07/06/02 02:33:23 uFkCni/c
ほぁしゅほしゅショートショート
自分で撒き散らしたそれを見て陥るのはいつも、自己嫌悪だ。
「あ゛ー」
俺はどうして、こうなのだろう。いつも何かに流されて、後悔してばかり。
なぜ、ここにいるんだ。そもそも、生まれてきたのがいけなかった。
こんな時はなぜか故郷の母が懐かしくなる。こんな息子でごめんなさい、母さん。
「変な声出さないでよ」
唇をきゅっと尖らせて、生意気な目で軽く睨みつけて牝馬が言う。
俺はガクッと肩を落とし、大きなため息をつく。一体、誰のせいだと思っているんだ。
「明日、追い切りなのに…」
「ちょっとした運動運動~」
明るい調子で、ねっ、と同意を求めてくるが頷く気になれない。
レースが近づくと鬱になるのはいつもの事だった。
そして、なぜかそっちの方向でそれを解消しようとしてしまう。
誘惑するコイツが何を考えているのかもさっぱりわからないし、
あっさり乗せられる俺は心底情けない。
「レース…レース…レース…」
ぶつぶつ呟く俺を見て、少し考える素振りをしてから、牝馬が言う。
「きんこしょう、だっけ?」
「何で知ってるんだよ」
「タローから聞いたもん」
叔父本人に何度となく言われているのに、その呼び方を一向にやめようとしない。