種牡馬の種付け官能小説part3at EROCOMIC
種牡馬の種付け官能小説part3 - 暇つぶし2ch523:ありま
06/12/29 23:51:54 dKA3h/vt
「はぁん……はぁ……あ……ぅん……」
ナイトは不意に唇を離した。スイープが首を後ろに傾ける。
「もう……やめちゃうの?」
濡れた瞳で訴えかける様子がたまらなく扇情的だった。しかしナイトはぐっと堪える。
「どうしてほしいのか、言ってごらん?」
「もっと……して」
「どうしてほしいの?」
スイープは恥ずかしそうにうつむいた。
「入れて……ほしいな」
「よく言えたね」
ナイトは間髪入れずにスイープに覆いかぶさり、熱く蕩ける秘裂に硬直した肉棒を挿し入れた。
「あぁぁぁんっっっ!」
「うぅぅっ」
スイープの入り口が痙攣にも似た震えを起こし、ナイトの体にも想像以上の快感が走る。
「スイープ……すごく……気持ちいいよ……」
「あっ、あんっ、はぁんっ、あ、あ、あぁぁぁ……」
ナイトは欲望のままに激しく腰を打ち付ける。柔らかい粘膜に包まれた堅い芯から次々と快感が生まれる。
「いっ、いいっ! あ、あっ、あっ、あぁっ!」
スイープもナイトの動きに合わせて腰を振っている。
「イクぅ……イッ……イッちゃうぅ……」
「あっ、んっ、オレも……」


524:ありま
06/12/29 23:54:52 skC9RuAN
「ふんっ!」
ナイトがとどめの一発を突き刺す。
「あ、ああああああっ……」
スイープは高くいなないて絶頂を迎えた。
「う、うぅっ!」
ナイトは名残惜しくも肉根を抜き出し、寝藁の上に射精した。
「はぁ……はぁ……」
乱れた呼吸を整えながら、ナイトはスイープの正面に回った。
「大丈夫だった?」
スイープは顔を上げ、微笑んでうなずいた。
「ナイトは優しいね」
二頭はお互いをいたわるように唇を重ねた。
「あたし、来年もがんばるわ」
スイープの表情が明るくなっているのを見て、ナイトも嬉しくなる。
「ねぇナイト、今度一緒に走るときはあたしのお願いを聞いてもらってもいい?」
「どんなの?」
スイープの頬が赤くなる。
「あたしが勝ったら、その……また、こうしてもらってもいい?」
ナイトはこれからもスイープのお尻に付いていこうと決めたのだった。

おしまい

525:名無しさん@ピンキー
06/12/30 18:31:05 L6603JGU
>>ありまタソ

可愛いお話いつもありがとう(*´д`*)

526:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:29:56 LLtWaM3E
ありまさま
即興で書き散らした駄文から素敵な話を書いていただきありがとうございました。

スイープとナイトは有馬記念では実は3度目の対戦でした。
4度目が本当にあればいいな。

527:名無しさん@ピンキー
06/12/31 11:41:10 bg2QaHc1
いい話ですな~
感激っ

528:名無しさん@ピンキー
06/12/31 19:30:28 gtkb1N2x
ありま様
毎回萌えっぱなしです。応援してます。

529:名無しさん@ピンキー
07/01/02 00:32:22 xOuFQKan
密かにサイレンススズカSS希望します。
走りはもちろん、美しい顔と馬体に萌えが止まりません。

530:名無しさん@ピンキー
07/01/07 14:57:22 LWkbI5XK
問題は誰が相手になるかだな。
複数回一緒に走った牝馬はエアグルくらいしかいないよね。

按上との悲恋もの……は個人的に燃えませんw

531:名無しさん@ピンキー
07/01/08 14:39:19 dHR1T4oe
ちょ・鞍上男w

5歳(今でいう4歳)になり、連勝街道を突き進むスズカ。
1年前の秋天で優勝したエアグルは、そんなスズカが気になり始めていた。

などと妄想してみる。

532:名無しさん@ピンキー
07/01/09 23:16:58 Sze5VT4n
レース以外でサイレンススズカと縁のある馬となると、
厩舎の先輩で牝馬には珍しいステイヤーの
アドマイヤラピス姐さん(アドマイヤフジやアドマイヤホープの母)や
1コ上だけど同じ牧場生まれのメイショウヤエガキ(メイショウラムセスの母)がいるな……

エロ妄想する前に、繁殖相手としての無限の可能性を考えてしまって憂鬱になった。
スレ違いになって申し訳ない。

533:名無しさん@ピンキー
07/01/11 20:01:34 Gqt6rHeR
>>508からつづきます。小分けで申し訳ないです


ふと、頭の働きが鈍くなった。
振り切るように、頭を左右に振る。
眠気、疲れのせいだろうか。それが俺の思考能力を奪っていく。
だがここで眠るというわけには、いかない。

「次は、どこなの?」

それが自分への質問だと気付いて、少し驚いた。
キッスのほうから口を開くのは珍しい。

ぼんやりと、先ほど厩舎の人間が話していたことを思い出す。
「香港…って聞いたけど、詳しくはわからないな。」

キッスの耳が、ぴくりと動く。
「…海外…?」
「そうらしい。」

正直に言えば、少し休みたい。というと、先生に怒られるだろう。
まだ秋は1戦だし、厩舎としても初の海外GI獲りに力が入る。

534:名無しさん@ピンキー
07/01/11 20:04:48 Gqt6rHeR
「どうなんだろうな、海外って」
言葉は意図せず欠伸混じりになった。
睡魔は抗えないところまで来ている。
どこからか、歓声が聞こえ始めた。それは次第に大きくなって響いていく。
GIの大観衆。
コーナーを曲がる時に重力がかかる感覚。
身体を打つ鞭の衝撃。風を切り裂く感触。ちらと見えたゴール板。
もう、届かないと知った時の絶望感。

微睡みに落ちる寸前、独り言のように呟いた。

「俺、この先GI勝てるのかな」

返事は無かった。
まだ怒っているのだろうか。
瞼が重い。自然と目が閉じた。

535:名無しさん@ピンキー
07/01/11 20:13:18 Gqt6rHeR
ふわり、と小さく風がたった。
同時に甘い香気が鼻をかすめる。
どのくらい時間が経ったのだろう。
なにか、唇に当たる柔らかな感触だけが、現実との接点だった。

おもむろに、目を開く。

「…っ!?」

心臓が大きく跳ねあがった。
すぐそこに、キッスの顔があった。長い睫までくっきり見えた。
状況を理解しようと、頭が必死に思考を開始する。
横たわる俺に覆い被さる彼女。
触れているのは、彼女の唇。
脈を拍つ音が、やたらと大きく聞こえる。

栗色の前髪がさらりと揺れて、
そっと、茫然としている俺から顔が離れる。
馬房に差し込む月明かりが、彼女の顔を白く照らした。

紅潮した頬。
俺をまっすぐに見つめる、真っ黒な潤んだ瞳。
その視線に、全てが見透かされているような気がして、
身体がカーッと熱くなる。
さっきまで触れていた艶やかな唇がゆっくり動き、掠れた声が零れた。

「どこかに行っちゃ嫌…」

心の底から沸き上がった何か、
今までどこかに封印していた何かが、俺を突き動かした。
物欲しげに緩く開いた彼女の唇
俺はその唇を、衝動の赴くままに塞いだ。

536:名無しさん@ピンキー
07/01/12 00:33:39 UZItFnqu
(*´Д`)キッスカワエエ.....

537:名無しさん@ピンキー
07/01/12 18:08:17 qP7D7J0D
うめぇ!つ、続きを!!

538:名無しさん@ピンキー
07/01/13 10:58:59 6uAwsaLK
うわぁぁぁああ つ つ 続きをっ!!!

539:名無しさん@ピンキー
07/01/13 15:52:34 bN941UoH
>>535からつづきます

「ん…」
キッスは首を傾け、俺を受け入れた。
それをずっと欲していたかのように、
何度も何度も、角度を変え唇を重ねる。
彼女の息づかいが俺をさらにそそり立てた。
首元に腕を回す。くるりと身体を回転させる。

「…あ」
体勢があっというまに入れ替わった。
眼下のキッスを見下ろす。キッスも虚ろな目で見つめ返す。
鬣が乱れた彼女は、色っぽくて美しい。

「ずっと…」

彼女がぽつりと呟いた。

「ずっと、こうして欲しかった…」

何かがこみ上げるのを感じた。

「ごめん。」
ただ、そうとしか言えなかった。
何か繕う代わりに、再び彼女に口づけた。
舌で歯列を割り、口内に侵入する。
彼女は驚いて首を引いたが、強引に舌を蠢かす。

自分の中の彼女の存在に、気付いていないわけではなかった。
いや、気付かないふりをしていた。

傷つけるのが怖かった。

540:名無しさん@ピンキー
07/01/13 16:02:23 bN941UoH
「ん、ふぁ…」

しばらくして、彼女のほうから舌を絡めてくるようになった。
熱い吐息が漏れる。
混ざり合った唾液が音を立て、静かな馬房を満たした。

「…ぷはぁ」

唇が離れると、糸が引いた。

俺はそのまま、身体に唇を這わせ、下降していった。
その愛撫にもキッスは敏感に反応する。
下腹部まで来て、彼女が気付く。

「や…ぁっ」
「いや?」

優しく訊ねた。
彼女は顔を赤くし、下に俯いていた。俺は返答を待った。
やがて、恥ずかしそうに首を横に振った。

541:名無しさん@ピンキー
07/01/13 16:21:20 bN941UoH
微笑んで、俺は彼女の秘部をじっくり見た。
キッスのだと思うと不思議な気持ちだった。

「は…ずかしい…」
彼女が脚をぱたぱたさせる。

ソコはうっすらと湿っていた。

「キスだけで濡らしちゃったのか?」
「ムーンの意地…悪…」
「知ってるだろ」

舐めるようにソコを鑑賞した後、顔を降ろし、舌をあてがった。

「はぁっ」

キッスの身体が反る。
構わずに秘芯に舌を滑らせる。
彼女の味が口中に広がった。

「やっ…ぁ…へん…なかんじ…っ」

慣れない快感に、キッスは戸惑っていた。
首を振り、それから逃れようとする。




長くてごめんなさい。もうすぐ終わります。

542:名無しさん@ピンキー
07/01/13 18:47:18 HtjxzeiP
5回抜いた 続きを!

543:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:23:45 8dbyn9pr
競馬板のほうでおなじみ(?)の悲恋物です。

544:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:24:20 8dbyn9pr
ぼんやりしているうちに年が明けてしまった。
彼女が今のオレを見たらなんて言うだろう?
情けない男でごめんね……ラインちゃん。

オレが3年3ヶ月ぶりに大井記念を勝ったとき、彼女は大井までお祝いに駆けつけてくれた。
「先輩、おめでとうございます」
「ん、ありがと」
彼女はオレにお酌してくれた。彼女は酒が飲めないため、ウーロン茶で乾杯した。
「ごめんなさい、急に来ちゃって」
「いやいや。うれしかったよ。ちょっとびっくりしたけど」

彼女が瀬戸口厩舎に入って来た頃、オレはもうヘタレていて、かつての栄光など見る影もなかった。
かたや彼女は、愛らしい容姿と他を寄せ付けない俊足で、すぐ栗東の人気者になった。
しかし彼女はオレにも親切にしてくれた。うれしい反面、ちょっと怖かった。

「どうしてわざわざ来てくれたの?」
彼女は顔を赤らめて下を向いた。
「……先輩に、会いたかったから」
オレも照れてしまい、顔を背けた。
「どうしよう……オレ、うれしいよ」
「よかったです」

545:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:24:56 8dbyn9pr
オレたちはどちらからともなく唇を重ねた。柔らかくて温かい唇だった。
「ラインちゃん、いいの?」
唇を離して尋ねると、彼女は少し上気した顔でうなずいた。オレはもう一度彼女にキスする。
彼女の口腔に舌を差し入れると、彼女はぎこちない動きで応えてくれた。
舌を動かしているうち、背筋がゾクゾクして頭がぼんやりしてくる。
「っはぁ……」
長い口付けの後、大きくため息をつく。彼女はとろんとした目でこちらを見ていた。
「先輩……あたし、夢見てるみたいです」
オレは彼女を抱き締めた。彼女のことがとても愛しかった。
「オレもだよ」
彼女のたてがみに鼻先を埋める。いい香りがした。
「くすぐったいですぅ……」
その口調があまりにかわいくて、オレは彼女を押し倒した。全身をくすぐるように撫でてやる。
「ぃやっ……ん~……」
オレの不慣れな愛撫に、彼女は小さな声を出して反応してくれた。
そうしているうちに、いつの間にかオレの股間のものが硬直していることに気付いた。
これを彼女に突き立てることがひどく汚らわしいことのような気がして、オレは動きを止めて体を離した。
「どうか……したんですか……?」
消え入りそうな声で尋ねてくる。
「これ以上進んだら、止まらなくなりそうだったから……」
彼女は首を振って、潤んだ目でオレを見た。
「あたし……先輩のことが……好きなんです……」
オレは彼女に申し訳ないことをしたと思った。彼女を抱き締めて、キスの雨を降らせる。
「オレもラインちゃんが好きだよ」
うなずく彼女の目から涙がこぼれ落ちた。

546:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:25:31 8dbyn9pr
彼女の股間に視線を移す。その鮮やかなピンク色に息を呑んだ。
「あんまり見られると恥ずかしいです……」
「ラインちゃんのここ、すっごく綺麗だよ」
オレはためらいなくそこに舌を這わせた。
「あぁんっ」
彼女は高く声を上げた。オレの興奮も高まってくる。
「ん~……ぁっ……んっ……」
押し殺したような声がかえって色っぽかった。
「もっと声出していいんだよ?」
「だめっ……ゃぁんっ……」
彼女の陰唇が収縮してきた。これが受け入れの合図だと、以前ネオが教えてくれた。
「そろそろ、入れるよ」
「……はい」
オレは先端を入り口にあてがった。彼女の体がぴくっと跳ねる。
「痛かったら言ってね?」
腰を突き出して徐々に挿入していく。彼女の中は思いのほかきつくて熱かった。
「あぁっ……」
彼女は目を閉じて挿入感に耐えているようだった。
「すごい……入っていくよ……ラインちゃんの中に……」
「あっ、んーっ……」
「ラインちゃん、大丈夫?」
彼女はうっすら目を開いて、小さくうなずいた。

547:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:26:08 /m/jJeCW
「すっごく……しあわせな……きもち……です……」
オレはうなずいて、ゆっくり腰を前後に動かし始めた。
「あっ……あぁ……きもちいい……」
「オレも、気持ちいいよ……」
さっきまで険しさの混じっていた彼女の表情が、穏やかになっている。
「はぁっ、あっ、んあっ……」
オレが腰を動かすたび、彼女が甘い声で鳴く。脳髄まで溶けてしまいそうな快感が走る。
「あっ、せ、せんぱい……」
「なぁに……?」
「……イッちゃっても、い、いいですか?」
上目遣いで尋ねられて、オレは世界一の幸せ者だと思った。
オレは彼女を傷つけないように留意しながら、腰を動かすスピードを少しずつ上げた。
彼女の膣壁も滑らかになり、抵抗なく動ける。
「あっ、あんっ、イッ……イッちゃいそぅ……」
「いいよ、ラインちゃん、もっと気持ちよくなっていいよ……うぅっ」
オレのほうも我慢できそうになかった。最後の力を振り絞って激しく衝いていく。
「んぁっ……いいっ……イッ……ちゃうぅ……」
「オレも……あぁっ……」
急いで抜き去ろうとすると、強い力で締められた。
「だめぇっ……抜いちゃイヤぁ……」
「でも……」
「いやっ、そのままにして……中で出してっ……」

548:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:26:49 /m/jJeCW
このとき、もしかしたら彼女は自らの運命を悟っていたのかもしれない。
「はんっ、あっ、イクぅぅぅ……」
彼女の中がひときわ熱くなり、ぎゅっと締まった。
「あっ、あぁ……」
オレの頭の中も真っ白になり、そのまま放出してしまった。
硬度を失ったそれを引き抜くと、彼女のピンク色の部分から白い液が流れてくるのが見えた。
「先輩、大好きです」
「オレも、ラインちゃんが大好きだよ」
オレたちは後始末を終えると、何度もキスを交わしながら眠りについた。

次の朝オレが目を覚ますと、彼女はもう身支度を整えていた。
「ゆっくりしていけばいいのに」
「これから北海道へ放牧に行くんです。スプリンターズSに出るときにまた寄りますね」
彼女はいつもと変わらない笑顔でそう言い残して、去っていった。

あれが一生の別れになるだなんて、これっぽっちも思わなかった。

あの真夏の日に彼女の訃報を聞いてからというもの、オレは無気力に毎日を送っている。
こんな姿を見ても彼女は喜ばないに決まっている。決まっているのに……

前を向いて歩き出せる日が来たら、ラインちゃんのお墓に花を供えに行くよ。
だからもう少し、待っていてね。

549:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/14 19:36:58 /m/jJeCW
>>517-518 >>525-528
ご声援ありがとうございます(*´ー`)

このスレを最初から読んだら、初代ありまさんがおられたようですね。
最初に書いたのが有馬記念だったから「ありま」にしたのですが、このまま襲名させていただきます

550:名無しさん@ピンキー
07/01/14 23:24:43 7kaGhbsp
シンチャンか!シンチャンか!!!!!
泣けます。・゚・(ノД`)・゚・

ありまタソ乙&サンクスです

551:名無しさん@ピンキー
07/01/14 23:48:18 0XZcZqq5
泣いた…

552:名無しさん@ピンキー
07/01/15 16:27:23 bOXBLZ1a
GJです
ラインクラフトにはサムソン、マルカシェンク、イースターらを下僕のように扱ったり、
時には翻弄するエロ女王様としてのキャラクターとしても期待してた。
(某スレではサムソンを誘惑してたりもする)
色々な意味で早逝は本当に残念

553:ダンスインザムード
07/01/15 20:30:25 1d5O8+Bx
一頭の牝馬が、整った顔を恐怖に歪ませる。
長い間想いを馳せていた、栗毛の競争馬の存在が頭の中から離れない。

彼女の名はダンスインザムード。

この冬引退した繁殖牝馬…超良血で、現役時代には桜花賞も獲った
かなりの名馬だ。
重賞に出走し、牡馬達と闘った勇敢な彼女でさえも、
この日が来るのは正直、怖くて仕方なかった。
彼女にとって初めての「種付け」である。

やがて馬房の中に何やら気配を感じた。震えが止まらない…振り返ると、
ムードは驚きの余り小さく叫んでしまう。
そこには、見慣れた黒鹿毛の牡馬が立っていた。
「クリスエス、先輩…?」
同厩舎の先輩で、有馬記念の圧勝劇を最後にターフを去った
シンボリクリスエスである。
初めての交配である上に、その相手は入厩したての頃からの顔見知りである
いわば兄のような存在。
さすがのムードも動揺を隠せないどころか、これから行われるであろう
行為を想像するだけで、気が遠くなるような思いであった。

「怖いか?」
顔を逸らすムード。
「そうだな、怖いよな。でも」
少し間を置き、クリスエスは優しく、それでいてきっぱりと言い放った。
「これが俺達の仕事なんだ」





554:ダンスインザムード
07/01/15 23:19:36 1d5O8+Bx
がっしりとした、黒鹿毛の馬体。
ムードはこの時改めて、シンボリクリスエスは「牡」なんだと
認識させられたのであった。
(私が今、泣いて抵抗しても…この身体に抑えつけられちゃうんだろうな)

その瞬間、クリスエスは鼻先でムードの首筋を軽く撫でた。
「あ…んっ」
ムードは初めて身体を襲うその感覚に、びくっとする。
どうあがいても、種付けから逃げられるわけではない。
それでも、少しでもムードの恐怖心を和らげてやれたら…
クリスエスのせめてもの優しさであった。

先程から比べれば大分落ち着いてきたムード。
彼女の頭の中には、再び栗毛の競走馬の姿がちらつき始める。
(私の初めては彼じゃなくて…ニンゲンが決めた相手に奪われるんだ…)
心が締め付けられる。
しかし彼女の身体は、それとは正反対の反応を示し始めていた。
クリスエスの手慣れた愛撫によって。

「もう少し慣らした方がいいかな」
クリスエスは呟くように言うと、今度はムードの下の部分を撫であげる。
「い、いや…っ」
「いきなりじゃ、痛いよ?」
驚く程冷静なクリスエス。




555:名無しさん@ピンキー
07/01/16 17:26:48 igLT74WJ
>>553-554
クリスエス先輩が(・∀・)イイ!!

556:名無しさん@ピンキー
07/01/17 20:23:55 10uQteQl
先輩イイヨイイヨー
つづき楽しみにしてます

557:ダンスインザムード
07/01/18 00:13:33 VY8L1b/U
>>555-556
ありがとうございます。すごく嬉しいです!!
続きです↓

「だって…恥ずかしいです…そんな所っ」
クリスエスは経験からか、どこをどうすれば牝馬がどう感じるかを
知っているようにも思える。
ムードは、力が抜けて次第に自由の利かなくなる身体で抵抗を試みる。
しかし、クリスエスの物言いと雰囲気が、それを許さなかった。
「このくらいなら大丈夫かな」
ムードの鼓動が速くなった。

いよいよ、されるんだ。

「ダンス、そのままの体勢だよ」
「あ、怖い、いや…っっクリスエス先輩!!」
クリスエスは間を置かずに言った。
「怖がらなくていいよ」
ムードは眼をぎゅっと閉じる。心なしか身体が震えているようだ。
クリスエスはその様子を見て、ムードのたてがみを優しくはんだ。



558:ダンスインザムード
07/01/18 23:10:03 VY8L1b/U
クリスエスは、ムードの身体を抑え、
「少し痛いかもしれない」
と言う。恐怖と不安でただただ涙を流すムード。
その瞬間、今までに感じた事のない感覚がムードの下半身を襲った。
それは痛みと表現すべきか、異物感と言えばいいのか。

(メジャー…あたし…)

その感覚に耐えながら、心の中で彼女は大好きな牡馬の名をつぶやいた。
涙が止まらない。
それは、処女喪失の痛みによるものか、それとも…。
「少しだけ、我慢してくれるか」
クリスエスはそう言う事しかできない。
彼はかつての優秀な競走馬であり、その遺伝子を残す役割を担っている。
「あ…あぁ」
ムードも少し苦しそうである。
「最初だけだよ、すぐに慣れる」
クリスエスはなるべくムードに痛い思いをさせないよう、
ゆっくりと自分自身を彼女の中に挿入していく。
「ん…うっ」
ムードは必死で声を抑えているが、それでも漏れてしまう。




559:ダンスインザムード
07/01/18 23:48:14 VY8L1b/U
しかし、クリスエスも全く平気でいられるかというと、それは違う。
自分自身が、ムードの中で熱くなるのを感じている。
(は…情けないな)
クリスエスは自分の中の牡の本能に対し、軽く苦笑した。
さすがにあまり悟られたい事ではない。

ムードの方はというと、自分の変化に戸惑い、軽く混乱していた。
(うそ…何だか、きもちいい…どうして?あたしは…)
クリスエスも彼女の変化に気づいたようだ。
「さっきまでとは違うみたいだな」
そう言い、腰を動かす。

彼は、ムードに特別な人がいる事を感じ取っているようだった。
放出を終えた後も、ムードが落ち着くまで傍にいてやり、
何も言わず、時おり彼女のたてがみを整えるようになでるだけ。
その姿は、彼女が厩舎で辛い事があった時に慰めてあげた、
優しい「クリスエス先輩」の姿そのものであった。

ムードは、その優しい感覚に包まれ、眠くなるような安堵感を覚えていた。


560:ダンスインザムード
07/01/18 23:49:04 VY8L1b/U
終わりです。
長々失礼しました。

561:名無しさん@ピンキー
07/01/19 00:46:03 +d1XnHRB
>>560
やさしいクリスエス先輩って新鮮。GJ!!

キッス嬢の続きも木になる。

562:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/19 05:45:54 dv1wq4Y6
>>550-552
ありがとうございます~

>>560
乙です。クリスエス先輩に惚れそう(*´Д`)


563:名無しさん@ピンキー
07/01/19 15:24:59 RLVBndMG
クリスエスのテクニシャンっぷりにハァハァ

564:名無しさん@ピンキー
07/01/21 23:48:46 wrRPuUs8
>>560
乙です
クリスエス先輩に抱かれたいYO(*´д`*)

565:ダンスインザムード
07/01/22 00:21:24 OVWnfApK
>>561-564
ありがとうございます。
クリスエス先輩が人気で嬉しいです!

皆様の小説、楽しみにしております。



566:名無しさん@ピンキー
07/01/22 01:56:11 WGhCKljo
「貴方って、本当に天才だったのかしら?」

物怖じしないことは、スイープトウショウの欠点であり、長所である。

ディープインパクトは首を傾げた。
「違うんですか?」

「そうには違いないけど、こう近くで見ても、そう感じさせないわね。」
「スイープさんも天才だからじゃないですか?」

言うなれば、天才肌。

「私、最近自分の力が衰えていることを感じるの。」
「スイープさんも、もう年ですからね。」

天然なことは、ディープインパクトの欠点であり、長所である。

「あ、僕またいけない事言いましたか?」
「まぁ、嘘ではないわね。」

567:名無しさん@ピンキー
07/01/22 01:56:59 WGhCKljo
・・・

「貴方にも、勝ちたいとか、悔しいとか思うことはあるのかしら?」
「僕に意志はありません。」

ディープは目を伏せて言った。

「僕はただ、望まれた通りに勝つことしか出来ないんです。」
「全ての競走馬は意志なんてないわね。」
「スイープさんみたいな馬もいますけどね。」

スイープはちょっと怒った顔をしたが、ディープは気付かない。

「それすら、ままならない事もありました。」
「凱旋門賞はどちらにしろ、失格だったわ。」
「あれは、僕が寝わらを食べたことになっています。」

ディープインパクトは苦笑した。

「あ、でも、先生も、市川も大好きです。感謝しています。」
「イイコちゃんね。私とは、似ても似つかない。」

「僕はもうすぐ、ここを去ります。」

ディープは愛でるように、飼い葉桶のふちをなぞった。

「今となっては、全て懐かしいです。ただ、」

くるりと振り返り、続けた。

「もう少し、走りたいと思うのはいけないことでしょうか?」

568:名無しさん@ピンキー
07/01/22 01:58:01 WGhCKljo
意志はないんじゃなかったかしら。
私は、全然走りたくないけどね。スイープは思った。

・・・

「もうすぐ市川が来ます。」

馬房から出る前、スイープはディープに一瞥をくれて言った。

「さようなら。」

永遠に、とスイープは付け足した。

「そんな事はないです。また、会うことになるでしょう。」

確かに、私の相手候補には、ディープインパクトが一番に挙がっている。

「その時はもう、お互い大人ですね。」
「貴方に抱かれるなんて、想像もつかないわ。」
「僕もです。」

じゃ、また会う日まで。
そう言って、スイープは馬房を出た。

天才がいなくなった後も、私は走り続ける。

569:名無しさん@ピンキー
07/01/22 19:30:54 MNcGInhG
人間と馬のエチーはおけ?

