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ニネヴェ定数
1852年
こうして大英博物館に持ち込まれた粘土板の中に、途方もなく巨大ないくつかの数字の記
されたものがあった―あるものは、何と桁数にして15桁、195兆9552億という数字だ
った。この数字はそれ以来、「ニネヴェ定数」と名づけられて久しく謎とされてきたが、これ
に興味を抱いたのが、アポロ計画にも参加した航空エンジニアのモーリス・シャトランだった。
1963年、シャトランはマヤの暦がヨーロッパのそれを凌ぐほど精密であったことを知り、マヤの高度な
数字とニネヴェの巨大数には何か関係があるのではないかと考えた。すぐに彼は、ニネヴェ定数
は見かけほど面妖でない事に気がついた。60の7乗×70という簡単な数で表すことが
できるのだ。
このような巨大な数と高度な数字を用いて、古代人は何をしていたのだろうか?アッシリアの文
明は、バビロニアを経由してシュメールまで遡るものだ。シュメールは極めて高度な天文学を有していた。
彼らは、金星や火星、木星と言った近い惑星のみならず、天王星や冥王星の公転周期まで
知っていたのだ。また、1日を24時間に分け、さらに分や秒と言う単位を作り出したの
も彼らである。
試みに、シャトランはニネヴェ定数を秒に置き換えてみた。するとこれは22億6800万日、
すなわち600万年以上に当たる。そしてこの数値は、春分点歳差に基づく「大年」とい
う単位に直すと、240大年にピタリと一致していたのである。
次にシャトランは、ニネヴェ定数とは占星学者やオカルティストの言う「太陽系の大定数」なのではない
かと考えた。「太陽系の大定数」というのは、太陽系のすべての天体(月を含む)の公転周
期の公倍数である。
NASAのコンピューターを用いて各惑星の周期を秒単位で計算してみると果たせるかな、そ
のすべてがニネヴェ定数の約数であることが判明した。すなわち、古代シュメール人は太陽系に関
して、少なくともアイザックニュートンに匹敵する知識を持っていた、ということになるのだ。