07/03/07 21:16:13
>>45
おぼろげな記憶ですが,現行刑訴法起案のとき(小野先生や団藤先生が中心らしいです),旧刑訴法567条にあった「附帯私訴」は
(1)公判手続が起訴状1本主義・証拠制限などで複雑化したため(注),併せて民事の審理を行うことが難しくなった。
(2)旧刑訴法下でも,ほとんど利用されていなかった。
(3)現行刑事訴訟法が附帯私訴のない英米法の影響を強く受けた
(4)日本国憲法37条1項「迅速な裁判を受ける権利」という人権規定から,民事の審理遅延による刑事の遅延を避ける
という理由から削除されたようです。
注:戦前の職権主義では,現韓国のように,起訴と同時に捜査書類が全て裁判所に提出されていました。
ちなみに,付帯私訴は,フランスはナポレオン法典から,ドイツは1943年の改正で,それぞれ導入しています。
また,刑罰と共に又は刑罰に代えて「損害賠償命令」を命じる制度は,イギリス,アメリカ,オランダ,カナダ,スウェーデン,大韓民国で施行されています。
イギリスの損害賠償命令制度(compensation order)は,1972年に導入されたもので,刑罰と共に命じる制度です。
アメリカの損害回復命令(restitution order)は,1930年ころから一部の州法で採用された後,1982年の「被害者及び証人保護法(Victim and Witness Protection Act)」の制定により,全州と連邦で刑罰として導入されています。
この損害回復命令は,裁判所が,すべての事件について刑罰に加えて,軽罪では刑罰に代えて,犯罪の被害者の損害を回復するように命じる制度です。