06/12/09 12:44:43 SoCSClo/
「キッスは次、エリザベス女王杯だろ?」
顔を向けずに話を振った。
「…」
「…ごめん、てば。」
「そうよ。」
やや間があって、短い返答があった。
俺の冗談を、冷たくあしらうキッス。
こんなやりとりが、数年前から何度となく繰り返されている。
正確に、いつからの付き合いかは、もはやわからない。
気付いた時には一緒に居た。それからずっと。
「俺より先にGI勝っちゃう?」
「そんなに甘くはないわ。」
GIの壁は厚い。それは俺もよく知っている。
そして跳ね返されるたび、
栄冠を手にした瞬間への興味はより強くなっていく。
キッスの思い詰めたような横顔を
記憶の中の幼い彼女と重ね合わせた。
昔から、ずっと大人びていて、
それでいて何を考えているのか全く悟らせない。
どこか冷淡な、そんな印象を持たせるのは
端正な顔立ちのせいかもしれない。