06/08/21 22:01:29 gXJQYvEF
周回軌道にあった探査機の搭載機器で行った赤外線分光実験(→参考6)と
X線蛍光分光実験(→参考7)の結果、イトカワの組成がコンドライト質
だろうと突き止められた。
これはNEARが行ったエロス─別のS型小惑星─の分光調査結果(→参考8)
と一致する。普通のコンドライト隕石の密度はおよそ3.0~3.5g/cm3だ。
阿部ら(→参考9)はレーザー高度測定と探査機のテレメトリを使って
イトカワの質量(3.5×1010kg)と密度(1.9g/cm3)を導き出した。
コンドライト質ならば40%程度の空隙を持っていなくてはならない。
砂より大きい空隙率で、岩を詰め込んだように粗雑な状態だ。
イトカワは極端に乱雑なガレキが継続していなくてはならない(→参考10)。
これは探査機による測定結果と小惑星の衝突進化に関する知見の両者に
一致するが、実際に検証するには内部探査を主としたミッション
(たとえばレーダー法、地震学的実験、衝突実験など)が待ち望まれる。
イトカワは遠くから見ればジャガイモ、近づいて見れば結晶構造のラッコ。
でこぼこした細長い形状(→参考11)は小さな小惑星にはありふれた物だが
流星体を何度も浴びることに伴う質量変化が重力不安定性に繋がりそのような
形状を作ったのだろうか。
それとも古い石鹸のように不規則なすり減りからでこぼこした形になったのか、
はたまたもっと大きかった母体が大衝突でバラバラになり、そこから再結合
した物質でできたのか、
あるいは地球近傍の破壊的な潮流(訳注5)に由来するのか。
同じ起源を持つ2つの小惑星が比較的低い速度で衝突して合体したという
考えはどうだ?
イトカワというくるくる回る不思議な山の起源について、藤原らは仮説と
慎重な物理学的説明を提示している(→参考10)。
※訳注5: 原文「a catastrophic tidal passage」。
地球形成時の塵円盤?周期変化?