07/12/20 01:00:19 No+j6AJz
■インターネットの魅力
(1) 匿名で別人格になれる。― 少年凶悪事件が起きたりすると、ホームページや掲示板に発信人不詳の
加害者、被害者双方のプライバシーがどっと書きこまれる。中傷する言葉も多い。それでなくてさえ
辛い思いをしている被害者の心はズタズタにされる。匿名で別人格になれるということは、「品位(ディーセンシー)の喪失」
をもたらすことになる。
(2) 「全知全能の自分」を演じられる。― ボタン操作一つで、自分の意のままに画面の切り換えやリセットを
毎日繰り返していると、非常に自己中心的な性格になりやすい。
(3) 自分の気持ちを純粋に相手に伝えられる。― 友達づき合いのできない人や引きこもりの人たちにとっては、
これまでできなかったいろいろな人たちとのコミュニケーションを積極的にはかれるようになる。
しかも飾りのない言葉で話し合える。それが引きこもりからの再生につながる可能性にもなる。
(4) 特定の人と、親密な一体感が持てる。
(5) いやになったら、いつでもやめられる。― このリセットという行為は、(2)の「全知全能の自分」に
つながるものだ。世界を思いのままに操れるという錯覚。そして日常の人間関係をめまぐるしいものにしていく。
このような魅力に取りこまれると、「ケータイ・ネット依存症」になり、さらに進むと、「ケータイ・ネット自閉症」
というべき状態に陥る。その世界では、もともとの自然や直接の現実が、空虚なものになっていく。既述のように、
「現実感の逆転」が起こるのだ。それが小此木氏の論旨だ。
「壊れる日本人 ケータイ・ネット依存症への告別」柳田邦男 P18-19 新潮社
(小此木圭吾「ケータイ・ネット人間の精神分析」の五点に、柳田邦男がコメントを追加したもの)