないだろうよ…
とボクは勝手に心の中で思いかけていた。というか、こんな言い方をされたら、そう思うしかないではないか。
でも、あまりに酷いよなぁ…
と勝手に早合点していたら、話は全く違う方向へ展開していく。
「私、今まで男の人と付き合ったことがないから…だから、その、分からないことだらけなんだ。
だから、○○くんに迷惑ばっかりかけるかもしれないよ?
それでもいい?…
それでも、私でいいの?」
635:fusianasan
11/01/23 00:13:59
そう言うと、彼女は下を向いてしまった。顔が真っ赤になっていて、すごく照れているようだ。
ここはひとつ、男気のあるところを見せなければ…
「何言ってるんだ。ボクも付き合ったことなんかないよ。初めて同士、それでいいじゃん!」
これは、今でも『うまく言えた』、と思う。
「わかった…じゃあ、付き合おっか…
分かんないことだらけだけど、よろしくね」
「ホント!?」
「…うん」
か細い声だったが、今度ははっきりと聞き取れた。顔を赤らめながら小さくうなずいた彼女が、
たまらなく可愛かった。
「やったー!」
ボクが叫んだもんだから、ひょっとしたら周囲を歩いていた誰かが振り返ってこっちを見ていた
かもしれない。でも、この時のボクにはそんなことはどうでもよかった。多分この瞬間、世界中
探しても、ボクより幸せな人間はそうそう見当たらなかったに違いない。とにかくボクは、ついに
清水さんのハートを射止めたのである。
636:fusianasan
11/01/23 00:14:37
ボクと彼女は再び歩き出した。ボクはどうしてもやってみたいことがあった。恐る恐る彼女に訊ねてみる。
「…手、つないでも…いい?」
「…いいよ」
そう言うと、彼女はそっと自分の手をこちらに差し出した。
ギュッ。
その日の帰り道、駅について彼女と別れるまで、ボクはずっと彼女の手を握っていた。『偶然』ではなく
『お互いの意思』のもとに握った彼女の手は、小さかったがとても温かかった。
できれば、ずっと握っていたいと思った。
電車が駅に着くまでがとても短く感じられた。これほど短く感じられたのは多分人生で初めてだろう。
『もっと乗っていたい』って思うことなんて、そうそうあるもんじゃない。この間は『恨めしい』なんて
思っていたのに、全くワガママな奴だと自分でも思うけれど、でも、人生ってそんなもんだ。
駅に着いて、改札を抜けて、そこで手を離す。とっても名残惜しいけど…しょうがない。
「いいんだ、これから彼女といっぱい手をつなげる日が来るんだから」
とボクは自分に言い聞かせた。
637:fusianasan
11/01/23 00:15:41
「じゃあ、また学校で…今度会う時は、彼氏と彼女、だね」
「うん」
そう言って、二人で笑いあった。とても幸せな時間。
「今日はありがとう、清水さん」
「もう…付き合いだしたんだから、清水さん、って呼ばなくていいよ」
内心「そうなってほしいなぁ」とは思っていたが、さすがに先手を打つのはちょっと躊躇してしまった。
それを察してくれたのか、彼女が扉を開けてくれたようだ。
「そっか…ありがとう、佐紀」
言った。言ってしまった。とうとう言ってしまった。ついに彼女を…呼び捨てで呼んでしまった。
ああ、憧れだったことが次々叶っていく…ボクは自分の身に起こっていることがちょっと信じられなくなっていた。
でも、こっそりほっぺたをつねってみたら痛かった。どうやらこれは夢ではなく、実際に起こっていることのようだ。
「…改めて呼ばれると…恥ずかしいね。なんか…まあ、いいや。ありがと、××くん」
彼女…佐紀も下の名前でボクを呼んでくれた。もっとも、やっぱり『君付け』だったけど。
「じゃあ、またね」
「うん」
佐紀を見送って、ボクは家に帰った。そして、一人部屋に戻って窓を開けると、『ヤッター!』と叫んでしまった。