570:名無しさん@ピンキー
07/01/22 23:34:54 lb9MNxbP
>>569
単なる「人間」というだけなら個々の嗜好の問題だが
この板のような、ググれば簡単に抽出できる公共性の高い場所での
実在の芸能人、騎手、馬主、調教師、厩務員等々のネタ、
いわゆる「ナマモノ」は非常に扱いが難しい、というかヤバい。
はっきり言って避けた方が無難じゃないかと。


571:名無しさん@ピンキー
07/01/23 15:18:47 kFJCrdJ+
検査室で響く、腰がぶつかり合う音。
相手のそれは身勝手で、いくらかまだ性欲の匂いがする。
何とか射精まで導こうと下腹部に力を入れると、動きがさらに早くなり、そうしてすぐに、膣内に液が満たされた。

相手は行為を終えると、私をまるで物のようにポイッと投げやった。疲労感からか、私はされるがままに、藁の上に体を横たえた。
「お疲れさん」
と、検査室の入り口にいた、初老の男性が私の相手に言った。
「なかなか上手かったな。これなら種牡馬生活も大丈夫だろう」
「どうもありがとうございます」
「頑張らないといけないな。何せ3冠馬で、シンジケートまで組まれているんだからな」
「そうですね。父の正当な種牡馬になれるよう、頑張りたいですね」

572:名無しさん@ピンキー
07/01/23 15:20:06 kFJCrdJ+
私の相手は、畏まった口調で言葉を出している。
しかし、私は知っている。この馬も内心は自分の血筋なんてどうでもよい。
ただ、自分の性欲を満たしたくて、それが高貴なお嬢様なら尚更良いというだけなのだ。中には、そのためだけにレースをこなしている馬もいる。
もっとも、馬主の人にとっては動機なんてどうでもいいのだろうけど。

「よし、じゃあ、ちょっと休むか」
「あ、すいません、もうちょっと練習していいですか。まだ分からない所もあるので」
「勉強熱心だな。ワシは事務室に戻るわ。飯時になったら呼びに来るからな」
「ありがとうございます」
男性は検査室から立ち去った。私の相手はまだ4歳。確かに性欲が有り余る時期だから、しょうがない。
「飯まではあと3時間か。2発くらいはいけるかな。まあ、明日もあるしな」
相手はほくそ笑むと、私を無理矢理起こさせた。
「ほら、立てよ。俺が相手してやってるんだ。感謝しろよ」
身勝手な言葉に、私はただ「はい」と頷くしかない。
相手は私の胸を強く揉み、すぐに中に挿れてきた。


573:名無しさん@ピンキー
07/01/23 15:21:24 kFJCrdJ+
私はただの未勝利馬。
本来は殺され、食用にされる運命ながら、
この牧場に「種牡馬試験用練習馬」として引き取ってもらった。
ただただセックスをする毎日。

それでも以前は生きているだけマシと思えたが、
避妊薬を飲まされ道具として扱われる日々に、最近は疲れてきてもいる。

「これが終わったら、次は後ろにも挿れてやるか」
そう言うと相手は、腰の動きを早めた。


574:名無しさん@ピンキー
07/01/23 15:23:07 kFJCrdJ+
とりあえず、正月の彼の種牡馬検定の記事を見て思いつきました。
某三冠馬のファンの方、申し訳ないです。
年齢も違う(5歳と補完しておいてください)し、
前半は改行ミスりました。すいません。

575:名無しさん@ピンキー
07/01/23 18:18:40 Zx2e/o52
>>574
すげーイイ。某三冠馬のイメージ同じだわw続き待ってる。

576:名無しさん@ピンキー
07/01/23 23:35:03 x/+YqCng
>>574
愛の足りない和姦が好きな我が身には堪らないシチュエーションだ。いい。

577:名無しさん@ピンキー
07/01/26 22:33:42 951fqMla
ダンムーの初体験、マジでクリスエスになるかもしれないらしい。


578:名無しさん@ピンキー
07/01/27 17:07:24 5tvff8wU
>>541からつづきます

「ぁ…ん…んはぁっ」
ぴちゃ、ぴちゃ、くちゅ。
淫猥な音が、小刻みな嬌声と響き合い、耳に余韻を残す。
舌が肉芽をかすめる度、びくんと身体が震える。

「キッス、エロい…」
「ちがっ…これは、ムーンが…あんっ!」

すり潰すように擦ると、一際高い声が、静寂にこだました。
シーッと言うと、なにか物言いたげだ。
だが、舌は絶え間なく快感を与え続ける。

為すがままのキッスは、ぎゅっと目を瞑り、声を出さないように肩で息をしている。
既に秘裂から溢れた愛液が、寝わらを濡らして、しっとりと光っていた。
その甘い吐息が、鬣にかかり、俺を誘う。

俺自身、これ以上の我慢は限界だった。

だが

「…はっ…ぁ…」
躊躇している。何かが引っ掛かっていた。
何を?恐れているんだ、俺は

「…アドマイヤムーン」

579:名無しさん@ピンキー
07/01/27 17:08:41 5tvff8wU
はっと顔をあげた。フルネームで呼ばれることは珍しい。

目が合った瞬間、その焦点の合わない視線が何を訴えているのか悟った。

「…お願い…」
半開きになった口から、ぷつり、と言葉が零れる。
「…キッス」

「ムーンを…頂戴…」

言葉を聞いて、鼓動が速くなっていくのがわかる。

股間のモノは完全に硬くなっていた。身体中の血が集約し、熱く滾る。
彼女の切なげな、淫らな表情だけで、果ててしまえそうだった。

キッスはよろりと立ち上がった。
そして秘部を俺に向けて、腰を突き出した。
透明な液が、滴り落ちた。

喉がカラカラに乾いている。
俺の中の理性が、すっと消えていくのがわかった。
引き込まれるように、彼女の身体の後ろに立ち、前脚を上げた。


580:名無しさん@ピンキー
07/01/27 17:09:39 5tvff8wU
乗りかかった瞬間、彼女の身体が軋む音がした。わずかに罪悪感が沸く。

抱擁すると、触れあう肌と肌。直に伝わってくる体温。
彼女が生きている証のように思えて、それがたまらなく愛おしい。

「怖くないのか?」
耳元に囁いた。

「大丈夫…ムーンだもん。」

彼女は瞳を閉じて、俺に身を任せている。
ぎゅっと抱く腕に力を込めて、秘部に、自身をあてがった。

瞬間、ゾクリ、と冷たいものが背筋に走った。

血の警鐘。

人間に生を操作されるサラブレッドが、自らの意志を持って交わることなど、あってはいけない。
自分の存在以上に、絶対的な定めだった。

ぽたり、と臀部に汗が滴り落ちる。

それでも。

581:名無しさん@ピンキー
07/01/27 17:10:43 5tvff8wU
キッスが不思議そうに俺の方を振り返った。
「どうしたの…?」

今の自分は、それすら犯せる。

一息つき、自身を突き立て、ゆっくりと腰を前に動かした。身体の重みも、全て傾けるように。



「あぁぁぁ!」

甲高い嬌声が、轟く。
ず、ず…と俺自身が埋まっていくのに比例し、
彼女の身体は弓なりに仰け反る。

「くっ…きつい…」
狭いそこを、膣肉をかき分けるように、少しずつ押し進める。
締め付けられる快感に、頭の中が真っ白になり、暴走してしまいそうなのを
ギリギリで抑制した。

「大丈夫か?」
彼女の息は荒い。強烈な異物感に襲われ、
震える脚が崩れてしまいそうなのを堪えている。

「熱い…っ」
吐息まじりにそう言った。
実際、彼女の中はとろけるような熱を持っている。

582:名無しさん@ピンキー
07/01/27 17:11:55 5tvff8wU
何とか最奥まで貫き、一度動きを止めた。ふっと息を吐く。

「動くぞ。」
「あ…だ、だめ…うごいたら…あぁあん!」

俺は彼女を待たずして、腰を後ろに引いた。
緩やかに、リズムを刻み始める。彼女の膣肉は吸い付くように、俺自身をしごく。

「あ…ぁあッ!…お…かしくなっちゃ…うッ!」
そうだ。二頭で狂ってしまえばいい。

腰を打ち付ける音が小気味よく、馬房に響く。
「あんっ、はぁっ、ぁあ!」
それに合わせるように、彼女の嬌声もよりいっそう高く、大きくなる。

「む、ムー…ン…ッわ、たし…」
「なに?」
「ムーンのこ…と…」

その言葉を、今更聞くのも可笑しい話だった。

彼女が言い淀んでいる間に、首筋に口づけた。
「はぁんッ」
首筋は弱いらしい。悶えるような仕草をした。

「俺も」

その時、突然、自分の限界を悟った。

腰の動きが、自然と速くなった。
理性はもうほとんど吹き飛んでしまっていた。本能的に、彼女を求めている。
こみ上げてくるものを、これ以上抑えることはできない。

583:名無しさん@ピンキー
07/01/27 19:00:02 vq4xSCyY
マジGJ うまいよ

584:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/01/27 21:29:28 iLmoVrTA
キッス嬢かわいい!!!(*´Д`)ハァハァ

ところで最近需要の高い牝馬って誰なんでしょう?
ムー子が嫁に行ってしまったのでちょっと寂しい

585:名無しさん@ピンキー
07/01/28 09:27:10 7AVhWn9p
>>582からつづきます

「あぁんッ!ぁあッ!だめぇッ」
彼女の喘ぎも激しさを増し、それもどこか遠くに聞こえる。

「くっ…出る…っ」
「ああぁぁぁあッ」

頭の中が完全にショートし、
それでも、ほんの僅かに残った理性が、俺自身を寸前で引き抜かせた。
――ドクッ ドクッ ドクッ
脈打ち、白濁液が迸り、くずおれた彼女の栗色の肢体を濡らした。

「はぁ…っ、はぁ…っ」

彼女も果てたようだ。
びく、びくと身体を震わせながら、その余韻に浸っている。

乱れた息もそのまま、そっと、顔を近づけ、唇を重ね合わせた。

586:名無しさん@ピンキー
07/01/28 09:28:45 7AVhWn9p



「…バカ。」

うつぶせに、顔を伏せたキッスがそう言った。

「…ごめん。」
「変態。」

今日、何度謝ったことだろう。どうして俺は、自分を止めることができなかったのか。
そう、たしかにキッスが事の発端だった気がするのだが。

キッスは自分の恥ずかしい姿を、さめざめと思い浮かべているらしい。
あんなキッス、俺以外誰にも想像できない。そう断言できる。

汚れた身体は、藁で綺麗に拭き取った。これが人間に見つかってしまったら、どうなることやら。

そういえば、もう、時間が無いことを思い出した。

「俺、帰るよ。」

そう言うが、やはり返事は無い。
馬房から出かかったその時だった。

587:名無しさん@ピンキー
07/01/28 09:31:25 7AVhWn9p
「ムーン!」

どきっとして、ゆっくり振り返る。
彼女が真っ直ぐに俺を見ていた。

「…絶対勝って、それで戻ってきて。」

上目遣い気味に見上げつつ、その口角がきゅっと上がった。
パァッと花が咲いたような笑顔になった。

ああ、この笑顔だ。

滅多に笑わない彼女が、たまにだけ見せるこの笑顔が見たくて、
いつも勝利を誓っているのだけれど。

「返事は?」
「あ…ああ。」

自分の馬房へ戻る途中、彼女があの時、言おうとしていたことを考えた。
決まっている。だが、しかし彼女の性格からいって、もう二度と口にすることは無いだろう。

ふと、外の空気が吸いたくなった。

厩舎から出ると、高い秋空に、星がいっぱいに散らばっていた。
見上げて、ある一点に目が止まる。
深い群青色の空に、ぽっかりと浮かぶ白い天体。
そこだけ空間が切り取られているような感覚だった。
月には狂気を導く力があるという。今日は、そんな日だったのだと。



END

588:名無しさん@ピンキー
07/01/28 09:33:42 7AVhWn9p
ここまで拙い文章にお付き合い下さった方、コメント下さった全ての方、ありがとうございました。

589:名無しさん@ピンキー
07/01/28 12:24:10 mTni0Nbt
抜けるし小説としても上手い。

590:名無しさん@ピンキー
07/01/28 18:19:34 0jr2HWXv
ほんとよかった。良いもの読ませていただきました。
キッス嬢は勿論だが、ムーンもかわいいなあ。

「キッスも相当きつい性格してるけど、尻に敷かれて嬉々としているムーンも世話ねえなあ。 ごちそうさん。
 それに引き換え俺なんか『恐怖の馬っ気大王』としてネタにされ続けてるし……
 別に男のケツは(今は)好きじゃないんだぞ!
 それにしても俺らの中で誰が最初にG1勝てるんだろうなあ」
                      同厩のドリームパスポートより


591:名無しさん@ピンキー
07/01/29 20:57:24 fIc6Uf3r
パート1、2にあったシンボリクリスエス×ファインモーションはどこかで見られますか?
リンク先が見れませんorz

592:名無しさん@ピンキー
07/01/29 21:27:25 rdAZ7WEt
>>591
初出スレ
ファインモーションたんのエロ小説
スレリンク(keiba板)
そこのログ
URLリンク(search.mimizun.com:82)

昨年競馬板にあったスレ
競走馬でエロ小説を書くスレ
スレリンク(keiba板)
ここの130-165にうpしてくれた人がいた
URLリンク(search.mimizun.com:82)


593:名無しさん@ピンキー
07/01/29 23:17:22 fIc6Uf3r
>>592
死ぬほど感謝します!ありがとう!!

