08/05/16 20:28:14
>>295のつづき
柏木:いわゆる通常のインフルエンザは、そういったインターフェロンなどが出てくるから、self limited だけれども
H5N1ウイルスではそれが障害されてウイルスが増え続けると考えてもよいのですね。
河岡:そうです。しかし、ウイルスが増え続けるので、サイトカイン、ケモカインが出てきます。
ですから、今よくいわれているようなスタインなどでサイトカインストームを抑制しようという話は全くナンセンスなのです。
ウイルスは増え続けて、やはり細胞傷害で個体は亡くなります。
菅谷:Montoによると、やはりH5N1ウイルスでは成人でも10日どころか20日くらいviral sheddingは続くそうです。
柏木:H5N1ウイルスの高病原性である本態の1つとして、やはりウイルス自体が悪さをしているということですね。
菅谷:日本ではやはりH5N1ウイルスやスペインかぜウイルスの病態がサイトカインストームだと思っている人がすごく多いのです。
しかし、以前鳥インフルエンザに対する治療ガイドラインのWHOの会議に出席したのですが、ベトナムやタイの先生方は
H5N1ウイルスに感染した小児にステロイドを大量に使ったけれども全く効かなくて、みんな亡くなってしまったといっていました。
何かいかにも治療の適応のような感じがしますが・・・。
柏木:サイトカインストームだったら、サイトカインを減らせばよいうということになります。
菅谷:そうです。しかし、WHOのH5N1鳥インフルエンザに対する薬物治療のガイドラインでは
ステロイドの使用は禁忌になっています。
ですから、そのあたりの誤解も少し気になりますね。もし、日本で鳥のインフルエンザが出た場合でも
ステロイドを使う先生が出てきてしまうのではないかと思うのです。
柏木:それは厳しく警告喚起しておかなければいけないですね。
菅谷:まさにウイルスのものすごい増殖性ということが鳥インフルエンザの本態なのでしょうね。