07/12/21 03:19:20
AはBに自己所有の家屋を賃貸していたが、その後Cにこの家屋を売却した。
甲の発言の当否について答えなさい。
(甲・1)賃借権は債権。債権は債権者が債務者に対する関係でのみ一定の給付を
請求できる権利に過ぎないから、この場合、債権者たる賃借人Bは、債務者たる
賃貸人Aに対する関係でのみ当該家屋の使用を請求できるに過ぎず、第三者Cに
対しては当該家屋の使用を請求することはできないのが原則だよね。○×
(乙)うん、そのとおりだ。でもそれだと、BはCから家屋の明渡しを求められた場合、
退去を余儀なくされてしまうね。BがCに対しても賃借権を主張できる方法はないのかな?
(甲・2)それならBは賃借権の登記を受けておけばいい。民法は不動産の賃借権に
登記を認めていて、登記をすると、その後目的家屋の所有権を取得した者に対しても
賃借権の効力が生ずるとしているよ。また、判例によると、AはBから目的家屋に
賃借権の登記を得たい旨申し出があったときには、申請に協力しなければならない
義務を負うとされているよ。○×
(乙)なるほど、それなら賃借人の保護は図られているといえるね。でも、賃借権の
設定登記を受けていない場合は、BはCに建物を明け渡さなければならないのかな?
(甲・3)借地借家法では、建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しが
あったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
と定めているよ。したがって、Bは賃借権の登記を受けているか、もしくは、それが
なくても建物の引渡しさえ受けていればCに対して目的家屋の賃借権を主張することが
できるよ。○×
(乙)法律は随分と賃借人に厚い保護を用意しているんだね。