08/06/29 13:45:59 xtLeYWla
その日は久しぶりに取れたオフの日で、すでに前から洋服などを買いに行こうと決めていた恭子は朝からご機嫌だった。
簡単な朝食をとり、服に着替える。
黒のTシャツに、バーバリーのタータンチェックのプリーツ、黒のロングソックスを履くと、あとはメイクを手際よくすませる。
”誰を誘おっかなー。今日空いてる子いるかな~”
そんなことを思いながら、まつげにマスカラを丹念に塗ることを忘れない。
チェリー色の紅にとろけるようなグロスを重ねると、そのまま撮影に行けそうだ。
”でも、今日は待ちに待ってたオフの日!
とりあえず出かけてみて、つまんなかったら誰か呼べばいいや。
荷物重くなったら、マネージャーでも呼んじゃえ”
鏡の中の恭子はふふっと微笑った。
帽子を目深にかぶり、めがねをかける。
これだけでも案外人には判らないらしく出かける時にはいつも愛用のアイテムだ。
バッグを持って、靴に履き替え、マンションのドアを閉じた。
とても良い天気でそれだけでも恭子は嬉しかった。
エレベーターにのって階下まで行き、戸別のポストをのぞいた。
”・・・なんか、やらしいチラシばっかり入ってる!! もう!!”
ポストからチラシを取り出すと、そばにあったゴミ箱へ突っ込んだ。
”やんなっちゃう!早く行こう”
そう、思いかけてふと部屋に鍵をかけたかどうかが気になった。
”どうしたっけ? 思い出せない・・”
仕方がないので、もう一度部屋に引き返すことにした。
そこで、エレベーターの前に運送会社の制服を着た男がいるのに気づいた。