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≪ゆとり失った≫
こうした実情について、大学生の学力低下を世に訴えた「分数ができない大学生」の著者、西村和雄・京
大教授は「ゆとり教育の最も大きな弊害は、子供も教師もゆとりを失ったことだ」と批判する。
「教科書の内容を減らしすぎ、反復の時間もなくなって、子供はかえって授業が分からなくなった。総
合学習は内容が抽象的すぎ、ちゃんと授業をできない先生がほとんどだろう」とした上で、「個々の教科
の充実を通じてこそ達成できる『生きる力』の育成を、総合学習でやろうとしたのが間違い」と指摘する。
もっとも現場からは、「導入から三年で、ようやく教師が対応し始めたところ」(中部地方の指導主事)
と、見直しは時期尚早の意見も聞かれる。しかし「実質的に勉強時間が削られているのだから、現場に努
力しろと言われても限界がある」(九州地方の指導主事)と中山文科相の方針を支持する声も大きい。
≪大臣主導≫
中山文科相の「総合学習見直し」発言は十八日に、宮崎県小林市で行われた第一回「スクールミーティン
グ」の後に飛び出した。この発言の直前、「文科省は(学力低下を)認めたがらないが、私はゆとり(教
育)も原因の一つだと思っている」とも述べており、「ゆとり見直し」には積極的だ。契機となったのは、
昨年末に発表された経済協力開発機構(OECD)の学力調査。日本は読解力が四年前の八位から十四位
に転落した。ゆとり教育を進めてきた文科省は当初、「成績は依然上位にある」と強弁したが、文科相は
「低下傾向にあることをはっきり認識すべきだ」と発言し、認識を覆させた。「ゆとり見直し」は、大臣
が事務方を強く引っ張る形で進んでいる。
文科省は今後、総合学習の実態を調べ、土曜日や夏休みの活用を含めた義務教育の改革を中央教育審議
会に諮ることにしている。銭谷真美・初等中等教育局長は、文科相の「総合学習見直し」発言の翌日、
「OECD調査で低下した学力は、現行指導要領が目指す学力と軌を一にしている。改めるべきは果敢に
見直していく」と、改革に前向きな姿勢を見せた。今後は大臣と省内が一体となって、学力低下の現状を
総括した上で明確なビジョンを策定することが求められている。(産経新聞)
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