08/01/14 01:56:23
【鼻に噴霧し感染自体防ぐ粘膜ワクチン…呼吸器免疫強化 食べるタイプの研究も】
注射式の従来型ワクチンより使いやすく、はるかに高い効果が期待できる粘膜を刺激するワクチン。
鼻に噴霧したり、食べるタイプの研究が地道に進んでいる。(藤田勝)
◆注射型より効果
ワクチンは、細菌やウイルスなどの病原体の毒性を弱めたり、一部を取り出したりした製剤。これを
注入すると、発病せずに病原体に対して免疫ができる。
ただし、最も普及している注射型ワクチンは、感染自体を防いでいるわけではない。多くの病原体は、
まず鼻や口、気道など呼吸器や腸など消化器の粘膜に取り付いて感染が成立、その後に全身の
血中をめぐる。
注射型ワクチンは血中の免疫は増強するが、粘膜の免疫は強めない。ここで感染を防げないとなる
と、血中免疫に期待できるのは重症化の予防しかない。
しかもインフルエンザのように様々な流行株がある場合、血中免疫はワクチン株と外れると、効果が
大きく低下する。これは免疫を担う物質(Ig)が血中と粘膜で異なるためだ。
この弱点を補うのが粘膜ワクチンだ。粘膜の免疫は病原体のタイプをあまり厳密に区別しないのが
特徴で、ワクチンと流行株が違っても効果が期待できる。
ただし、気道の絨毛(じゅうもう)、腸管の粘液層など粘膜には異物の侵入に対する防御機構が備わ
っており、普通のワクチンと同じ成分では十分な刺激を与えにくい。そこで本来のワクチン成分以外に、
効果を増強する物質を加える研究が、患者も多い呼吸器感染症を中心に、最近活発になってきた。
スイスの研究チームはインフルエンザの経鼻(鼻腔(びくう)に噴霧)ワクチンとして、コレラや大腸菌
の毒素を免疫増強物質として加えたものを開発したが、研究参加者の一部に顔面まひの症状が出て、
開発は失敗した。