近所迷惑だったかもしれないが、この日に限っては、そんなことはどうでもよかった。
(つづく)
638:fusianasan
11/01/23 11:40:33
佐紀ちゃん可愛すぎるw
639:fusianasan
11/01/23 16:51:19
エロシーンじゃないんだがたまらん
640:fusianasan
11/01/23 20:58:05
>>637
その夜。彼女になった佐紀から電話がかかってきた。もっともこのことはボクたち二人だけの秘密なので、一応体裁上は
『クラスメイトとしてちょっと連絡したいことがあったので』という名目でかけてきたそうだが。
母親に電話がかかってきたことを告げられたボクは自分の部屋に転送してもらい、そこで電話を受けた。内心、ちょっと
出るのが怖かった。もし『やっぱりあなたとは付き合えない』とか言われたらどうしよう、と思っていたのである。
しかし、その心配は杞憂に終わった。
「今日は…ありがとう。私…なんかでいいのかなって思ったけど、すっごく嬉しかった」
「ホント?ならよかった」
ボクがそう言うと、佐紀は興奮した口調のまま、
「さっきね、家に帰って、友達のところに電話したの。で、『彼氏ができた』って言ったら、すごく驚かれて…
でも、『おめでとう』って言ってもらえたんだぁ」
「そっか。よかった、じゃあボクも勇気を出した甲斐があったってことだね」
「あ、あれ、勇気出してたんだ」
「そりゃあそうだよぉ。心臓が止まるかと思うくらい緊張したんだから!」
会話が楽しく転がり始めた。これなら何とかやっていけそうだ。
「じゃ、また明日学校で…おやすみ」
「おやすみ」
641:fusianasan
11/01/23 20:59:00
電話を切った時、ボクは自分の心に今までとは違う感覚が広がってきたことに気がついた。今までの興奮とは違う何か。
「これは一体何なんだろう」
しばらくして気がついた。そうだ、安堵感だ。彼女と付き合えたこと、うまくやっていけそうな感じがしたことへの安堵感だ。
ようやくホッとした気分になって、ボクは眠りについた。
ところで、佐紀が話していた『友達』とボクは、後に深い付き合いになるのだが…それはまた別の話。
(第一章 終)
『流れ星』 スピッツ-1999
URLリンク(www.youtube.com)
642:fusianasan
11/01/23 21:02:31
(´・ω・)っ(第二章 予告)
加速度的に惹かれあっていく『ボク』と佐紀
しかし、その恋は思わぬ形で横槍が入ってしまう
真相を明かす佐紀、それを知らされた時、『ボク』は
一体どうする?
(´・ω・)っ(明日以降連載予定…)
643:fusianasan
11/01/24 18:24:47
乙です
佐紀ちゃん可愛いです
続きがきになるー
644:fusianasan
11/01/24 22:29:47
第二章
―寂しがりの二人が あの夏の魔法の中で
同じ気持ちと同じ恋 分け与えられたのかな―
こうして、ボクと佐紀は付き合い始めたわけであるが…まあお互い、付き合うのは初めて同士だ。だから、分からないことだらけ、一歩一歩
手探りで進んでいくしかない。
それに、学校の中であんまりいちゃついてると周囲に何を言われるか分かったもんじゃない。だから、校内じゃお互い妙によそよそしかったり…
ボクとしては、本当は校内だろうが、どこだろうが思いっきりいちゃついてみたいのである。でもそうもいかない…のが、何とももどかしい。
「なかなか付き合うのも楽じゃないってことか」
と、ボクは自分で自分に言い聞かせた。
645:fusianasan
11/01/24 22:31:35
そんなある日の夕方。
「ねえ、今日は一緒に帰る?」
