06/08/20 08:25:05
《その日、オレはいつものように一人孤独に調査に参加していた。そんな時、オレを呼ぶ監督の声がした。
『・・・さんちょっといい？』経験者が少ないのでリーダーをしてくれという。断る理由も無いので引き受ける。
三人程、いわゆるヒップホップ系の緩い恰好の騒がしい小僧がいたが、その時は気にも留めなかった。
無事地点に到着し、準備を終え調査が始まった。『やべ～小型とか大型とか訳わかんね』『てか、マジ暑ちーんだけど』
例の小僧達だ。無関係を装いつつも、オレは帽子を深く被り、奴等を監視する。散乱するペットボトル、喰い散らかしたパンの袋、大きく開いた足・・
どこぞのビーチと勘違いしているらしい。あまりの幼さに、思わず「フッ」と鼻で笑ってやったら
奴等の連れが聞き取っていたらしい。一番リーダー格のボス猿になにやら耳打ち。「あいつなんか笑ってたよ」とでも言っていたのだろう。
オレはそれを視界に捉えながら、そのクソ共に一瞥をくれた。向こうもこっちを見た。
やがて交代が来た。熱くなってはいかんな。オレは気を静める為、顔を洗いがてらに近くのトイレへ。するとリーダー格が後から入ってきた。
オレが用をたしているのを横で睨み、焦点の合っていない目でオレを見ている。
『オメーさぁ、何仕切ってんの？マジむかつくんだけど、ボコっていい？』
相変わらず下等動物の使う言葉はホント低俗だ。ヤツが胸ぐらをつかんできた。ヤツがパンチを放つ。
当然、至近距離だったのでかわすこともできず、オレのボディに炸裂。痛みでオレがその場にうずくまると、ヤツがオレを見下ろし笑っていた。
オレはヤツの笑いを痛みに呻きながら見ていたらなんだか泣きたくなってきた。
「社会にでてもこれかよ・・・」
その後は不遜な雰囲気が流れながらも無事終了、奴等が領収書の書き方に手間どっている間に、オレは上り電車に飛び乗った。
日当を奪われたらたまったもんじゃないからな。
それにしてもこの稼業、調査以外で疲れることが多すぎる・・・》