06/04/25 19:22:35
粂 和彦のメモログ 過失と因果関係を分離して議論することの虚しさ
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なによりも過失と因果関係を分離して裁定して罰則を与えることは、
医療の質の向上に役に立つとは思えません。
医療者ができることは「過失をしない」努力だけです。
同じミスをしても、ある人は運よく罪に問われず、
別の人は運悪く犯罪者となるという不公平感が広がれば、
医療者のモーチベーションが下がるだけです。
また過失そのものではなく、結果が重視されるのなら、
ミスを避けるよりも、ミスを起こした後、たとえば、
とにかく患者が死なないように延命だけを続けたり、
ミスは隠したほうが良いという気持ちになりやすいと考えます。
また過失をしてしまった時に、結果が悪くなり易い、
救急・外科・産科医療などに従事するのは損だということになります。
やはり故意・悪意のない医療過誤を刑事罰で裁くことは最低限にして、
別のシステムを使って医療の質を向上させないとダメだと感じます。
たとえば普段の医療の中で、「過失そのもの」を厳しくチェックして公表して
医療者の中で共有するようにする。
そして、重大な結果につながらない場合も医療の向上につなげ、
そのようなシステムの中で、結果が偶然、重大なことにつながった場合には、
因果関係論にとらわれず、民事的な責任を取るというのが妥当と思います。