06/12/11 01:20:18 TnX8XmT30
歪むヴィジョン。周波数の合わないラジオのように砂嵐が私を包み込む。
―せっかく、ひとつにしてあげてたのに。
はぁはぁ…はぁ…
苦しい。何かが…抜け出そうだ。
―違うわ、抜け出るのは貴方のほう。
はぁ…はぁ、 え?
―貴方のほうなのよ。
え?え?
―忘れたの?
………何を?
―思い出させてあげるわ。
あ……小さい頃の私?
砂嵐が今度は懐かしい景色へと意識を連れ去った。
『ピアノ、ヴァイオリン、生け花、バレー、家庭教師の先生………
幼い私には閉ざされた牢獄にも似た豪邸から、夕日に照らされた庭を見つめる私。
友達が欲しい。友達と遊びたい。
「さっきから違うって言っているでしょ!!ここはこう!!…だから、ここは……」
「ごめんなさい、先生…。」
「はい最初からやり直し。……ああもう!!だからここは……」
「ごめんなさい…。」
どうして?どうして?
どうして私には友達ができないんだろう?
どうして外を駆け回る事もできなんだろう?
私がお金持ちだから?
私が人より身体が弱いから?…どうして?』
フェリスの中で何かが繋がり―または途切れ―はじめた。
再び映像が脳内へと流れ出す。