594:名無しさん@ピンキー
07/01/30 01:28:28 Vi2nd0KK
>>588
GJ!いいもの読ませてもらいました。ありがとう。

595:名無しさん@ピンキー
07/01/30 18:06:14 RczWfL1e
 綺麗々(きらら)とその夫は、同じ施設で知り合った。
当時11歳8ヶ月だった綺麗々の身長は178cmになっていた。
夫、楼人(ろうど)の方は二回り大きい192cmという13歳児としては大柄の部類だった。
二人はすぐに惹かれ合い、スタッフ承諾の下、性交することが認められた。
二人は夜の9時前に、十分間だけ性交に及ぶことにした。二人は部屋の明かりを消し、
全裸になって部屋に差し込む月光を頼りに事に及んだ。
「ふぅん…ぐ…」綺麗々は行為を楼人に任せ、自らは喘いでいるだけだった。
楼人は自分の唇を綺麗々の唇に重ねた後、
100cmを越えたばかりの綺麗々の乳房(102cm)の上で勃起している両乳首を交互にしゃぶった。
「ちゅばっ…うへへへ…綺麗々が赤ちゃんを産んだら…ちゅばっ
ここからちゅばちゅばっ栄養満点のオッパイが…ちゅばっ沢山でるんだろうなぁ…ちゅばっ」
楼人は一年後の綺麗々の体を想像しておかずにし、乳首をしゃぶっていた。
「もぅ…ダーリンたら…エッチ…なんだから…ぁ…ん…」
綺麗々は小学生らしくない艶やかな声で喘ぎながら言った。
それを聞いた楼人は、既に勃起させている性器を赤くし無数の黒い血管を隆起させ、肥大化させた。
ググッ…!ミチミチミチ……!
更に、膝から90度の角度から、120度の角度まで勃起させた。
それでも楼人は性器の挿入をせず、ただ綺麗々の乳首を交互にしゃぶってばかりいた。
そうしているうちに、焦らされて楼人以上に発情してしまった綺麗々が立ち上がった。
「んもぅ…オッパイばっかりしゃぶってないでぇ…
早くあたしのアソコにダーリンの赤ちゃんの素、そ・そ・ぎ・こ・ん・でっ♪」
綺麗々は立ち上がった状態で、楼人に向かって挑発するように尻を振って言った。
ググググ…!!ミチミチチッ!!
綺麗々のその妖艶な発言と行動に更に萌えた楼人は、
既に立派に勃起している性器に、更に無数の黒い血管を鮮明に隆起させ、膝から150度まで勃起させた。
もはや黒血管の張り巡らされた赤い胡瓜も同然である。
そして、その完全なる胡瓜を綺麗々の濡れた腟にを挿入した。
ニュブチュッ!
「ひゃん!」

596:名無しさん@ピンキー
07/01/30 18:06:43 RczWfL1e
初めての性的快感を覚えた綺麗々は、思わず叫んでしまった。
それから楼人はリズム良く唸りながら、ただひたすら腰を前後に揺さぶった。
「フンフッフンフッフンフッ…」
「ああっ!ああっ!ァァ…ッんっ!」
綺麗々はその連続的な快感に喘ぐことしかできなかった。
クチュクチュパンパン!クチュパンパン!クッチュクッチュ…
楼人の揺さぶりは留まるところを知らず、掛け声と共に更に激しくなっていく。
「フンフッ!フンフッ!フンハッ!フンハッ!フンハッ!……」
もはや楼人は、綺麗々の膣内に胎児の素となる液体を放出することしか頭に無かった。
クチュクチュパンパンパン!クチュパン!クチュクチュクチュ…
数分の後、今まで腰を揺すっていた楼人が、
「フンハッ!フンハッ!ハハァッ!ハハァッ!おぅっ…!」
と喘ぎ声の最後に短く唸って固まると同時に、綺麗々の腟に挿入されている楼人の性器から、
ドビュルルルルッ!ドプンッ!ドプンッ!ドプンッ!ドプンッ!……
っと風呂の湯程に温まった精子が大量に綺麗々の子宮内に放射された。
「ぁ……ぁ…」
綺麗々は昇天しかけた意識の中、
小さく喘ぎながら自らの胎内に注ぎ込まれる楼人の精子のぬくもりを感じていた。
綺麗々の膣内に放射されている楼人の精子は、
楼人の性器が脈打つ度、リズミカルに大量放出している。
既に精子は綺麗々の膣内を満たしており、
内部から逆流して膣外に溢れ出し、ベッドのシーツの上で精子の水溜まりを作っていた。
それから二人は性器を入れ合あわせたまま、どっと眠りに落ちた。

597:名無しさん@ピンキー
07/01/30 18:08:04 RczWfL1e
 一年後、産婦人科の分娩室で、綺麗々は全裸で力んでいた。
綺麗々は妊娠後も退治と共に成長を続け、12歳現在、身長187cm・バスト112cm(母乳分除外)になっていた。
身ごもった子どもはなんと七つ子で、綺麗々の下腹部は異様なまでに膨れ上がっていた。
その為、妊娠半年後にはサイズの合う服が無くなり、全裸で過ごすことを余儀なくされた。
勿論、その理由や妊娠中ということもあり、施設外へ出ることは禁止された。
運動も出来なくなったが、筋肉は衰えることなくむしろ肥大化していた。
力んで腕を曲げるたび、五cm弱の丸い力瘤が上腕にくっきりと浮かび上がった。
下腹部の痛みを堪えるかのごとく伸ばした長い美脚には、陸上選手顔負けの筋肉が隆起していた。
小一時間の踏ん張りの後、子宮口が大きく開き始めて、そこから夥しい量の羊水が流れ胎児の頭が見え始める。
「ふぐっ…!ぅぅぅ!!」
同時に、張り出した乳房に血管が浮き出し、両乳首からも黄色い大量の初乳が吹き出す。
母乳を蓄えた乳房により、綺麗々のバストは通常時より10cm大きい122cmになっている。
「はぁぁぁ!!」
この叫びと同時に一人目の新生児が出てきた。男の子だった。
一人目が出るやいなや、子宮口に二人目の頭が見え始めた。
「…んっ……ぐぅぅっ…!」
綺麗々の踏ん張りと共に、両乳首からも更に母乳が勢いよく飛び出る。
「はぁ…ふぅ……ああああああっっ!!」


598:名無しさん@ピンキー
07/01/30 18:08:53 RczWfL1e
小学生美女の叫びと、
その乳房から吹き出した母乳が天井までかかった後、二人目の新生児が子宮口から飛び出した。
こちらは女の子である。
それから綺麗々は五回ほど母乳を激しく噴出しながら踏ん張った。
踏ん張りが絶頂に達する度、新生児が男女交互に一人ずつ誕生した。
最終的に男児四人、女児三人の七つ子が誕生した。
「おんぎゃああ!」
「はぁ…はぁ…」
元気に泣き叫ぶ七つ子を、自らの逞しい両腕で同時に抱き上げ、
それぞれ初乳が吹き出している両乳首を一度にしゃぶらせた。
綺麗々は涙を流して、七つ子を見つめた。
新生児の体格は七人とも身長は63cmで、体重は4729gの健康すぎる状態だった。
それぞれの名前は誕生時間から順番に、
楼一(ろういち)・麗美(れみ)・楼助(ろうすけ)・綺子(きこ)
・綺太郎(きたろう)・楼美(ろみ)・楼綺(ろき)と名づけられた。

599:名無しさん@ピンキー
07/01/30 18:10:12 RczWfL1e
 その後、七つ子と別れた綺麗々は個室へと運ばれ、深い眠りについていた。
彼女の両親が駆け付け、全裸で静かにの寝息を立てている綺麗々に謝った。
父親が涙を流しながら真実を述べた。
「すまない綺麗々。小学生の妊娠なんて問題になると思って勘当と言ってしまった。
しかしそれはこちらの一方的な意見だった。
後で病院に連絡したんだが、お前にどうしても言えなくてな。
スタッフだけにこのことを伝えたんだ。お前には内緒にということでな。本当にすまなかった」
父親は涙を流し、雫が綺麗々の頬をつついた。見ると、綺麗々は目を覚ましていた。
「お父さん、解ってくれたのね…嬉しい……」
綺麗々も微笑みながら涙を流した。
数分後、部屋に主治医である天宮律子が入ってきた。
「この度は娘さんのご出産、おめでとうございます。
無事に元気な七つ子を出産されました」
「な…七つ子!!?」
両親は驚きを隠せなかった。無理もないだろう。
そんな両親の反応に全く動じず、天宮は言葉を続けた。
「綺麗々さんのことですが…彼女はまだ12歳。これからもどんどん大きくなりますよ」
「うはは!まだ成長しますかぁっ!既に私の身長も上回ったというのに!(父:176cm、母:166cm)
五年前の貧相な綺麗々の体系からは想像も出来なかった!」
それを聞いた綺麗々は嬉しさ混じりの驚きを示した。両親も娘の成長の兆しを大いに喜んだ。

600:名無しさん@ピンキー
07/01/31 22:47:00 JVfwWSZd
>>589,>>590,>>594さん

嬉しくてドキドキします。パスポート君も、コメントをありがとう。
当初、冷酷なムーンがキッスを追いつめるという、全く違ったお話でした。

これからも皆さまの作品を楽しみに待っています。

601:名無しさん@ピンキー
07/01/31 23:54:24 LSfhZ4RK
>>592のクリスエスやタップを書いた人、牝馬慣れした牡馬を書くのが上手い。
文章表現といい、物書きなんじゃないかと思う。
特にクリスエスとファインの併せの場面は秀逸。ゾクゾクした。
個人的にクリスエスのイメージがそのものだった。

602:名無しさん@ピンキー
07/02/01 18:49:08 AfPNy57N
>>600
そちらの話も面白そうだね。

そういえば秋天のアドマイヤムーン、有馬のドリームパスポート、
共にスイープトウショウと同じ馬運車で美浦入りしてたそうだが
勝ちきれなかったのはそれが原因かw


>>601
ディープの姉貴もエルノ婆もダンムーも、みーんなクリスエスに食われたと思ってた時期もありました
(前スレ参照)

603:架空の牡馬牝馬
07/02/03 10:33:22 /U7c5qFm
大歓声が沸き起こる。
第4コーナー。5馬身のリードを保ったまま、一頭の牝馬が逃げる。
冬の陽射しが、美しい栗毛を照らす。
彼女-無敗の三冠牝馬-はこの暮れの大舞台で、古馬たちを一蹴する事ができるのか。

残り200メートル。迫ってくる後続馬の気配。
「関係ない、あたしは逃げ切ってみせる!」
完璧なペース配分、無駄の無いフォーム。
スピードの絶対値の違いが生み出す絶妙な逃げは、見る者の視線を独占する。
この無敗の逃亡劇は、終わりを知らないように思われた。

残り100メートルといった所だろうか。
風が舞ったかのよう…一瞬の出来事だった。
何が起こったのかわからない。

彼女がその風に並びかける隙はなかった。
ふと気がつくと、自分の網膜に、他馬が映っている。
一度たりとも、有り得ないと思われた光景。
漆黒の馬体を誇るその牡馬は、彼女を交わして尚、その差を広げる。

604:架空の牡馬牝馬
07/02/03 11:37:03 /U7c5qFm
-差し返してみせる!-
彼女の瞳がその牡馬を捉えた。
しかし、差は縮まらない。
却って差をつけられている事に気づいた時、残り50メートル。

3馬身。先頭の馬が芝を蹴る感覚が辛うじて伝わる。
5馬身。届かない!身体の中で、氷が弾けたような感覚。
それを超えると、黒鹿毛の気配を感じる事ができない。

その驚異、いや脅威の末脚に圧倒され、静まり返る競馬場。
「2着以下に大差をつけて今!ゴール、イン!!」
実況が叫ぶように言った。一瞬の静寂の後、歓声が上がる。

完敗。

そののち1秒以上を過ぎて、三冠牝馬、2着のゴールイン。
有り得ないと思われた、初黒星であった。


605:架空の牡馬牝馬
07/02/06 21:08:04 FhN/pBae
「完敗ね」
彼女の声に、黒鹿毛の牡馬が振り向く。
「ああ…三冠牝馬さんか」
「凄い、末脚だったわ」
彼はふ、と小さく笑い、牝馬の方を見た。
その強い視線に後ずさりしそうになりながらも、彼女はきっぱりと言った。
「次こそは、負けないから」

静寂。

この牡馬(おとこ)…牝になど負ける気がしないとでも言いたいの…!?
悔しい。こんな思いは初めてだ。
彼女は無意識のうちに、最後の直線の感覚を反芻していた。
まるで、身体の中を貫かれたような、そんな感覚を。

やがて彼は、ゆっくりと口を開いた。
「次は、ねぇよ。俺、今日で引退なんだ」

606:名無しさん@ピンキー
07/02/14 22:08:26 qQAUpMPz
たまにはあげ

607:名無しさん@ピンキー
07/02/15 22:34:59 oF+G37Wo
金梨

608:名無しさん@ピンキー
07/02/17 23:16:25 ynDmJfeb



609:名無しさん@ピンキー
07/02/20 08:14:38 FOJaZfna



610:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/02/23 23:07:17 F7Zo356u
彼女の墓は小高い丘の上にあった。
この墓石の下で静かに眠る彼女の姿を想像したら涙があふれた。
ようやくここまで来れたよ……ラインちゃん。

あの暑い夏の日、最初に連絡をくれたのはネオだった。
―今朝、ラインクラフトが死んだんだって
オレはもちろん信じなかった。
けれどそれは本当だった。

大井記念の次の朝、旅立つ彼女を抱き締めてやればよかった。
そしてもう一度愛してしまえばよかった。
だけどその願いはもう届かない。
どんなに泣いても彼女には聞こえない。

611:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/02/23 23:08:21 F7Zo356u
「おにいちゃん、どうしてないてるの?」
幼い牝馬の声で我に返った。
振り向くと、オレの目は信じられないものを捕らえた。

その牝馬の額には、稲妻型の流星が走っていた。

「ここでお祈りすると、脚が速くなるんだよ」
「ほんとに?」
その仔馬はしゃがんで、墓石に向かって手を合わせた。
「きっと君も強くなれる。だけどあんまり無理しちゃダメだよ」
「わかった!」
仔馬はキラキラした目でオレを見つめた。

「ミーちゃん、あんまり遠くまで行くと危ないわよ~」
声のするほうに目をやると、母馬らしい牝馬がすまなそうな笑みを浮かべてオレに会釈した。
「おかあさんがよんでるからいくね。ばいばい」
その笑顔は最後に見た彼女の笑顔とあまりによく似ていた。
「長生きするんだよ」
「ながいきだって! へんなおにいちゃん」
仔馬は笑って母馬のもとへ駆けていった。

612:名無しさん@ピンキー
07/02/24 10:17:10 AGJVEnU5
ありまさん待ってました!

