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1920年代にディラックによって初めて予言された反物質は1932年にアンダーソンによ
ってその存在を確かめられる迄当時その考え自体容易に受け入れられるものではなか
った。その主な原因の一つとして宇宙の物質優位性が挙げられ、物質・反物質の差異
の問題は素粒子物理全般から宇宙論までの広範囲に及ぶ。完全に反物質からのみな
る反水素原子はそうしたことからその存在自体が大変興味深い対象と言える。物理的
に興味のある問題としても物理の基本法則の一つであるCPT対称性の高精度検証実
験を反水素を用いて行うことが期待されており、その重要性がうかがえる。
反陽子を用いた物理実験では近年CERNのLow Energy Antiproton Ring(LEAR)に於
いてペニングトラップと呼ばれる閉じ込め装置をを用い低エネルギー反陽子を長時間閉
じこめ、サイクロトロン周波数の測定によって高精度の陽子・反陽子の電荷・質量比を得
る等の大きな成果が見られる。一方陽電子を用いた実験においても同様の手法を用い
て大量の陽電子の閉じ込めに成功しており、最終的にはこれらを用いた低エネルギー
反水素原子の生成が期待されている。 我々の研究目的はこれらの技術を用いることに
よって知的・物理両面から大変興味深い対象である反水素を生成することにある。
これ地球シムでシムしたいんですけど、だめれすか