佐紀が珍しく訊いてきた。普段そんなことを言わない子なのに、どうしたんだろう。
「うん。でもどうしたの急に?」
気になって訊いてみると、
「実はね…××くんには言ってなかったんだけど…私、高校に入った時から習い事を始めたの。それで…
今日は放課後そっちに行かなくちゃいけないから…」
「へー、そうだったんだ。で、何の習い事?」
「ダンス」
「ダンス?」
「うん」
意外だった。おとなしい、典型的な文系少女だと思っていた彼女がそんなことをやっていたとは。でも、背の低い彼女には
結構向いていそうだ…って言ったら怒られそうだから、さすがにそこまでは言わなかった。
「だから、今日と木曜日は放課後会えないの。ごめんね」
「いいよ。毎日会ってたら悪いもんな」
本当は学校が終わってからだって、毎日会いたい。会いたいに決まっている。彼女に夢中になっているのだから当たり前の話だ。
でも、それは言えなかった。ボクは『物分かりのいい男』を演じてしまったのである。それがいいのか悪いのか、この段階ではまだ
分からなかった。
どういうわけか、ボクは心の中で胸騒ぎを覚えた。なぜ?自分でもわからなかったけど。
646:fusianasan
11/01/24 22:32:33
ボクの胸騒ぎを別とすれば、佐紀との恋愛はまあまあうまくいっていた。初めて同士だと、歯止めが利かない。付き合うまでに紆余曲折、
二転三転した分だけ、付き合ってからのボクたちはどんどんお互いに夢中になっていく。加減の度合いが分からないから、どんどん
加速していってしまうのだ。
最初の頃の堅さはどこへやら、ボクたちはあっという間に角が取れて丸くなっていく。丸くなって、お互いを求め合うようになっていき…
放課後。駅前のファーストフード店。
「ねえ、おいしい?」
「うん、おいしい」
寄り道して、二人してポテトを食べていた。佐紀の口にちょっと残っていた塩を見つけたボクは、
「あっ、ここに塩が残ってる」
と、指で取っちゃったりなんかしたりして…で、その指が勢い余って口に入っちゃったりして…
「チュプ…んん…これは、指だよぉ」
「あっ、勢い余っちゃった。へへ、ごめんね」
「もう…」
そう言いながら、佐紀は困った顔のまま、ボクの指をちょっとだけ舐めてくれた。何とも言えない快感があった。はて、ボクは指にも
感じるポイントがあるんだろうか。知らなかったなぁ…
『人前でいちゃつけない』とか言っていたのは昔の話、ボクたちはベッタベタな、周囲の人が見たらちょっと…いやかなり引くくらいの
関係になっていた。
恋をすると周りが見えなくなると言うが、まさにその通り。少なくともこの時間は、ボクと佐紀の二人しかこの世の中にいないような気分だった。
647:fusianasan
11/01/24 22:34:57
駅の改札口。
「じゃあ、ここで。また明日ね」
「うん。おやすみ…あっ、ちょっと待って」
ここまで加速度的に惹かれあう二人だったが、実はまだ、『あの日』以来一度も休みの日にデートできていなかった。
「ん?どうしたの?」
「なぁ、今度の日曜、どこか行かないか?」
「日曜?私はいいけど…でも、どこ行くの?」
「いや…まだ決めてない」
「えぇ?ダメじゃん!」
これで話はあっさり破談になりかけ…たが。
648:fusianasan
11/01/24 22:35:51
「佐紀は、どこか行きたいところある?」
「私?そうだなぁ…」
一瞬の間があった。そして、佐紀がボソッと言った。
「どこか、二人で思いっきり遠くへ行ってみたいなぁ」
意外な一言だった。佐紀は特定のどことは指定せず、ただ『遠くへ行ってみたい』、それも『思いっきり』遠くを願った。
一体どういうことだろうか。
「そっか…じゃあ、そうしようか。どこか探してみるよ」
「うん!楽しみにしてるね」
