10/06/23 12:01:19 3ID3uUMd
はやぶさ、君の目的地がなぜ「イトカワ」なのか、知ってるかい? その意味を教えてあげよう。
小惑星イトカワとは日本の宇宙開発の父である糸川英夫から来ているんだ。
彼は戦後の貧相な開発環境の中でロケット開発全精力を傾け、宇宙開発に理解の無かった
国家や企業を必死で口説き落として、やっとこさ開発の援助の約束を取り付けたんだ。
決して十分とは言えない予算で七転八倒しながら、時には旧社会党の左翼連中からの妨害に会いながら、
苦難の末に、日本初の人工衛星打ち上げまでこぎつけたんだ。
それも世界で4番目に打ち上げたんだよ。純民生技術のみでね。
彼は戦前、航空機の技術者だった。彼の携わった一番の代表作こそ、戦闘機「隼」なんだ。
この隼は当時、国民の間で圧倒的人気のあった航空機であり、まさに日本を代表する航空機で、
これからの日本の航空技術の飛躍を感じさせるものだったんだよ。
でも敗戦と占領政策による航空機開発の禁止によって日本の空の技術は壊滅的打撃を受けてしまった。
多くの航空機技術者達は空への夢を捨てざるを得ず、ある者は新幹線、ある者は自動車開発へと向かって行った。
でも最後まで糸川は空への夢を捨てず、ロケットと衛星に自らの思いを託し、日本宇宙技術の基礎を固めたんだ。
敗戦の時、自分たちが作り出した航空機の多くが焼かれ壊され破棄され、技術開発禁止され、
技術者の多くは涙し絶望した。
でもそこから立ちあがり、日本の空の技術の復権と発展を掛けた、技術者達の血と涙、執念、
夢と努力の歴史とその結晶を背負って、半世紀以上の時を経て、
もう一度「隼」は「糸川」に出会うんだよ、宇宙(そら)で。
そう、君は、65年前の過去を目指して、進んでいるんだ。