09/10/25 22:32:44 bsXt3xFD0
上がった拳が打ち下ろされ、一刀の顔が殴られる。
右の次は左で。
振り上げて、振り降ろす。
振り上げて、振り降ろす。
何度も、何度も、
一刀の叫び。
「戻って来てくれ、霞!」
くり返す動きから、徐々に力が無くなっていく。
「霞! 霞! 霞! 霞! 霞ぁぁぁぁああああ!」
壊れたラジオのように、ただ愛しい者の名を呼んだ。
何度も、何度も、何度も呼びかけ、
何度も、何度も、何度も殴られ、
ついに霞の動きが止まった。
そして、一刀の顔を、何かが濡らした。
「かずと……」
彼女の唇が小さく動く。
「一刀……苦しいよ」
その小さな声を、北郷一刀は聞き逃したりなんてしなかった。
一刀は渾身の力を込めて体を起こし、その体を抱きしめた。
本当は両手で抱きたかったけれども、左手が言うことを聞かなかったために右手だけで、半
分寄りかかるような、不格好な抱擁をした。
そうやって精一杯、しっかりと彼女を抱きしめた。