佐紀の真意がわからないで戸惑うボクと、嬉しそうな佐紀。この変なコントラスト。
649:fusianasan
11/01/24 22:36:23
木曜日の放課後。今日、佐紀はダンスの教室に通っている。一人になったボクは、久々に悪友と遊ぶことにした。
川沿いの公園で、ボクと悪友はしょうもない話をしていた。悪友はボクと佐紀とのことを聞きたがっている。もっとも、
興味本位なのは言うまでもない。
ボクは彼にどこまで話すべきか迷ったが、とりあえずこの間の一件を話してみた。すると、
「深読みし過ぎなんじゃねえの」
ボクの心境を思ってか、悪友がそう言った。
「そうかなぁ…今まで誰かと付き合ったことねえから、分からないんだよね」
ボクの本音。加速度的に夢中になってはいたけれど、それが本当にいいことなのかどうかは分からないのが本音だった。
「まあ、いいんじゃねえの。清水さんに嫌われてるわけでもないんだろ。ならいいじゃん」
悪友はそう言うと視線を宙に浮かせた。その視線の先には川が流れていて、その向こうの川岸で子供が遊んでいる。
「あの右側の女の子が可愛いな」
…なんだ。結局最後はそういう話かよ。ボクは彼に相談したことを内心後悔した。
(つづく)
650:fusianasan
11/01/24 23:31:44
乙です
651:fusianasan
11/01/25 21:47:30
>>649
日曜日の朝。少し暑い朝だった。ボクはいつものように駅の前にいて、佐紀を待っていた。
「お待たせ。ごめんね、遅くなって」
約束の時間から今回も五分遅れで彼女がやってきた。今日は白いワンピース姿だ。背の低…もとい、小柄な彼女によく似合っている。
「で、どこ行くの?」
「秘密」
ボクは佐紀に行き先を秘密にしていた…いや、秘密にしていたといえばカッコいいが、実は直前までどこに行くか決めかねていたのだった。
行きたいところは山ほどあるが、彼女の意向もあるし、何より明日は学校だから、確実に日帰りで帰れるところにしなければいけない。
「そうだ。海まで行ってみよう…か?」
「海?」
まだ本格的な海のシーズンには少し早い。でも、人の多いところにはあまり行きたくなかった。シーズン外なら、きっと人もまばらなことだろう。
「でも、私、水着とか持ってきてないし…」
「いいんだよ。海辺とか、散歩して…嫌?」
「…まあ、それでもいいけど」
どうやら、あんまり嬉しそうではない。まあそりゃそうか。だけど、『どこか遠くへ』と漠然と指定されても、正直どうしていいかわからなかったのだ…
とは言えなかった。
「まあ、とにかく行こうよ」
佐紀の手を引っ張って、ボクは駅から電車に乗り、バスに乗り換えて目的地を目指した。その先に何が待っているかは、まだ分からなかったけど。
652:fusianasan
11/01/25 21:48:55
バスの中はあんまり人がいない。ボクら以外の乗客は数人といったところか。
「ふぁぁ…何だか眠くなっちゃった」
佐紀は大あくびをすると、そう呟いた。そして、そのまま彼女はボクの横で眠り込んでしまう。
「Zzz...」
思えば、彼女の寝顔を見るのは初めてかもしれない。目を閉じたまま小さな顔をコクリ、コクリとやっている彼女の姿は可愛いとしか
言いようがない。『無防備な彼女』が、ボクの目と鼻の先にいる…
ボクはそれがたまらなく嬉しかった。
バスに揺られて一時間半。終点の駅に着いた。人影もまばらな終点は、電車も一時間に一本か二本しかないような小さな駅だった。
「誰もいないね…」
ここから電車で一駅か二駅も走れば港に着く。でも、いつ電車が来るかなんて調べてもいない。訊けばいいか、と思っても駅にも誰も
いないようだ。
「あと三十分かかるってさ」
佐紀が時刻表を見てポツリと言った。三十分くらいなら、待てないこともない。
「じゃあ、待とうか」
