07/11/04 12:46:46 VkHVK78V
―青白い光。
ぼやけた視界には、それが何の明かりなのかすらわからない。
静かだ。
ただ、不定期的に何か、胸の底を打つような音が耳に入る。
風が吹く。頬にキリリとした痛みに似た感覚が走る。
ここは外だ。コンクリートの冷えた感触は、身体の熱を奪う。
この程よい脱力感は、恐らく―感情を出し切ってしまった後のものだろう。
聞こえる音は、自分の嗚咽だと気づいた。
『そろそろ気が済んだか?』
無機質な声。
徐に聞こえた方を見上げると、うっすらと影が見えた。
『お安い感情だな。人間的で非常に不愉快だ』
鼻で笑った…らしい。
本来ならここで言い返す。だが、この率直な嫌味すら今は心地良い。
『…泣いたことがないの?』
『否定はしない』
おかしな答え。
私が笑うと、気だるそうに顔を背けた。横顔が外灯に照らし出される。
端正な流星は心惹かれる。私なんて、こんな変な形だもの。
滞留する時間。
頭の中をグルグル回り続ける潮流が、
少しずつ引き、やがて一つの現実を露わにする。
ほとぼりの冷めた身体は、やけに素直にそれを受け入れた。
一気に息を吐き出す。白い吐息が空へ上がっていった。