08/02/29 22:43:29
>>213(つづき)
渡辺 通常のインフルエンザは、上気道(鼻とのど)でウイルスが増え、症状としては熱が出て、節々が痛くなり、倦怠
感やせきが出ます。健康な人なら1週間で回復しますが、抵抗力が極めて弱いお年寄りなどを除けば、命にかかわる
ことはまれです。
田代 それに対し、H5N1型のウイルスは、感染するとほぼ確実に発症し、半数以上が死亡します。特に、40歳未満
の成人、青少年、小児に非常に感染者が多いのが特徴です。
渡辺 ウイルス感染が起こるとサイトカインストームと呼ばれる一連の生態防御反応(熱が出る、節々が痛むなど)が
起きますが、若く、健康な人ほど、その反応が過剰なために、かえって臓器を傷つけ、多臓器不全という危険な状況に
なってしまうからですね。
◇時期は不明だが発生は不可避
沢 90年前に「スペイン風邪」が大流行した時、日本は約43%の感染率で、1年間で45万人もの犠牲者を出しました。
しかも、当時の輸送手段は、船か汽車でしたが、現在は航空機で世界中が結ばれています。「スペイン風邪」は、約11
カ月で世界中に広がりましたが、空気感染する新型インフルエンザは、1週間で瞬く間に広まるとされています。通常の
インフルエンザとして対応すると、大きな過ちを犯します。
田代 新型インフルエンザはいつ発生するかは不明ですが、発生することは避けられません。鳥のウイルスは高温で
増えやすく低温で増えにくいのですが、むしろ人の体温で増えやすいように変化したウイルスも多数見つかっています。
まさに人類は“時限爆弾”の上に座ったまま、ずっといなければならない状況にあるのです。
沢 各国が大流行に備え、健康被害の推定をして、それに基づく対策を準備しています。例えば、米国は30%、カナダ
は35%が推定感染率ですが、それらの国より人口密度が高い日本は25%と低い推定です。
田代 厚生労働省では、その2%に当たる64万人が死亡すると試算しています。しかし、各国の推定は「スペイン風邪」
を「最悪の事態」と想定したものです。「新型」が「最悪」を超える可能性は高く、備えを急がねばなりません。