二人して誰もいない、そして誰も来そうにないホームのベンチに座った。
「ちょっと疲れたんじゃない?」
「ううん、さっき寝たから、大丈夫だよ」
そう言いはしたが、佐紀の目はまだ眠たそうだ。
「いいよ、もうちょっと寝てなよ」
ボクはそう言って、彼女の頭が乗れるように自分の肩を少し下げてやった。
「じゃあ、もうちょっとだけ…寝てていい?」
彼女はその肩に頭を乗せて、そして再び目を閉じた。
653:fusianasan
11/01/25 21:49:36
そのまま少しの時間が流れた。電車の来ない駅はまるで時間が止まったかのように静かだ。
ボクの耳に聞こえるのは時々やって来る鳥のさえずりや羽音と、ボクの肩に載っている少女の寝息だけである。
そんな時間が続いているうちに、ボクは何だかこの世界が二人しかいないような錯覚にとらわれてしまった。何せ、
あたりを見回しても誰もいないし、誰か来る気配すらないのである。
「ふぇ…ふぁぁ…」
佐紀が目を覚ました。どうもボクの肩が無意識のうちに動いてしまい、それで目を覚ましてしまったようだ。
目を覚ました彼女は半分寝ぼけ眼のまま、『どうしたの?』という感じでボクの顔を見る。その表情が…
ボクの心に火をつけた。つけてしまった。
だって、その表情はボクが今までの人生の中で出会った…どんな人よりも可愛らしかったから。
ボクは黙って彼女を抱きしめ、そして唇を求めた。彼女は一瞬驚いたようだったが、ボクの無言の要求を受け入れた。
唇と唇が触れた。それも一瞬ではない。ゆっくりと続いていく口づけ。
いや、時間にしたらそんなに長いことではなかったのかもしれない。でもボクにはその時間がとてもとても長く感じられた。
そして、長く続ければ続けるほど、自分と彼女の心を通わせられる、と思っていたのだった。
それが正しいのかどうかは分からないけど。
654:fusianasan
11/01/25 21:50:49
唇を離すと、ボクたちは我に戻ったかのように体を離した。
「ごめんね、急に…」
「ううん、気にしないで…ちょっと、びっくりしただけだから」
ボクはいきなり、今まで気にも留めなかった周囲の様子が気になってきてしまった。まあ、見渡す限り相変わらず
誰もいないことには変わりないんだけど…でも、誰かに見られてなかったかとか、誰か通ったらどうしようとか、
そんなことが気になってきてしまって…
我ながら実に小心者だと思う。でも、なかなかこういう部分は直りそうにない。
「キス、しちゃったね…ごめんね」
「…」
佐紀は何も言わなかった。何も言わず、ただ下を向くだけだった。
ボクの発作的な行動は、彼女が望んだこととはかけ離れていたのだろうか。『ボクしか見えてなかった』というのは、
ボクの勝手な思い込みだったんだろうか…
会話がないまま、いつしか電車がやってきた。ボクたちは、黙ってその電車に乗り込んだ。電車の中でもほとんど
会話がなかった記憶がある。
窓越しに見える海岸線。人気もまばらなその景色はまだどこか重たそうで、まるでボクの心の中を描き出したようだった。
655:fusianasan
11/01/25 21:51:30
二駅先の駅にボクたちは降り立った。ここもやっぱり人のいない場所だった。
「行こうか」
「…うん」
佐紀が小さくそう言った。少しは愁眉を開いてくれたのだろうか。ボクたちは駅から歩いて、海岸沿いを目指した。
「ねえ…怒ってる?」
「何が?」
「さっきのこと」
ボクは恐る恐る訊いてみた。答えを聞くのが怖いような…でも答えを聞かないと先に進めないような…複雑な気持ちだ。
「怒ってないよ…別に」
佐紀はそう言うが、声はどこか元気がない。まあ、今日、ずっとなんだけど。まるで、付き合う前に戻ってしまったみたいだ。
それはなぜ?ボクが悪いのか?だとしたら、どうしたら元に戻ってもらえるんだ?
