07/11/04 12:52:27 VkHVK78V
「…ん…」
この感触を、私は知っている。何度も。
唇を伝う僅かな温度が、彼が生きていることを証明する。
「…ぷはっ」
息を吸う間もなく再び唇が重ねられる。
舌の侵入も、身体が自然と受け入れてしまう。
あの時と同じだ。強引で、どこか繊細に、舌は口腔内を犯す。
流れ込む唾液が混ざり合い、口元からだらしなく流れる。
響く水音もどこか遠くに聞こえるようだ。
誰かの為すがままになるのは、レース―彼が乗ってる時以来だろうか。
「…今日は抵抗しないんだな」
ぼそっと低い声で彼が言う。
「張り合いが無い」
「…悪趣味…」
無表情な顔が自嘲気味に歪んだのを見て、少し愉快になる。