06/07/30 21:42:45
【栗田工業による特許権侵害容疑概要と知的財産権秩序再構築の必要性について】
メタン生成菌は増殖基質としては多様な炭素源が利用可能だが、メタン生産のための
基質としては一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス、蟻酸、酢酸しか
利用できないので、木質系有機物等を用いてメタン発酵を行なうためには、
まずこれらの分子まで投入した木質系有機物等を分解する必要がある。ただ問題は
この木質系バイオマスの分解がグルコース系C6糖有機物と比べ容易ではない事である。
従って木材などの草本系の乾燥バイオマスの利用は、長い間、
生物工学分野のテーマであり続けた。木材はリグニンや各種C5糖系等の
難分解性有機物を大量に含み、木材等の草本系そのものを、二酸化炭素と水まで
微生物が完全分解するのは極めて困難である。よって、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の
多くの分解酵素の組み合わせや遺伝子工学の応用が試みられているが、
経済採算性がとれる形での完全分解は未だに到達できていない。なおこの方向性では
株式会社月島機械が、米国ベンチャー企業から技術導入した
「C5糖分解遺伝子群の大腸菌導入株」を活用した開発をNEDO支援下で長く進めており、
当該会社HPには優れた総説が示されている。
URLリンク(www.tsk-g.co.jp)
一方、微生物分解、酵素分解を使わない草本類の化学分解手法として、濃硫酸等による酸糖化が
一般的に使われているが、濃硫酸やその中和に用いる生石灰のコストが相応にかかり、
やはり経済採算性がとれていないのが現状である(なお、日揮がNEDO支援下でこの方向性で
長く研究を続けている)。
URLリンク(www.jgc.co.jp)