謎ばかりが増える。でも、それをいちいち彼女に訊くわけにもいかない。だから余計に気が重くなって、空気まで重くなるんだ。
ああ、なんて悪循環。
656:fusianasan
11/01/25 21:52:03
でも、まだボクは知らなかった。彼女…佐紀が、もっと重大な問題を抱えているということに。
そして、その問題にボクも無関係ではいられないということに…
(つづく)
657:fusianasan
11/01/28 22:59:25
>>655
二人で海岸沿いの公園にたどり着いた。佐紀をベンチに座らせて、ボクは一人で歩き、自販機で二人分のジュースを買った。
「お待たせ」
ジュースを渡して、ボクもベンチに座る。目の前には海が広がっていて、時々海からの風がボクらに涼しい空気を運んでくれる
…そんな景色。
「ねえ、少しだけ、話したいことがあるの…聞いてくれる?」
佐紀がそう言ってきた。佐紀が今日一日、ずっと冴えない様子だったのはこの話のせいなのだろうか…ボクはただならぬ雰囲気を
察して、向き直った。
「実はね…ちょっと、話が来てるんだ」
「何の話?」
佐紀が次に言った言葉を、ボクは終生忘れることはないだろう…きっと。
658:fusianasan
11/01/28 22:59:55
「…引っ越さないか、って話」
659:fusianasan
11/01/28 23:01:30
ボクは驚きのあまり、ベンチから転げ落ちそうになった。一体どういうことなのか。
「実はね、パパが転勤になりそうで…で、家族みんなで引っ越さなきゃいけないかもしれないの」
「…それ、いつのこと?」
「夏休みの間には決まると思う…」
「…どこへ行くの?」
「神奈川」
遠い場所だ。ボクが会いたいと思っても、おいそれと会いに行けるような場所ではない。
「…」
ボクは何も言えなかった。こんな時、一体何を言えばいいのだろう。
660:fusianasan
11/01/28 23:02:24
「××くんのことは好きだよ。ホントに好き。大好き!
だけど…」
「…だけど?」
「私一人じゃ、どうにもならないこともあるから…」
そう話す佐紀の顔は曇って、今にも泣きだしそうだ。
「ごめんね…今日は…そのことを…どうやって言えばいいのかなって、ずっと考えてた…
機嫌が悪かったとか、怒ってるとか、そういうことじゃないの…
ただ…どうやって言えばいいのか分からなくて…考えてただけなの…
ホントに…ごめんなさい」
謝られても、ボクはどうしていいかわからない。そもそも、彼女が謝る必要があるのだろうか。いや、きっとないはずだ。
そう、これはボクにも彼女にも手が出せない、どうしようもないことなんだ、きっと。
だけど…ボクは…そんなの…
661:fusianasan
11/01/28 23:04:02
「ねえ」
泣きそうな顔の佐紀が、ボクに囁いた。
「もう一回、キス、して」
「…いいの?」
さっきは何かの弾み、衝動から来るものだった。だからお互い夢中だった。だけど、今は違う。二人の心の中は、さっきとは
比べ物にならないくらい重くなっているはず。なのに、佐紀はボクにまたキスを求めてきた。いいんだろうか…
ボクの問いに、佐紀は何も言わず、小さく頷いた。こうなると断る理由はない。ボクは彼女をそっと抱きしめた。
さっきよりは、上手にできた、と思う。
「…」
佐紀が唇を求めてきた。黙ってそれに応じる。佐紀から仕掛けられたキス。
優等生の彼女がこんなことを…ボクに…
さっきの一件のせいでまだ頭は混乱していたが、正直、ボクはとても興奮してしまった。
「また…キス…しちゃったね」
佐紀の顔は真っ赤になっていたが、でも、ほんのちょっとだけ涙が流れていたのを、ボクは見逃さなかった。
「佐紀…大好きだよ。世界で一番…一番、一番、好きだよ」
ボクの本心だった。嘘も偽りもお世辞も何もない。百パーセント、混じり気のない純粋な感情。それをありのまま佐紀にぶつける。
今まではどこかでセーブしていた部分があったかもしれない。でも、もうそんなのはやめてしまえ。
いいじゃないか、好きな人に『好き』と言って、何がいけないというんだ…
662:fusianasan
11/01/28 23:05:42
「…ありがとう…嬉しい」
佐紀の言葉は涙にかき消されそうだった。そして、その様子を見ているうちにボクも何だか目頭が熱くなって、
二人は一緒に泣いた。
ボクも佐紀も、間違いなくお互いがお互いのことを大好きで、お互いのことを求め合っていて、
それなのにそう遠くない将来、二人は引き離されようとしている…
ボクはそれが耐えられなかった。そんなの嫌だ、佐紀と離れるなんてできるわけない!
