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新型インフルワクチン、事前接種開始 医師ら70人に
2008年8月4日 朝日新聞
新型インフルエンザに備えて多くの国民にプレパンデミック(大流行前)ワクチンを事前接種するための
臨床研究が4日、始まった。今年度中に医師や検疫官ら6400人に接種する予定。有効性や安全性を
確認できれば、政府は1千万人に広げる検討をするが、世界初の大規模な試みに疑問の声も出ている。
ワクチンは、インドネシア、中国で採取された強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)の株からつくり備蓄
している2千万人分の一部。同日には東京都内の病院で、医師や看護師、薬剤師ら約70人に接種した。
今後、全国60の病院で6400人に各人2回ずつ接種。後に血液検査をして抵抗力が上がっているかを
調べる。
厚生労働省によると、大規模な事前接種は、世界初の試み。政府は問題がなければ09年度から、
警察官や自衛官、電気や水道などライフライン関係者ら1千万人に接種を広げる。さらに10年度以降、
子どもを含めた希望する国民にも拡大する方針だ。
新型インフルは、鳥インフルのH5N1がもとになって起こると懸念される。今年6月19日までに世界で
計385人に感染、うち243人が死亡した。人から人に感染しやすくなった新型インフルにはまだ変異して
いない。
新型は、H5でなく、H7やH9など別の亜型から起こる可能性もある。この場合、備蓄ワクチンはほとん
ど効かない恐れがある。また、備蓄ワクチンは、H5から新型が起こったとしても、効くかどうか不明と
指摘される。
いま、このタイミングで事前接種が必要なのか。専門家の間でも見方は分かれる。賛成派、反対派の
研究者が意見を交換しようと7月下旬には、シンポジウムも開いた。