09/08/12 16:18:50
K を可換な局所体(>>362)とする。
>>299より、T(n, K)^* (>>622) は局所コンパクト群である。
>>300より、T(n, K)^* の左Haar測度は T(n, K)^* の元 x の
左ノルム N(x) (>>258) を計算すれば求まるが、この計算はやや面倒である。
よって、これを迂回して左Haar測度を求めることにする。
624:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/12 16:49:51
K を可換体とする。
T(n, K) (>>621) の元 A = (a_(i, j)), 1 ≦ i, j ≦ n が
T(n, K)^* (>>622) に属すためには
det(A) = a_(1, 1)a_(2, 2)...a_(n, n) ≠ 0 が必要十分である。
T(n, K)^* の元 A = (a_(i, j)), B = (b_(i, j)) に対して
AB = C とおく。
C = (c_(i, j)) のとき、c_(i, i) = a_(i, i)b_(i, i), i = 1, 2, ..., n
である。
よって、T(n, K)^* の元 A = (a_(i, j)) に、(K^*)^n の元、
(a_(1, 1), a_(2, 2), ..., a_(n, n)) を対応させる写像 ψ は、
群の準同型である。
ここで、K^* は K の乗法群である。
ψ は明らかに全射である。
従って、Ker(ψ) は T(n, K)^* の正規部分群で T(n, K)^*/Ker(ψ) は
(K^*)^n の同型である。
Ker(ψ) を T_1(n, K) と書き、狭義の上三角行列群と言う。
即ち、T_1(n, K) の元は対角成分がすべて1となる上三角行列である。
後の参照のため改めて T_1(n, K) の定義を述べる。
625:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/12 16:52:10
>>624の訂正
>従って、Ker(ψ) は T(n, K)^* の正規部分群で T(n, K)^*/Ker(ψ) は
>(K^*)^n の同型である。
従って、Ker(ψ) は T(n, K)^* の正規部分群で T(n, K)^*/Ker(ψ) は
(K^*)^n に同型である。
626:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/12 16:55:53
定義
K を可換体とする。
上三角行列環 T(n, K) (>>621) の元で対角成分がすべて1となるもの
全体のなす群を T_1(n, K) と書き、狭義の上三角行列群と言う。
627:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/12 22:50:00
K を可換な局所体(>>362)とする。
>>299より、T(n, K)^* (>>622) は T(n, K) (>>621) の開集合であり、
局所コンパクト群である。
T(n, K)^* の元 A = (a_(i, j)) に、(K^*)^n の元、
(a_(1, 1), a_(2, 2), ..., a_(n, n)) を対応させる写像 ψ は、
連続であるから、T_1(n, K) = Ker(ψ) は T(n, K)^* の閉部分群である。
よって、T_1(n, K) は局所コンパクト群である。
T_1(n, K) の元 X = (x_(i, j)) に K^s の元 (x_(i, j)), 1 ≦ i < j ≦ n
を対応させる写像を Φ とする。
ここで、s = (n^2 - n)/2 = n(n - 1)/2 である。
Φ は全単射であり、明らかに位相同型である。
Φ により T_1(n, K) の元と K^s の元を同一視する。
K の加法群のHaar測度を dx とする。
K^s のHaar測度は λ = Πdx_(i, j), 1 ≦ i < j ≦ n である。
f ∈ K(T_1(n, K), C) (過去スレ009の21) に対して、
∫ f(X) dλ(X) を対応させる写像は T_1(n, K) 上の正値Radon測度である。
A = (a_(i, j)) と X = (x_(i, j)) を T_1(n, K) の元とする。
AX = Z とおき、Z = (z_(i, j)) とする。
i < j のとき
z_(i, j) = a_(i, j) + x_(i, j) + Σa_(i, k)x_(k, j), i < k < j
である。
従って、A を固定したとき、X に AX を対応させる写像は
K^s のアフィン変換である。
この変換の行列の対角成分はすべて1であるからその行列式は1である。
よって、>>244より、∫ f(AX) dλ(X) = ∫ f(X) dλ(X) である。
即ち、λ = Πdx_(i, j), 1 ≦ i < j ≦ n は T_1(n, K) の左Haar測度である。
AX のかわりに XA を考えれば、同様にして λ は T_1(n, K) の右Haar測度