…何とかして、それを回避できる方法はないものか。回避が無理なら、せめて少しでも幸せな結末を迎えたい…
ボクはこの時決心した。絶対に佐紀をボクだけのものにする、と。
今思えば、バカなことを、と思う。でも、その時のボクにはそれが分からなかった。
涙顔のボクたちは…三度お互いを求め合って、抱きしめあって、そしてキスをした。もうこの段階ではボクの視界に佐紀以外の
何かが入ってくることもなかったし、たぶん佐紀も同じだっただろう、と思う。
お互いを求め合う時間がしばらく続いた。
その時間は、カン、という金属音で終わりを告げた。
「あ…」
抱きしめた勢いのあまり、佐紀がジュースの缶をベンチの下の地面へ落っことしてしまったのである。
倒れた缶から、残ったジュースが漏れ出ていく…ボクはそれを見て、なぜかとても悲しくなった。まるで自分たちの未来を
暗示しているかのようで…いやいや、そうなっちゃいけないし、そうなりたくもないけれど。
(つづく)
663:fusianasan
11/01/28 23:07:24
|ω・) 誰もいなくなっちゃった… 読者さん、いなくなっちゃったのかな…残念(´・ω・`)
664:fusianasan
11/01/29 00:45:45
おつです。
エロシーン期待してます。
665:fusianasan
11/01/29 23:39:00
>>662
「行こうか…」
「…うん」
どこに行くかも決めていない。いつまでいるかも決めていない。決めていないことだらけだけど、ボクは佐紀の手を握って海岸線を歩きだした。
時々、波がボクらの足元までやってくる。
「きゃっ!」
予想よりちょっと大きな波が来たのか、佐紀が波に足をすくわれたような形になった。体がボクの方にゆらり、と崩れてくる。
「!」
ボクは…我ながら見事に受け止めてみせた。
「ごめん…大丈夫?」
「大丈夫」
ボクの腕の中にしっかりと佐紀の体が収まっていた。
「…また、やっちゃったね」
佐紀は顔を赤らめながらボクにそう言った。さっきから自分が何かとヘマばかりしていて申し訳ない、と思っているのだろうか。ボクにとっちゃ
ヘマでも何でもないんだけど。だって、その仕草一つ一つがとっても素敵で、愛らしくて、たまらなく愛おしいのだから。
「いいよ…だって」
「だって?」
「佐紀のことが大好きだから」
666:fusianasan
11/01/29 23:39:53
我ながら、歯の浮くようなことを言っている。ボクの周りの人間が見たら、きっと笑い転げながら、お前、頭がおかしくなったんじゃないか、
と言うだろう。でも、そんなことはどうでもよかった。
また…これ以上ないくらいに顔を赤らめた佐紀にそっと顔を近づけ、キスを求める。
「もう…××くんはホントに、キスするの好きなんだね…」
佐紀がちょっと呆れたように笑った。
「そうかもね。自分でもここまでだとは、気がつかなかったよ」
ボクはそう答えた。本音である。付き合い始める前までは、自分がこれだけ能動的に求める人間だとは思いもしなかった。今も多少の
羞恥心はあるが、夢中になる気持ちの前には勝てそうもない。それほどまでに、ボクは佐紀が…好きで好きでたまらないのだ。
「いいよ。私のこと好きでいてくれるのは、やっぱり嬉しいもん。私でいいんだったら…」
そう言うと、佐紀は一瞬間をおいて…つばを飲み込んで…続きを話した。
「好きなだけキスしていいよ。もう…怖くないから。大丈夫だから。××と一緒なら…大丈夫だから」
そして、佐紀はゆっくりと目を閉じ、ボクの唇を受け入れた。それだけじゃない。今度は…
お互いの舌が絡むような、熱いくちづけ。
足元に冷たい水が来たが、ボクたちはもう気にもしなかった。