613:名無しさん@ピンキー
07/03/09 12:59:09 PH2k/0BL
保守

614:名無しさん@ピンキー
07/03/10 03:50:37 StQqruUQ
下からなかば無理矢理突き上げられる。逃げられない。

「やだ、こんなの。わたしの意思じゃないもん……」

言葉とは裏腹に、どちらかと言えば小柄な栗毛の彼女の表情に力はない。
それどころかそこには無意識の媚さえ見てとれた。
現実に起こっている状況の甘美さに抗うのは簡単ではない。
そして彼女を見つめる視線は……。
―見抜かれてる。

その視線の持ち主は躊躇いなく彼女の弱点を攻めてくるだろう。
そう、確かにこれは快感だった。長年待ち望んでいたことだ。ただ、そのきっかけが気に入らない。

「あぁっ、こんなハズじゃ、なかったのに」
ずるずるとこのままでいきそうな……いやむしろそれが望みなのか。
そんな自分を軽く嫌悪しながら、彼女の時は過ぎて行く。


上が抜けていつの間にか世代No.1牝馬(暫定?)になっちゃった、ディアデラノビアのエロ話が読みたいです。

615:名無しさん@ピンキー
07/03/16 16:36:47 sEC8wbOA


616:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/03/18 10:14:05 q6PehZgS
今日もいつものように仕事場に向かう。
別に種付けは嫌いじゃないけど、こう毎日やらなきゃならないんじゃさすがに疲れる。
オレがサンデー産駒だったらもう少し楽できたんだろうか。

あくびをしながら種付け場に入ると、栗毛の牝馬が笑ってオレを見ていた。
「お疲れさま。私のこと、覚えてる?」
「わっ」
思わず声が漏れてしまった。忘れるはずがない。
「お、お久しぶりです。スティルインラブさん」
「いいよタメ口で」
去年256頭種付けした中で、ほとんどの牝馬のことは忘れてしまった。
だけどこの牝馬だけは別格だった。
実績、ルックス、セックス、どれをとっても完璧だった。

「無事に出産したんだよね?」
「うん。栗毛の男の子。将来は3冠馬ね」
きっと彼女に似て綺麗な顔なのだろう。
「とってもかわいいのよ。子供を産めない牝馬もいるのに、私は幸せだわ」
スティルは去年見たときよりふっくらして、穏やかな表情になっている。
「今年もよろしくね」
オレのほうはすぐにでも挿入できる状態に近かったが、ぐっと我慢した。

617:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/03/18 10:14:59 q6PehZgS
まずはくちづけをしようと顔を近づけると、スティルは目をきゅっとつぶった。
こんな可愛い表情を独り占めできるなんて種牡馬冥利に尽きる。
「スティル、かわいい」
「だって恥ずかしいじゃない……」
オレより一つ年上なのに、なぜこんなに可愛いのだろう。
鼻面をぺろっと舐め上げてみる。
「ひゃっ」
反応も申し分ない。

できることならずっと焦らしていたいが、それはオレのほうが無理だ。
後ろに回って、スティルのお尻にキスをする。
「んっ」
発情した牝馬の匂いがする。
その匂いの源に目をやると、とろとろの液が溢れているのがわかる。
「去年より濡れてるよ」
「やだぁ……」
スティルが不安と期待の混じったような顔でオレを見る。

本当はここで「どうしてほしい」とでも聞いてやりたいところだが、オレのほうに余裕がない。
迷わずスティルの秘唇に口を当てて、蜜を吸い出す。
「あぁんっ!」
吸えば吸うほど液体の量は増えていく。
「あっ、あっ、ん~っ……やっ、あんっ、いいっ……」
スティルは後ろ足をだらしなく左右に開き、喘ぎ声を上げ続ける。
「スティル……すごく恥ずかしいかっこしてるよ……」
「あんっ、あっ、んぁっ、いいのぉ……いいのよぉ……」

618:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/03/18 10:16:17 q6PehZgS
こんな超一流牝馬の淫らな姿を前に、オレの欲望はもう限界だった。
「入れるよ?」
スティルの返事を待たずに、覆いかぶさる。
先端を入り口に当てると、面白いようにつるっと引き込まれてしまった。
「あ、あぁっっ!」
「スティルも欲しかったんだね……吸い込まれちゃったよ……」
「いやぁっ……ちがぁっ……あっ、あぁ……」

熱くて柔らかく濡れた膣壁がオレを優しく締め上げる。
「スティルの中、すごく気持ちいいよ……」
腰を打ち付けるたび、脳内が溶けていくような快感でいっぱいになる。
「んっ、んっ、ダメだよぉ……そんなにうごいたら……きもちよくて……あぁ……」
不受胎だったらまた会えるかもなんて邪な考えが浮かんだが、オレが我慢できるはずもない。
「うっ……出るっ」
スティルの奥のほうにオレの分身が飛び出していくのがわかる。

619:ありま ◆BfiM6ssC2o
07/03/18 10:18:15 q6PehZgS
いつもは終わるとほっとしてすぐに後始末に入るのだが、今回ばかりは違う。
スティルと離れるのが名残惜しくてたまらない。
種牡馬は恋なんかしちゃいけないのに、だけどきっとこれは恋だ。

「春が終わったら、スティルのところに会いに行ってもいい?」
「みんなにそういうこと言うの?」
スティルは冗談だと思ったのか、笑って言った。
「ちがう……スティルにだけだよ」
「わかった。待ってるわ」
社交辞令のような軽い口調で言い残して、スティルは種付け場を去っていった。
その後ろ姿を見たら胸が痛くなって、少しだけ泣いてしまった。

おわり

620:名無しさん@ピンキー
07/03/20 21:50:38 RtXeCTBd
ありまタソありがとう(*´∀`)

621:名無しさん@ピンキー
07/03/21 02:40:06 oT0qTURR
ありまさまお疲れ様です。
今回の話に仄かなNTR臭を感じてワクワクしてしまった鬼畜なアホは多分自分だけ。

622:Days Past
07/03/22 12:45:24 jLcllou5

―物語は、時速60kmで始まる。

無数の足音がターフを揺るがす。
わかるのは、レースが終焉へと向かっていること。
重力に身体を傾け、最後のコーナーを曲がりきると、眼前に真っ直ぐな広い道が現れる。
その先の一点、ゴールへ向かって、周囲のスピードがぐんと上がる。
ゴーサイン。
それに素早く反応しようとした。
前の馬の最後を見つめ、脚の回転を速める。先頭は、まだ遠くにあった。
ここから馬群を突き抜け、真っ先にゴール板前を駆け抜ける。
だが、おかしい。どれだけスピードを上げても、前との差は一向に縮まらない。
冷や汗が風に飛ばされる。私は異変に気づいた。

身体が、言うことを聞いていない。
足掻けば足掻くほど、全身は石のように冷たく硬くなっていくかのよう。

一頭、また一頭と抜かされていく。
息を切らして、それに甘んじることしか出来ない。
手綱が激しく動き、鞭が飛ぶ。そのひとつひとつに焦りが滲んでいる。
でも、もうこれ以上、脚が動かないの。


ごめんなさい、ユーイチ



623:Days Past
07/03/22 12:47:59 jLcllou5
――…‥

「驚きました。空気が違うっていうか…負けちゃったんですけど」

目の前の馬はそう言って初々しい笑顔を見せた。
まだあどけなさの残る顔つきは、少年と呼ぶのが相応しい。
春が色濃くなり、初夏の足音が聞こえてくる五月の早朝。
私は頷きながら、少年の言葉に耳を傾けていた。

「私も最初はそう感じたわ」

初めて味わう、GⅠの空気。本当はまだ慣れてない。けど、

「勝つと、それがとても心地良いの。緊張が一気に解放されて、ふわって身体が軽くなって…」

勝者を讃える歓声。冷めやまぬ熱気。
そして、私を撫でる温かい手。

見れば、少年は羨望の眼差しを私に向けている。

「俺も早く、姉さんみたいにGⅠを勝ちたいです」

焦れったそうにそう言った。
この子は、半分血の繋がる私を慕ってくれる。
私ははにかむように目を伏せた。柔らかい陽差しが、白い残像を残す。

624:Days Past
07/03/22 12:50:51 jLcllou5
「あなたがGⅠを勝てば、お父様もきっと喜んでくださるわ」

少年は、ええ、と言って誇らしげに笑った。
「俺、夢だったんです。ダービー馬になるの」

牡馬に生まれたら誰もが一度は見る、ほほえましい夢だ。

「クラフト姉さんは、夢がありますか?」
「私?」

意外な質問だった。
果たして、自分に夢があるのだろうか。
大レースを勝つこと?引退して、優秀な母親になること?
思いを巡らせる。
ある。
それは心の深いところで、静かに鼓動を拍っていた。

「…人間になりたい」

少年は、え?と耳を疑うように聞き返した。

625:名無しさん@ピンキー
07/03/22 13:52:58 jLcllou5
長いので、ほっしゅほしゅだと思って、片手間にでも読んで頂けると幸いです。
心がけとしては、エロが淡泊にならないようにしたいです。
そして不安なのは、人間への片想いは大丈夫なのでしょうか。

626:名無しさん@ピンキー
07/03/22 16:21:09 l9W6iaDg
>>625
うまいな。自分は人間と馬もいける。


627:名無しさん@ピンキー
07/03/22 17:03:08 NR921y4K
>>625
続き楽しみにしてるよ。
自分も人と馬は全然大丈夫だ。

628:名無しさん@ピンキー
07/03/22 23:48:28 bldoVfRT
>>625
全く問題ないよ

まったり頑張ってください。楽しみにしてます

629:名無しさん@ピンキー
07/03/23 20:54:45 wmVqyVCi
ラインクラフト大好きだったので続き期待しています。

630:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:06:40 +QPxcQLl
引退してもう1年半になる。
春の牧場は去年と変わらず、朝から自分たち種牡馬の元へ向かう
花嫁達を乗せる車が忙しく行き来する。
少女から熟女まで、緊張する馬から慣れた様子の馬まで
牝馬達が歩く姿をそっと遠方の木陰から眺めている時間など
種牡馬である自分には無いのだが、それでも動けずに居た。

「ハーツ。そろそろ行った方がいいんじゃないか?」
先輩であるが種牡馬としては同期となるリンカーンの声に
ハーツクライはゆっくりと振り返る。
「すみません、もう少しだけ…」
「…そう。俺と比べてお前は忙しいんだからさ、早くな。」
茶化すリンカーンは、ハーツを軽く小突くと軽快に去って行く。

一一あいつと比べりゃ忙しいとも言えないけど。

英雄、天馬と呼ばれたあの七冠馬と比べれば、忙しいと言うのはまだまだだ。
去年種牡馬として初めての仕事を行ったが、感想としてはこんなものかという程度であった。
セックスではなく血を残すという仕事。あくまで仕事だ。
その仕事相手となる牝馬達に、本来ならばこうして遠目で眺めるほどの
興味もないのだが、今年は別であった。

一一彼女が…来る。

去年引退した彼女が今年は花嫁としてこの牧場にやって来る。
忘れようにも忘れられない、その強気で尊大な女王様を
今でも鮮明に思い描く事ができる。

631:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:07:59 +QPxcQLl
「私ぃ、初めてなんだけど、相手はクリスエスさんって方なんですって!
先輩の話だとちょーカッコイイんだって!」
「うっそ、いいなぁ。私なんてさー…」
婿の元へと向かう繁殖牝馬達がにぎやかにざわめき、通り過ぎるのを
ただボンヤリ眺めていたハーツであったが、そんな牝馬達の中から
群を抜いて存在感露に姿を見せる牝馬に、思わず身を乗り出す。

一一スイープ…!

待ち焦がれていた彼女がやってきた。
つまらなそうに、憂鬱そうに黙々と歩いているが、
その美しさと威厳は何も変わっていなかった。

「スイープ……」
どれほど会いたいと願ったことか。離れ離れとなった今でも
一度だって忘れた事などない。ずっと昔からそして今でも彼女を想う。
ずっと好きだった、今でも好きな彼女は花嫁としてこの地にやって来た。

七冠馬の英雄の元へ。

国内では自分が土を付けた一敗のみのあの小さな英雄の元へ…

「……」
彼女が七冠馬の英雄に嫁ぐのは覚悟していたことだ。
だからこうして…そっと木陰から一目だけその姿を、
愛しいその姿を焼き付けようと、彼女をじっと眺める。

632:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:09:34 +QPxcQLl
一一また…会えたんだ。

一目その姿を見る事ができたのだ。
彼女が元気で幸せに過ごせるのなら、それだけでいい。
今日のこの彼女の姿を焼き付け、ただ彼女をずっと想い続ける。

「…良い仔を産んでくれよ。」

心底から願う。母子共に健康で、健やかに過ごしてほしい。
ハーツは小さく笑うが…

「…!!」
だが、驚愕で見開かれた彼女の美しい瞳が、真っすぐにこちらに
向けられていることに気がつき、硬直するように固まった。

一一ハーツ…!

遠方で立ち尽くすスイープの言葉は聞こえないが、
その口は確かに自分の名を呼んでいる。
驚きと激情に身体を震わせ、立ち尽くしながら。

「スイープッ…」
ハーツもまた激情に押され、思わず身を乗り出すが、
ふいに冷や水をぶっ掛けられたように足を止める。

633:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:11:01 +QPxcQLl
一一行って…どうするんだ?

彼女の元に駆けよってどうするというのか。
久しぶりと言葉を交わし、好きだと言ってそれから…

一緒に逃げようとでも言えというのか?

一緒にどこへ逃げろというのか。
彼女を巻き添えにしてどこへ逃げろというのか。
ハーツは首を振ると、静かにじっとスイープを見据える。

一一ハーツ…

彼女の口が再び動く。だが、それを聞くまいとただじっと
静かに憂いを帯びた瞳でスイープを見つめることしかできない。

一一…なんでよ…なんで…

こっちに来ないのか。彼女の表情は怒りと悲しみがごっちゃになるような
揺らぎへと変わり、それでもハーツを待つように立ち尽くしたままだ。

「スイープ……」
何よりも愛しい彼女に今、自分が出来ることは…
ハーツは地獄のような苦しみと悲痛に耐えるように、ぎゅっと口元を引き締めるが、
やがてにっこりと満面の笑みを彼女に向けた。
優しく、穏やかな笑みを。じっと立ち尽くしたまま。

634:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:12:10 +QPxcQLl
「……!」
ハーツのあまりにも優しい笑顔に、スイープの表情はみるみるうちに強張り、
絶望に打ちのめされるように、瞳を揺らがせ…
背を向け、振り返ることなく走り去っていく。
走る彼女の表情と心はどうなっているか…考えるにはあまりに辛すぎた。

近寄る事なく、最上の笑顔を向ける事しかできない。
自分にできることはそれしかない。
どれだけ辛く、身を裂かれそうに悲しくても。

「…そろそろ行かないとな。相手の牝馬達を待たせるわけにいかない。」
そろそろ血を残すという「仕事」の時間だ。
ハーツはぼそりとつぶやくと、じっと地面を見る。

一一スイープ…これからもずっと…
  君の側に居られない日々がどれだけ苦しくても…その苦しさから逃げたくなっても…

俺は君を忘れない。ずっと…死ぬまで君が好きだ。

ハーツは今一度スイープが居た場所に視線を送る。
そしてくすぶる未練を断ち切るように背を向けると、
仕事に向かうべく、ゆっくりと歩き去った。

635:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:32:58 +QPxcQLl
保守になればと考え投下。
次は是非ともエロを…七冠馬×スイープになってしまいますが。

636:名無しさん@ピンキー
07/04/01 03:02:02 tB4uwJHQ
イイ(・∀・)!!是非続きを!!
だがスイープタンって引退してたっけか?