でもある。
628:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/12 23:12:46
>>627の補足説明
>この変換の行列の対角成分はすべて1であるからその行列式は1である。
i < j のとき
z_(i, j) = a_(i, j) + x_(i, j) + Σa_(i, k)x_(k, j), i < k < j
である。
集合 {(i, j); 1 ≦ i < j ≦ n } に辞書式順序を入れ、
K^s の成分をこの順番に並べる。
i < k < j のとき (i, j) < (k, j) であるから、
X に AX を対応させる写像の変換行列は対角成分がすべて1の上三角行列である。
よって、その行列式は1である。
629:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/13 06:52:04
>>627の補足説明
>従って、A を固定したとき、X に AX を対応させる写像は
>K^s のアフィン変換である。
>この変換の行列の対角成分はすべて1であるからその行列式は1である。
>よって、>>244より、∫ f(AX) dλ(X) = ∫ f(X) dλ(X) である。
次の補題を用意したほうがよりわかりやすいだろう。
補題
K を可換な局所体(>>362)とし、E を K 上の有限次ベクトル空間とする。
E に標準位相(>>275)を入れて K 上の位相ベクトル空間と考える。
α を E のアフィン変換とする。
即ち、任意の x ∈ E に対して α(x) = ψ(x) + a と書ける。
ここで、ψ は E の自己同型であり、a は E の元である。
μ を E のHaar測度とする。
このとき、任意の f ∈ K(E, C) (過去スレ009の21) に対して、
∫ f(α(x)) dμ(x) = (1/mod(det(ψ)))∫ f(x) dμ(x)
証明
∫ f(α(x)) dμ(x)
= ∫ f(ψ(x) + a) dμ(x)
= ∫ f(ψ(x)) dμ(x) ← Haar測度の不変性
= (1/mod(ψ))∫ f(x) dμ(x) ← mod(ψ)の定義(過去スレ012の533)
= (1/mod(det(ψ)))∫ f(x) dμ(x) ← >>247
証明終
630:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/13 07:54:01
K を可換な局所体(>>362)とする。
K^* の元を要素とする n 次の対角行列全体を D(n, K) と書く。
D(n, K) は T(n, K)^* の開部分群であり、(K^*)^n と同型である。
従って、局所コンパクト群である。
K の元の列 a_1, a_2, ..., a_n を対角要素とする n 次の対角行列を
D(a_1, a_2, ..., a_n) と書くことにする。
T(n, K)^* (>>622) の任意の元 X = (x_(i, j)) に対して、
明らかに、XD(x_(1, 1)^(-1), x_(2, 2)^(-1), ..., x_(n, n)^(-1)) は
T_1(n, K) (>>626) の元である。
よって、T(n, K)^* = T_1(n, K)D(n, K) である。
明らかに、T_1(n, K) ∩ D(n, K) = {1_n} である。
ここで、1_n は n 次の単位行列である。
よって、T(n, K)^* の元 X は X = YD, Y ∈ T_1(n, K), D ∈ D(n, K)
と一意に書ける。
>>624より、T_1(n, K) は T(n, K)^* の正規部分群である。
明らかに、X に D を対応させる写像は、T(n, K)^* から D(n, K) への
連続写像である。
よって、>>572より、T(n, K)^* は T_1(n, K) と D(n, K) の位相群としての
半直積と同型である。
631:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/13 21:40:57
>>630の続き
D(a_1, a_2, ..., a_n) を D(n, K) の元とし、
X = (x_(i, j)) を T_1(n, K) の元とする。
>>624より、T_1(n, K) は T(n, K)^* の正規部分群であるから、
DXD^(-1) = Y = (y_(i, j)) とすると、Y ∈ T_1(n, K) である。
簡単な計算より、i < j のとき y_(i, j) = (a_i)x_(i, j)(a_j)^(-1) である。
X → DXD^(-1) は T_1(n, K) の位相群としての同型である。
この同型を σ(D) と書く。
mod(σ(D)) を計算しよう。
mod(σ(D)) = Πmod(a_i)mod(a_j)^(-1), 1 ≦ i < j ≦ n である。
(i, j) が以下の順に並んでいるとして、
(1, 2), (1, 3), ..., (1, n)
(2, 3), (2, 4), ..., (2, n)
...
