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読売新聞 2009年3月3日
理研調査も「再現性なし」
東大元助手論文不正 指導の室長処分せず
遺伝子研究の論文捏造で2006年に東京大を懲戒解雇された川崎広明元助手が、
理化学研究所の研究室長の指導で執筆した2本の論文について、
理研の調査委員会が「追試を行なっても論文と同じ結果(再現性)が出ない」
と結論づけたことが2日、わかった。室長については「指導者として責務を
果たしており、不正はない」として処分しない方針だ。理研は近く調査報告書
を公表する。調査対象になったのは、細胞の増殖を止める機能に関係する
とされるタンパク質「ATF2」の働きを解明したとする論文。川崎元助手が
理研の横山和尚(かずなり)・バイオリソースセンター・遺伝子材料開発
室長の指導で実験・執筆した。追試は疑惑発覚後、横山室長が希望して05年
から2年間に2度、自ら実施した。調査委はいずれの結果も「論文との間に、
許容できる以上の開きがある」と分析。昨年末に報告書をまとめたが、
横山室長は「再現性は出ている」と反論しているという。この疑惑では、
東大の多比良和誠(かずなり)元教授(懲戒解雇済み)が川崎元助手を指導
した4本を東大が調査し、「再現性はない」との結論を公表している。