637:名無しさん@ピンキー
07/04/01 03:24:41 YQQLRRlC
お疲れ様です。
さすがに来年ならスイープも引退しているでしょうね。
個人的な偏見だけどハーツっていじめたくなるようなタイプなんで
ディープにならともかく、幼なじみのダメジャーにスイープもってかれて感情の行き場をなくして身悶えする様子も見てみたかったり……。
妄想たれ流し申し訳ない。
エロ楽しみに待ってます。

638:名無しさん@ピンキー
07/04/02 00:48:08 bUHoJiV/
乙!!ハーツ切ないなあ・・・

>>637
ダンムーも身悶えすんだろうな。
ライバルだった同期のスイープにダメジャー持ってかれたらw

639:Days Past
07/04/02 19:35:32 nbVbHRKi
答えて下さった方ありがとう。苦手な方ごめんなさい。
>>625からつづきます

「人間、ですか」
驚きを隠せないという声。それも無理はない。

「夢を見たの」
遠くに揺れる木を眺めながら、私は口を開いた。
「私は人間になって、あの人と一緒に小道を歩いている」

今朝食べたご飯の話。くだらないジョーク。自分の好きな音楽―
彼の他愛もない話に、私は笑顔で頷く。ふたつの足はふわふわと地面を捕らえる。
彼を真横から見上げた。普段はあまり見れない横顔がよく見えて、胸が弾む。
そうだ。人間が手を繋いでいるのを見たことがある。あれは、愛情の証なのだ。
自分の手を絡めようと、彼に近づく。そっと、手を伸ばす。
触れた瞬間、ぱちん、と弾けるように、目が覚めた。

「素敵な夢だった…」

少年は目をパチパチさせて私を見ている。変な女だと思われたのだろう。
一笑に付されるかと思ったが、そうはせず、まじまじとした顔で訊いてきた。

「その人は、姉さんの大切な人なんですか?」
「ええ、それはもう。私は、彼の為に走っているの」
「俺は人間なんて想像したことないですけど」
「ごめんなさい。私、ちょっと変よね」

少年は空を仰ぎ、でも、と続けて凛とした声で言った。
「大切なひとの為に走るっていうのは、わかる気がします」

この子にも、大切なひとはいるのかしら。

640:Days Past
07/04/02 19:40:28 nbVbHRKi
ふと、既視感を覚えた。
先ほどから目にしていた木。新緑が風にさざめいている。
記憶と現在が繋がる瞬間。
あれは、桜だ。
今はもう花は散ってしまって、その面影はない。
だが、心臓は知らずと速くなる。
私の心にあの日のことが輪郭を持ち、鮮明に蘇る。

桜の花びらの舞い落ちる中、
猛追する漆黒の馬を振り切って、私は先頭でゴールを駆け抜けた。
沸き起こる大歓声に包まれて、私は幸せの絶頂にいた。
鞍上には、彼がいた。

私は舞い上がっていた。
ユーイチとGⅠを勝った。何より、彼が自分を選んでくれた。
それが本当に嬉しかった。

その想いを抱くようになったのは、いつ頃からだろう。
笑い話としか思わないだろうけど、私は本気で彼が好きだった。
彼に見合う馬になりたい。私は日々調教に励んだ。絶対に、なってみせる。
そして、桜花賞馬の座についた。
次走NHKマイルCも、牡馬たちに混じりながら優勝を掴んだ。
自分は彼のベストパートナー、そう自覚していた。

その幻想は粉々に打ち砕かれた。
桜花賞2着の、シーザリオ。

彼女はオークスを豪快に勝つと、続く米国の地でユーイチを背に圧勝した。

641:Days Past
07/04/02 19:47:17 nbVbHRKi
日本馬として初の快挙、噂は栗東に広まった。
ユーイチのコメントを、僚馬は何気なく口にした。
「今までで、最高の馬だ」と。

最初に沸いた感情は、孤独感だった。
私はひとりで喜んでいただけで、本当は桜花賞だって、
ユーイチはシーザリオに乗りたかったのではないか。
やがて様々な想いでいっぱいになり、私は人知れず泣いていた。
彼はもう遠い人のように感じられた。

そして、シーザリオは怪我を負った。
ユーイチは、秋も私に乗り続けることになる。

心のどこかで、喜んでいる自分がいた。そんな自分に吐き気がした。
吹っ切れるために、私はひたすらに勝利を目指した。
ユーイチの一番になれなくても、勝つことで彼が少しでも喜んでくれれば、それで良い。
だが勝ちきれないレースが続く。私は焦っていた。勝たなければいけない。
無茶なローテがたたったのか、年末のレースは惨敗した。

最優秀3歳牝馬は、シーザリオが受賞した。


「姉さん?」

はっと我に返った。
「ごめんなさい、ボーッとしちゃって」

少年は不思議そうに私を見ていたが、やがて何かに気づいたかのように顎を引いた。
振り返れば、綺麗な顔立ちの女の子が、むすっとして立っている。

642:Days Past
07/04/02 19:51:56 nbVbHRKi
「っと、ヴィクトリアマイル、ですか?」
「ええ」
「頑張ってください。俺、応援してます」

少年は焦ったように足踏みして、早口でまくし立てた。

「ええ。あなたも」

少女のもとへ駆け寄っていく少年の後ろ姿を見送って、
私は再び桜に視線をうつした。爽やかな風が吹き抜け、葉が大きく揺れた。



――…‥

カツン。カツン。
蹄の音が厩舎の通路に響く。
その音すら、疲労でくたびれているように聞こえた。

なぜ、負けたのか。
自分でも不可解だった。あの瞬間、身体が言うことを聞かなくなった。
まさか、私の勝利への意志が足りなかったとでも言うのだろうか。

表札のかかった馬房の前で足を止める。
「ラインクラフト」
私の名前が書いてある。

馬房に入ると、あまり慣れない匂いが鼻についた。
気にかける余裕はもはや無い。
見慣れた場所のはずなのに、どこか新鮮に感じるのは、心が憔悴しきっているせいかもしれない。

643:Days Past
07/04/02 19:54:58 nbVbHRKi
ふうっと大きく息を吐いた。
思い出すのは、やめた。今日はもう寝よう。
目を閉じて、寝藁に身体を横たえようとした。

「おつかれさん」

ビクッと身体が震えた。
声が聞こえた。
咄嗟に振り返ると、そこには確かに影があった。

全然気づかなかった。疲労のせいだろうか。

「負けたらしいな」
少し首をもたげて、驚く私を見やる。
その姿は朧気で、本当は自分の影なのではないか、と錯覚する。

「ずっとここにいたのね」
私は声を取り戻して、やっとそう言った。
無防備な姿を晒してしまったことに、身体が熱くなる。

「俺も暇でね」
さもつまらなそうに言うと、欠伸をした。
この馬は、あまり走ることに興味を持たない。
それはつまり、生きることに関心がない。
必死に走る馬たちを、一頭冷めた目で見つめている。

644:名無しさん@ピンキー
07/04/02 23:45:01 AneAodoI
うまい!続き気になります
マイペースでがんばってください

645:名無しさん@ピンキー
07/04/03 02:04:34 jkpMinkw
尻に敷かれてるムーンにワロタ。続き半裸で待ってる。

646:名無しさん@ピンキー
07/04/05 08:29:24 T5OUTF6o
どっちも(・∀・)イイ!!
続き待ってます。

647:名無しさん@ピンキー
07/04/11 02:15:57 R3DnOmVb
続き続き(・∀・)

648:名無しさん@ピンキー
07/04/13 21:55:52 WmW0RYHy
期待(・∀・)

649:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:45:50 0BjVOS65
634の続きです。




約2年ぶりのあの男はやはりいけすかない男であった。
七冠馬の花嫁としてやってきた自分に、残酷なまでに優しく笑いかけた男。

あいつの心境がどうかなんて知るもんか。

側に来てほしい。そして…そんな願いをあの優しい笑顔で打ち砕いた男。
どの心境がどれほど辛いかなど知りたくもない。
希望を打ち砕かれ、走り去る自分は泣いていたのかどうかさえ覚えていない。
ただ気がついたらこの薄暗い馬房に居た。

花婿を迎えるための馬房に居た。

「お久しぶりです。スイープさん。」

懐かしい声。軽やかだが自信に溢れる声色は何も変わっていない。
スイープトウショウは懐かしい声にゆっくりと振り返る。

「…そうね。一昨年の有馬以来ね。」
視線の先に映る懐かしい姿…現役時代は英雄と呼ばれていた
ディープインパクトに、スイープは極めて冷めた口調で応じるが、
これは内心の動揺を隠すためのものであった。

変わり者。我が侭。勝気な女王様。名牝のスイープでも
これから始まる交配という行為に、何も感じないわけがなかった。

650:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:46:50 0BjVOS65
「まずはお疲れさまでした。以前と何も変わってないですね。」
既に種牡馬としての貫録が溢れ出ているディープ。
それがかえってスイープを動揺させ、ますます突っ慳貪にさせる。
「あんたは太ったけどね。」
気を悪くするどころか、笑うディープに、
スイープは微かに気が緩むような、ますます引き締まるような奇妙な心境になる。

お前の初婿はあのディープインパクトだ。

常に言われていたことだった。自分の初婿はディープだと。
共に走ったのは有馬だけであったが、同じ栗東トレセンなゆえ、
何度も顔を合わせ、会話することもあった。まったく見知らぬ馬ではない。

「…ハーツさんと会ったんですか?」
低い、静かな声で尋ねるディープに、思わずスイープはハッと顔をあげる。
「様子がおかしいですから。」
「…見かけただけよ。向こうだって別に…側に来る事もなかったわ。
別にいいけどね、あんないけすかない男なんて…あんな…」
微かに声を震わせるスイープを、ディープはじっと見つめる。
「…遠くで見るだけ、ですか。ハーツさんらしい。」
そんなディープの声色は、どこか高いところから見下ろすように聞こえ、
スイープはカチンとくるように眉をひそめた。

「相変らず怒りっぽいですね。けどあなたらしくて結構です。
このまま話しているのも楽しいですけど、その前に…」
ディープはふいに目を光らせ、スイープの顔を覗き込む。

651:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:47:49 0BjVOS65
「やるべきことをやらないとね。」
軽口を叩くものの、ディープの表情からは先ほどまでの余裕は消えうせ、
何やら表現しようのないギラつく空気へと変貌し、
それはスイープに恐怖を感じさせる。

「…何、よ…こ、こないでよ…」
覚悟はしていた。だが、イザとなればたまらなく怖く、
また目の前のディープは今まで見たことが無いほどに恐ろしい。
スイープは後ずさるが、出口をディープに遮られてしまう。

「逃げてどうするんです?どうせ捕まって、逃げ出さないように
縛りつけられて…そんな恥ずかしい目に合うだけですよ。
まあ、そういうのがお好みならいいですけどね。」
小馬鹿にするような物言いに、スイープは怒りと恐怖が
織り混ざった表情で睨みつけるが、ディープはにこりと笑いかける。

「逃げてハーツさんに助けを求めますか?
…今頃、他の女と僕達と同じ事をしようとしているハーツさんに。」
そんな言葉にスイープは目を見開き、固まった。
もう一押し。ディープはスイープの耳元にそっと囁きかけた。

「僕とあなたは夫婦になる。あなたの心に誰が居ても…」
ディープが悲しげに瞳を揺らすのを見たスイープは、びくりと肩を揺らす。


652:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:49:54 0BjVOS65
分かっている。覚悟してたはずじゃないかとスイープは心で繰り返す。
これは引退後の第2の仕事。
あくまで仕事だと思い込もうとすればするほど焦り、悲痛になる。

一一ハーツ…

ハーツのあの笑顔。ディープの元へ向かう自分に向けたあの笑顔。
あの笑顔を思い浮かべると、再び心は打ちのめされ、
変わりに頭の芯から冷えるような感覚に陥る。

一一そう、よ。こうなる運命だったんじゃない。

ディープの花嫁となる自分に、愛しい男は笑顔を向ける運命。
それが今の自分だ。スイープはぎゅっと目をつぶった。

「スイープさん…いいですね。」
スイープを瞬く間に床に倒すと、ディープは首筋に柔らかくキスをする。
「え…!ぁっ…」
ディープの鼻先は首筋からスイープの敏感な秘所へと動き、身を強ばらせる。

「ひっ…!やぁっ…ま、待って…」
辛うじて触れてはいないが、熱い息が過敏な個所へ吹きかかり、
その緩くも確実に疼く感覚に、スイープは身を大きく反らす。
(嘘…何よ、これ…こんなの…)
じわじわと迫る甘い痺れにスイープは恐怖で思わず目をつぶる。
自分の心には未だハーツが居るのは事実だが、体はどうしても反応してしまう。

653:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:53:20 0BjVOS65
「…!!」
その瞬間、疼く秘所を熱い舌で舐めあげられ、スイープは大きく跳ね上がる。
「いやっ…そんなっ、とこっ…ああっ…んっ、ふっ…」
生まれて初めての感覚と羞恥に動揺するスイープだが、ぴちゃぴちゃと湿った音と
沿うように甘い喘ぎを漏らす。ディープの舌は容赦無くスイープの秘所の側面から
内部へと交互するように動かされ、責めあげる。

「あんっ…はっ…あ、ああっ…なに、これ…いや…」
体の芯から込み上げてくるような熱い昂ぶり…今まで味わった事もないような
得体のしれない感覚に怯えるように目を見開く。
「ディープ…」
熱に浮かされるようにつぶやくスイープであったが、再び襲ってくる波に目を閉じる。
ディープの熱い舌は容赦無くスイープの秘所をかき乱し、たまらず喘ぎだすと、
湿った音に反応するように、宙に浮いたスイープの脚も痙攣し始める。

「…そろそろ、かな。」
「え…?…ひぁっ!はぁっ、ん…ああっ!」
溢れ出る蜜はスイープの思考自体をドロドロに溶かすようであり、
もはや声にさえならない喘ぎ声のみが響きだす。
それにすっかり興奮したディープは、ぐいと体を押さえつけるが、
スイープは秘所に近づいてきたディープ自身に、戦慄くように後ずさる。

「い…いや!そんなの、無理に決まってるでしょ!
これ以上近づいたら、蹴っ飛ばすわよ!だから寄らな…!!」
熟れた秘所に埋め込まれ、下半身に痛いような何ともいえない感覚が走り、
スイープは声無き悲鳴をあげる。

654:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:59:12 0BjVOS65
「…大きく息を吐いて。力抜いてください。」
「やっ、動かないでっ…!いっ…ひぁっ!」
大きく首を振って悲鳴をあげるスイープを落ち着かせるように、
ディープは何度も首筋にキスをする。

スイープが処女であることは想像が付いていた。
ハーツは愛しいからといって、現役牝馬に手を出せる性格ではない。
そういう男だとディープは自嘲気味に笑いながら、スイープに耳打ちする。

「…力を抜いて…大丈夫ですから。」
「な、何が大丈夫…よっ…!な…に?…え…」
僅かに力を抜いた瞬間、不快感そのものだった下半身に熱い疼きが押し寄せ、
それはディープが己を動かすたびに増してくる。

「はあっ、ああっ…やっ…な…に?…なんかっ…くるぅっ!いやぁっ…怖いっ……」
甘く迫る痺れはとうとうスイープを飲み込み、スイープは大きく痙攣をする。
「!!あぁぁぁあっ…!!」
埋め込まれたディープが弾けた瞬間、スイープもひきつるように果てた。

「…スイープさん…」
快楽の波に飲まれ、呆然としたまま地面に身を投げるスイープを労るように、
ディープはそっとたてがみにキスをした。

655:名無しさん@ピンキー
07/04/14 02:01:31 0BjVOS65
「まあ、初めての割には落ち着いてた方ですよ。」
ぐったり横たわるスイープに、ディープはつぶやく。
そんな物言いは当然スイープの勘に触った。
「なによ…偉そうに。あんたなんか二度とごめんだわ。」
眉を吊り上げるスイープに、ディープは瞳を揺らすが、
すぐににやりと挑むような笑みを浮かべる。

「そうですかね?また僕と夫婦になれば、ハーツさんと会えますよ。」
皮肉たっぷりにつぶやくディープを、スイープはキッと睨みつける。
「本当ムカつく野郎ね。何が会えますよ、だか。
馬鹿馬鹿しい…どんな三文メロドラマよ。本当、馬鹿馬鹿しい…」
またあの優しい笑顔を向けられ、心を砕かれろと言うのか。
冗談じゃないとスイープは大きく首を振った。

「三文メロドラマでもいいから会いたいんじゃないんですか?」
食って掛るディープに、スイープはいよいよ癇癪を起こすように立ち上がる。
「あんたが私の事嫌いなのは分かったけど、いちいち喧嘩売らないでくれる?」
「……」
そんな言葉に、ディープは何とも言えない表情で黙り込む。
「な、なによ。何とか言ったらどう?」
てっきりまたイヤミでも言ってくるかと思ったのに。
肩透かしを喰らったように戸惑うスイープは、背を向ける。

「帰るわ。あんたも色々忙しいでしょうから。」
どうもディープという男はよく分からない。スイープはため息をつく。

656:名無しさん@ピンキー
07/04/14 02:05:15 0BjVOS65
「スイープさん。」
「何よ。」
去り際に声をかけてくるディープに振り返る。

「…良い仔産んでください。元気に走り回る、健康な仔を。
大事に育ててください。男の僕には何もできないから。」
「…ディープ。」
やっぱり分からない男だ。喧嘩売ったかと思えば、
こんなことも言う。スイープはゆっくりと頷いた。

「…分かってるわ。」
「ありがとう。まあ、スイープさんにちゃんと育児が
出来るかどうかちょっと心配ですけどね。」
そしてまたこんなイヤミを言うのだからわけが分からない。
スイープは再び癇癪起こすように、睨みつけた。
「本当、あんたなんか二度とごめんだわ。」
「そうですか?僕はまた会いたいですけどね。」
さらりと答えるディープに、スイープは戸惑うように大きく首を振る。

「あんたっておかしな男。…じゃあね。」
そう言うとスイープは背を向け、馬房から去っていく。
そんな後ろ姿を、ディープはじっと見送る。

「俺って結構ガキだったんだな…」
一人残る馬房の中で、ディープはため息をつく。
何であんなことしか言えないのか。
ここで優しく傷ついた彼女を慰めでもすれば…と思うのに
口から出るのは余計に傷つける事と、イヤミばかり。

657:名無しさん@ピンキー
07/04/14 02:08:52 0BjVOS65
「何であんなことばっか言っちゃうかな。」
トレセンで会うたびに、言葉を交わすたびにどれだけ嬉しかったか。
最後に一緒に走る事ができてどれだけ嬉しかったか。
「ハーツさんは立派だ。ガキの俺と大違い。でも立派だけど…諦めは愚か者の証だ。」
そして強く瞳を光らせる。

「俺だってずっと…だから俺は諦めたりしない。いつかきっと…」

その心も手に入れてみせる。
ハーツのようにただ愛する女の幸せだけを願うほど、
自分は立派でもなければ、愚かでもない。

自分だって彼女を好きだった。
だからハーツがあくまで立派な男を貫き通すというのなら、
それにつけ込むくらいの事をしなければ勝つことはできない。
自惚れではなく、彼女は自分の事を認めてはいるはずだ。
それをいかに男として意識させるかだ。

また彼女と再会する機会はあるはずだ。
自分達はそれ相応の実績の持ち主だ。

「もう少し大人になんないとな…」
今度会う時は、もう少し大人の対応をしたいものだ。
ディープは反省交じりの苦笑を浮かべ、スイープが居た位置を眺めた。

658:名無しさん@ピンキー
07/04/14 02:10:48 0BjVOS65
以上です。長くなったうえ、エロも控えめですみませんでした。

659:名無しさん@ピンキー
07/04/14 13:45:59 os8jRY0G
>>658
最高!待ってました。
もしよければまた作品が見たいです。

660:名無しさん@ピンキー
07/04/14 19:25:44 VDmogPXR
うまい!どうもありがとうございました

661:名無しさん@ピンキー
07/04/16 00:22:59 FQ2yRgqS
ディープとスイープかぁ・・・って思ってたけど上手い。良かったです。
もしよかったらまたお願いします。

662:名無しさん@ピンキー
07/04/16 11:52:43 RhBgk/rg
スイープカワエエ

663:名無しさん@ピンキー
07/04/16 19:14:54 IK6LiKPt
スイープがすきなので、いっぱい読めてとてもしあわせです。
みんないじらしくて、かわいらしい。
もともとだんぜん、ハーツ&スイープなのですが、なんとなくディープを応援したいかんじです。
ぜひ、また書いてください。まっています。わたしもがんばりたいです。


ここから、くらいお話になります。しあわせになってもらいたくて書きはじめたのに…

664:Days Past
07/04/16 19:17:23 IK6LiKPt

嫌な静寂で馬房は満ちている。
ピンと張りつめた空気が、肌を刺激し、汗が滲む。

僅かに空気が震えて、牡馬が立ち上がった。
同時に、私の身体を見た。舐めるような視線に、私は嫌悪で顔を歪ませる。

「今日はもう、疲れてるの。帰って頂戴」
できるだけ冷たく聞こえるように言って、力無く顔を背けた。

聞いているのか、いないのか。
牡馬は悠々と外を眺めて、鼻歌を歌い始めた。

「…あいつの機嫌も悪いんだろうな」

むっとした。今、彼の話を出してきたのは、わざとだ。

「…興味ないわ」
反応してはいけない。牡馬の思う壺になる。

「強がるなよ。期待されてたんだろ?あいつに」
「…そうね」
「あいつもご苦労だったな。あっさり裏切られて。がっかりもいいとこだ」
「…何が言いたいのよ?」

気丈に聞き返したが、耳はぎゅっと絞っていた。
牡馬の言うことは真実だ。だから、こんなに胸が苦しいのだろう。

665:Days Past
07/04/16 19:20:22 IK6LiKPt
「あの女だったら、なんて思ったかもな」

牡馬は遠慮なく、私の心の琴線に触れてくる。

「お前も、そう考えていたんだろ?不安で仕方ない」
「…どうでもいい…」
「もし、あの女が戻ってきて、あいつに捨てられたら、なんてな」

ぷつん、と何かが切れた。

「黙って!!これ以上何か言ったら」
感情のままに叫んで、睨みつけようとバッと顔を上げた時、

触れるほど近くに牡馬の顔があった。

「きゃ…っ」
「言ったら?」

身をすくませる私を見て、牡馬は口角を歪め、喉もとを鳴らして笑う。
その笑みに温度は感じられない。本当に、生きているのだろうか。

「確かに、そんなことはどうでもいい。だろ?」

かさ、と寝藁が音を立てた。静かに、牡馬がこちらへ詰め寄る。
後ずさりしようとして、壁が当たった。
耳の奥で、心臓が早鐘を拍ちはじめた音がこだましている。

「忘れてるのか。…なら、思い出させてやってもいい」

ぐっと、さらに距離が縮まる。
私は小さな悲鳴をあげて、ぎゅっと目を瞑った。

666:名無しさん@ピンキー
07/04/16 19:27:30 IK6LiKPt


―何も起こる気配がない。

どうしたのだろう?これも、私を翻弄する罠なのか。
目を開けてはいけない気がする。そうした瞬間、きっと私は後戻りできない。

「どうしたの…?そこにいるの?」

視界が失われて急に不安が襲ってくる。

「いるなら言って…ねぇ…」
「…一度も」

牡馬の声が聞こえる。

「お前は俺の目を見ないんだな」

そう、だっけ…

「嫌か?」
「…別に…」
「なら、いい。100数えたら目を開けろ」

待って、と言いそうになった。
牡馬が行ってしまう。それがなぜか怖くて、胸が締め付けられる。

667:名無しさん@ピンキー
07/04/16 19:33:36 IK6LiKPt
牡馬は今、どんな顔をしているのだろう?
寂しげな子供のような、それとも、他人を陥れようとする狡猾な表情か。
どうであれ、牡馬が好きなだけ私を見れるのに、私は牡馬を見れない。
それは、不公平ではないか。

恐る恐る、私は目を開けてしまった。
本当は、知っていたのかもしれない。
牡馬がどんな顔をしているのかも、開けたら、どうなってしまうのかも。

牡馬と目が合った瞬間、記憶がフラッシュバックした。

668:名無しさん@ピンキー
07/04/17 22:58:35 BNgrJPRW
wktkが止まりません。
次も期待してます・∀・

669:名無しさん@ピンキー
07/04/17 23:07:54 uIw1paci
おー!続きが気になる。正座してまってます。

670:名無しさん@ピンキー
07/04/18 11:25:44 2OEg+j89
期待期待

671:名無しさん@ピンキー
07/04/19 11:45:56 fp62b3yU
ここで扱う競走馬は中央馬限定?

672:名無しさん@ピンキー
07/04/19 13:52:42 zkHEWFMY
競馬好きなら知ってるくらい有名なら海外馬もいいんじゃないかな。
コロネーションとその恋人(馬です)の逸話はかなり萌えた。
地方所属馬はネームヴァリューやコスモバルクが既に登場してるから問題ない。
ダート交流戦線の常連には牡牝問わずハァハァできるのが個人的には多い。

673:名無しさん@ピンキー
07/04/19 17:57:03 fp62b3yU
>>672
ありがとう。
同感、交流ダート路線の強豪地方馬は男前ですね。

674:名無しさん@ピンキー
07/04/23 17:03:40 vvb09g6M
保守代わりに投下させていただきます。
地方馬の話です。


675:名無しさん@ピンキー
07/04/23 17:43:15 vvb09g6M
北海道の空を見たのは、何年ぶりでしょうか。
母になるために、生まれ故郷に帰って来ました。
牧場の人も変わらず優しいし、ここから見える風景も、本当にいい所です。
私は、船橋という南関東の地方競馬場で、競走馬をしていました。
おとなしそうに見えるでしょうが、一応オープン馬です。

船橋という所は昔から、人材も馬も揃っている、と言われているそうです。
泣きたくなる事や辛い事も沢山あったけど、私は船橋が大好きでした。
私たち競走馬のことを本気で思っているからこそ、ゲキを飛ばす先生。
母のように優しい厩務員さん。
そして、同じ砂の上を走る競走馬たちの存在。
その中でも1頭、抜けた存在の馬がいました。

交流路線で無敵の強さを誇る牡馬。
彼は、南関東の王者として中央の競馬ファンにも知られた存在だと思います。
地方馬も、中央馬と対等に戦える。
結局私は交流競走の舞台に上がる事はありませんでしたが、
そんな希望を糧に、厳しい調教も頑張ろうと思えたものでした。

676:名無しさん@ピンキー
07/04/23 18:09:38 vvb09g6M
そんな事を思い出しながらぼーっとしていると、
牧場のおじさんが私を呼んでいるのに気づきました。
おじさんは私の引き手を掴みます。そのまま私は、馬運車に促されました。

着いた所は…なんとかスタッドという看板が見えます。
一瞬にして表情が凍りつくのが、自分でもわかります。
ここは種馬場。
これから私の身に起こる事は、容易に想像がつきます。
何も、言われていません。私が不安がるから?でも、心の準備が…。
母になって子を育てたい、そんな願望はありますが、それとこれとは話が別です。
いや、別じゃないのかもしれませんが、とても平常心ではいられません。

誘導された先の部屋で待っていると、一頭の牡馬が入ってきました。
私の相手となる種牡馬でしょう。
思わず脚が退いてしまいそうな威圧感。
確かに競走馬時代、牡馬はたくさん見ているし、一緒に走ったりもしていました。
でもハッキリ言って、種牡馬と競走馬は別の生き物にしか思えません。
半ば泣きそうになっていると、その牡馬は私の傍に歩み寄りました。
いきなり何をされるのでもなく、私の隣に。





677:名無しさん@ピンキー
07/04/23 18:37:27 vvb09g6M
牡馬は私の首の辺りを食みます。
何をされるんだろう…。
一瞬びっくりしましたが、その感覚に身体を任せました。
気持ちいいような、でもやっぱり怖いような、不思議な気持ち。
あ…なんだか全身の力が抜ける…。

「気持ちいい?」
「え…?」
「緊張で、それどころじゃないかな」
見た目よりも優しそうな口調。

私はその時初めて、牡馬に視線を向けました。
額に星を持つ、黒鹿毛の牡馬。
私よりは年上に違いありません。種牡馬としても、慣れているんでしょう。
精悍な顔だちに雄大な馬体。
頭絡の横には Adjudicating と書かれてあります。







678:名無しさん@ピンキー
07/04/24 21:10:39 wsnAjdPW
乙です
続きまってますよー

679:名無しさん@ピンキー
07/04/24 23:03:31 0jSrZJmw
船橋といえばあの馬か?