(n-1, n)
それぞれの mod(a_i)mod(a_j)^(-1) を掛け合わせると、
mod(a_1)^(n-1) mod(a_2)^(-1)...mod(a_n)^(-1)
mod(a_2)^(n-2) mod(a_3)^(-1)...mod(a_n)^(-1)
...
mod(a_(n-1))mod(a_n)^(-1)
よって、mod(σ(D)) = Πmod(a_i)^(n - 2i + 1), 1 ≦ i ≦ n
632:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/13 22:15:28
>>631の続き
G を T_1(n, K) と D(n, K) の σ による半直積(>>571)とする。
ここで、σ は D(n, K) の元 D に、>>631のσ(D) を対応させる写像である。
D(n, K) は可換群であり、>>627より、T_1(n, K) はユニモジュラーである。
よって、>>612より、G のモジュ-ルは Δ_G(X, D) = 1/mod(σ(D))
で与えられる。ここで、X ∈ T_1(n, K), D ∈ D(n, K) である。
よって、>>631より、D = D(y_1, y_2, ..., y_n) のとき、
Δ_G(X, D) = Πmod(y_i)^(2i - n - 1), 1 ≦ i ≦ n
である。
K の加法群のHaar測度を dx とする。ここで、x は K の一般元を表す。
>>256より、D(n, K) のHaar測度は Π(1/mod(y_i))dy_i, 1 ≦ i ≦ n である。
ここで、(y_1, ..., y_n) は (K^*)^n の一般元を表す。
>>627より、T_1(n, K) の右Haar測度(=左Haar測度)は
Πdx_(i, j), 1 ≦ i < j ≦ n である。
>>614より、G の左Haar測度は、
Πmod(y_i)^(2i - n - 2)dy_iΠdx_(i, j)
である。
>>608より、G の右Haar測度は、
Π(1/mod(y_i))dy_iΠdx_(i, j)
である。
633:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/14 06:43:48
>>632の続き
>>572より、G の元 (X, D) に XD ∈ T(n, K)^* を対応させる写像 ψ は
G から T(n, K)^* への位相群としての同型である。
T(n, K)^* のモジュールを求めるために次の補題を用意する。
補題
G と H を局所コンパクト群とし、ψ を G から H への位相群としての
同型とする。
Δ_G と Δ_H をそれぞれ G, H のモジュールとすると、
(Δ_H)ψ = Δ_G である。
証明
μ を G の左 Haar 測度とする。
f ∈ K(H,C) (過去スレ009の21), s ∈ G のとき、μ の左不変性より、
∫ f(ψ(sx))) dμ(x) = ∫ f(ψ(x)) dμ(x)
一方、ψ は群の準同型であるから、
∫ f(ψ(sx))) dμ(x) = ∫ f(ψ(s)ψ(x)) dμ(x)
よって、∫ f(ψ(s)ψ(x)) dμ(x) = ∫ f(ψ(x)) dμ(x) である。
s が G 全体を動けば、ψ(s) は H 全体を動くから、
f に ∫ f(ψ(x)) dμ(x) を対応させる写像は左不変、
即ち左 Haar 測度である。
従って、過去スレ012の497より、f ∈ K(H,C), s ∈ G のとき、
∫ f(ψ(xs^(-1))) dμ(x) = ∫ f(ψ(x)ψ(s^(-1))) dμ(x)
= Δ_H(ψ(s)) ∫ f(ψ(x)) dμ(x)
一方、μ は左 Haar 測度であるから、
∫ f(ψ(xs^(-1))) dμ(x) = Δ_G(s) ∫ f(ψ(x))) dμ(x)
よって、Δ_H(ψ(s)) ∫ f(ψ(x)) dμ(x) = Δ_G(s) ∫ f(ψ(x))) dμ(x)
ここで、∫ f(ψ(x))) dμ(x) ≠ 0 となる f ∈ K(H,C) を取れば、
Δ_H(ψ(s)) = Δ_G(s) である。
証明終
634:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/14 09:09:15
>>633の続き
T(n, K)^* のモジュールをΔとすると、>>632と>>633より
D = D(y_1, y_2, ..., y_n) のとき、
Δ(XD) = Πmod(y_i)^(2i - n - 1), 1 ≦ i ≦ n
である。
T(n, K)^* の任意の元 Z = (z_(i, j)) は
D = D(z_(1, 1), z_(2, 2), ..., z_(n, n)) として、
Z = (ZD^(-1))D と書け、ZD^(-1) ∈ T_1(n, K) であるから
Δ(Z) = Πmod(z_(i, i))^(2i - n - 1), 1 ≦ i ≦ n
である。
635:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/14 19:36:10
>>634の続き
