08/11/27 08:50:27
>>97
本当にざっとだけ説明するよ.もっと掘り下げて聞きたければ
もっとポイントを絞って質問しとくれ.広すぎて答えるのが大変.
(1) 固有値分解
特異値分解がピンと来るならそれと対比して説明する.
一番基本的な線型写像はスカラー倍だから,
「線型写像をスカラー倍に分解しよう」というのが
固有値分解,特異値分解の共通のコンセプト.
V, W を線型空間としたとき,特異値分解は線型写像 A: V → W に関して
V と W をそれぞれうまく変換(直交変換)してやると
A が V → W のスカラー(特異値)倍の直和に見える
ということを主張している.
一方,固有値分解は A: V → V (手元=行先)を相手にして,
V をうまく変換(問題依存)してやると
A が V → V のスカラー(固有値)倍の直和に見える
というストーリーを目指す.しかし,特異値分解と違って変換が弱いので,
常にスカラー倍にまで分解できるとは限らないのが重要な違い.
#どこまでを固有値分解と言うかは流儀が分かれるところで,
#スカラー倍まで行くのだけを言う人と,もっと粗くても言う人がいる.
まあ標語的に言えば,V → V 型の変換を要約したい,というのが
固有値分解の存在理由(cf. V → W 型なら特異値分解).
応用は V → V 型の変換が現れるいたるところにあり,一言では説明しづらい.