680:名無しさん@ピンキー
07/04/24 23:37:43 7RiZAoOf
アブクマポーロ最強!!……はおいといて、
アジュディケーティングは三白流星のちょっと派手なイケメン親父。
息子の方は見た目に色気があるせいか、濃いファンが多いイメージがある。

681:名無しさん@ピンキー
07/04/25 00:29:36 fcBGE7aa
息子は目線に色気がある。
父は見たことないけど、美形なんだろうな。
息子の濃いファンとして船橋の二文字は見逃さない。続きwktk

682:名無しさん@ピンキー
07/04/25 00:30:58 YZhjlIMZ
牝馬の語りがかわいいな
続きwktk

683:677の続きです
07/04/25 19:56:11 iToIqVPY
私の視線を感じたのか、
「どうした?」
と尋ねられました。
「い、いえ、なんでも」
こんな状況で目線が合うと、顔が熱くなってうまくしゃべれません。
しばらくタテガミや首の辺りを触れられていると、次第に身体が不思議な感覚に陥ります。
以前にも…以前にもありました。こんな感じ…。
「尻尾を上げてみてくれる?」
牡馬は穏やかな口調で言います。
つまりそれは、いちばん見られたくない場所を晒す事を意味するのでしょうが、
私は牡馬の言葉に従いました。
「素直だね」
牡馬はそこをじっと見ています。
あんまり見つめられると、恥ずかしくてたまりません。
刺さるような視線、ヘンな感じがします…。
「濡れてきてる。何かして欲しいの?」
牡馬は悪戯っぽい表情で笑っています。
「え…?」
よく意味がつかめないので返事に困りますが、
むずむずするような感じは治まりません…。


684:名無しさん@ピンキー
07/04/25 20:58:10 iToIqVPY
「初めてなのにそんな事言われても、わかんないかな」
そう言うと牡馬は、その箇所に舌を当てます。
その瞬間、全身が痙攣するような感覚とともに、
『以前にもあったこの感じ』がハッキリと思い出されました。

5月の船橋競馬場。地元の交流重賞、かしわ記念。
ゴール板を先頭で駆け抜けたのは、1番人気に支持された地元のエースでした。
その日、偶然にも洗い場で、レースを終えた彼の姿を目にしたのです。
当たり前の話ですが、つい先ほどの激走で、さすがに疲れた様子です。
タテガミを編んでいるのを解いてもらって、身体を綺麗に洗ってもらって…
特にその様子をじっと見ていたわけではありませんが、目が合った時には思わず目を逸らしました。
闘志を湛えた視線。
それは彼の強さを物語るに相応しいものでした。
偶然とは言え、一瞬視線が合っただけなのに、鼓動を抑える事ができません…。

フケに悩まされる事の少なかった私がひとりで『した』のは、その日の晩が初めてでした。
彼に、めちゃくちゃにされる自分を想像しながら。
寝藁に付いた透明の粘液―衝動の痕を見て、自己嫌悪に陥った事も覚えています。





685:名無しさん@ピンキー
07/04/26 15:22:59 6TCM/VmJ
これは牝馬の気持ちは複雑だろうな

686:名無しさん@ピンキー
07/04/27 14:49:14 LxzkjTCj


687:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:09:30 eOEU/jTX
船橋所属のアジュディミツオー×トーセンジョウオー
全11レス予定。今回は前半だけです。
和姦ですが純愛かどうかは??? ミツオーがちょっとヘタレ。
お好きな方だけどうぞ



「ほんと、死ぬほど似合ってないよね~」
「うるせー、今日はお前がこうしろって……」

春爛漫。満開の桜がもたらす甘い香りが潮風に乗って辺り一面を包んでいた。
花に酔ったかのような夢心地のとろんとした表情の牝馬がのんびりと呟く。
それを聞いて彼女への愛撫の手を、いや口を止めた牡馬が反論しかけたがたちまち彼女に睨まれた。
「先輩、やめないでよ~」
「何で同じ歳なのに先輩扱いなんだよ」
「別にいいじゃん」
また怒られるのも癪なので首をすくめて再開する。
背から項にかけてすくいあげるように彼女のたてがみを口に含んで優しく引っ張りながら
その首筋を時折甘噛みし次第に自分の顔を彼女の頭に近付けていく。
並の牡馬なら小柄とは言いがたい彼女の頭のてっぺんに触れるのにも苦労するだろう。
たどり着いた先にあった彼女の耳先を歯が触れるか触れないかの慎重さで幾度か噛む。
その動き、そして彼の息遣いに合わせて彼女の身体がふるふると反応した。

見下ろした先で、溢れんばかりに大きくて黒い瞳と視線が合う。
彼女の特徴のある、それ自体が光を発しているかのような瞳に見つめられる、
いや睨まれるのは、それはそれで気持ちがいい。
彼女の遠縁で同期のG1馬もそんな瞳の持ち主だったが、差し当たりこの2頭には関係のない事だった。

また何か言いたげにしていた彼女の唇を噛みつくような勢いで塞ぐ。
「っ!んん……」
ほんの一瞬彼女が怯えるかのような表情を見せたがお構いなしだった。

688:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:12:03 eOEU/jTX
先日行われた交流重賞マリーンカップを彼女は2年振りに勝った。
「やっぱり勝つのはいいね~」
今日はそのお祝いの<ご褒美>を彼から貰っている。
負けたところでご褒美が<お仕置き>になるだけなので、
結局やることは余り変わらないのだが。


ところで彼に死ぬほど似合ってないものとは何か。

中央所属だった彼女が転厩してきたのは今から半年ほど前だ。
『暦の上では秋』
天気予報で定型文のように言われる時季で、その日も厳しい残暑に見舞われていた。
この辺りはなまじ海に近い分、風がないの時の暑さは耐えがたいものがある。
真っ昼間ともなると人も馬も建物内に引き込もってほとんど外へは出てこない。
そんな中隠れるようにのそのそと洗い場に出た巨体の影がある。
彼は子供のように水遊びしながら涼むのが大好きだった。そして別の楽しみもある。

ばしゃばしゃと豪快に水を無駄使いしていると見慣れない馬がフラフラと歩いているのが目に入った。
ここは転厩してくる馬が多い。
それほど関心も持たずに、あの毛色(黒鹿毛)だと今日の陽射しは辛そうだな、
などと眺めているうちに
ゆらめく逃げ水の幻惑に打ち勝ち、本物の水音を聞きつけたその馬が近づいてくる。
―やべっ、こっち来んなあぁーー。
その自分とさして変わらぬ存在感のある馬体の持ち主が牝馬、
それもなかなかの美女なのを喜ぶ余裕もなく彼はパニックの真っ最中。
そんな事も露知らず、迷子になっていた彼女がすぐ近くまでやってきた。
道を尋ね、ついでに冷たい水の一杯でも貰おうかと彼を見やる。
「すみませ~ん、ここって……!?」

何を聞こうとしたかも忘れてぽかんと口を開け、しばし絶句する。
流しっぱなしの水の音だけがその場に流れた。お互いに固まって暑さも忘れてしまう。
その後の彼女の弾けるような笑い声はしばらくは止まらなかった。

689:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:15:11 eOEU/jTX
ここ最近のレースの合間の気分転換にある物を集めるのが流行っていた。
特に彼は人気実力ともに抜群だけあってプレゼントも多い。
一頭だけの時にこっそりそれを身に着けて悦に入っていたのだ。
真っ白なメンコを。
白いだけなら良いが豪奢なフリルがふんだんに使われたラブリーな逸品だった。

風格のにじみ出る見事な肉体からぽたぽたと水滴が落ちる。
その格好良さを見事に打ち消す笑撃。
彼は彼女にとっての水も滴るいい男になり損ねたらしい。

これがその夏にレコードで帝王賞を制し
交流G1、実に5勝めを挙げた南関の王者と彼女との出会いだった。


彼女は正式に同厩馬になってからメンコの話を持ち出す事はなかった。
それを彼は今日着けている。勿論彼女の命令だ。
<死ぬほど似合わない>のは百も承知だったが
いつの間にか始まったお互いの奇妙な習慣のため逆らう事ができない。
それが傍目にどう見えようともう彼は気にしてはいなかった。

肌を許すようになってからかなりの日にちが過ぎていたが、
未だに彼女はキスするときに僅かだが抵抗の気配を見せる。
そのため彼はいつも強引に唇を奪う形になった。
顔を背けようとするのを押さえつけ、横になったその隙間に舌を侵入させる。
初めのうちは彼女に噛まれるのではないかと恐る恐るだったが
別に本気で嫌だというわけでもない。
強張った身体の力が抜けると同時に、彼女も舌を絡ませてきた。
舌先をつつき合うようにしてから少しだけ大胆にお互いを吸いあう。
どうもこれは何時まで経っても2頭ともうまくならない。
何故その時だけ体が固くなるのか、彼女自身にもよくわからないらしい。

690:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:18:27 eOEU/jTX
「ふぁあ……んっ」
唇が離れた途端、名残惜しそうにしながらも彼女が一瞬だが
ほっとしたような表情を見せたのを見逃せなかった。
「相変わらずだな、お前」
「ごめん…ね」
その顔を見て何やらもの寂しい気持ちになりかける。
それを振り払うように彼女の背後に移動した。

背中から腰にかけて首筋の時よりも強く噛みながら進む。
鍛え上げられた尻の位置は彼よりも高いのかもしれない。
早くも汗で濡れ光る彼女の曲線が艶かしかった。
海からの水分を運ぶしっとりした風のせいなのだろうか。
その風を受けたかのようにゆらゆらと揺れる尻尾が彼を誘っていた。

甘い香りが、花に酔った彼女と同様に彼をも酔わせる。
吸い寄せられるままに舌を挿しいれた。ぬちゅ、とまだ粘度の高い愛液が絡む。
「ひゃっ」
彼女の入り口がびくりと反応する。緊張が彼にもはっきりと伝わってきた。
その舌がいきなり彼女の敏感な部分を捕らえる。
そこに触れた瞬間からそれまで穏やかだった反応が激しくなった。

「ああっ……そこ、いやぁ!」
感じすぎて辛いのか、尻っぱねまでして逃げようとするので
力ずくで彼女の後脚を押さえ込む羽目になった。
「動くなって」
彼を引きずってでも、という勢いで動くのでやむを得ず彼女の臀部に片方の前脚をかける。
お互いに危険なのでやりたくはなかった。
それでも周辺への愛撫はやめない。
「やだ……離してよぅ……あっ…ぁん」
「だったら暴れんなよ」
涙目で悶える彼女に無慈悲に言い放つ。
尻にのせた片脚をどけた頃には彼女は彼が与えるものを受け入れるようになっていた。

691:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:22:05 eOEU/jTX
ゆっくりと全体を嘗め回し、ずいっと突き刺すように秘烈に舌を差し入れる。
何度か繰り返しているうちに、先ほどよりもさらりとした液体がぐしゅりとあふれ出てきた。
それがつーっと流れ落ちていくのにあわせて、彼の舌も動く。
そして再びそれが彼女の核を捕らえた。
「あぅっ……あっ、あっ……あぁん」
もう抵抗はない。

こころなしか大きくなってきたそこを包みこむように舌を這わせる。
「や…だめぇ……あっ、あっ」
次々に垂れてくる愛液を塗りたくるように細かく刺激した。
その動きにあわせるように、小刻みな嬌声が辺りに響く。
抑えの効かなくなった彼女の下半身がぶるぶると震えはじめてていた。
彼女はぐっと頭を下げて体内で巻き起こる噴流に耐えている。
その堤防が壊れる瞬間を見るのがたまらなく、いい。

最後に一押し、舌でそこを押し潰す。
「…わたし、もう……あっ…………あああッーー!!………………………………」
沈黙。彼女は上り詰めたとき、声も呼吸も完全に止まることがある。
初めて見たときはかなり驚いた。
失神するわけではないが彼女曰く、<無意識が吹っ飛ぶ>らしい。
良くわかるような、わからないような話だった。

「今日は早かったな」
荒い息の彼女にからかうように言う。
後脚は戦慄いているものの姿勢に乱れはない。流石だった。
「何か、無理やりイかされてない?」
彼女は責めるような、それでいて甘えるような言い方をする。照れ隠しなのかもしれない。
「あ、バレた?…でも好きなんだろ」
その途端少し恨めしそうな彼女の表情が一変した。
恥ずかしそうにこくりと肯く。

692:アジュディミツオー×トーセンジョウオー ◆JVPOhusRfA
07/04/28 11:51:24 eOEU/jTX
「嫌ってわけじゃないけど、でもこういうのはやめてよね」
「無理すんなって」

また強くなってきた風が彼らの周りに桜を撒き散らす。
軽口を叩きすぎる彼に、拗ねてしまった彼女はそっぽを向いてしまった。
普段は見せない幼いとさえ言えるそのしぐさ、
そして風に煽られてあらわになる濡れた秘所……。
彼もそれを観賞するだけでは既に済まなくなっていたが
ふと意地悪心が芽生えて、わざと何もしない。
といっても、
―潮風に当たり続けると身体錆びちまいそうだなー。
などと、くだらない事を考え必死に下半身の衝動を誤魔化していたのだが。

初めは舞い散る花びらをただ見つめるだけだった彼女も、
次第にいたたまれない様子になってくる。
不安、羞恥、怒り、困惑……くるくると変わる表情で心の動きが見て取れた。
それでも彼女は彼の方を見ようとはしない。
彼はただそれをじっと見ている。
―危ねぇ、牝馬を虐める奴の気持ちがちょっとわかってきた……。
良くも悪くも彼と彼女は公平だった。

出し抜けに、静寂を破る低い音が響く。
近くの大型船の汽笛だった。風のためかいつもより大きく聞こえる。
その音に促されるように彼女がこちらを振り返った。腹の据わったいい顔だった。
あっという間に彼がいささか恐怖を感じる勢いで飛び込んでくる。
汽笛はまだ鳴り続けている。彼の耳元でその音にあわせるような低い声で彼女は呟いた。
「来てよ、先輩」
「お前なあ……わざと言ってるだろ」
思わず彼女を抱きしめた。彼女は彼の名をなぜか呼ばない。
「先輩も無理はだめだよ~」
ささやかな彼女の意趣返しも、本当に嬉しそうなその顔を見てしまうと気にならなくなった。


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