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【主張】新型インフルエンザ 増える鳥から人への感染
公明新聞:2008年2月5日
■的確な情報提供で混乱を避けよ
◇人から人への感染も
新型インフルエンザの発生に備えた対応が世界的に急務となっている。近年、東南アジアを中心に鳥インフル
エンザ(H5N1型)が鳥から人に感染する事例が増加。先月29日には、インドネシアで鳥インフルエンザによる
死亡者が新たに1人確認された。これにより同国の鳥インフルエンザによる死者は101人に達した。感染者総数
は124人。ベトナムの死者48人を大きく上回り、世界最悪を更新し続けている。
新型インフルエンザは、鳥などの動物に流行するインフルエンザウイルスが変異し、人から人への感染力を得
たものだ。ほとんどの人はこのウイルスに対して免疫を持たないため、大きな健康被害を受けることになる。これ
までも10年から40年周期で出現しては、世界的な大流行を繰り返してきた。「スペイン風邪」「アジア風邪」など
が例として挙げられる。
鳥インフルエンザの人から人への感染も報告されてはいる。だが数例にすぎず、発生場所も東南アジアなどに
限定されてきた。ところが今年に入り、隣国の中国で人から人への感染が初めて確認された。専門家の間で時間
の問題とされてきた「新型」だが、いよいよ現実味を帯びてきたといえよう。
日本にこの新型が上陸したらどうなるか。都市部を中心に瞬く間に全国に広がると予測されている。厚生労働省
は国内で最大2500万人が感染して病院を受診し、64万人が死亡すると推計している。二次的被害として経済・
社会活動の停滞・低下が大きく懸念されており、経済損失は約20兆円に達するとの試算さえある。しかもその影
響は、数年間にわたって続くという。
事前の備えが重要であることは言うまでもない。日本では行動計画に沿って、重症化を防ぐためのタミフルなど
の治療薬や、流行初期に接種するワクチンの備蓄などが進められている。昨年は人から人への感染が確認され
た段階で、行政や医療機関、企業、個人が取るべき具体策をまとめたガイドラインがつくられたほか、治療薬やワ
クチンの確保など種々の対策強化が図られることになった。流行に備え、国内への流入を防ぐための法整備の準
備も進んでいる。