07/12/02 07:38:18 7l+/paSX
>>617
続き
しかし、メタンと液体酸素の組み合わせは、ヒドラジンと四酸化二窒素ほど安全確実ではない。
まず、メタンと液体酸素は混合しただけでは着火しない。着火のためには、電気スパークのよ
うな別の仕組みが必要となる。その分エンジンは複雑になり、故障確率は上がる。
また、液体酸素は沸点がマイナス183度、液化メタンはマイナス162度という極低温であり蒸発
しやすい。計算上は太陽光を遮るシールドを適切に展開すれば、宇宙空間でも液体のまま長期
保存が可能ということになってはいる。しかし本当に長期保存が可能な設計を実現できるかは、
実際に試してみなければ分からない。おそらくは事前に長期保存を試験するための衛星を打ち
上げて、運用してみる必要があるだろう。
現状で、液化メタンと液体酸素を使う信頼性の高いエンジンが不可能と断定することはできない。
しかし、その開発には、十分な時間と予算をかける必要があるだろう。
さらに奇妙なことに、新有人月探査計画では、月周回軌道に入る時と、月面への降下に、液体酸
素と液体水素という組み合わせを使用するという。
液体酸素、液体水素は高性能な推進剤だ。しかし一方で、液体酸素は沸点がマイナス183度、液体
水素はマイナス253度であるため、いずれも極低温で保管しなくてはならない。また、液体水素は
密度が0.07と水の1/14しかない上に、比熱も小さく非常に蒸発しやすい。しかも発生する水素ガス
は分子が小さいので少しの隙間からでも漏れていってしまう。取り扱いの難しさは、液化メタンの
比ではない。
(転載おわり)
このリンク先に貼り付けてある、月面着陸船が月面から離陸する様子を想像したイラスト
「月面からの上昇と、月周回軌道離脱には新規開発の液化メタン・液体酸素エンジンを使用する」
では、ロケット噴射口が光り輝かくように描いている。