06/06/13 23:34:16 7aCzOhiu
研究者自身に取材できないと責任ある記事は書けないので、不満ながらサ
イエンス誌の発表を待って記事にしよう。今回は、取材を断られた社はこう
した対応をしたようだが、メディア側に、別の手が全くないわけではない。
記事では、1997年の世界初のクローン牛「ドリー」誕生は、論文が「ネ
イチャー」に掲載される前に英紙が報じた、という例を紹介している。
記事に書かれたケース以外でも、20年近く前、「アスピリンは心臓病に
も効く」というニュースをロイター通信社が流したことがある。その論文が
掲載された米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」
が指定する記事解禁日時の前だった(業界用語で解禁破りという)。
ロイターは、医学誌側から以後、発行前に論文コピーを事前提供するメディ
アのリストからはずされる制裁を受けたが、覚悟の上の行為である。「恩恵
を受ける心臓病の人々の利益を考えれば、一刻も早く知らせることの方が、
医学誌との約束を守ることより優先される」。確か、こんな言い分だった。
今回の取材規制の背景には、日本の科学界に特有の事情も絡んでいるよう
だ。記事は、北澤宏一・科学技術振興機構理事の以下のような言葉で締めく
くられている。
「日本ではサイエンスやネイチャーに載ることが極度に評価されるため、
(載せたいと願う)研究者の立場は弱い。研究レベルは高いのに、発表に関
しては遅れており、発表の媒体も育っていない」(注:東京本社版の記事か
ら)