次に、T(n, K)^* の左および右Haar測度を求める。
K の一般元を x としたとき dx を K の加法群のHaar測度とする。
T_1(n, K) と D(n, K) の σ による半直積 G の右Haar測度を ν とする。
>>632より、
dν(X, D) = Π[1 ≦ i ≦ n]mod(y_i))^(-1)dy_iΠ[1 ≦ i < j < n]dx_(i, j)
である。ここで、X = (x_(i, j)) および D = D(y_1, ..., y_n) は
それぞれ T_1(n, K) および D(n, K) の一般元である。
ψ (>>633) は G から T(n, K)^* への位相群としての同型であるから、
f ∈ K(T(n, K)^*, C) (過去スレ009の21) に対して、
∫ f(XD) dν(X, D) を対応させる写像は T(n, K)^* の右Haar測度である。
Z = (z_(i, j)) を T(n, K)^* の一般元とし、
Z = XD としたとき、D = D(z_(1, 1), ..., z_(n, n))
i < j のとき x_(i, j) = z_(i, j)z_(j, j)^(-1) である。
即ち、dx_(i, j) = mod(z_(j, j))^(-1)dz_(i, j)
よって、
Π[1 ≦ i < j ≦ n]dx_(i, j)
= Π[1 ≦ i ≦ n]mod(z_(i, i))^(1-i)Π[1 ≦ i < j ≦ n]dz_(i, j)
よって、>>632より、T(n, K)^* の右Haar測度は
Π[1 ≦ i ≦ n]mod(z_(i, i))^(-i)Π[1 ≦ i ≦ j ≦ n]dz_(i, j)
>>613と>>634より、T(n, K)^* の左Haar測度は
Δ(Z)Π[1 ≦ i ≦ n]mod(z_(i, i))^(-i)Π[1 ≦ i ≦ j ≦ n]dz_(i, j)
= Π[1 ≦ i ≦ n]mod(z_(i, i))^(i - n - 1)Π[1 ≦ i ≦ j ≦ n]dz_(i, j)
636:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/14 21:34:51
ここで話題を変えて、離散でない局所コンパクト群には左Haar測度に関して
非可測集合が存在することを証明する(Hewitt-Ross)。
まず補題を用意する。
補題
G を離散でない局所コンパクト群とするとその単位元 e の任意の近傍 V は
無限集合である。
証明
V を G の単位元 e の近傍で有限集合とする。
V の内部 U は e の開近傍で有限集合である。
W = U - {e} は有限集合であるから閉集合である。
よって、 {e} = U - W は開集合である。
よって、G は離散的となり、仮定に反する。
証明終
637:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/14 22:25:52
命題
G を離散でない局所コンパクト群とし、μ をその左Haar測度とする。
G には、μ可測でない部分集合が存在する。
証明
U を G の単位元 e の開近傍でその閉包 U~ がコンパクトなものとする。
V を e の開近傍で V = V^(-1) かつ V^3 ⊂ U となるものとする。
>>636より V は無限集合であるから可算無限集合 D ⊂ V がある。
D で生成される G の部分群を H とする。
H は可算無限集合である。
G の H による右剰余類全体を G/H = {Hx_α; α ∈ A} とする。
A_0 = {α ∈ A ; (Hx_α) ∩ V ≠ φ } とおく。
各 α ∈ A_0 に対して y_α ∈ (Hx_α) ∩ V を選ぶ(選択公理)。
E = {y_α; α ∈ A} とおく。
α と β を A の元で Hy_α = Hy_β とすると、
y_α ∈ (Hx_α) かつ y_β ∈ (Hx_β) だから Hx_α = Hx_β となり、
y_α = y_β である。
よって、x と y を H ∩ V^2 の元で xE = yE とすると、
xe = yf となる E の元 e, f があるが、e = f であり、x = y である。
よって、{xE; x ∈ H ∩ V^2} = (H ∩ V^2)E は互いに交わらない xE の形の
集合の可算無限個の合併である。
E が可測とすると、λ(xE) = λ(E) だから、
λ(E) > 0 なら λ((H ∩ V^2)E) = +∞ でなければならない。
即ち、λ((H ∩ V^2)E) = 0 または +∞ である。
しかし、包含関係 V ⊂ (H ∩ V^2)E ⊂ U が成り立つので、これはあり得ない。
この証明: (H ∩ V^2)E ⊂ V^2E ⊂ V^3 ⊂ U
v ∈ V なら v ∈ Hx_α = Hy_α となる α がある。
よって、v = hy_α となる h ∈ H がある。
h = v(y_α)^(-1) ∈ VV^(-1) = V^2
よって、v = hy_α ∈ (H ∩ V^2)E
よって、V ⊂ (H ∩ V^2)E
証明終
638:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 00:26:28
命題
G を離散でない局所コンパクト群とする。
G の単位元 e の任意の近傍 V の濃度は非可算である。
証明
μ を G の左Haar測度とする。
W ⊂ V となる e のコンパクト近傍 W がある。
過去スレ007の706より、連続関数 f : G → [0, 1] で
f(e) = 1 で、X - W で 0 となるものが存在する。
f ≠ 0 だから μ(f) > 0 である。
μ(f) ≦ μ(W) であるから μ(W) > 0 である。
μ(W) ≦ μ(V) であるから μ(V) > 0 である。
一方、G は離散でないから過去スレ012の538より、μ({e}) = 0 である。
よって、G の任意の元 x に対して、μ({x}) = 0 である。
よって、V を可算と仮定すると、μ(V) = 0 となって矛盾である。
証明終
639:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 00:28:45
>>638の特別の場合として実数体の濃度は非可算であるという Cantor の定理が
得られる。
640:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 00:57:00
>>638の前に次の命題を述べたほうが良かったかもしれない。
ただし、この命題は今までに何回か暗黙に利用していたし、
どこかで証明していたかもしれない。
命題
G を局所コンパクト群とし、μ を G の左Haar測度とする。
G の任意の空でない開集合 U に対して μ(U) > 0 である。
証明
μ(U) = 0 となる空でない開集合 U があるとする。
x ∈ U のとき x^(-1)U は G の単位元 e の近傍である。
μ(x^(-1)U) = μ(U) > 0 であるから初めから U は e の開近傍と
仮定してよい。
K を G の任意のコンパクト集合とする。
(xU), x ∈ K は K の開被覆だから K は有限個の
(x_1)U, ..., (x_n)U で覆われる。
各 μ((x_i)U) = 0 であるから μ(K) = 0 である。
よって、μ(G) = sup{μ(K); K は G のコンパクト部分集合全体を動く} = 0
よって、μ = 0 となり矛盾。
証明終
641:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 08:38:37
Haar測度の応用と言っては大袈裟かもしれないが後で引用するため
Minkowskiの定理を証明する。
まず R^n の離散部分群について調べる。
642:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 08:48:25
定義
R を実数体とし、A を R^n (n > 0) の部分集合とする。
A で生成される R^n の部分ベクトル空間の R 上の次元を
A の R-階数(R-rank)または単に階数(rank)と言う。
643:Kummer ◆g2BU0D6YN2
09/08/15 09:24:00
命題
R を実数体とし、G を R^n (n > 0) の離散部分群とする。
G の R-階数(>>642)を r とし、e_1, ..., e_r を G の元の列で
R 上一次独立とする。
このとき、G は有限生成であり、G ⊂ Qe_1 + ... + Qe_r である。
ここで、Q は有理数体を表す。
証明
>>91より、G は R^n の閉部分群である。
[0, 1] を R の区間 {x ∈ R; 0 ≦ x ≦ 1 } とし、
P = {(t_1)e_1 + ... + (t_r)e_r; (t_1, ..., t_r) ∈ [0, 1]^r }
とおく。
P はコンパクトで、P ∩ G は P の閉集合であるから
P ∩ G はコンパクトである。
P ∩ G は離散でもあるから有限集合である。
x を G の任意の元とする。
G の R-階数は r であるから x = (t_1)e_1 + ... + (t_r)e_r
となる実数 t_1, ..., t_r がある。
x - ([t_1]e_1 + ... + [t_r]e_r) = (t_1 - [t_1])e_1 + ... + (t_r - [t_r])e_r
であるから、x - ([t_1]e_1 + ... + [t_r]e_r) ∈ P ∩ G である。
ここで、[t_i] は Gaussの記号、即ち t_i 以下の最大の整数を表す。
e_1, ..., e_r は P ∩ G に含まれるから G は P ∩ G で生成される。
よって、G は有限生成である。
整数 m > 0 に対して z_m = mx - ([m(t_1)]e_1 + ... + [m(t_r)]e_r)
とおく。
z_m ∈ P ∩ G であり P ∩ G は有限集合だから
z_h = z_k となる整数 h ≠ k がある。
よって、(h - k)t_i = [ht_i] - [kt_i], i = 1, 2, ..., r
よって、各 t_i は有理数である。
証明終